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第10話:それなら、それでしょうがない。

 翌日・星ヶ丘高等学校・温水プール―――。


 太陽がプールの屋根を真上から照らすころ、水泳部員たちは、プールサイドで円形になり、茂木に注目していた。


「これから、インハイまでの一週間は、ひとつひとつの泳ぎにおいて、精度を上げることに集中する。気を抜かず、真剣に取り組め。いいな!」

「うっす!」


 部員の返事は、腹に響くドラムのような重低音で、プールサイドを振るわせた。


「ここに、須藤からメニューを預かっているから、各自、目を通して進めてくれ。インハイ出場を逃したやつは、次の試合に向けてじっくり調整していけばいい」

「はい!」


 そう言って三浦は、目の前でかかげたファイルを、ベンチに置く。腕輪のビーズがほころびるように部員がバラける中、三浦は田辺を引き戻すように話しかけた。


「なあ田辺、結城の姿が見えないが、なにか聞いてないか?」


 部員は、それぞれファイルに目を通しながら、田辺の返事に耳をかたむける。


「いえ。おれもそう思って、さっき何回か電話したんすけど、つながらないんすよ」

「練習があることは、知ってるんだよな?」

「あ、はい・・・」


 田辺は、三浦を通り越して、カミソリのような鋭い目をした茂木に返事をした。


「わかった。呼び止めてすまなかった。練習に行ってくれ」

「あ、はい」


 そう言って田辺は、そっとファイルを手に取り、その場をあとにする。


「だそうだ、茂木主将。どうする?」


 三浦は、腰に手を当て、いたずらな横顔を見せて言った。


「あいつのことだ。これも調整のうちなんだろ」


 茂木は、鼻から小さな息をもらし、プールに飛び込んでいった。


(ま、結城は再来週のインハイが終わったら、すぐに世界ジュニアの合宿が控えてるからな。そういうことにしておくか)


 そして、三浦も自分の練習に意識を切り替えた。



 真夏日の今日は、すべてを溶かしてしまうような湿気と熱気で町をゆがませる―――。



 ・・・トク・・・トク・・・トク・・・トク・・・。


 みさきの左耳に、ドラムの上を小さなゴムボールが等間隔で跳ねているような、心臓の音が聞こえた。


「あ・・・暑っ・・・」


 みさきが薄目を開けて瞬きをすると、いくつもの真珠のようになった汗が、額を転がるように流れた。ゆっくり上体を起こそうとすると、さらに、髪の毛の生え際から、新たな汗が滝のように落ちてくる。


「きゃ・・・っ⁉︎」


 みさきは、すぐさま、がんじがらめにされたように、背中を圧迫された。


「ゆ、結城くん・・・? ちょっと・・・っ!」


 みさきは、自分が海斗の胸の上で、うつ伏せになっていることに気づく。滑り落ちるようにしてフローリングに両ひざをつき、かたくなに離そうとしない海斗の左腕を、めくるようにしてすり抜けた。


「こ、ここは・・・結城くんのマンション・・・?」


 みさきは、見覚えのあるキッチンに目をやった。開け放した窓から、カーテンを燃やすような熱風が、リビングに入り込んでいる。浴衣の帯が、太い輪っかのように胴体にピッタリくっつき、長い袖がバスタオルのようになって、みさきの体温を内側に閉じ込めていた。


「そうだ、結城くん! ・・・っ!」


 みさきは、ソファに仰向けになって横たわる海斗に、頭がバラバラになるような衝撃を受けた。


「なによ・・・これ・・・っ!」


 海斗の額から右目にかけて、魚のウロコが仮面のようになって皮膚に埋まっていた。頭部の傷口の流血は、髪の毛の生え際に密集するウロコで、せき止められている。さらに、右肘から前腕には、それが何重にも重なり、まるで分厚い石膏のようになって覆われていた。鎖骨や肩は、銀色のコケのようなものがこびりついて、鈍く光っている。みさきは、思わず、それらを手のひらで、消しゴムの屑を取り除くように払った。


