**第1話
はじめまして、こんにちわ。
またもや短い連載になる予定です。
いつもとは違いドタバタした恋愛小説になると思われます。
会話文などで記号を多く用いていますので、読みにくい方、不愉快に思われる方もいらっしゃるかもしれません。
申し訳ございません。
ご感想、ご意見伺えたら、と思いますのでどうぞよろしくお願いします。
負けるわけには、いかない。
だかだかと激しい音を立てて、あたしは廊下をひた走る。
わき目もふらず、ただ、前だけを見て。
放課後といってもあたりはすっかり暗くなってしまって、月明かりだけが頼りになっていた。
だれもいない。
静まり返った廊下。
普段、廊下を走るなんて考えられない。
どちらかといえばあたしは優等生で、マジメに生きてきたから。
なのに、こんなに必死になって走っている。
もうだれもいない放課後。
夕闇が、彼が背後に迫り来るのを感じながら。
「コラ!ちょっと待て!」
「待てといわれて、待つわけ、ない、でしょうが」
差しかかった階段を二段抜かしで駆け上がる。
自分にこんなに体力があるなんて思わなかった。
火事場のバカ力。実際経験してみなければわからないものだ。
人間、やるときはやるものなのだなと改めて思い知らされた。
それが後ろのアイツのおかげだとは思いたくないけれど。
「おまっ、陸上部でも入れ!」
「ア、ンタを振りきったら、そうさせても、らうわよ」
人に陸上部を勧めておきながら、自分だってしっかりあたしのスピードについてきている。
これが男子と女子の差。
そうだ。あたしはもう彼にかなわなくなっている。
それがこんなにも胸を締め付けるだなんて、思いもよらなかった。