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閑話 ウディッツ②

前回の続きで『絶望』から『嫌疑』くらいまでの話です

閑話は後1話かな?

「ウディッツ!!大変だ!イオラが狩人ギルドに殴り込みに来やがった!」

「は?殴り込み?」

まてまて、思考が追い付かないよ・・・・殴り込み?なんでだ?

「カンプファン領で作られている交易村を元ペールデンテの物が占拠したらしい。それを宣戦布告とみなしてペールデンテを攻撃すると」

「は?どうしてイグノランテに、ってあの娘が人を集めていたんだった!領主は!領主の対応はどうなんだい?」

「・・・・領主、ニール騎士爵は数名の者と共に殺害されていたそうです。死因は生きながら食われたことかと」

「まさか・・・イオラたちが殺ったのかい?」

「・・・・・いえ、大型の獣に咬まれたようであると」

「グランツに緊急連絡!エクス、イオラ、テスタロッサの三名が来たら引き止めさせろ!私がケンプファーへ行く!」

私は急ぎ準備をしてケンプファーへ急ぐ



流石にこの歳で走らされるのも堪えるね・・・・1日かかっちまったよ

ようやくケンプファーへ着いた私は早速。入街手続きをしようとしたところでアルカに追いつかれた

「ウディッツ・・・・ペールデンテが・・・・壁で覆われてしまい・・・・逃げることも出来なくなったそうです」

なんてこったい・・・・

「わかった・・・・とりあえず、ギルドへ行くよ。アルカは引き続き情報収集をしな!」

何も言わずアルカは消えるように立ち去った

はぁ・・・グランツが止めていてくれればいいけど・・・・・


「エクスはいるかい!!」

ギルドのドアを叩き飛ばすように開けて入る

「いたね!そこの!グランツを呼びな!」

直立不動の受付娘にグランツを呼ぶように伝えると、すぐにやってきた

「グランツ!緊急連絡の準備をしな!」

「イエス!マム!」


「イグノランテ!イグノランテ、応答しな!!」

緊急連絡用オーブに向かって喋る

『う”ぇ・・ウディッツざん・・・・ズズ・・・ウディッヅざん・・・だすけで、ぐだざい・・・』

「いまエクスの首根っこを押さえている。確認のためにも落ち着いて説明してみな」

とりあえず落ち着かせないと


『はい・・・二日前の夜にイオラちゃんが、ペールデンテのギルドに来ました・・・・』

「イオラ?イオラって誰だい?」

ここは知らない振りをしないといけない。

「イエスマム!エクスの仲間で使徒を倒せる実力者であります!」

グランツが後ろ手を組み足を肩幅に広げた状態で答える

「使徒?あのハーピーの仲間かい?分かった。それで?」


『彼女は非常に怒っており、こちらの言い分は一切聞いてもらえませんでした・・・・』

「ふむ。何で彼女はそこまで怒っていたんだい?」

『はい。沼地の近くにカンプファン卿からの出資とテスタロッサが開拓した土地にペールデンテからカンプファン領へ亡命する者が交易村を作るはずでした』

此方の情報と一致するね


「待ちな!また新しい名前が出てきたね。テスタロッサってのは?」

「イエスマム!エクスの仲間で北の森を一晩で開拓できる実力者であります!」

グランツが後ろ手を組み足を肩幅に広げた状態で答える。そいつも化け物かい

「また、コイツの仲間かい。わかった、それで?」


『イオラちゃんが言うには、その開拓村は『ペールデンテの物である』と宣言し村を占拠したそうです』

「『ペールデンテの物』だと言い切ったんだね?」

『はい、それをイオラちゃんはペールデンテが騙して『前線基地』を作ろうとしたと』


『この行為でペールデンテが再度、戦争を仕掛けると判断したそうです。彼女は、ペールデンテを消すつもりですよ!』

「落ち着きな!カンプファン領では戦争の準備は行われていないよ!そうだねグランツ!」

「イエスマム!ケンプファーでは戦争準備をしておりません!」

「そうさ!戦争の準備ってのは時間がk

「しかし!エクス、テスタロッサ、イオラの3名は単独でペールデンテを消滅させる力を有しています!」

は?

