結婚式の招待状
ノンノ家はかつてこれほどまでの金額を見たことがないだけの金貨を積み上げていた。
給湯器の魔道具は現状作れば作るだけ売れる状態だ。
量産効果を高めるために加工機の更なる改良と、新たに作り上げた油圧式プレス機によって備品製造速度は飛躍的に向上した。
現在課題となるのは組立人員の確保であり、5名の女工で生産できるのは日当たり2個、それがすぐにモレスモ商会の手によって梱包され、ハンターギルドが魔物素材を運ぶ馬車に同梱されて王都へ運ばれていく。
当初ナーシサス領内でだけの販売を考えていたが、領内貴族にいきわたり、領内の豪商へ納品され始めてから一気に王都へ広まっていった。
モレスモ商会の販売力はすさまじく、ナーシサス家のタウンハウスをはじめとした屋敷への納品を足掛かりに、他の貴族家への売込みを行っており、王都への出荷が増えている状態だ。
「アデルのおかげでノンノ領の整備を進められるわ。上下水道の整備だってできるかもしれないわね」
「ナーシサス侯爵にはしっかりお礼をしないといけないですね。良い商会を紹介いただいたのですから」
「そうね、お礼状以外に何か考えましょう」
「王都にあるようなものですとナーシサス家なら簡単に手に入れられるかと思いますので、ハンターギルドに依頼して新鮮な魔物の肉を加工するのはいかがでしょう?」
「ハムとベーコンね。そうしましょうか」
そんな会話をしている間に、ユリが書簡を持ってきた
「旦那様、お嬢様、ナーシサス家より結婚式のご案内が届いております」
「まぁ、やっとサミュエル殿下とマルグリット様が結婚なさるのね」
ユリが持つ封書は明らかに華やかなデザインで、表面にしっかりと結婚式についてと書かれている。
ようやくお二人が結婚されるらしい。
マルグリット様が結婚してくれないとナーシサス領内の他の婚約中の貴族たちも結婚しにくいからようやっとという感じか。
「まずは王都にて大々的に第二王子の輿入れとして結婚式を行い、その後ナーシサス家にて披露宴のみ執り行うのね。これは魔物肉ではだめかもしれないわ」
「たしかに、お礼と結婚式が被るのはよろしくないですね……いっそ新しい魔道具を納品するほうが良いかもしれません」
「アデル、何かあるの?」
「現在、冷蔵庫と呼ばれる小さな食糧保管庫を試験中でして、問題が起きなければそれをいっそ納品してしまうほうがいいかもしれません」
現状、冷蔵庫の原型は完成しており、大きさ的には正方形の小さい40リットルぐらいがはいるものを試験中だったりする。
今のところ正常に動いていて、氷の生成はできないまでも飲み物を冷やすぐらいなら問題なくできる程度になて来ている。
「冷蔵庫があれば食べ物の保存が楽になるのもありますが、それ以外にも夏場に氷を使わずにワインを冷やしたりお茶を冷やしたりできるので、用途をそちらに限定すれば見た目も華やかなものが作れると思います」
「アデル、それでいきましょう。披露宴の会場に置いてあっても品位が損なわれない冷蔵庫とやらを作って頂戴。あと、後でその冷たいお茶というのを持ってきなさい」
「わかりました。では作業に移ります」
さて、これで冷蔵庫が成功すると、新しい製造ラインを考えないといけなくなるかもしれないわ。




