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アデル・ノンノの魔道具量産計画  作者: シャチ


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大型魔道具の設置はトラブルがいっぱい

 翌日、登城した職人たちと顔合わせを行い、そのあと現場の確認をさせてもらった。

 私が指定した設計図通りに設置されているのかなどを確認していく。

 大枠は設計通りではあったが、こちらが持ってきたポンプを仮接続してみると、今一つうまくいかなかったりして、微調整をお願いすることになった。


「では給湯器の設置について説明します。ほとんどがロウ付け作業になりますが、こちらが設計図です。

 かなり複雑に配管を枝分かれさせ、必ず重力に従って配管内部に水がたまるよう傾斜をつけ給水塔よりも下に来るようにします」

「それはなぜですか?」

「銅鍋を空焚きすると破損するのと一緒です。ロウ付けされた銅の配管ですし、水を瞬時に熱湯に変える為必要な熱量はかなり多めです。安全装置も考えましたがそもそも水が満ちていればそれも不要なので、必ず水が満ちるように設計してあります。正しく配置すればですが」


 私の説明に職人たちがうなづく。

 このあたりは普通に金物職人をしていればわかることで、彼らは鍋の製造、修理などを行っているのでこのあたりの感覚は共有できた。

 あとは普段見たことないのこの配管形状とヒートシンクの取り付け、やることは多いし、彼らは初めて経験する作業でもある。

 さらにはそこに魔道具の設置までする。

 トラブルが起こらないはずがなかった。


 まず一番最初に問題になったのは配管の接続だ。

 全体図には配管の部品番号書きされており、その番号通りに設置することを依頼していたが、似たような形状のものが多く、取り付けていた部品番号を作業の為に取り外した後で、この部品が何であったのかわからなくなることが頻発した。

 やむなく配管そのものに、鉄ペンで番号を軽く彫り込む形に変更が必要になった。

 配管ごとのロウ付けは順調に進んだが、突合せでロウ付けする能力は職人によってまちまちで、つないで水を流すと水漏れが起こった。

 やむなく差し込み式となるよう接続する管の片側を棒を突っ込んで少し広げ、差し込んでロウ付けする方法を取った。

 おかげで全長が少し短くなったりと別の問題が起こった。

 ヒートシンクの取り付けにしても、職人の能力によるばらつきはかなり大きく、やり直しの工数はかなり多かった。


「やっぱり、職人によるレベルの差がすごいわ」

「そればっかりはしょうがないんじゃないかな?みんながみんな同じ作業をしていたわけではないだろうから」

「そうよね……初めからそういう教育をして育てた人じゃないと同じレベルにはならないわよね」


 設置作業に有した時間はひと月にもなった。

 私はたびたび休息日にローランとお茶をしては情報交換をしたり考えをまとめたりしている。

 休息日のお茶の時間にローランとちゃんと交流せよとマルグリット様からの命令が出ているからでもある。

 それとは別にナーシサスにいる間はたびたび街にローランと繰り出しアクセサリを買ってもらったり外食したりとデートらしいこともした。

 おかげで仲はそれなりに深まったと思う。


 そして今回のトラブルの多発で思い知ったのは、教育レベルの差がもたらす弊害だ。

 職人たちは基本的に誰かの弟子になり、その工房で学んで一人前とされて店を継いだり新しい店を出したりするわけだが、学んだ人が違えばそれだけやり方も考え方も違う。

 ものを量産化する上で、職人に頼むとどういう事になるかという実証実験でもあったかもしれない。

 今回の反省は今後の量産に向けてかなり重要になりそうだと感じた。

 

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