魔物辞典
決して完全な登場順ではありませんがご了承ください。やや変えてあります。
そして作中世界の魔物辞典と同じように書くことも考えましたが、レイルたちの冒険に絡めて解説。
魔物……人種族とは違い、言葉を話せないか社会性がないかのどちらかを満たしている人にとって脅威となる生物がこれにあたる。中でも獣型は魔獣などと言われるが、そこに厳密な分類はない。竜や龍、妖精などが種族として分類されたのは言葉を話せて社会性があるから。
ゴブリン系
ゴブリンというものは多種多様な種族である。概ね人を見ると潰れた低い鼻をひくつかせ、よだれを垂らしながら襲いかかってくる。不潔であるがゆえに病気を媒介することもあり、群れが見つかると討伐依頼が出される。そんな小柄な魔物の総称。大きくても一メートルほど。
平均的な冒険者数人であれば、二、三十体ほどの群れを殲滅することは可能であるため脅威度は低め。しかし村人など身近な者にとっては物語にしかでてこないような怪物よりもずっと厄介な相手。
魔物相手の戦闘が慣れていない兵士でも、連携と装備さえしっかりしていれば遅れをとることは少なく、冒険者ギルドの依頼で追いつかない場合は規模に応じた軍の派遣がされることも。
ウルフ
実際には○○ウルフと名付けられることが多い。イヌ亜目で四足歩行の魔物の総称。俊敏で群れで行動し、鋭い牙と爪が武器。
ゴブリンと同じく、地域や環境によって住む種類が異なる。
こいつらの中で最も弱い部類の個体を一対一で倒せるのが冒険者としての最低限、つまり一人前のように言われることもある。実際は正面きって一対一などという状況は稀であるために、より強い冒険者によってその状況がお膳立てされることも。
遠吠えで連携をとったり、鼻がきいたりと獣としての強さがゴブリンより高く、夜や森の中だと手強い相手とされる。
コボルト
ゴブリンのように二足歩行で、ウルフのようにイヌ科に似た頭を持つ魔物。その特性もゴブリンとウルフの中間ほどである。
穴を掘って巣を作り、その中で暮らすためにわざわざ突撃していかない限りはゴブリンやウルフよりも害が少ない。
オーク
豚頭の魔物。槍や斧など武器を使うものもおり、ゴブリンより知能が高く体格も大きい。
一体なら冒険者数人で安全に狩ることも可能だが、群れで現れた場合には退くようにというのが常識。
個体数で言えば上の三つより少ないが、その分出た時の優先度は高い。
大鬼
鬼族とは別物。首から下は体毛がうっすらと覆っており、腕には毛がない。二本の角と黒々とした肌が特徴的な魔物。二足歩行で体格は良く、小さいもので二メートル、大きいものだと四メートルほどもあるとか。ほとんどが道具を扱う。
作中ではアランに首を落とされる。
グレーズリー
体長二メートルほどのクマの魔物。
基本的には現代のクマと変わらない。
砂塵蟲竜
ミミズと蛇を足して二で割ったような魔物。
砂漠に住む生物は水を大量に保持できるものも多いが、この魔物はそれができない。砂漠で他の生物の血を微量にとっていればそれで生存可能であるが、その牙に含まれる毒は血液の凝固を防ぐので噛まれたものは死ぬとも。
水をかけられすぎて体内環境が狂わせられて死亡。
コドモドラゴン
四足歩行のドラゴン。ドラゴンの中では中級とされ、体表は鱗が覆う。鋭い牙と尻尾、その体躯を活かした機動力が武器。体長は三メートルから八メートルと大きく幅がある。高さは二メートルを超えるものはおらず、横幅もそんな程度。
冒険者数人でも一体を狩るのが困難であり、倒せると実力を示せるとまで言われる。
カマイタチ
種族で紹介した妖怪に分類されるが、こちらは同時に魔物でもある。
旋風を起こしてその風に紛れて相手を斬りつける。あまりの切れ味を誇る鎌であるため、捕らえた冒険者が武器屋や鍛治職人に売るも、死んだカマイタチのカマは非常に脆くろくに売れなかったという。
作中では油と炎の魔法のコンボで炭となった。
クラーケン
高い知能と巨大な体、大量の足がある海に住む怪物。海に住む魔物の中では最強というわけではないが、知能で言えば最も高い。
イカやタコにその姿が似ており、個体数は非常に少ない。世界中の海を探しても数えるほどしかいないだろう。
作中ではレイルによって引きずりだされて忠誠を誓う。
スライム
多種多様なものがいるが、ゲル状の魔物の総称。大きさも、性質もまちまち。
その生態はあまりわかっておらず、ほとんどが知能が低い。基本行動は食べる、動くの二種類。
しかし作中では突然変異のイムゲルが登場しており、スライムでも知能を持てるのかと魔族の間で研究がされているが、本人が嫌がるためになかなか進まない。
バジリスク
バシリスクとも。魔力抵抗に優れ、巨大な蛇のような魔物。時術を使え、光を媒体にしているために非常に厄介である。その眼に見られたものは石化するなどというが、実際は相手に時術をかけて風化させているだけ。
当時魔力抵抗がまだ低かったレイルたちであるため、その術がかかると無事ではなかっただろう。核を飲んだり旅をしているうちに鍛えられておそらく邪神決戦時のレイルやロウ、カグヤならまだ耐えられたかもしれない。おそらくレイルたちを最も追い詰めた魔物。
作中ではミラに首を刎ねられる。
カメルモン
周囲の風景に擬態可能なトカゲ。カメレオンが原型。空間把握の前では完全に無駄能力であった。
フェロモニア
フェロモンからの命名。そのフェロモンによって周りの魔物を従えて自分の狩りの道具として使う。本体はぶよぶよの肉の塊。
パラフライ
鱗粉に麻痺毒を持つ蝶型の魔物。
その肉は意外にも美味しいのだが、食べたものは十分から数十分ほど麻痺する。
天馬
空を飛ぶことができる馬。巨大な羽が生えており、乗りこなすのも繁殖させるのも難しい。唯一繁殖に成功した国の末路はお察し。
アギトカゲ
アギトとトカゲから命名。こちらは単にプライドの高いワニのような魔物。プライドの高さゆえに同族で群れを作らず番いで行動。そして他の魔獣を力で屈服させて自分の群れとしてしまう。
リヴァイアサン
巨大な海竜。神話の中ではとんでもない大きさであるが、作中で登場したのは邪神降臨計画における試作品としてのものであるために本物がどの大きさなのかは闇の中。
しかしどんな攻撃も通さぬ強靭な鱗に覆われ、少なくとも十メートルはある巨体は十分に脅威。
挑むには消耗戦か中に誰かが入って中から切るなどが一般的。それでも前者はかなりの人員を必要とし、後者はかなりの技量が必要となる。
レイルは空間転移を使って外圧差を利用して中身を破裂させた。
ベヒモス
リヴァイアサンと対になる陸上の怪物。
再生能力も高く、多少の傷だと戦闘中に塞がってしまうのでリヴァイアサンより持久戦に持ち込みづらい。
しかし陸上という部分により、魔法で肉体を補助せねば立つこともできない。リヴァイアサンは魔法そのものを使っていなかったのでおあいこと言えようか。
作中ではケヤキが雷撃で殺した。
サイクロプス
一つ目の巨人となるが、種族としての巨人とは違い言葉を話せず社会性もない。
知能はさほど高くはなく、ゴブリンと同程度。しかし大きい。それだけで強い。武器を使うときは単なる木の棒など打撃武器が多い。
次回なにしよう……