魔法、術式からそれらに関係する独自設定の用語
今回は魔法、術式とその他に関するものです。
魔力や魔石、魔導具に魔力抵抗や魔法などの社会における位置づけなどなど。
サブタイトル略称で呼ばせてもらいますが、「弱者は正義を語らない」の世界にはよくあるファンタジーらしく、魔法を含む不可思議な力があります。
もちろんこれを科学的で完全な説明をすることは不可能というか、それができたら魔法じゃないし実現化可能となってしまうので独自の不透明感はあるものの、そちらについてのご説明をさせていただきましょう。
いやー、ファンタジーにおける魔法って便利ですよね。
とファンタジーを書く前には、ファンタジー小説に対してというか物語の要素としての魔法について思っておりました。いやしかし、翻訳魔法だの洗脳魔法だのと、人間の力で簡単にそんなことができてしまえばなんとも社会的にいろいろと問題がありますし、さらに説明が難しくなってまいります。
そこで私が「魔法」、「魔術」と設定する際に一定の定義を含めようと思ったのですよ。あくまでファンタジーでありながら、「魔法が使えたらなんでもできる」という状況をひっくり返すために、魔法の機能を制限したとも言えます。
作中での魔法の定義を「科学や人為的に可能なことの延長線上にある結果しか出せない」ものとしたのです。
まあその辺りの作り込みを作中で主人公、または魔法に詳しい師匠ポジションを登場させて延々と語らせるというのは、この作品に限れば展開の冗長さを引き起こしてあまり良いものではないとかなりはしょった感じがあります。というのも魔法の仕組みそのものは戦いを通じてゆっくりと明かされていくのと、物語の根幹や伏線そのものとしてはあまり使われないからですね。
その結果としては、「人、国、種族によって微妙に認識が異なる」という言語が同じでも文明と文化の発達が異なるという描写が伝わりにくかったのではないかという不安も。ですので時々、主人公が読んだ本から読みとったことと、実際の性質が異なったり、それが魔族の口から語られたり、機械族のキノさんのミスリードに繋がったりするわけですが。
さて、魔法。概ね四大原素と扱われることの多い「火」「水」「地」「風」の四つの属性が基本属性と人間の間では認識されています。そこに光と闇を加えたものを六属性としておりますが、これは人間側の誤解となっております。
これは人間側が魔族側を差別していた歴史的な背景を含み、魔族が使う特殊な魔法を闇属性とし、人間が使う特殊な魔法を光属性としたわけです。
しかしながらそう認識している二属性は、波属性と属性魔法ならぬ四術式に分割されるわけですね。
光を操ることは闇を操ることである、というのは現代の科学知識からすればまあわからない感覚でもないと思うのですが、人間の側ではそこに回復や未来視、過去視などの時間術、空間転移などの空間術、結界術を含めてしまっているわけです。闇には魂も含みます。ですので、結界術、空間術、と言うと人々は「光属性空間術」という分類だと思っているわけです。だからこそ、空間術などの本質を理解できずに発達が遅れているということです。
と、人間の側の誤解について話したところでそれぞれの術や魔法の特性について話しましょう。
四大原素とは言うけれど、なぜそれで分けられているのかを考えたことはありますか?
