ナーシサス家の魔道具をお披露目することになる
給湯器の設置と給水塔の稼働、あわせてコンロの設置を終えた翌週、各魔道具のお披露目会が決定した。
各魔道具の稼働テストについてはこの1週間の間に行う事になっているが、すでに不具合の洗い出しは組み立てる行程中に適宜確認したこともあり、心配はない。
実際、先日の段階で侯爵家の大浴場に湯をためることに成功している。
個別の部屋にも配管を通じて蛇口をひねってしばらくすればお湯が出てくるようになり、ボイラーとしての機能を十分に満足する形になった。
キッチンコンロについてはすべてを置き換えるのではなく、一部を置き換えるだけにした。
電熱線を応用したコンロはさほど火力が高くない。
やはり直火というのはつよいので、鍋などで温度を一定に保ちたいものなどに使う事となった。
何より、侯爵家で賄う料理は働いている従業員たちの分もあるので、馬鹿にならない量がある。
大鍋で作ったスープなどが常備されて空き時間で食べることが多いらしく、常に保温されているというのは歓迎された。
「そして、このお披露目会の最大の問題点は、第二王子殿下が来られることよ」
「そればっかりはしょうがないじゃない。訪問のタイミングがちょうどいまなんだもの」
マルグリット様と茶をしばきながら何を話していたかといえば、お披露目会の最大の懸念事項、第二王子殿下の訪問だ。
マルグリット様の婚約者であるサミュエル・ハルディン第二王子がこの度ナーシサス家に視察に来る。
まぁ視察という名のデートだとマルグリット様は言うけれど。
実際の輿入れは来年の予定だそうだ。
今年中にすでにご結婚されている王太子殿下に第一子が生まれる予定だそうで、その後に正式にサミュエル様は輿入れする。
跡継ぎができる前に第二王位継承者が輿入れすることは無いんだとか。
そのあたりは国の方針なので何も言うまいよ。
「サミュエル様はお優しいからアデルが何かへまをしても大丈夫よ」
「そういうわけにはいかないですって、私はあくまで男爵令嬢ですよ?」
「まぁアデルは直接サミュエル様と何かお話しする機会はなかったものね」
学園でサミュエル様が在学されていた期間と私が通っていた期間は一部重複している。
とはいえ、学科も違えば爵位も天と地の差がある私が関わるわけがない。
そもそも派閥内とはいえマルグリット様や伯爵令嬢など上の爵位の方と親しくしていた私のほうが異常なのだ。
「アデルの説明はわかりやすいから大丈夫よ。なんなら給湯器が気に入ってお城に帰らなくなるかもしれないわね」
「それはそれで困りますね。城に設置しろなんて言われても今回の規模でも死ぬほど苦労したんですから絶対いやですよ」
「王命が出ないことを祈るわ」
冗談でもやめていただきたい。
男爵令嬢に王命などでないだろう普通。
でもこういうのはフラグだからな……ナーシサス家に設置したようなものじゃない代替手段を考えておかないと後で困りそうだと思った。




