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赤、黒、黄色  作者: 侑
1/5

いざ行かん、空の旅

パスポートOK

航空券もOK

忘れ物……たぶん無し!

いざ、空の旅へ!




「・・・・困った」



航空券片手に通路で立ち止まる


地道に貯めたマイル使ってちょっと贅沢したのがいけないのか

それとも海外に行くのに、日本語以外を話すことをためらっているのがいけないのか


・・・私の席で眠ってるお兄さん

アナタどなたですか?



「Excuse me?」

「・・・Yes?」



起こすのは躊躇われたけど、離陸しちゃうし

そう思ってなんとか勇気を出して声をかけた


英語圏の方じゃなかったらどうしよう、とか

起こしやがってこんにゃろ、くらい言われたらどうしようか、とか

いろいろ考えたけど、相手はあっさりと目を開けた

ちょっと間があって、小さい子見るみたいな目になったのが気になったけど



「Maybe, this seat is mine.」



伝わるか不安だったから、航空券も一緒に見せた

お兄さんはちょっときょとんとして、それから航空券見て、にこやかなまま立ち上がった

カタコトの「ゴメンネ?」と頭にぽんと手を置いて


・・・・くそう、完璧こども扱いだ!



とりあえず自分の席は奪取したから座って落ち着いて

今日のために用意したU型枕とかマスクとか、機内グッズをごそごそとバックから取り出してたら感じた視線


ん?と思って隣を見たら、さっきのお兄さんがにこにこしたままこっちを見てた

なんでしょう?なにかしましたか、私



「Where is your mom? Are you alone?」

「・・・Yes」

「Wow!Good girl!」



すっと腕が伸びて来たかと思ったら、ガシガシと頭を撫でられた

伸ばしかけの黒髪がぐしゃぐしゃになる

勢いよく体を引いたのに、それでも撫でてこようとするお兄さんにキッと睨みを効かせたら、両手を上げて笑ってた

なんだこの人、そんなにツボに入ったのかな



「*****」



聞き取れない早口の英語とともに差し出された片手

私のより大きいそれとお兄さんを交互に見て首を傾げた


握手、てことかな



「I'm Daniel.」

「…I'm Mio Nagase.」

「Nice to meet you,Mio.」



恐る恐る手を差し出して、大きな手と合わせた

途端に満面の笑みになるお兄さん


うーん、悪い人、ではないんだろうな

海外の人から見たら、私なんてこどもに見えても仕方ないんだろうし


なんて考えて、ぎこちなかったかもしれないけどニコリと笑顔を返した









これが、私がダニエルと初めて会ったときのこと

まさかこの出会いが、私の人生を大きく変えるなんて思いもしなかった


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