帰ってきたよノンノ領
新作でございます。
宜しくお願いいたします。
まだ残暑の残る季節、ハルディン王国の東側、ナーシサス侯爵家が治める一領地が私の実家ノンノ家の領地だ。
私はこの夏、貴族学校を卒業して約10日かけて実家に帰ってきたところだ。
馬車を降りると後ろで束ねたブルネットの髪と若草色のワンピースドレスのスカートが揺れる
「おかえりなさいませアデルお嬢様」
「ただいまぁ~やっぱり馬車旅はつらいわ」
「おかえりアデル。1年見ないとあっという間に成長するわね」
「そういうお母様は変わらないわね」
久々に家に帰ってきて家族に迎られた。
ノンノ家は母が男爵位をもっており領主だったりする。
残念ながら父は5年前に他界した。
もともと爵位を持っていたのは母だったため領地に影響はほとんどなかったけれど、優しかった父が亡くなったのは学校入学前の私にはそれなりの精神的なダメージを与えた。
私の名前はアデル・ノンノ。
前世の知識を持つ俗にいう転生者だ。
”記憶”ではなく”知識”といったのは、前世の人格がないからだ。
ざっくり日本という国で大学教育を受けた程度の知識を有するけれど、この12世紀ヨーロッパ調の世界において当初は何の役にも立たなかった。
そんな私が貴族学校で何を勉強したかというと、魔道具の作成。
この世界には魔法があり、その技術を活用した魔道具がある。
私が魔道具に興味を示したことを父は素直に喜んでくれて支持してくれた。
おかげで魔道具学科を次席で卒業できた私は、こうして領地にもどり、追々母の後を継ぐことになる。
現在婚約者無し。
たぶんナーシサス家からご紹介があるだろう。
まずは寮から持って帰ってきた荷物の整理からかな。
特色のないノンノ領を魔道具を使って発展させる。
それが私の目標なのだ。