単独で街を消せる?


「・・・・・なんだって?グランツ・・・もう一回言ってもらえるかい?」

「イエスマム!エクス、テスタロッサ、イオラの3名は単独でペールデンテを消滅させる力を有しています!」

「・・・・・こんな時に、冗談はやめな!」

「ノーマム!事実です!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・戦争の準備は・・・・・・・・・・・・・要らないってことかい・・・」

ふらりと現れて街を消滅させる・・・・そんなものは災害以外の何物でもない


「そのイオラってのに納得してもらわなくちゃならないのかい・・・・・その村に確認しに行ったかい?」

『あい・・・イオラちゃんが来てから直ぐに緊急依頼を出して現状確認に行かせました』

「それじゃあ今度はその話を聞かせておくれ」


『開拓村へ向かった狩人は、途中で逃げてきた村人と合流したそうです。総数348名、全員が骨折などの怪我を負っていました』

「全員が、かい?人数が合わないね。例の部隊は12人なら残りの40人はどうしたんだい?」

『・・・・その・・・・・・・あのあたりは、魔物が活性化していたようで・・・・引き上げる途中で・・・』

戦闘が出来ずに襲われたのか・・・


「くははは!仲間を見捨てて逃げたか!さすが恥さらし共!!自分たちのことしか考えてないな!!」

『ぅぐぅ・・・・ぃぅ・・・ズズ・・・・・』

「あんたはちょっと黙ってな!イグノランテ!続きは?帰ってきた奴らの話はどうだったんだ?』


『・・・ズズ・・・・あ”ぃ・・・話をぎいたんですが・・・イオラちゃんの言う通りでした・・・・』

「それで、そいつらはイオラってのにやられて引き上げてきたのかい?」

『いえ・・・イオラちゃんは開拓村の破棄を宣言して、ワークルエ隊を連れて村を出たそうです』

『翌朝・・・テスタロッサを名乗る女性がワークルエ隊の荷物を取りに来たときに『ペールデンテの村』であることを宣言し彼女を追い返そうとしたそうです』

考えなしの馬鹿どもだね・・・・


『その後、侵略者と見なされ攻撃されたそうです。その時、村の柵も家も全て壊されてしまったと』

「女一人でかい・・・・そうかテスタロッサて『赤髪熊女』かい?」

「彼女に聞かれると命日になるよ?」

エクスが声を掛けてくる

「ああ、女に付ける二つ名じゃないね。肝に銘じるよ」

物騒な奴らしいしね


「それだけじゃなさそうだね。他には?」

『イオラちゃんが村に来たそうですが、ワークルエ隊をないがしろにしていたらしくイオラちゃんがその対応に激怒しました』

「他の奴らは家を建てて住んでいたが、彼女たちはテント一つで生活していた。どうやら村の中でも狙われてたらしいな」

またエクスからの説明が入った

こいつらは密にやり取りしているってことだね


「ワークルエ隊ってのは例の部隊だね。若い女ばっかり・・・そういうことかい」

「下種どもだよ・・・あいつらは」

『・・・・どういうごと?・・・・村の中で、狙われる?・・・・』


「開拓村には若い女が居なかった。家があると鍵を掛けられる。戦闘で疲れさせれば体力もなくなる」

「そのイオラが怒るのも解かっちまったねぇ」

『・・・・・・・・・・・・・え・・・・・・・・・・・・・な・・・・・・・・・・・あ、あぁあいつらぁぁ!』


「それで、ウディッツさんよ。彼女たちの怒りをどうやって納める?」

「難しいねぇ。私はその二人に会ったことないからねぇ・・・・」

『だから、イオラちゃんは壁を作ったんだ・・・・逃げられないように・・・・・あいつらの・・・あいつらの所為で・・・・』

イグノランテの様子がおかしい?