「取れない・・・っ!」


 海斗は、深く目を閉じて、ピクリとも動かない。みさきは、もう片方の手で、自分のこぼれ落ちる涙をぬぐう。海斗の濃い灰色のシャツについた血反吐が、倉庫の汚れと汗で黒ずみ、ひざ丈の短パンは、力なくソファの上でよれていた。



「なにをしても無駄。海斗はもう、自力で目覚めることはない」



「え・・・? だれ・・・? なに・・・⁉︎」


 みさきは、ベタッと床に座り込み、首振り人形のようになってリビングを見渡した。


「きゃーーーっ!」


 正面を向きなおしたみさきの目に、赤いプラチナの髪の毛をなびかせ、背もたれの上に座るセレインの姿が飛び込んできた。


「やっぱり、だいぶ透けてる・・・」


 セレインは、胴体をひねりながら、消えかけの虹のようになった自分のからだを確認した。


「あ・・・あなたは、あのときの・・・っ!」


 みさきは、歯が抜け落ちるほどの恐怖がよみがえり、背中でリビングの低いテーブルを押し上げるようにして、後退りした。


「もう、みさきに手を出すつもりはないから、怖がらなくていい」

「へ・・・?」

「でも、人を呼んだら、容赦しない」

「・・・っ! ・・・っ!」


 海斗のおへそのあたりから、亡霊のように浮かび上がるセレインは、下半身の尾ヒレを、みさきの目の前にさらしていた。


「あ、あなたは・・・一体なんなの? 結城くんを、どうするつもり⁉︎」


 みさきは、詰まるのどを押し広げながら言った。


「わたしは、人魚のセレイン。海斗に助けを求めて、人間界に来た」

「・・・っ!」


 みさきは、思考も動作も完全に停止し、ただ、セレインを見つめることしかできない。


「まあ、みさきが信じようが、信じまいが、もう関係ないこと」


 セレインは、目を伏せて、みさきにホコリほどの関心すら見せずに言った。みさきは、ハッと我に返り、セレインの髪の毛を引っ張るように、自分に注意を向ける。


「ちょ、ちょっと待って! 結城くんが、もう目覚めないって、どういうこと⁉︎」

「言葉の通り。海斗は、わたしを助けることをあきらめた。だから、いま、バックアップのプログラムが作動してる」

「まったくわからない! あなたをなにから助けるの⁉︎ なにが作動してるって⁉︎」

「・・・・・・」



 数十分後―――。


 みさきの胸に空いた大きな穴に、冷たく乾いた風が吹き抜けていた。


「結城くん・・・いままで、ひとりで、なにやってたのよ・・・」


 みさきは、セレインから一部始終の説明を受け、全身の力が吸い取られたように、ぼう然とする。


「当初から、万が一、失敗した場合に備えて、海斗のからだと入れ替わるプログラムを組み込んでおいた。それは、海斗が自ら放棄した場合も含まれる」

「そんな・・・っ! 結城くんは、なにかをあきらめるような人じゃない!」

「現に、海斗は、過去に行くことも、いまに戻ってくることも拒否してる。プログラムが作動しているのは、その証拠」

「・・・っ! あなたは、からだが手に入るんなら、だれのだっていいっていうの⁉︎」


 そう叫んだみさきの目に、怒りの火花が飛び散る。


「みさきになにがわかる! からだが朽ちて、終わりを迎えない限り、生まれ変わることだってできない! なんにもない真っ暗闇を、ただ、さまよい続けるなんて、あなたに想像できる⁉︎ わたしは、そんなところに、二度と戻るつもりはない!」


 セレインは、鋭い瞳に、閃光を走らせて言った。


「じゃあ、結城くんはどうなるのよ!」

「海斗は、いまのわたしと同じように、魂だけになって、どの世界にもアクセスできない歪みで、漂うことになる」

「・・・っ!」



 みさきの鼓動は、頭の回転よりも、何倍も速くなっていた。



(ちょっと待って。わたしは、こんな話、信じるの・・・? だまされてる・・・? 詐欺かなにか・・・?)


