ノンノ男爵家 その4 ハンターギルド
次回より、なるべく毎日更新いたします。
ハンターギルドの周りは昼だというのににぎわっている。
別に昼から酒を飲んで騒いでいるハンターがいるとかではない。
朝狩りに向かって帰ってきたハンターたちが多いのだ。
湿地のモンスターたちは朝と夕方に活動するものが多い。
なので、ハンターたちは朝早くから狩にでて、昼前から昼過ぎぐらいに一度ギルドに戻ってくる。
ギルド内では狩ってきたモンスターについて査定をしてその場で現金化してくれるので査定所は混雑していた。
「ギルド長はおられますか?」
「アデルお嬢様、二回の執務室へどうぞ」
受付はすいていたのですんなりと受付嬢に声をかけることができた。
ギルド職員は大体村の人なんだよね。
だから私が入ってきた段階でもう誰に用事かわかっていたようだ。
ハンターたちも私が明らかに貴族令嬢であることがわかっているのか近寄って来る者はいない。
それでもたまにポール様が言ったような貴族家の出の者が居たりすると平然と声をかけてきたりするんだけれど、この場にはいないようだ。
「アデルお嬢様! お久しぶりです」
「おひさすぶりです。 ダニエルさん」
ギルド長のダニエルさんに進められて応接セットのソファーに座る。
彼はナーシサス家の従者の一人で、このギルドを切り盛りしている方だ。
私が小さいころから知っている一人でもある。
「お元気そうで何よりです。1年見ない間に大きくなられましたな」
「ダニエルさんは恰幅が良くなったようで」
「いやはや、少々食べ過ぎましてな」
「何かあるたびに暴飲暴食する癖は直したほうがいいですよ? ところでギルドはどうですか?」
「ハンターの入れ替わりは激しいですがね、素材の収集は順調ですよ。なにより王都よりはモンスターが強く、かつ辺境伯領よりは弱いという絶妙な加減がナーシサス湿地帯ですからな。たまにレアモンスターが出るのもいい。若いハンターたちの腕試しにちょうど良いのでしょう」
「素材の収益は平年並みですか?」
「そうですな。武器や装飾品に利用されるモンスター素材の需要は変わらずですので値崩れ等もなくギルドの運営も順調です。場合によっては禁猟対象にして保護もしておりますから、何かのモンスターが極端に減ったというのもありませんよ。お嬢様のおかげです」
「無事に定着してよかったです禁猟」
実はギルドにこの禁猟の概念を持ち込んだのは私だったりする。
当時六歳だった私は、一角獣の角が取れなくなったと悩んでいたギルド長にアドバイスをしたのだ。
一時、装飾品として一角獣の角がブームになり買取価格が上昇した結果、乱獲が行われてしまい、数が激減したことがある。
王都から十日ほどで来ることができるが故、ハンターたちが多く集まり、例年の倍以上の角を買い取っていることがわかり、一時でも猟を控えないともっと取れなくなると伝えた。
申し出たときは角は値上がりする一方だったから私の意見は見向きもされなかったが、半年ほどするとまったく角が採れなくなってしまったのだ。
そうなるとハンターたちも狩れるところに移動していく。
たまに取れても品質が悪く買取価格が付かないことから湿地帯で一角獣の狩が行われなくなり、そのうちに一角獣の角ブームが落ち着くと、その1年後にまた一角獣が取れるようになったということで、ようやく禁猟の必要性というのが認識された歴史があるのだ。
「今はビッグマウスが禁猟対象で、うちじゃ買い取らないことになってます。ちょっと前に前歯の価格が上がりましてね。仮に買取を希望されても逆に罰金を取ってますよ」
今も禁猟対象があり、ちゃんと機能しているようだ。
資源の枯渇はノンノ領、ひいてはナーシサス領への打撃になるからね。
一時一角獣の角が流行ったのは当時の王太子妃殿下が宝飾品に使ったためと聞いたことがある。
おかげで一時ノンノ家も儲かったんだけれど、そのあと大不況に陥ったんだよね。
おかげで禁猟って考えが実を結んだんだけど。
「これからもギルドとは良い関係を続けていきたいと思っていますのでよろしくお願いします」
「えぇ、もちろんです。アデルお嬢様が後を継いでいただけますからこちらとしても安心ですよ。何かあればまたお声がけください」
ギルド長に挨拶もできたので私は家に戻った。
これでノンノ領であいさつすべきところは全部回ったから、そろそろ本格的に活動を始めますか。