「まちな、イグノランテ!壁が何だって?」

さっきアルカが言ってた奴か

『壁です・・・高い壁が全てを囲ってるんです・・・・逃げ場がないように・・・・・』

「隙間はあるだろう?」

『ああ・・・ああ・ああ、あるとも!人がギリギリ通れるくらいの隙間がな!!お前らは我々をいたぶって楽しいのか!なぜ街の民を巻き込むんだ!責任者たる騎士爵もいないんだぞ!!』

予想以上に徹底している・・・・本当に逃がさないつもりかい?


「楽しい訳ないだろう?そもそも街の民が噂していなければワークルエ隊は蛇討伐に行かなかったんだろう?巻き込む前に当事者だよ」

「まちな!騎士爵が居ないって?じゃあ誰が管理してるんだい?」

『騎士爵は亡くなりました・・・現在は領をまとめるものは不在です・・・・』

代理もいないのかい


「エクス・・・・一つ答えな・・・・アンタの仲間は止まるかい?」

「俺の仲間は魔物ではないよ。納得させてみな」

「戦争回避は出来るんだね・・・イグノランテ!動くんじゃないよ!!」

『・・・・・・・・・しかし!あいつらのしたことを公表して・・・』

「そりゃ悪手だよ!へたすりゃ暴動になって自滅だよ!!」

そいつらの首を出して逃れようとするだろうね


「そのままでも暴動になるさ。外部からの供給が出来ないんだからな。街中で食料なんかの奪い合いになるだろうさ」

「なんて悪辣な・・・・・エクス・・・説得は出来るかい?」

「・・・・指名依頼かな?」

指名依頼なら受けるってのかい


「いくら掛かる?」

「グランツ、ペールデンテの人口は?」

「たしか1万くらいだったはずだ」

「白金貨で10枚・・・・だな」


『白金貨で・・・・10ー!・・・・エクス!あんた馬鹿にしてるの!人の足元見やがって!!』

「エクス・・・白金貨で10枚っていや街の年間予算5年分だぞ?」

イグノランテもグランツも驚くのも無理はない

そんな大金を1回の指名依頼で使うなんて聞いたこともない


「おいおい、こちらとて命がけになるんだぞ?トゥレライトごときの魔法とは比べ物にならんのを相手にするんだぞ。しかも二人」

「イグノランテ!グランツ!落ち着きな。エクスの言う通りだよ。命がけの仕事にはそれなりの報酬はいるものだ。それによく考えな!一人金貨1枚だよ!集める価値はあるんじゃないのかい?」

一人当たり金貨1枚だ

これは指名依頼では高い金額では無い


「いいかいイグノランテ。商業ギルドと庁舎にいる街長に説明して、なんとしても金を集めな!いいかい、一人金貨1枚だ。けっして不可能な金額じゃない。不足分は下種どもから取り立てればいい。今は金集めを優先しな!」