ここでは、このように特性が分かれております。
炎(火)属性……熱エネルギーとプラズマの形状操作、魔力による発火のきっかけ、魔力などを燃料とする技能を組み合わせた魔法。そういった感覚に優れていればこの適性がある。プラズマの形状操作があるので、雷の動きは操れる。
風属性……気体の形状、気圧、風速、方向などの操作。正しい知識と理解があれば、気体分子の選別などまでできる。気体の摩擦で雷は起こせる。
地属性……こちらは二種類。重力、運動エネルギーの操作と固体の操作。固体の操作とは共有結合や摩擦力、金属結合などなど。金属結合と摩擦などがあれば、雷はおこせる。
水属性……主に液体とイオン操作。イオン結合などを操作できるので、極めると電子の操作が可能になる。
と固体、液体、気体、プラズマとなっております。
そして波属性。
波属性……光、音、振動、衝撃波などのありとあらゆる波として扱えるものの操作を行える。交流電流なども表にすれば波となり、つまりは波における時間と変異と電圧や電流の関係を支配できる。概ね操れるのは方向と強さ(振幅等)と波長、振動数、速さに周期など。
こうして見ると、どの属性も極めれば雷が扱えるようにはなりそうですよね。
いやいや、やっぱり一番身近な水と風の複合があの世界の住人には使いやすいみたいですが。
これらの魔法は四つの共通の仕組みがあります。
1、体力など自分の扱えるエネルギーを魔力に変換する。
2、これがレイルの苦手な、というか中盤ほどまで誤解していたものの一つ。魔力を自身の体内に溜め込む。この量と出力が魔法の強さを決めるといえる。そして魔力抵抗、存在感や存在の格ともいえるものもここで決定される。
3、魔力を使って自然にあるエネルギーを扱う。これがレイルの最も得意だったプロセス。
4、自然の力で現象を起こす。レイルはその起こした先にあるものを利用する方が得意。
まあ概ねこんな感じですかね。
魔法を扱う強さとは、出力と魔力の貯蓄と、精度と距離、そして発動までの速度などで決まります。
しかしながら規模や派手さを重視する傾向が強いため、評価的には出力と貯蓄の高い魔法使いが戦闘では重宝されていたりします。
こちら、別名現象魔法とも。
ちなみに魔法陣、というのは本来ならば技量を必要とする魔法に対して術式を組むことで技能の代用とする方法ですね。生活に使われている魔導具、というのは大抵がこちらを利用してあり、魔力さえあれば動くシロモノです。しかしながら欠点がありまして、まずは作るまでに時間がかかること、そして繊細であるために戦闘、または持ち運びにおいてはすぐに壊れてしまうこと、そして決まった効果しか出せないために応用が全くきかないことなどがあげられます。加えて作る人の技量よりも精度も出力も落ちるため、よほどの魔法使いが作らないと戦闘には到底使えないのですよね。せいぜい生活に便利な道具というぐらいでしかないわけです。
レイルも金に任せてこういったものを大量に持ち運んでもよかったのですが、科学知識を持つ彼にとって「使い捨てライター」程度のものにあまり魅力を感じなかったのだとか。だって彼らならば、アイラの腕輪で生活用品の小型化の必要がないのですから、普通に家財用具一式持ち運んで王族みたいな野宿をしていたりします。周りの冒険者に知られたら嫉妬で殺されかねないですね。
魔石、というのは規則正しい結晶が魔力をためやすいという性質によって内部に大量の魔力を溜め込んだものです。空になった魔石も魔力を注げば再び使えますが、非常に微々たるものでそれこそ魔導具の回路に組み込むという使い方しかできないです。天然の電池みたいなものだと思っていただければ。レイルの科学知識により、コンデンサなどと同じ回路を利用すれば魔石スタンガンなどもできたのでしょうが、スタンガンを使うぐらいならば剣をつきつけた方が速いというわけでお蔵入りに。
銃器においては火をつけるための機構の中に組み込まれていましたね。火花を散らすだけならなんとかなるので。その意味では僅かにとはいえアイラにも炎魔法の適性があったということだったり。
そもそもレイルは個人の技量でしかどうにもできない銃器以外にあまり現代知識で文明を発展させる気がなかったようです。というのも、せっかく魔導具や魔法といったものがあるのに下手に科学に頼った文明発展をさせた場合に環境汚染されるのが嫌だったという理由があったりします。
彼の中で自然は「味方側」であって、味方に甘い彼としては敵対しない対象を傷つけたくないという感情もあったのかもしれません。
もしかしたら単に汚れた空気を吸いたくなかっただけなのかもしれませんが。
さて、ここまで話した魔法というのは、誰がどの属性をどれだけ扱えるかに差はあれど、概ねこの世界での自転車や車、パソコンなど努力によって基本的な部分までは扱えるものですね。
苦手な人でも、適性のある属性なら基本的なことぐらいはできるようになっています。例えば、炎なら指先に火を灯すぐらいといった程度ですね。そして一度できればなまることはあれど完全にできないということはほとんどなく、全く使えない人というのはほとんどいませんね。
