はじまりの夜
ダニエルさんと話しながら着いたのは、こじんまりしたお店
かわいらしい、てゆう言葉がぴったりなとこ
ここ、女子はテンション上がる
さすがダニエルさん!!
『ミオ?なにをニヤニヤしてるの』
『ダニエルさんさすがですね!』
なにが?てきょとんとしてるダニエルさんはほっぽって、先にドアを開けた
その先には想像通りなお母さんがいて、私の頬は緩みっぱなし
ここは絶対おいしいはず!
『まぁまぁ!可愛らしいお嬢さんがいらっしゃったわ』
『こんばんは。空いてますか?』
『ええ、もちろん。…あら、ダニエル?』
『こんばんは。奥の席、空いてる?』
『空いてるけど。…それじゃあこの子がミオなのね?!』
あらやだ大変!てお母さんはお店の奥に駆け足でいなくなった
はて?と首を傾げて見上げたら、気にしなくていいよ、てダニエルさんに背中を押された
いやいや、今のものすっごく気になるとこですよ
どんな話したんですか
迷子と間違われてお巡りさんに連れてかれそうになった話ですか
『…ミオ、ほら何食べてもいいから』
『じゃあボロネーゼとボンゴレ。あとマルゲリータも。デザートはティラミスで』
『はいはい。飲み物は?』
『…これ。この読めないけどスパークリングワインっぽいやつ』
お子様はジュースにしなさい、と飲み物だけ変更して注文された
その時にやってきたお母さんはもうほんとのお母さんみたいな感じダニエルさんを見てて
時々早口の英語でなにやら話すから、私はついていけず、ただただ二人を見比べるだけ
ちょっとは英語話せると思ってたけど、まだまだだな
それよりまずドイツ語なんだけど
『ほら、そんな拗ねた顔しないの』
『…だって、何話してたか全然わかりませんでした』
『ケイト、あ、さっきのおばさまね。ケイトがミオのこと、「こんなに可愛ければ、目を離せないわね」てさ』
『それ、絶対お子様としての可愛い、じゃないですか』
しょうがないよミニサイズだもん、て向かいの席から手が伸びてくる
サッと下がってみたけど間に合わず、ガシリと頭を掴まれた
やめろー!はなせー!
『あれ?ダニエル??』
ニヤニヤ顔のダニエルさんvs顔真っ赤にした私
静かな攻防戦に入ってきたのは聞きなれない声だった
え?と思って顔を向けたら、驚いた顔したお兄さん
おぉ、この方もずいぶんと背が高い
なんだなんだ、みんなして
『…なんでここに?』
『うまいって聞いたから。そっちの、』
『あぁそう。それじゃまた明日』
『おいおい!まだ話してるだろ。笑』
なぁ?てお兄さんに笑いかけられたから、ソウデスネ、しか言えなかった
…なんだかダニエルさん機嫌悪い?
『あー。あっちにあと何人かいるけど』
『…呼ばなくていいからな』
『えー?どうしよっかなぁ』
『…お前な!』
『キャー!あのダニエルが怒ったぞー!』
あいつらにも教えなきゃ!てお兄さんがいなくなる
ぽかんとしたまま見てたら、ダニエルさんが深いため息をついた
『あー、ミオ。これからうるさい奴らが来ると思う』
『…お友達ですか?』
『仕事仲間、かな』
そっか、同僚さんか
また明日って言ってたもんね
ん?てゆうかダニエルさんの仕事ってなんなんだろう