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霊魂こと人妻さんの旦那さん(仮)を探す事になり、教会を離れて街を歩く。
すれ違う人々の流れはいつもと変わらない。平和そのもの。まさに平和な日常!
けれど、アタシの心情はその平和とは馴染めずにいる。
『この道も真っ直ぐにです。…………おそらくは、ですが』
なんとなくこの街にいるのと、どこにいるのかの方向は分かるみたいで、完全に手探りでやる事にはならなかった。けれど正直、五十歩百歩な部分はあるんだよなぁ……街の中だけでもそれなりに人はいるんだから、その中からいるかもわからない人一人を探せってなかなかハードだと思うの。
「…………ほんとにこの街にいるのかな」
『この街には必ずいます』
「その根拠は?」
『私がここいるからです』
それのどこに信憑性があるの? なんて聞くのは多分違う。アタシ達の頼みの綱は現状、人妻さんの感だけだから。何より、その言葉には不思議と説得力を感じてしまっていたから。
「ねぇ。あの人ってどんな人なの?」
周りの人に聞こえない程度の声量で聞く。
どうも……と言うかやはり、人妻さんの声はアタシにしか聞こえていないようなのだ。頭の中で聞かせたいことだけを聞いて会話するなんてことが出来ればよかったのだろうが、出来ないのだからせめて、周りから変な目で見られるような事は避けたかった。
『どんな人……ですか』
人妻さんの言葉が止まった。
自分で聞いといてなんだけど、質問間違えたな。これ絶対惚気られる奴だ! あぁ……失敗した。でもこれ以上に聞くような事パッとは思い浮かばなかったし、だからと言ってずっと黙ってるのもなんかやだし! まぁ、恋バナ自体は嫌いじゃないんだけどね? 残念ながら今聞きたい気分とかではないんだよなぁ。
『そうですね…………体の弱かった私に分け隔てなく接してくれて、ひたすらに愛を捧げてくれルような素敵な人です。正直、最初の頃は鬱陶しくはあったのですけど、月日を重ねる毎に……変わらず一途に想ってくれていたので……結局私も彼のことが好きになってしまって。それにあの頃言い寄って来ていた私の容姿や家格だけを好きになった殿方達のようではなく、私自身を見てくれていたのです』
なにそれいい人では? え待って。人妻さんさりげなくモテてたアピールしてた気がするけど、一途に思ってくれるなんてその旦那さん(仮)いい人では? てか彼って言ったし絶対旦那さんでしょ。あっ、でも付き合ってから急に性格変わるって人もいるって前に友達のミカちゃんが言ってたし……
『婚約してからも変わらず接してくれて、素敵な婚約者でいてくれたのです。当時の彼は将来を期待されていた魔術師の卵だったので、言いよってくる女性も多かったと聞きます。それでも、誰にも靡く事なく私を愛してくれた』
「え、めっちゃいい人」
『ええ。本当に。でも結婚してすぐに私はこの世を去り…………私の祈りが届いたのかはわかりませんが、気がついたらこのような事に』
急展開が過ぎる。
「……祈りって?」
『死ぬその瞬間までずっと『もう少しだけ時間をください』って祈っていたのです。彼の目を見て『愛している』とは一度も言えてませんでしたから』
『わがままに巻き込んでごめんなさい』なんて最後に言った人妻さんが今どんな顔をしているのかをアタシは見えない。




