ローランが役に立ちすぎる
はっきり言う、ローランは手先が器用だ。
私がちょっと教えただけで、どんどん配管を作ってしまった。
その後余った端部についてもハサミで丁寧に切断してもらい、ほしい本数の配管が出来上がるのに5日で何とかなってしまった。
この3日間で私の方はようやくギアが二つ出来上がり、歯のあたりを確認しながら微調整の削り作業をしているところだ。
歯に絵の具を塗って、噛み合わせたギアのどのあたりに歯が当たるかを確認しながらやすりで徐々に切削して正しく歯が当たるようにしていく。
これだって、ホブ板という工作機械を作れば一気にまとめて作製することができるようになる。
このあたりの確認作業だってそれほど難しくなくなるので、何とかして作りたい。
とはいえ、焼結刃具なんてまだ作ることはできないからしばらくは旋盤にて削るしかないが。
ローランにはさらに銀ロウのやり方やパイプ曲げのやり方などを教えながら、図面の読み方、寸法の追い方を教えていく。
うん、これらの教えることはそのまま教本にできそうだとおもい、2日目から私はそのあたりメモを起こすようになった。
前世の知識でいう「作業標準書」というやつだ。
この作業手順通りにやれば正しい製品が出来上がっているというのを担保するもので、前世の知識としてはこれがあるかないかが非常に重要になる。
ただ、その作業標準がちゃんとしていなければ何の意味もないのだけれど。
「アデル、この作業についてコツみたいなのが分かってきたんだ。この作業標準ってのに書き足してもいいかい?」
「かまわないわよ。私も後で確認するわ。あんまり違うこと書かれたら困るし」
「わかった。あとこれで配管作業がおわったよ」
私の目の前の作業机には、設計図通りに曲げられた配管が所狭しと並べられていた。
お願いした通り、配管には図面の番号の紙を巻き付けてもらっており、どれがどの部品かもすぐわかるようになっている。
「ホント助かるわローラン! 騎士のあなたにこんな特技があるなんて夢みたいよ!」
「アデルの役に立ったようでよかったよ。私もこういう細かい作業が得意だとは知らなかった」
本当にそう思う、1週間はかかると思っていたもの。
でも、おかげでかなり工程は前倒し、休みがしっかりとれそうなので、今のうちに工作機械の整備と更新をしたいところね。
「じゃあ、出来上がった配管はナーシサス家に届けさせましょう。組み立ては向こうで行わないと移動中の破損なども心配なので」
「わかった。馬車の手配をしておこう。あとは梱包か」
「そこは村人にお金を出してやらせるわよ。木箱の用意とかもあるし」
農閑期に仕事を与えるのも領主の仕事の一つだ。
合うサイズの木箱を調えわらなどで梱包してもらうことになる。
さて、私の方はポンプを完成させないといけないわね。




