グレゴリー・ナーシサス侯爵とお仕事の話
いつも誤字報告ありがとうございます。
たいへん助かっております。
ハイテンションなマルグリット様を落ち着かせようとしていたら、執事の方がいらして一休みしてくださいとマルグリット様を連れ出してくれた。
まぁその一休みというのは旅装束からデイドレスに着替えて化粧を直す時間という意味なのだけれど。
侯爵家からメイドを貸してもらえるということなので、衣装を脱がしてもらい着替える。
「ノンノ男爵令嬢はずいぶん線が細いですわね……しっかり食べておりますか?」
「ご心配ありがとうございます。わたくし太りにくい体質の様ですの」
ナーシサス家のメイドさんは爵位もちも多いので普通に声をかけてくる。
確かに私は凹凸も少なくかなりスレンダーだから、心配されるのは分かる。
マルグリット様はグラマラスで肉づきもよいから比較すると私は余計細く見える。
背はそれなりにあるので余計細さが目立つのかも。
「ではお化粧いたします」
「あまり派手にしないでいただければと思います」
「わかりました。お任せください」
そして持ってきていた化粧品のほかにナーシサス領内で作られている高級化粧水なども使われメイクされる。
そうして、私の準備が終わるとそれほど待たずに侯爵様の元へと案内された。
侯爵の執務室は屋敷の奥らしく結構歩くことになったけれど。
「よく来てくれた、ノンノ嬢。大きくなったな」
「グレゴリー侯爵、ご多忙のところ時間を取っていただきありがとうございます」
「そのような硬い挨拶は不要だぞノンノ嬢。君の魔法に関する知識に私たちは期待しているから、学園での学費などを支援したんだ。さぁ座ってくれ」
ソファーに案内され侯爵様の向かいに座る。
やっぱり侯爵家のソファーはふかふかで座り心地がいいな。
「ノンノ嬢、依頼していた給湯器と呼ばれるお湯を簡単に得られる魔道具と火を起こさなくても調理が可能なコンロという魔道具、設計が完了したとのことだが見ることはできるかね?」
「はい、事前にお手紙でお伝えした通り設計が完了いたしました。こちらをご覧ください」
私は用意していた設計図の写しを侯爵に手渡す。
依頼されている魔道具は2つだが、今回は3つの魔道具にわかれている。
「なるほど、屋上に水タンクにこのボイラーというものを置きたいと」
「はい、なるべく侯爵家の外観を損ねぬように考えておりますが、この広い侯爵家の水回りすべてに対応しようとするとこのような構成になります」
「屋上は誰かが入ることは少ないからな……ただ、念のため部屋をつくろう。この設計なら仮に戦が起こったとき水をある程度確保して置けるのだろう?」
「生水ですので日持ちはしないと思いますが、湯を沸かせば飲み水に使えるかと思います」
「そうだな、水は腐るからな」
「ですので、こちらの給湯器を通す水については飲料は控えていただければと思います」
「心得た。あとは設置時に我が家の魔導士と下男を数名つける。この設備の維持についての知識をあたえてくれ」
「かしこまりました」
その後も詳細につい話を詰め、設置する台座や城の中に専用の部屋を設けることになり野外設置は見送られた。
設備についてもパーツアッセンブリで輸送し、侯爵家で組み立てることになった。
その間侯爵家に私は滞在することになるな。
「春先には部品の一部を輸送できると思います」
「はやいな。魔道具など数年かけてくみ上げるのが普通なのに、ノンノ嬢の作る魔道具は規格外だ」
「ありがとうございます」
私に向かってにっこりと笑みを浮かべるグレゴリー侯爵は良い人材に投資したといった感じがにじみ出ていた。
本来なら王都の学校に通うほどの費用も持たない我が家に学費を出していただいたのだから。
それに借金もあるし。
「あと、我が家に収めてもらった通常の魔道具についても滞在中に一度見てほしい。特に不具合は聞かないが、あまりに便利すぎる上に不具合もないから本当に大丈夫か心配だと騎士団から言われていてね」
「わかりました。私から伺いましょうか?」
「それには及ばん。部屋までもっていかせる。貴族令嬢とはいえ未婚の女性を男ばかりの騎士団に行かせるわけにはいかん」
どうやら私がすでに収めている攻撃魔道具についてもメンテナンスしてほしいようだ。
この世界においては私のスタイルは余り魅力的ではないはずなので襲われることは無いとは思うが……まぁ未婚の男爵令嬢が男ばかりのところに一時的にでも居たというのは外聞が悪いから、素直に従おう。