 水を加えすぎた水彩絵具のように、うしろの壁が透けて見える人魚の姿を、みさきは、食い入るように見つめる。


(でも、わたしは、結城くんがこの人としゃべってるのを、確かに見た・・・。真剣な目をして・・・必死に、彼女からわたしを守ろうとしてくれて・・・)


 海斗の顔半分を覆っていたウロコは、首筋あたりまで侵食し、銀色のコケは、まるで何枚もの薄い爪のような形に変わっていた。


(そうよ・・・わたしは、その事実を信じないで、なにを信じるの・・・⁉︎)


 みさきは、鼻から吸い込んだ息を、お腹の深いところまで送り込み、肩がなだらかになるまで吐き出した。


「わたしを・・・結城くんと会わせなさい。それくらい、できるんでしょ?」


 そう言ってみさきは、セレインの目を直視した。


「できるけど、無駄なこと。みさきには、なにも変えられない」

「わたしが、結城くんを連れ戻す。彼は、必ずあなたを助けて、自力で目覚める。そしたら、このふざけたプログラムとやらだって、ストップするんでしょ?」


 みさきは、どんな大波にも立ち向かうような決意を、顔の真ん中に集めて言った。


「・・・それは、わからない。もう、実行されてしまってるから。少なくとも、わたしには止められない」

「そっ、それでも! このまま黙ってなんか見てられない!」

「・・・・・・」


 セレインは、潤んで奥底から光る、みさきの瞳に引き込まれる。そして、小さく吐息をもらした。


「わかった。なにをするのか知らないけど、海斗がいるところに連れていってあげる。ただ、すでに半分以上の移行が完了してるから、チャンスは一度きりだと思って」

「・・・わかった」


 みさきは、あごの下からにじみ出た唾液をゴクリとのみ込み、うなずいた。


(待ってて、結城くん! 今度は、わたしが力になってみせる!)


 みさきは、セレインに当てられたおでこから、広がっていく景色に身を任せる。そして、そのままリビングのテーブルに顔を伏せるようにして、意識が遠のいていった。



 その真っ暗闇は、まるで、みさきを宇宙に放り投げたように、上下左右を見失わせる。からだがあるのかないのか、目視では確認できないが、はっきりした意識だけを頼りに、みさきは海斗を探した。


「あ、結城くん!」


 みさきは、脱力して水面に浮かぶような海斗を見つけた。


「・・・みさき?」


 海斗は、声が聞こえた方に感覚を向ける。


「みさき、こんなところで、なにしてるの・・・?」

「結城くんを迎えに来たんだよ! ほら、いっしょに帰るよ!」

「・・・迎えに来た?」

「セレインから話は聞いたよ。ミシェルのことも、結城くんが、なにをしようとしてたかも、全部!」


 みさきは、矢を降らすように、言いたいことを並び立てる。


「・・・そっか」

「うん! だから―――」

「じゃあ、おれのことも、よくわかったはず。なにもできないやつだから、このまま放っておいてくれていい」

「は?」


 みさきは、いままでの勢いをスポンジに吸収されたように、肩をガクリと落とした。


「セレインがいないと、みさきも助けられなかった。おれは、どうしようもない、無力なやつなんだ」

「へ?」

「ミシェルも・・・十回目くらいからだったかな。助けられないことを知ってて、ただ、おれの都合で、何度も死なせてた」

「・・・っ!」


 みさきは、もう一度、全身を奮い立たせる。


「あきらめたくなかったんでしょ⁉︎ それは、結城くんがやさしいから―――」

「そう、やさしいだけじゃ、守りたい人を、だれひとり守れないんだって、よくわかった。だから、ここにいる方が、ずっと楽なんだ」

「・・・っ!」

(な・・・なになに? 結城くんって、こんなにネガティブな人だったっけ⁉︎)


