中編1
間に合いませんでした…
ですが完結はさせようと思います。
前から少し時間が進みます
入学してから三ヶ月たった。
私の通っている中学は皆がそのまま進学してくる様な平凡な学校。
小学校から見知った人間がほとんどだったので思っていたような真新しさはなく、拍子抜けに思った。
変わったのは勉強ばかり。
年々難しくなり、窮屈になっていくのは何時ものこととして。
6月の試験の終わり、
試験の成績が張り出されるとは思ってもみなかった。
おかげで恥をかいた。
期末こそと思い学校で友達と勉強をして
試験の日を迎えた。
もうすぐ夏休みが始まる。
概ね試験の結果に満足できた私は、
晴れやかに夏を迎えられそうだった。
あれから事故現場には近づかなくなった。
もう弟は側にいるのだから寄る理由もない。
何より、あの時弟を失った気持ちを思い出すのが嫌だった。
相変わらず腕には噛み痕が残る。
親は相変わらずだった
母は狂乱し、父はふらっと出ていっては酒の匂いをいつも漂わせている
話かけようにもマトモな返事が返ってくることは少ない
私は家では自分の部屋に逃げこむようにいるようになった
そんなだから家に人を呼ぶことは無くなった
昔は母の幼稚園のママ友や父の友人なんかが来る賑やかな家だったけれど
今の家にあるのはすすり泣く声とときどき聴こえる怒鳴り声だけになった
夏休みに入ったばかりの今日、私は
ある決意を持って友達を家に呼んだ
友達のみっちゃんはオカルト好きな変わった子だった。
そもそも家庭から占い一家だというからますます胡散臭い。
いつも家族が占った代わった人の話や、自分が探し出した噂をよく話していた。
もともと彼女とは小学校での接点はなかったけど。
きっかけは学校生活である日彼女の話す声が聞こえたことにあった。
みっちゃんはよくだれかれ構わずにオカルト話を吹聴して回っていた
大抵は嘘くさい話ばかりで敬遠されていたけど
ときどき面白そうな話を持ってくる
その中に私の弟の話があった
といっても、本人は私の弟と知ってるわけでは無さそうで彼女からしたら与太話のひとつにすぎないんだろう
遠目からその話が聴こえる度、苛立つ日々がしばらく続き
「この前近くの道の交通事故にあった子が霊になって出てくるらしいよ?」
放課後になり、帰ろうとしていた私に彼女は突然話しかけてきた
「そんなわけない!」
私は思わず口走っていた。
心で思っていたことをつい、吐き出してしまう
「なんで?」
不思議そうに私を見る彼女を見て口走ったことを後悔した
勿論私の腕のことを言えるわけもない
「あの子は…私の弟だったの」
そういって目線を落とし誤魔化した
大抵はこう言えば遠慮がちに離れてくれるだろう
だけどみっちゃんは私の顔を覗きこみ言った
「…辛かったんだね」
その言葉一つで私の心から記憶が溢れた
弟のこと、助けられなかったこと
親のこと、苦悩、後悔に苛まれた日々
そして、不安
たった一言だったけれど私はみっちゃんのやさしい
気持ちに心を揺り動かされ、涙が溢れた
その日から私達は一緒に過ごす様になった
「近くの神社の階段の13段目を踏むと黄泉の国から死神が来て…」
隣で嬉々とオカルト話をするみっちゃんはそんなやさしさを秘めた子には正直見えないけど…
私はその日の彼女のことを思い出している
私は今日、腕のことを話してみようと思っていた
彼女になら、話せる