『あい!・・あい!わがりまじだ!!』


「さてエクス。特別指名依頼だよ・・・・いったからには受けてくれるんだろう?」

絶対に受けさせてやる

「・・・・・あいつらを抑えるなんて、使徒を100体倒す方が楽なんだがな」

「受けてもらうよ」

「・・・了解」



ピリピリしているところにキヨネという娘がエクスを訪ねてきた

どうやらイオラからエクスを訪ねるように言われていたらしい

酒場で食事をさせるつもりみたいだね


「むう・・・塩焼きは、不味い。同じ味ばかり」

「そりゃぁ調味料が塩ぐらいだしな。イオラみたいにはいかんさ」

「でも、エクスかテスタロッサなら、出来ると聞いた」

この苛ついているときに、勘にさわるね


「ちょっと待ちな!さっきから聞いてりゃ随分な言い草だねぇ。私たちの作った物が不味いってのかい?」

「使っている調味料がすくないから、味の幅がないだけで不味くは無いぞ?」

「塩味だけ。煮る、焼くしかしない。不味い」

ほう、はっきり言うじゃないか


酒場のパームにいって厨房を貸す代わりにエクスに料理を作らせる

しかし、その前にこのキヨネにも私の飯を食わせて美味いと言わせてやる

「さあ出来たよ!嬢ちゃん食べてみな!」

タリバー肉のステーキ

塩で味付けをしたあとバリーの実を潰したソースをかけている

付け合わせは焼いたジャガイモに煮たニンジン

後は野菜の沢山入ったスープに白パン

渾身の出来だよ


「・・・・エクス・・・・」

キヨネが呟いた

「贅沢なのはわかってる・・・・味のある、温かいごはん。作ってくれて、ありがとう」

両手を合わせて頭を下げる

味があるのは当たり前だろう?それが、贅沢?

