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アデル・ノンノの魔道具量産計画  作者: シャチ


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冷蔵庫魔道具

 冷凍魔道具は何とかようやく形になって現在テスト中だ。

 最初は二酸化炭素を使ってヒートポンプを作ろうとしていたのだが、結果は失敗に終わった。


 うまいこと空気を圧縮できるコンプレッサーが作れなかったのだ。

 水程度の粘性流体であればギアポンプで太刀打ちできたが、やはり気体となるとそう簡単ではなく圧縮ができなかった。

 いくらパッキンが優秀でも、ポンプ可動部からの空気漏れは対処できなかったのだ。

 ピストンポンプを作るとなると設備も工作精度も何もかもたりない。

 試しにピストンケースを加工しようとしたが、そのためには刃具から製造しないといけなくなる。

 そしてできたといっても正常に動くかどうか……

 それは1個のスペシャル品はできても量産はできないといっていることに等しい。

 特にピストンポンプはギアポンプ以上に勘合が重要になる工業製品だ。

 今の段階で手を出してもコストは無限に大きくなるだろう。


「で、結局ペルチェ素子もどきを作ったけれど、これで何とかなってるわね」


 目の前にある冷蔵庫は、魔力だけで冷やすことに方向転換した試作品だ。

 ペルチェ効果と呼ばれるもので、電位差で冷却と発熱を同時に行う半導体が前世の知識にあったので、それを追ういうしてみた。

 この世界で半導体を製造しようという方が無理があるのだが、そこは魔法がある世界だ。

 モンスター素材の一つである魔石、それにはモンスターによって魔石に込められる魔力が違ったりする。

 魔石によっては魔力を込めたときの電子の動きっていうのが変わることがあるのだ。

 つまり、電池のように使っている魔石だけれど半導体的な使い方もできるのではないかと考えたのだ。

 そこで、何個か魔石を使って実験し、ペルチェ素子と同じ効果が出るものを探して今にいたった。

 性能は前世のペルチェ素子とは比べるまでもないだろうが、それでも真四角の冷蔵庫の内部を冷やしておけるだけの効果がある。


「これはすごいなアデル。暑い日でも冷たい水が飲めるんだから」

「魔力使用率はものすごく悪いけどね……本当は1回で数日動かせるようにしたいけれど、この大きさを冷やそうとすると、魔石1個で1日がいいところよ」

「そこさえきにしなければ、いつでも冷たい水が飲めるわけだろ?」

「魔石を毎日充電するとして魔石の耐久を考えたら毎週交換しないといけないのよ? 耐久性が無さ過ぎるしお金がいくらあっても足らないわよ」


 魔石だってただではない。

 何回も繰り返し魔力を込めているとそのうち壊れる。

 ノンノ家はハンターギルドがありモンスターが多く暮らす湿地が近くにあるので魔石の入手難易度が低いが、領都や王都ではその価格は上がってくる。

 特に、大ぶりの魔石は宝飾品としての価値もある。

 さすがに宝飾品となるほどの品質のものをおいそれと購入するわけにはいかないので、私が使っているのは主にクズ魔石と呼ばれる透明度の低い魔石なのだけれど、それでも毎週交換なんていわれたらお金がいくらあっても足らないのだ。


「まぁイベント用に限定すれば使い道もあるか」


 それが今の冷凍庫の現状である。

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