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三題噺もどき5

3年生―5日目

作者: 狐彪
掲載日:2026/04/10

三題噺もどき―はっぴゃくごじゅうご。

 




 窓の外は、びゅうびゅうゴロゴロと、あからさまにご機嫌が悪かった。

 登校する時間はありがたいことに、少々風が強い程度だったので、自転車で通常通り登校した。スカートが捲れて面倒だったが、いつもの事でもある。

「……」

 空の端の方は、灰色の雲が覆っている。

 今日は一日中こんな天気なんだろうか……そのうち大雨が降りそうな気配もしている。

 あまりひどいと頭が痛くなるのでやめていただきたい。

 せめて帰る時間には落ち着いてくれているといい。

「……」

 そう思っていた矢先に、ぽたぽたと窓が濡れ始めた。

 学校の塀沿いに立っている葉桜が、重さに耐えかねてしなり始めた。

 アスファルトに模様がつき始める。

「……」

「降ってきたねぇ」

「うん」

 隣には机を挟んで座っている、あの子がいる。

 言うのを忘れていたが、今は昼休み。

 教室には普段の半分ほどの人数が座っている。

「……」

 3年生になり、教室が校舎の一番上の階になった。

 昨年より少し近くなった空から、今日はこうして雨が降り出している。

 昨年より遠くなったアスファルトを、雨に降られながら走る学生がいた。

「……」

 制服では学年が分からないけれど、なんとなく1年生に見えた。

 どこか幼いと言うか、制服に慣れていないと言うか、なんというか……見間違いだろうけど。この学校で学年を見分けるには、制服につけているバッチを見ないといけない。

「……」

 今年は、1年生は黄色、2年生は緑、3年生は青だ。

 来年になれば、1年生が青になる。そういう仕組み。

 ジャージのラインの色や、体育館シューズの色もそれに揃えられている。

「……」

「1年生かな」

「どうだろうね」

 同じように、下を見ていたあの子と、そんな話をする。

 3年生になって、クラス替えが行われて、もう1週間経とうとしている。

 今までと変わらず、私は休み時間の度にこうして自分の教室を出て、あの子の教室に来る。

「……」

 結局、高校3年間、同じクラスになることはなかった。

 まぁ、成績でそれなりに分けられるのだ。頭のいい子と、私ごときが同じクラスになれるわけがない。運命でも捻じ曲げない限り。

「……」

 目の前では、すでに飽きたのかスマホをいじりだしている。

 昼食も食べ終え、昼休みが終わるまでこうして時間をつぶすだけ。

 回りには見慣れたメンバーがいる。彼女たちは、ほとんど一緒に持ち上がったらしい。

 何人かは私も同じクラスになったので、今年はあのクラスでのグループ分けに困ることはなさそうだ。分からないけど。

「……、」

 ころ―と、口の中でキャンディを転がす。

 ひとつ、あの子にも上げたので、口がモゴモゴと動いている。

 ……可愛い。

「この飴美味しいね」

「そ?初めて買ったけど……」

「好きかも」

 とまぁ、そう言われると、それしか買わなくなってしまうのが私である。

 グミもあの子が好きだと言った味の好きなグミ。私も食べるから何も問題はない。

 たまに買ってくるお菓子も、ああ好きって言ってたなぁと思って買ってしまう。

「……」

 毒薬が巡るみたいに、あの子の好きなものが好きになって。

 飽きたと言ったら飽きてしまうし、買うこともなくなる。

 まぁ、おかしな癖ができてしまったものだ。

「見てみて、新しいお菓子だって」

「……へぇ」

 そう言って見せられたのは、何とも甘そうな新作お菓子。

 どこに売っているのかと見れば、大抵はコンビニ。

「これとかおいしそう」

「ん、好きそうw」

「なにそれw」

 今日の帰りにでもコンビニに寄って探してみようかな。










 お題:キャンディ・毒薬・運命

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