戻ってきたよノンノ領 正式に婚約しました
ナーシサス家での夜会を終え、マルグリット様からローラン・ビーコンに決めた理由を根掘り葉掘り聞かれ、げっそりしながら再度ローラン様と顔合わせを終え、そのまま帰りの護衛もしてもらって、ようやくノンノ領に帰ってきました。
端折るな?
端折りますよ、別にひとめぼれだとかそいうわけじゃなく、これから互いに信頼関係をという状態ですから、事務的な部分以外の話はありませんもの。
「ここがノンノ家ですか」
「小さい家でしょ? 領地もそれほど大きくないから管理は難しくないと思ってる。どちらかといえばこれから私がやろうとしていることのほうが大事よ」
「生活魔道具の量産……でしたか。私は今一つ分かっていないのですが、そんな私と婚約されてよかったのですか?」
馬車を降りナーシサス家と比べるとちっぽけと言っていい屋敷の前に立ち、ローラン様をご案内中。
ナーシサス家の顔合わせでも力仕事を頼みたいと伝えたし、生活魔道具の量産についても伝えてある。
とはいえ、言葉だけで説明してもわかりにくいのが魔道具なので、これから実際に体験してもらうつもりだ。
「まずは母をご紹介します」
「えぇ、よろしくお願いしますアデル様」
ちなみにローランに好感が持てるのは、礼儀正しいところもある。
女性だからと見下すことも、爵位が上だからと下に見ることもなかった。
ちなみに、騎士爵持ちと男爵令嬢だと厳密には騎士のほうが上だ。
あくまで私は男爵家の令嬢であって男爵ではないから、親の爵位のおまけでしかない。
男爵になれば騎士爵より上だけれどね。
ちなみに、他の二人は明らかに見下した目をしていたので却下である。
「おかえりアデル。そちらが侯爵から勧められた婚約者かしら?」
「ただいま戻りました。ナーシサス侯爵より推薦いただきましたローラン・ビーコン様です」
「この度、ご縁にて婚約者候補となりましたローラン・ビーコンです。私のことは気にせずローランとお呼びください。現在騎士爵はもっておりますが、生まれは平民ですので」
「ようこそローラン。さて、では詳しく話を聞きたいから二人はまず着替えてらっしゃい。セレナ!ローランを客間へ」
「はい、こちらですローラン様」
というわけで、一度分かれてそれぞれ着替えをしてノンノ家の執務室に集まることになった。
「さて、ローラン。うちのアデルはこんなだけれど、貴方はそれでも大丈夫?」
「お母様、こんなとはなんですか私のことを」
「こんなでしょう。魔法バカでさらには自ら魔道具を生み出す令嬢なんて他にいますか?
しかもその生み出す魔道具は一般的な魔道ではないじゃない。どこからどう見ても普通の令嬢じゃないでしょう」
「そうかもしれませんがそれは領地を発展させるためであって……」
「アデル、私はローランに聞いているのよ」
母の言葉に黙るしかなかった。
ちらりとローランを見ると、まっすぐに母に目を向けて口を開ける。
「確かにアデル・ノンノ嬢は一般的な貴族のご令嬢ではないと思います」
「そうよね」
「ですが、その志は素晴らしいものだと思います。本来魔法は魔物を倒すものですが、騎士と同じように戦争……人を殺すためにも使われます。魔道具もしかりです。
それを、アデル様は人の役に立つものにしようとしている。それは大変尊敬できることです。」
短い間しか話していないのに、ローランはずいぶん私のことを買ってくれているらしい。
面と向かってこんなに褒められると照れちゃうわね。
「ですので、私はこのお話を受け、アデル様を支えることに決めました。よろしくお願いします」
ローランの言葉に、母がふぅっと息を吐き、一枚の書類を出した。
「ナーシサス侯爵家から伝書鳩でローランのことは聞いています。だから用意しておきました。
ローランならアデルを任せられるでしょう」
そういって出されたのは婚約契約書。
まぁこの時代の一般的な条項が書いてあるものだ。
「準備がいいですねお母さま」
「そらそうよ。侯爵からの推薦だもの即決よ」
そして私とローランが書面にサインして正式に婚約がなった。
とはいえ、明日からは侯爵家に収める設備の作成が始まるだけだけれどね……




