大陸と国々
今回は「弱者は正義を語らない」の世界観のようなものになります。
各国や大陸の大体の特徴がこれにあたります。
あ、その前に転移門についてお話ししておきましょうか。
転移門というのは文字通り転移するための門です。しかし馬車と数人しか一度に運べず、戦争で軍隊を送り込むなどの使い方はできないとのこと。
じゃあスパイはいるんじゃないのか?と申しますと、いるんですよね。半ば暗黙の了解と言いますか、互いに潔白を示すために見て見ぬ振りをしています。下手にスパイの排除に躍起になると、戦争準備かと疑われるので本当に大事な部分さえ保護しておけばいいといった感じです。国の中を見る分には取り締まりきるのも難しいですし。
世界各地にあり、それら全てをしっかりと知っておけば旅の時間短縮に役立ちます。冒険者としての経験や知識はこういったところにも関わってくるのです。
ついでに言うと、手紙も転送装置なるものがあります。
どちらも空間術で古代に作られた魔導具なのですが、国同士でその研究は禁じられています。一度解体して改良しようとした人がいたそうですが、成功どころか大暴発を起こしたからだったりします。
幸い全ての国と冒険者ギルドに配ってもお釣りがくる程度には発掘されており、残りは国で管理されております。
冒険者ギルドは郵便局の役割も担っており、ほんの少しのお金で好きな国へと手紙を転送してくれるのであまり揃えようという人もいないようですが。
レイルは旅の途中までは行く先々でシンヤから手紙を貰っておりましたね。途中からは自分からも空間術を使って送り返したりしていましたが。
そしてどちらも作ったのは工学に精通した、レイルの元の世界よりも文明の進んだ世界から来た異世界人であったりします。英語圏の人であったのか、今でもその細部に英語が使われていたりなどしますね。
レイルたちの旅の途中に、劣化バージョンの魔法陣が開発されて、なんとか出回るように。しかしその高額さと、はしたがねで頼めば他国に送ることはできるなどの理由からあまり普及はしていなかったり。
☆大陸編
大陸の数や形は前世とはあまり変わりがありませんが、その大地形などに関しては多少の誤差というか変化があります。それは大陸そのものの動きというよりも、自然環境に影響を及ぼすほどの魔物や種族の存在が大きかったり。前世におけるユーラシア大陸の中央にある竜骨山脈、まあ前世で喩えるならばウラル山脈あたりですが、もっと高くて険しく、そして大きな山脈となっております。
前世におけるアジア、ヨーロッパ、アフリカなどの地域には概ね人間種族が一番多く住んでいます。人間の国は全てこの大陸に集まっています。他には少数ながらもエルフや獣人、トロルもこの大陸に住んでいます。
ちなみに日本は鬼族や人間、獣度の高い獣人の一族などが住んでいます。恵まれた自然と裏腹にその生存競争は激しく、統一された時は当時の世界最高峰の結界術師による大規模な儀式によって列島全体が時間術と結界術によって覆われています。それを無理やり抜けようとすると肉体の時間が変化するなどの弊害も観測されています。
島国の中には国とも言えぬ形で集落を作って暮らしている者もいます。中には種族差別もなくほのぼのと異なる二種族が暮らす場所も。
他種族差別が多少とはいえあるのは大陸側であったり。
次に前世におけるオーストラリアの位置。こちらには獣人が多く住んでいますね。獣人唯一の国があるのもこの場所になります。広大な大陸のわりに人口は少なく、最も人口密度の低い場所となっております。巨大な山脈が東にあり、獣人の多くはその山脈の両側に住んでいます。
そして魔族の住む大陸。これは前世におけるアメリカ大陸となっています。人間や獣人、魚人なども少数ではありますが住んでいます。東と西を巨大な大陸で挟まれています。南西には寒流によって冷やされた安定した大気で雨の降らない海岸砂漠があり、中央には人の立ち入ることのない密林が広がっています。
☆国編
まずはギャクラ。作品を読んでいただいた方はまず覚えているであろう国。そう、主人公のレイルが転生した国の名前です。
