0010話
「ねぇ?なんで洞窟に家?」
「いや、俺に言われてもなぁ…。」
目の前に佇む洞窟の中、と言うシチュエーションには凡そ似つかわしくない一軒家の存在に二人とも困惑の色が強い。
その一軒家に窓の類いは無く、ただ、取って付けたような家としての機能を有しているようにみえる。まぁ、こんな場所にある家に機能性はともかくデザイン性が必要か、と言われてしまえばそれまでなのかも知れないが。
「どうするのよ、これ。」
「どうするって言われてもなぁ…。」
「取り敢えず入ってみる?」
「いや、もし誰か居たらどうするつもりだよ…。」
「…そうよね…。」
突然目の前に現れた不可思議な物体にますます困惑して、その対応に苦慮する二人。だがどうやらそんな思考も無駄になりそうだ。
なぜなら、その家の扉がゆっくりと内側から開かれていったのだから。
「なんじゃ、騒々しいのう…。逢い引きなら他所でして欲しいんじゃが…。と言うか、態々人の家の前で逢い引きとか嫌がらせかのう…。」
そして、開かれた扉から現れたのはやや不機嫌そうな少女。その頭には…角?
少女は腰まで届くような長い髪を持ち。不機嫌そうに細められた眼はどこか人を惹き付けるような輝きを放っている。纏っているのは空色のチュニックシャツに、黒っぽいショーパン、膝丈ほどまであるソックスはリボンによって留められており、裾の長い白衣を羽織っていた。特徴的なのは登頂部に生えた角のような物体だろう。幼い少女の外見と相まって余計に違和感がある。
少女は眼を細めると着ていた白衣のポケットをゴソゴソと探りだし、取り出すとそれを口にくわえる。…今のは…棒付きのキャンディー?
「…?なんじゃ、下位の魔物か…?ううむ、こんなところまで入り込むとは…鈍ったかのう…。」
しかし、白衣の少女は二人の姿を認めると独り言を呟き始め、うんうん、と唸り出す。
「なぁ、これどうすりゃ良いんだ?(ボソボソ)」
「知らないわよ。あんた話し掛けてみなさいよ。(ボソボソ)」
唐突な少女の登場に二人も驚いたのか、お互いの顔を見合せ相談を始める。
が、それも長くは続かなかった。
「まぁ、良いか。ここまで入り込んでしまったのじゃ、儂が始末するしかあるまい。はぁ…面倒じゃのう…。」
瞬間辺りが凍りついたかのような寒さを覚える。それと同時に感じるのは少女の圧倒的なまでの存在感。いや、コレは何だ…、訳が分からない。先程二人が蟻達と戦っていた時とは全く違う気配。それを感じただけで二人の命運はこの時迄なのだと悟る。意味が分からない、気配など知らなかった筈なのに、何故かコレには勝てないと分かる。分からされる。
「さて、まぁここまで入り込んでしまったのが運の尽きじゃ、と諦めてくれるとありがたいのう…。まぁ最後は一瞬じゃ痛みはなるべく無いように気を付けるゆえな。」
そうして、少女の気配が更に大きくなる…。
マニアワナカッタ…。
と言う事で、日付が変わる前に今日もまた更新するつもりなので今日は二本立てですよ!やったね?
嘘です、ごめんなさい。次から気を付けます…。
しかも、話数を間違えると言う失態まで…。読んでくださった方には本当に申し訳ない…。10/2修正しました