「なぁエクス。この子はどういう食生活をしてたんだい?」

何か知ってるだろうエクスに聞く

「想像以上のことさ」

味のない、冷たい、食事とも言えないものを食べてきたって?

~~~私は八つ当たりしてたのかねぇ

全く大人げない!

エクスはキヨネを思って食事を作るんだ、自分の意地でなく・・・・

出された料理を食べて更に打ちのめされたよ・・・・


しかし大量に食べたね、この娘

は?サルトラ?って何だい?

サルの顔をしたトラ?

見たことも聞いたこともないね


エクスはキヨネを送り出して、そのまま街を出ていった

ペールデンテへ向かうつもりかねぇ

私は後を追いかけていった




「ウディッツ、ついてこられると迷惑なんだが?」

ちっ!やっぱり気づいていたか

探索系のスキルでももっているのかね

「おや、やっぱり気づいてたかい?私も年かねぇ」

「それは俺の感覚が鋭いってとこじゃないの?」


「エクス・・・あんた、何者だい?」

王国を害する者なのか・・・・

「それはこっちが聞きたいね。ウディッツ、あんたこそ何もんだ?国の諜報、『騎士の誉れ亭』の仲間ってとこか?」

そっちも気づいいた?

やはり同業か?

「ギルドは国家不介入が原則だから、隠れ蓑にはちょうど良かったんだろう?」

「何のことだい?国の諜報ってのが、私となんの関係があるのかねぇ」

何か気づかれる事でもあったか・・・・

「大体さ、ありえないんだよ。国の領主同士の戦争で国の仲裁がないってのはさ。諜報が情報を集めて調査しているんだろ?」

「・・・・・・・・・・はぁ、勘のいい奴は嫌われるよ。いつ気づいた?」

「今回の件は、ほぼ難癖だからな。こんなことで戦争が起きたら拙いから、あんたが動いた」

その通りなので、黙ってうなずく


「ケンプファーで戦争準備がされてないのを確認したアンタはイグノランテを落ち着かせるために来たんだろう」

「・・・・・あの娘は、そそっかしいからね。やらなくていいことをして自滅しかねなかった」

「想定外だったのは、俺たちが単独で街を消滅できるとグランツが進言したことだろう?」

「そんな人間はいるわけない。・・・が、ハーピーを殺ったあんたなら・・・・やりかねないと思ったさ」

いや、間違いなく出来るだろうね

背中が汗でべしょべしょだよ


「それで?俺を追ってどうする?」

「私をイオラに合わせな!ペールデンテの何が気に入らないのか教えてもらいたいね!」

最初の怒りはイオラだ

彼女を説得できれば何とかなるかもしれない

「さあな。気に入らないのはイオラじゃなくてテスタロッサかもな。いや、フィーダの執念かもな・・・・・」

テスタロッサって奴もかい・・・面倒だね・・・

「フィーダ?」

福得不明の娘?執念?


「追っても無駄だよ?イオラにはいつか会えるかもな」

いきなり、凄い光が辺りを照らす

つい目を閉じてしまった

辺りが暗闇と静寂に包まれている

「・・・ちっ、完全に撒かれたみたいだね。まったく・・・底が見えない小僧だよ」

光魔法かねぇ

気配もないから、これ以上追うこともできないか

しょうがない

一旦引き上げるとしようかね




私はケンプファー狩人ギルド併設の酒場でグラスを磨いていた

「ウディッツ。ペールデンテ、ヤバイっすよ。急に凄い火の竜巻が起こってペールデンテに向かったんですが、街側の壁に立っていた人影が魔法、多分冷却系だと思うんですが、を撃って消滅させました」

火の竜巻・・・・イオラかテスタロッサか・・・・

「術者は確認できたかい?」

「いえ。気配は全くつかめませんでした。火の竜巻が消えた後、人影に向かって光の玉と火球が飛んでいき土壁を破壊しました。10発づつはありました。その後、しばらく音も何もなかったのですが、深夜にペールデンテを覆っていた土壁は全て崩れました」


周囲の壁がなくなった・・・てことは説得に成功したと思っていいのかねぇ

「いまはイグノランテへ連絡が先だね。説得に成功したなら良いんだけどねぇ」


イグノランテとの連絡で状況を確認したらアルカの証言と一致した

説得で止めてくれたみたいだ

しかし、街を捨てて逃げる事を勧めておくか



朝になりエクスがギルドへ顔を出した

「どうやら、何とかなったみたいだね」

「先延ばししただけだろ?」


「イグノランテからの連絡で聞いたよ。炎の竜巻が襲って来たのを一人の魔導士が止めてくれたんだと。そのあとも雷や爆発の音が響いて恐ろしい思いをしていたら、こんどは囲っていた土壁が崩れ去ったってね」

「まだ封鎖を解いただけだということを忘れるなよ?土壁がないということは次は当たるぞ?」


「・・・引いてないのかい?次もあると」

「支払の補償もされてないのでな。言っただろう、先延ばししただけだと」

「はぁ・・・・まいったね。踏み倒したら、もう庇い様がないよ」

少しでも理解力のある者が残っていたら良いんだけどねぇ


私はグランツを連れてイグノランテに確認の連絡を取る

「イグノランテ、指名依頼代は揃いそうかい?今は一時的に攻撃を止めているらしいんだよ」