面積的にはさほど広くはなく、そして村や町などが点在していて人口が集中していないのも一つの特徴です。位置は前世におけるユーラシア大陸。
うまい具合というか、多くの国に通じる転移門が最も便利な場所であったりします。というのも、ここさえ経由すれば様々な場所にいけるんですね。ですので、海岸にある国であるのに中継地点として優秀な立ち位置となっています。
経済大国として発展しており、即時に動かせる総資産は一番高いのではないか、とも。歴史上は商人などで大成した者も多く、レイルたちは珍しく冒険者的に大成した子らとなっております。
所属勇者であったレイルが独立したことで、ユナイティアとのパイプになりました。あとはキルモンド・ゴアテイノス。彼はもともとギャクラの貴族でした。そちらについてはゴブリン討伐依頼で出てきたギルド長のレイモンド・ゴアテイノスさんでわかりますかね。
名前の由来は漢字で逆と羅を組み合わせたものです。そんな言葉はないですが、戦いから遠い国ということで。
ユナイティアはレイルたちが作ったということで、最も新しい国。それに最も多くの種族が住み、最も多くの種族と交流があることでも有名です。
体制はほとんど社会主義ではあるものの、その実レイルたちの完全独裁体制です。とはいいながら、より働いた者がより報われるようにと調整はしてあり、最低賃金と最高賃金などが決められているぐらいのものです。元は奴隷と奴隷商の部下であるゴロツキ、そしてレイルを慕って集まった少数の者によって構成されており、未だに元奴隷の引け目のようなものは抜け切っていなかったりするのが今の問題点です。やたらとシンヤがレイルを神格化して国づくりを進めてしまったために、奴隷達は老若男女問わずレイル、アイラ、カグヤ、ロウの命令を優先させてしまいます。
しかし概ね国の舵取りをするのはレオナやシンヤであることが多いです。そんなこともあってか、ギャクラの分家みたいな扱いではありますが、現在最も発展途中の国ということで今後に期待されている部分も。
場所的にはギャクラのすぐ南。前世の中国ぐらい。
所属勇者というか、責任者がレイル。パイプがあるのはトーリ、アラン、カイ、ジェンヌなどなど。
名前の由来はユナイテッド、連合することよりきております。
リューカは竜、龍を祀っている国ですね。その部分はヤマトと似通ったところも。それでいて竜を倒すことを不敬とはとらず、むしろ神にも近い存在に勝てることに畏敬の念を抱くという感覚は他の国とは変わらないらしいです。その傾向が最も強く、この国では竜を倒せば名誉貴族の爵位が与えられるために、この国の貴族の何人かは竜を倒した人間の末裔なんてこともあるそうです。
通常の王政ではあるが、税率が低いのも特徴でしょうか。
場所はユナイティアの西。名前の由来は竜から。
次にウィザリア。魔法や魔導具の研究に関しては人間の国では最も進んでいる国です。ちなみにここよりも進んでいるのは魔族国家ノーマなどなど。機械族は別枠。ちなみに空間転移の研究で未曾有の大爆発を起こしたのもこの国だったりします。場所は人間の国の中では比較的南。名前の由来はウィザードをもじって。
ガラス。こちらは歴史が古く、軍事大国の一つとなっております。初代勇者の時代に魔王に対抗するために幾つもの国が連合となり、いつしか完全に統合されてできた国です。それゆえに王都のような場所が幾つかで構成されており、滅んだ国の城などが国の領土内に幾つも残っています。強さが重要視されやすく、職種人種問わず強い者を貴ぶので冒険者などで大成した者が多いです。勇者の輩出も最も多い国。場所はヨーロッパ西一帯。典型的な君主制ではあるものの、王族の血が数種類あって、それぞれを絶やしてはならないという不文律の元に毎度争うことがあります。所属勇者はアラン、パイプがあるのはテナー。そのまんま硝子。
ヒジリア。こちらも古い国。宗教国家。神教という宗教が魔物や魔族の被害に対して自衛組織を立ち上げ、孤児院の運営など様々な活動をこの場所を拠点にしていくうちにいつしか国となっていました。議員制ですが、その議員が宗教国家なので宗教的地位と同一視されております。場所は中央アジアのとある大きな湖より西。所属勇者はカイ、パイプのある勇者はアラン。名前の由来は聖にあをつけただけ。
