次の加工機を作りはじめる
ギアポンプの完成を終えて、旋盤加工機のバージョンアップをしつつ、次に手を出したいのはフライス盤と呼ばれる切削加工機だ。
旋盤は削りたいものを回転させて刃をあてるが、フライス盤は刃を回転させて切削物を削る。
簡単にいえば、旋盤は丸いものを加工し、フライス盤は四角いものを加工する。
さらにフライス盤ができると金型の製作ができるようにある。
まぁそのためには専用の刃具がひつようだからそっちの製造がうまくいかない事にはどうにもならないが……フライス用の刃であれば、旋盤チップと同じようにモンスター素材からうまいこと作れると思う。
同じ形を複数個作れるかどうかが鍵になるが。
ともかく、工作機を作るためにはより精密に台形ネジなどを組み合わせて位置調整ができるものを作らなくてはならない。
「旋盤というのは穴をあけることもできるんだなぁ」
「丸い形状であればどんなものでも加工できるのが旋盤って機械なのよ。木材とか円筒形の物なら何でも加工できるわね」
鉄を加工するとなると、台座から何から黄銅でできているので少し鉄よりも柔らかいことから、時間をかけてゆっくり下降してやらないと素材に負けて加工物の精度が出なくなってしまうが、できることなら今の黄銅から鉄に素材を置き換えたいと思っている。
そのためにも、フライス盤は絶対に必須の設備なのだ。
今の旋盤の台座は鋳物として黄銅の物をつかって作っている。
その台座は円形で少々使いにくいため、できれば四角いものを作りたい。
現在は旋盤加工機を使って上下の平面度と平行度はだしているけれど、6面全部の直角度と平面度を出したいのだ。
「いわんとすることはなんとなくわかるんだが、なんだか難しいな」
「なんとなくでもわかってくれるだけいいわよ。学校でこの話をしても教授ですらポカーンとしてるのだから」
「それは同じものを大量に作るっていう発想がないからだろうな」
「騎士団の武器は基本的にみんな同じでしょう?」
「確かに見た目は同じだが、若干差がある。自分に合う剣や槍が割り当てられればいいが、そうじゃないときは使いにくいと思っている奴らが集まって武器の交換会をしたりするぞ」
「なるほど、そこも私が言う量産とは違う感じね」
実際個体差はあるんだろう。
武器も鎧も工業製品として量産できた方がいいのだろうけれど、今は1つずつ手作りだ。
見た目は騎士団で揃えていても、やっぱり少しずづつ違うのだろう。
同じ職人が全部を作っているわけでもないだろうからね。
「じゃあ私は加工をつづけるからローランは好きなことをしていていいわよ」
「あぁ分かった。私は村人の訓練にでも付き合おう」
そういってローランは工房を出て行った。
このあたりの加工機を触るのは本人が怖いといっているので触らせていない。
高速で回転する物体は確かに危ないのでその感覚は正しいといえる。
機械の特性上私は操作するとき素手で作業しているが、頭は簡易的とはいえ皮兜をかぶり作業しているのでその見た目は異彩を放つからね。
ともかく、次のステップに進むためにもしばらく空き時間は旋盤のバージョンアップとフライス盤の作成を急ごうと思っている。