 みさきは、もう一度、はちまきを締め直し、海底に沈んだ海斗を引き上げようとした。


「じゃあ・・・っ! あの人魚の好き勝手にさせるって言うの⁉︎」

「セレインか・・・。あいつはあいつで、手に入れたいものを手に入れてるはず。おれがいなくても、なんの問題もない。だろ?」

「彼女は、結城くんと自分のからだと交換しようとしてるんだよ! そしたら、結城くんは、ずっと、ここから出られなくなるって・・・っ!」


 みさきは、打っても響かない海斗を前に、途中から言葉をしぼませてしまう。


「・・・そっか。それなら、それでしょうがない。あいつらしいな」

「・・・っ!」

(待って待って待って・・・っ! わたしの結城くんのイメージが・・・っ! 別人みたいに根暗じゃない!)


「みさき、おれと関わったせいで、君を危険な目に合わせてしまって―――」



「ちょっと待ったぁぁぁぁっ!」



 とうとう、みさきは、すべてを脇に蹴飛ばすようにして叫んだ。


「みさき・・・?」

「言っとくけど、わたしは、結城くんと関わって、なにひとつ後悔なんてしてないから! 勝手にわたしの気持ちを想像して、自分を責めて落ち込まないでよ!」

「・・・・・・」

「助けられなかったって思ってるのは、結城くんだけだよ!」


 みさきは、髪の毛を振り乱し、歯茎が見えるほど口を大きく開ける。


「でも、みさきに怖い思いをさせたのは、事実じゃないか・・・」


 そう言って海斗は、スッと視線をそらし、うつむいた。


「うん、すっごく怖かったよ」

「だろ? だから―――」

「でもね、それを悪いことだって思ってるのは、結城くんなんだよ」

「へ・・・?」


 徐々に、みさきの荒々しい息は、なだらかな海面を照らす月光のように、やわらかいものに変わっていく。


「わたしが感謝してるんだから、それでいいんだよ。ミシェルも、同じことを言ったんじゃないかな・・・」

「・・・それでも―――」

「結城くん、よく聞いてね」


 みさきは、海斗のほおを両手で持ち上げるようにして、自分に注意を向けさせた。


「本当に起こってたことってさ、たった一回の失敗じゃないんだよ」

「・・・っ!」

「お願いだから、真実に目を向けて」

「・・・真実?」

「結城くんの中で、ミシェルやわたしと過ごした、楽しくて、幸せな時間が、なかったことになってる」

「・・・・・・っ!」


 海斗は、脳みそが吹き飛ぶような衝撃を受けた。


「それは、わたしが唯一、結城くんとつながれるとこなのに・・・っ!」

「みさき・・・」


 みさきの目が、いまにもこぼれ落ちるほど潤っている。


「だからね、わたしは・・・わたしは・・・」


 海斗は、息を止めて、一呼吸置くみさきを見つめた。




「結城くんに、500年前のわたしと生きないで、いまのわたしと生きてほしい」




「・・・っ!」

「じゃあ、わたしは行くね。待ってるから」

「み、みさき・・・っ!」


 直後、海斗は、透けて姿が見えなくなっていくみさきに手を伸ばした。みさきのやわらかい笑顔と、その奥に見えた芯の強さが、ゆっくり尾を引きながら、心に刻まれる。


「・・・・・・」


 海斗の内臓が、じんわりと熱を帯び、手足の先に感覚が戻っていく。さらに、全身からみなぎる力が、海斗の精神を強固なものとし、瞳に研ぎ澄まされた光を宿らせた。



 そして、海斗は、大きな木造の船の甲板にいた―――。



「カイ! そこにいたのか! メシとってきた!」

「ミシェル、あ、ありがとう・・・」


 そう言って海斗は、ふやけた豆が入ったボウルを受け取り、何十回も繰り返したシーンに入り込んでいく。


「カイ、食べないの?」


