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だれかの箱庭 ~クレオメの夢~  作者: なぁさん
Chapter.1_在りし日の夢、彼方への寄り道。
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 少し身体がだるい。

 きっと、私はさっきの『穴』に捕まってしまったのだろう……

 幸い、安全そうなところに飛ばされたのかな? 危険は感じていない……と思う。

 澄み渡った空気と寝たままの視界の横にかろうじて見える緑と他の色。おそらく森かソレに近しい林の中だろう。不思議と思考は落ち着いていた。

 体を起こし、軽く見渡した景色は一面の花々。


「…………広いなぁ」


 それなりに見渡しはいいが木々に囲まれているあたり、森の中の花畑って言ったところかな……空気中の魔力の巡りもよくてすごく居心地がいい。もうずっと横になっていたいかも……

 思考を再開する。

 おそらくここは元々いた世界の過去か未来だろう。でもどちらかまではわからない。

 あの『穴』に異世界へ飛ばすほどの力があったとしたら、それはもう『歪み』でしかない。それならまずあの二人が気が付かない訳がない。

 けれど今回の事象は『歪み』が原因ではないのかも。いや、多少は影響を受けている可能性があるかもしれない。なりかけだとか。今はまだ判断材料が無さすぎてわからないかな。


 正直、すごくまずい。

 現状、『歪み』が原因ではないと仮定して、困るのは『分かりやすい原因が無い』と言うことだ。ほぼゼロから原因を探して、自分達の力だけで元の世界へ帰還しなければならない。

 まぁ、不可能ではないだろうが、いつまでかかるかわからないし、同じ時間に帰れない可能性もあるかも……


 いけない。心で負けるな。何もしないよりは体を動かしたほうが不安は紛れるかな……起き上がり改めて今いる花畑を見渡したす。

 見たことあるようなものから知らないものまで…………あれ? あの花とあの花……咲く季節違わなかったっけ? え!? あれなんて明らかに逆の季節じゃん!

 花畑を謎に思いながらも散策していると、人は出入りしているのか、道らしきものになっている所を見つけられた。運は持ってるんだよなぁ私。道らしきものに沿って歩み進めると、明らかに人の手で積まれた石を見つけた。これは多分———



「———……誰かのお墓かな?」



 無意識に声が出ていた。

 名前らしきものは掠れていてほとんど読めない。それなりに古いものなのだろう。周りには紙の燃え(かす)が少し残っている。そう遠く無い間に燃やされたものかな?


「ん?」


 他にも何かわかることはないかと墓石に手を伸ばした時、不思議な……懐かしさと言えばいいのか、何かを感じた。

 いや多分墓石そのものじゃなくて、この墓の下に埋まっているのであろうモノから感じる……のかな? 魔力とは違う独特な力の気配。

 この力を私は知っている。

 それを認識した途端、私の中に一つの結論が出た———


「———未来なんだね?」


 不思議な確信があった。


「ここは私達が救った世界なんだね……!」


 何年後かわからないけど、ここは救われた世界なんだ!



 嬉しい。

 ただ嬉しかった。

 涙は出なかった。

 泣くなんてありえない。

 いや、少し違う。出す涙が違うんだ。

 この旅が無駄に終わることはなかったんだとわかったから。私は自身の目的を果たすことができたんだと、できるんだと分かった。

 だから涙はまだとっておく。そもそも、ここは私が泣いていい場所では無いから。

 そして同時に、絶対に元の時代に帰らなければいけないと確信した。



 『この世界』という未来を確定させるために。

希望に満ちた未来

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