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アデル・ノンノの魔道具量産計画  作者: シャチ


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難しい安定供給問題

 無事にナーシサス家の結婚式と披露宴の参加を終えた翌日、再度モレスモ商会へ赴き協議をしたが、やはり黄銅の供給は簡単ではないらしい。

 場合によっては代替材料を考えないといけないが、この時代大規模な高炉もなければ転炉もない、昔からの製鉄技術しかないため、必要な金属材料を安定して手に入れるという事がいかに難しい。

 出来れば鉄をと思っていた私が黄銅を使っているのもそこに由来する。

 私一人がチート知識的に前世の記憶を持っていたところで、現代工業力を支えるのは様々な科学技術であり、一人の知識でどうにかなるなら世界はとっくの昔に代わっているはずなのだ。


「この辺りが私の限界という事かしらね」

「アデルは十分すぎるほど頑張っていると思うぞ?」


 ローランと茶をしばきながら休憩中。

 明日にはナーシサスを発ってノンノ領に戻ることになる。

 母からは結婚したら家督を譲ると言われているので、そろそろ私がノンノ男爵となる。

 とはいえ課題は山積み、領地経営はしばらくは母に手伝ってもらう事になるだろう。


 ちなみに冷蔵庫の評判は上々であった。

 ナーシサス家に納品した冷蔵庫によって冷やされたワインとシャンパンは参加者たちの度肝を抜いた。

 ぜひ我が家にもほしいとすでに商談が来ているが、材料が簡単に手に入らないと今現状は断っている。

 

「生産設備さえ整えれば量産ができると思っていた過去の私を殴りつけてやりたい」

「乱暴だな……ただ、アデルが一人で作っている間は材料がなくなるなんてことなかったんだろ?」

「そうね、その通りよ。私が1個作るときはそれこそ数カ月で1個だったから、こんなに大量の素材を買う必要もなかったし」


 まさに大量生産の弊害と言える現象なのだ。

 私自身が製品を作る上で全体の商流を把握していなかったのが問題なわけだが


「しばらくは量産を止めるしかないわね」

「止めてどうするんだ?」

「代替材料の検討、生産性の向上、そもそも方式の変更、考えられることはいくらでもあるわよ。しばらく雇っていた子たちは暇になってしまうけれど」

「もともと領地の娘たちだろ?そこまで気にすることは無いと思うが」

「人は一度離れたら戻ってこないのよ……帰るまでに何か考えるわ」


 もういっそ工作機械の使い方も教えて好きなものを作ってもらうのもありかもしれないわね……使うつもりのなかった組成が安定していない素材でも同じ性能が出るのか試すうえでも人手は必要だし。

 冷蔵庫の量産はまだ不可能に近いから、今のうちに基礎力を高める方向を考えましょう。

 技術力は一日にしてならずよね。

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