 ミシェルは、深刻な顔をする海斗を、のぞき込むようにして言った。


「・・・ミシェル、いまから言うことを、聞いてほしい」

「へ? うん」


 ミシェルは、ボタッとスプーンの際からこぼれる豆を、口に運びながら答える。


「この船は、もうすぐ嵐に遭って沈む。おれたち乗員は、全員、海に投げ出されて、波にのまれてしまうんだ」

「カイ、なに言ってんの? こんなに晴れてるのに・・・」


 そう言ってミシェルは、海斗の背景に広がる青空と太陽を眺めた。


「でも、安心して。おれは、最期までミシェルのそばにいるから」

「・・・カイ?」


 ミシェルは、スプーンをボウルに置き、口の中に残った豆を噛まずにのみ込んだ。


(みさきにあそこまで言わせてしまったんだ。おれは、自分自身に決着をつける)

「なんだかよくわかんないけど、わたしは、どんなことが起こっても、カイを信じる。それだけは、なにがあっても変わらないからな」

「・・・ミシェル」


 ミシェルのすこやかな顔に、みさきが重なって映る。何度も聞いたはずなのに、スッと、からだに溶け込んだその言葉は、海斗の胸を陽だまりのように温めていった。



 数分後―――。


「カイ! 本当に嵐が来た! 帆をたたむぞ!」


 そう言ってミシェルは、ボウルをデッキに投げ捨て、マストに向かって走る。海斗は、皮膚にしぶきを上げて叩きつけてくる土砂降りの中、ぼやけるミシェルの背中を追う。


(ミシェル、いったん、ここでお別れだ)


 海斗は、作業に集中するミシェルの横顔を見ながら、息を合わせてロープをたぐる。


(おれは、もう、君を悲しませることはしない)


 そして、ふたりは、天地が回転するような荒波で、海中にねじ込まれていく船から放り出された。指先が触れ合ったのを最後に、ミシェルは大きなうねりに噛まれ、捕らわれていく。


(どの時代でも、君が君でいてくれて、ありがとう)


 そうして海斗は、薄暗い海の中で、ミシェルが見えなくなるまで見届けた。そして、入れ替わるように、正面から突進してくるセレインに、すぐさま身構える。


(来い! セレイン! おまえを助けてやる!)


 セレインは、海斗の横を通り過ぎる瞬間、フックで引っかけるように、海斗の腕に手を伸ばした。



 海斗は、それを弾き飛ばすように払いのける―――。



 そして、セレインの腰のくびれに腕をからめた。


「・・・っ!」


 セレインは、一瞬戸惑うも、尾ヒレを動かし浮上を開始する。


(そう、おれがしがみついて陸に上がれば、セレインがおれを助けたことにはならない! おれに構うな! そのまま行け、セレイン!)


 海斗は、まるでからだに巻きついた海ヘビのように、セレインの遠心力にびくともせず、最後の最後まで腕をほどかなかった。



 数時間後―――。


「は・・・っ!」


 海斗が目を覚ますと、地肌がむき出しになった陸が飛び込んできた。


「いい加減、離して」


 頭上から聞こえたセレインの声。海斗は、太陽の光で虹色に輝く漆黒のウロコの上で、彼女の腰に手を回したまま気を失っていた。


「セ・・・セレイン」


 海斗は、ゆっくり上体を起こし、尻を引きずるようにしてセレインから離れる。すると、セレインは、すぐに頭から海に飛び込んで姿を消した。



 海斗の心を映すように、おだやかな水平線がエメラルドグリーンに輝く。



「ふう・・・っ」


 海斗は、バタッと仰向けになり、ぽっかり浮かぶ白い雲を見つめた。


(・・・じゃあな、セレイン。おまえとの生活も、悪くなかったよ)


 そして、優雅に旋回する海鳥を眺めながら、再び意識が遠のいていった。

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