ハイカーデン。通称、戦争屋。そんな物騒なあだ名がついたのは、兵を量よりも質といった風に兵隊の訓練に力を特にいれているのと、兵士を金で貸し出すからですかね。量よりも質とはいうものの、数でもガラスについで多く、平均の質だとヒジリアに迫るとも。しかしながら宗教などの愛国心的な強さが絡まないためにおそらく正面衝突すればヒジリアがかなりの損害を出して勝つでしょう。政治体制は資本主義の貴族による共和制。所属勇者はガンマ。名前の由来は灰色の庭より連想。
エターニア。医療が発展した国です。ギャクラやヒジリアとも交流が盛んで、薬などの輸入はほとんどをここに頼っています。作中で述べたように、ヒジリアから分岐した国で、表面ではお互いに友好的ですが、裏の上層部ではお互いを苦々しく思っています。
名前の由来はエターナル、永遠から。
モルデック王国、こちらも君主制です。竜骨山脈から突き出た飛竜のいない山に囲まれた盆地にあります。その巨人の眠る谷と断崖絶壁に囲まれたような国の地理的条件と、天馬を唯一繁殖させて飼いならせている国ということを活かして防戦において無類の強さを誇ります。位置はギャクラとガラスの間、その北の方です。所属勇者はテナー。
ローマニア。ガラスの南東にある小さな国。所属勇者はジェンヌ。パイプはレイル。名前の由来はルーマニアから。
ローレンス。そこそこ大きな国ではありますが、大国というほどではありません。歴史はそこそこ古いようです。所属勇者はトーリ。パイプというかむしろレイルによってトーリを繋ぎにされています。ガラスの南東。命名はイギリスのとある軍人、考古学者から。
モライ。交易と海の幸豊かな草原の広がるのどかな国。比較的住みやすい国としても知られる。命名は貰う→貰い→モライ。
アグリー。いろんな事件の余波を受けて戦争にまで至った農業大国。大国でありながら軍事力が貧弱であったことで、長らくハイカーデンの属国のような扱いを受けていました。名前の由来は農業の英語であるアグリビジネスまたはアグリカルチャーから。
と、人間の国々はこんな感じでしょうか。
次からは人間以外の国々。
ノーマ。魔族国家。独特の文化や歴史の因縁などにより、人間の国とはあまり仲が良くないです。レイルが友好を結ぶまでは戦っていないだけの状態でしたね。
領土を明確に決めておらず、領土外でも国のことを害するなら戦うし、逆に国の中にいても何もしないものには放置とある意味自由な国です。貴族などもいますが、税金をとって法律を決めたり守らせたりするだけの自治国家です。所属勇者というかむしろ長年勇者を送り込まれてきた側です。パイプはレイル。位置は西の大陸中央。名前の由来は濃密な魔力、濃魔から。
サバン。獣人国家。こちらは十種族の族長が権力を持つ議会制民主主義。領土は決まっておらず、とりあえずは大陸全般。農業と狩りなどで暮らしていく平和な生活を営んでいます。名前の由来はサバンナから。
アクエリウム。ユナイティアとは別の意味で多くの種族が暮らす国。深海にある国で、そこに住む獣人や魚人、人魚はかなり強い肉体の圧力調整機能を持ちます。それだけに水神の羽衣もあまり価値をよく理解されなかったのでしょうけど。太平洋海底とよくわからない住所。パイプはレイル。
名前の由来は水族館の英語であるアクアリウムから。
エルフ、ドワーフ、トロルなど。こちらは国というよりは里や集落といった形でしょうか。中でもエルフは人間に近い場所に暮らしていますが、その隠蔽機能によって人間との交流を絶っていました。とはいえ、別に人間だからとにかく排除というほど嫌ってはいなかったり。面倒くさいから、というのが大部分の理由。ドワーフやトロルは人間とも僅かに交流はあったりします。ドワーフは実は魔族の大陸に移住していたり。理由はそちらの方が酒がうまかったから。
次回は種族、アイテム、番外編「とある少女の受難」のどれがいいですか?