ですが、それを得意と言えるのは戦闘などに使えるぐらいまでのものを言うので、そうなるとぐっと人数は減ります。得意な人は適性外でも基本的なものは使えますし、得意なものは戦闘でもほいほいと使いこなします。
そして魔力抵抗。これは魔力をどれだけ体内に貯蓄できるかどうかの指標で、魔法や術式に優れたひとはこれをなんとなく感じることができます。そして、この大きさが大きければ大きいほどに外部からの魔法や魔力の影響を抑えることができるようになります。しかし、本人が受け入れようという意思があれば、時術の回復術などの術は受けることもできるようになります。
そしてここから話す、四術式はもっと使い手の少ないものとなります。
いわば専門職の専門技能や、天賦の才能などに分類されるものです。使えない人はさっぱり使えませんし、そもそも正確に把握されていないことの方が多いです。
四術式とは魔法よりも一段階上の不可思議な術の形態のことです。魔法を「科学で可能な現象の延長線上」だとすれば、術式は「その概念に関することを扱えればできそうなこと」を指します。
時間術……時間に関する術式。未来視、過去視、過去投影、時間加速、減速、停止、時間逆行などがこれにあたります。回復術や占星術など、この世界で様々な呼び方をされる術式の幾つかはこれに分類される。
結界術……文字通り結界をはる術。結界には魔法用と物理用がありますが、特に指定がなければ光と音、魔力の含まれない気体を通すようにできている。同時にはることも可能ではあるが、はる種類と強度、範囲に比例して難易度が高くなっていく。
しかしその絶対性というのは、同じ技量ならば結界が破られることはないとされるほどに高い。逆に言えばそれ以上の力を与えられれば相性関係なく破られることもある。
個人用の結界ぐらいならばウィザリアでは実用化にまで至っている。貴族に護身用として人気である。
空間術……これもまた、文字通り空間を扱う術。空間の座標を書き換える、空間を入れ替える、捻じ曲げたり穴をあけたりする、そして亜空間を作る、固定するといったことができるようになる。別次元からエネルギーを借りているため、最もエネルギーを使うのに最もエネルギー切れの心配がない。
レイルが悪用していた空間把握、というのは空間術を十全に使うための前提というか副産物的なものである。逆に言えばこれがないと空間術でできることはごく僅かとなる。それに空間把握がないと発動までにタイムラグができるので、戦闘に使っても反応されることが多くなる。というよりは空間把握で補助した転移についてこれるアランとかが化け物。
作中でまともに空間把握を使えたのはレイルぐらい。空間術を使えたのはグラン、邪神、盗賊の首領、機械族など。
主人公が扱えるという点では重要。
魂魄術……これは上の三つとは少し異なる。というのと、これは術というよりは魂魄をエネルギーとして扱うコツのようなものである。死んだ者の魂を自身のエネルギーとして保持する技量そのものを指すため、複雑なことは何もできないとも言える。ただ術式や魔法の中では唯一正面から精神生命体と戦える術式。作中では悪魔や死神、邪神などの冥界からの登場人物に関わる重要なもの。
と、ここまで聞いて不自然には思いませんでしたか?
五、四ときてこれだけしかできないのに神様とかはどうやっているのだ?と。
実は現世で使える者がいるのが魔法や術式なだけで、神などのさらに高位の存在が扱えるものにはこの上があるのです。
そしてそれはピラミッド状になっております。上にいけばいくほどできることの幅が増えて、強制度が高くなっていきます。
強制度というのは同じ技量でぶつけた場合にどちらが押し勝つか、といった程度のものだと考えていただければ。
では術式の上の三つをご紹介いたしましょう。
法則操作
存在干渉
運命干渉
この三つになります。これを使えればこれからあなたも神の仲間入り!
どれもこれも、反則的な頭おかしいものですね。それだけに扱いも難しく、適性もかなり希少となり、しかも使える時点で神に目をつけられて天界に連れていかれます。
そしてさらにこの上をいくのは……
創造魔法
概念魔法
はあ?となりますね。もうここまで来ると、「思ったことをできる」ぐらいに思っていただければ。
概念魔法と創造魔法の違いはせいぜい作るか起こすかの違いですね。
高位の神様はこれを持っています。世界を創った創造神などがこの能力を持ちます。
そして最後に。もうこれを持っているだけで最強を名乗れます。
全知全能
はい、みたまんまです。
こちらは現在は神の中でも持っているものはいないので実質架空の、とも言える神話級の性質です。というよりはこういった形の存在ができる可能性がある、というだけですね。こちらは物語には全く関係ないのでさらりと流していただければ。
と、いうわけでわざわざ五属性、四術式と変なバランスで書いていたことの理由も含めての不可思議解説回でした。






