第二王子殿下の来訪
私は急遽マルグリット様のお古のドレスを仕立て直してもらい着用することになった。
針子の方々には多大な労力をしいたとおもう。
なお費用は侯爵家持ちだ。 急遽男爵令嬢ごときが第二王子の御前に立つことになった為の緊急対応という形だ。
私はこの1週間で簡単な資料も含め給湯器と給水機、コンロについての資料をまとめることになった。
とはいえあまり専門的なことは書かず、わかりやすい図を使ってどうやってお湯が蛇口から出てくるのかを記したものを用意した。
侯爵家にやとわれ、給湯器のメンテナンス要員となった一人は初めからこの図があれば職人たちにも何をしたいのか伝わったのではないかと言われてしまった。
「第二王子殿下ご到着されます」
そして第二王子殿下ご到着の日、朝から仕立て直された藤色のドレスを着てマルグリット様と待つこと1時間ほど、兵士がやってきて王子到着の先ぶれがされた。
マルグリット様の斜め後ろに立ち、私も第二王子殿下の出迎えをすることになる。
その場でご紹介をしてもらい、王子から声をかけてもらって話してもよいという状況を早めに作るための対応だそうだ。
いくら説明をすると言っても、正式な挨拶もない状態で声がけするわけにはいかないからね。
ロビー前に立っていると多くの護衛を引き連れた黒塗りの馬車が現れた。
さすが王家の馬車、質が良いし護衛も多い。
「王家のすごさってのを感じますね」
「アデル、私が紹介するまで口開かないでよ?」
「大丈夫ですよ」
思わず感想が漏れてしまって心配されてしまった。
馬車が止まり降りてきた青年、背が高くうっすらと筋肉質なのがわかる金髪碧眼の人物が降りてくる。
うん、もう見た目一発王子様ってやつだよね。
王太子殿下も似たような見た目をされていて、現国王の焦げ茶の髪と違い、隣国から嫁がれた王妃様の色彩が色濃く出ていると思う。
普通逆では? 濃い髪色のほうが遺伝しやすいと思うのだけれど。
とはいえあんまり顔を見ているわけにもいかないのですぐに頭を軽く下げる。
「わざわざ出迎えありがとうマルグリット」
「ようこそおいでくださいましたサミュエル様。長旅お疲れ様でございます」
「なに、君に会う事とが楽しみだったから苦ではなかったよ」
「まぁお上手です事」
シャラシャラと笑うマルグリット様に普段の緩い雰囲気がなくってなんとも居心地が悪い。
高位貴族とはこういうものだという切替のすごさを痛感する。
いったい猫を何匹乗っけているんだか……
「そういえばサミュエル様、ご紹介したい者がおりますの」
「そちらのご令嬢かな?」
「はい、彼女はアデル・ノンノ。ノンノ男爵家の長女で魔法の天才、現在は我が家に魔道具の設置のために来ておりますのよ」
マルグリット様に紹介されて私は深めのカーテシーを行う。
普段やってないからこの体勢結構きついんだよね。
「君がマルグリットがたまに手紙に書く天才魔法使いノンノ嬢か。楽にしたまえ」
第二王子殿下の言葉にようやく姿勢を戻す。
というかマルグリット様、婚約者への手紙に何かいてんですか。
たしかに学園の時も魔法課に行かないためにちょっと無茶したことも知られていそうだな。
「ごあいさつ申し上げます。アデル・ノンノと申します」
「サミュエル・ハルディンだ。なんでもナーシサス家に設置した魔道具について説明してくれると聞いている。その時はあまり気負わず説明してくれ」
「はっ、努力いたします」
なんだか第二王子殿下もマルグリット様と同じく緩い雰囲気があるな。
だから気が合うのかもしれない、殿下が言うように説明もあまり気負わなくてもよさそうだ。




