量産型魔道具へ向けて その2
とりあえず母から領民を使うことの許可はもらえた。
そろそろ春の収穫期なので、領民たちの畑の手入れは忙しくなってきている。
なのでお願いするとしても夏ごろからとなるだろう。
それまでにしっかりと量産体制を整えないといけない。
「まずはマザーマシンの複製と自動化よね」
やるべきことの一つにより安全に簡単に同じものが加工できる専用機の作成だ。
ポンプについてもギアポンプを加工するうえでホブ盤を作成する必要がある。
加工機自体は旋盤の応用で作成できるのだが、問題となるのは刃具の方だった。
ところがこれに一筋の光が見えてきた。
私がこの時代の製鉄技術について詳しくなかった為知らなかったが、炭素鋼的なものはすでにあることが分かった。
それで素材として高炭素鋼的なものを作り、時間をかけて切削加工をすることでホブと呼ばれる歯車を加工する刃具を作成できるのではと考えた。
これ、ナーシサス領に行って騎士団の剣を作成している鍛冶場を見せてもらって分かったことだ。
やっぱり現場を見ることは何よりも重要だと思う。
そして、それとは別にカバーを付きで同じ動きを繰り返す旋盤加工機を作成していく。
今回のキモは自動制御だ。
これを完成させることで、職人が毎回ナノ単位で旋盤を操作して精度を出すなんてことをしなくて済むようにしたい。
そうじゃないと私がずっと現場に立って加工機を動かさないといけなくなるので、それは避けたい。
自動制御といっても、自動送り機にストッパーを付けたりといったことをするだけだ。
NC旋盤と呼ばれるようなコンピューターにつながってすべてを数値制御するようなものではなく、古い旋盤にもついている自動送り機能を再現する予定。
自動で回転している旋盤の動力をシャフト型の台形歯車に伝えて回転させ、送り速度を調整する形をとる。
おかげで大小歯車を大量に作らなくてはならないが、その労力は掛ける必要があるものだ。
誰でも、知識が無くても同じように作製できるという状況にすることこそ量産のカギだからだ。
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自動旋盤とホブ盤を作り始めてから1か月、ようやくそれぞれの設備が形になってきた。
カバー付きとはいっても、カバーは木製のものとした。
金属製の板のほうが欲しいが、やはり均一で巨大な薄板というのは入手しにくいうえに、鎧などの需要が高く簡単に購入できない。
で、あれば簡単に入手でき修理も簡単な木製のほうが良いだろうという判断だ。
また、マスターの旋盤ではホブの加工を進めている。
こっちはノンノ領にあるハンターギルド向けの鍛冶師に頼んで高硬度の円柱を作ってもらった。
おかげでモンスター素材のチップでも無理をするとチップ側が負けてしまう。
削り量を極端に小さくして何回も何回も削っていくしかないので、時間がかかっているが、それも終わりが見えてきている。
「ようやく見えてきたわね。最初は少なくとも、これらの機械があれば今年中にナーシサス領内の貴族すべてに配備することもできるでしょうね」
加工機を作り始めてからすでにナーシサス領内の各貴族から給湯器について売ってくれと手紙が来ている。
伯爵家1家、子爵家3家に男爵家7家になら今年中に配備できるようになるだろう。
「あぁそうだ……営業担当を探さないといけないわね。私が毎回出張っていくのは違う気がするわ……どこかにいい商人がいないかしら」
現地の設置だとか使い方を貴族に説明できる胆力のある商人が必要になるわね。
あぁ、まだまだ問題が山積みよ。




