ノンノ男爵家 その1
ノンノ男爵家はナーシサス侯爵家の縁者で、母は前ナーシサス侯爵の妹の娘、姪に当たる。
ナーシサス家は王都の東側に領地をもち、主な産業は農業。
ナーシサス領の多くの地域は小麦畑が広がり、一部では酪農も行っていて農産品が多い。
そんなナーシサス領の端っこのほうにノンノ男爵家はある。
管轄はハンターギルドを含む小さな領地だ。
ノンノ家はさらに東に広がるハルディン湿地への玄関口の一つで、村で作られる農作物はその場で消費されてしまう。
領地の多くは湿地帯で自給自足ができる程度の領地で特産品はない。
メインとなる税収は湿地に住む魔物を狩るハンターたちの日用品や武器の売上だ。
ハンターギルドの支店があるので、そこで消費される様々な必需品などの売り上げの一部を税として納めてもらっている。
モンスターの素材はお金になるけれど領地としてモンスター狩りはしていないし、ハンターたちを養うだけの資金もノンノ家にはない。
それならハンターギルドの支店を置いてもらう事で税収を得たほうがいいというナーシサス家の考えから、ここに村が出来上がった経緯があり、代々ナーシサス家の血を引く人間が代官として領地を管理している。
「町の活気は変わらないね」
「ハンターの出入りは多いですからね。でも定住者はほとんど変わっていないわよ」
帰ってきた翌日、母と情報交換もかねてお茶をしている。
今年も農作物の発育は普通、モンスターによる被害は無いらしく収穫は計画通り見込めそうとのこと。
ハンターギルドからの税金も平年通りだそうで、ギルド周辺地域の飲み屋や鍛冶屋といった関係業種も平年並みの売上だそうだ。
ノンノ家は去年少し修繕したおかげでこじんまりした2階建ての我が家は少しきれいになっていた。
「アデルのおかげでお風呂や家事は格段に楽になったわよ。おかげで私は執務に集中できるようになったわ」
「それは良かったです。まだ試作品なので改良の余地はあると思いますので後で確認します」
我が家には通いのメイドのセシルとその旦那のロジェが来てくれ主に家事全般をしてくれている。
あとは住み込みのメイドのユリと、その旦那で護衛騎士でもあるポール様がいる。
彼女は母が嫁いできた時に連れてきたメイドさんでポール様は侯爵騎士団の隊長でノンノ家の護衛隊長でもある。
「あとでポール様に挨拶に行ってくるわ」
「そうしてちょうだい。ノンノ領の治安がいいのは彼のおかげだから」
というわけで午後は騎士団詰め所に行く予定。
ポール様は昨日男爵家に戻ってこなかったのよね。
久々だから街の様子も直接見てこようと思う。
昨日は馬車の中からしか見れなかったからね。