『それが・・・・商業ギルドのアビデ頭取がそのような金は出せないと。こちらの回答前に解除したのだから支払う義務はないし、

これは脅迫だから、むしろ慰謝料を請求すると・・・・・狩人ギルドの資金の残りも大金貨1枚もないです』

大金貨1枚?すくな・・・そうか、狩人達が預金をおろしたのか・・・・まったく!こんな時に!!


「いいかい、イグノランテ。賛同者を集めて、とっとと街を離れな。馬鹿に付き合って死ぬことは無いよ」

『・・・ウディッツさん?・・・・イオラちゃんの説得は・・・・』

「あきらめな・・・・・私も庇い様がないよ。いいかい?お前が信用する者と一緒に街を出てケンプファーへ向かうんだよ。私はそこにいるから、諦めるんじゃないよ!」

私は通信を切った

「・・・・・・・・・エクスは動かないでしょうな」

天井をみてグランツは呟く

それでも話だけはしとかなくてはねぇ・・・・・


扉がノックされる

「なんだ?」グランツが出ると受付娘が依頼書を持ってきていた

それを見てグランツが怒りだしたので、その依頼書を見せてもらった

「なんだいこれ?5属性エクスに指名依頼?街の防衛に金貨5枚?ふざけているね!相場も知らないのかい」

依頼者はペールデンテ商業ギルド?

イグノランテの言ってた奴か


私とグランツは酒場にもどりエクスに話をする

「資金集めに失敗したようだな。勝手に解除したのだから支払う義務はないとか言ってるのではないか?」

「・・・・そのとおりだよ。むしろ恐喝をされたのだから慰謝料を請求するだとさ」

「ペールデンテの商業ギルドが、あそこまで馬鹿だとは思わなかったぞ・・・」


「想定内だな。それがペールデンテの回答なんだろう?」

「おま・・わかってたのか・・・」

「次は俺に防衛しろとか言ってくるんじゃないか?ま、お断りだがね」


「お前の言う通りだよ。商業ギルドはエクスに指m

「エクスに伝えられたらいいな。どこにいるかもわからない狩人に指名しても直ぐに動けないだろう?」

どうやら聞く気はないらしい

私でも断るね


「俺は何も聞いていないし、北の森でラングシュワートティーガーを狩る予定なんだ。ペールデンテの防衛は自分たちで何とかするんだな」

「国からも出資はむずかしいしねぇ・・・せめて領主が生きていれば何とかなったんだけどねぇ」

「昨夜は暴れたらしいから今日の夕暮れまでは二人とも寝てるだろうよ。イグノランテによろしくな」

「わかったよ、グランツ!緊急連絡だよ!」


もう一度、緊急連絡をする

「ウディッツ、エクスは何を言ったんだ?」

「聞いてただろ?『夕暮れまでは二人とも寝てる』ってね。夕暮れまでに街から出れば見逃すって言ってんだよ。それをイグノランテに伝えろとね」





昼過ぎにイグノランテから連絡が来た

『ウディッツ・・・・街を捨てる覚悟が出来たものが100人位・・・これから出立しますので、最後の連絡となります・・・』

「ああ、まってるよ。気を付けておいで」

「エクスは夕方まで攻撃しないといったんだ。自棄になるなよ。あいつは約束を守るからな」

ふん。グランツも偶には良いことを言うじゃないか



夕方になってギルド内があわただしくなった

受付娘が急いで、こっちにやってくる

「ウディッツ!イオラちゃんが来ました!」

イオラ?あのドピンクの娘かい

私は急いでピンク娘に近寄った


「あんたがイオラだね!ペールデンテへの攻撃をやめてくれないかい?」

しかし、ピンク娘は黙っている

「ん?違うのかい?アメリー、彼女何だろう?」

「イエス、マム!彼女こそがイオラちゃんです!」

受付娘はイオラだという

「なんとか、言ったらどうだい!あんたがイオラなんだろう!」

つい声が大きくなる


「あんたが何者か知らないけど、礼儀作法からやり直してきな!」

しまった!

確かに私は名前も言っていない

帰ろうとしたピンク娘を回り込んでギルドのドア前に立つことが出来た

「礼儀がなってなかったのは謝罪する。私は狩人ギルド本部所属のウディッツという。貴女がイオラ嬢でしたら話をさせて貰えないだろうか?」

焦り過ぎた私のミスだ

何としても話を聞いてもらわなくてはならない


「それで?ギルド本部のお偉いさんが何の話を?私はギルド員ではないから命令など意味ないわよ?」

「命令する気は毛頭ない。何故そこまでペールデンテを消そうとしているのかを教えてほしいのだ」

どうやら話を聞いてくれるらしい


「気に入らないから。自分勝手で人任せ、人の失敗に文句を言い自分の失敗は言い訳三昧・・・・相手したくないでしょ?」

は?それだけ?

「それは・・・それは人間なら誰しも大なり小なりあるんじゃないか?」

「だからこそ恐怖を植え付けるのよ。その為の贄でもあるわね」

イオラはくすくすと笑っている

「そんな、そんなことの為にペールデンテを、イグノランテを殺すのか!」


「あなたが救いたいのはペールデンテじゃなくイグノランテでしょ?あなたも自分勝手なのね」

「・・・・・・・・・・・・そうだ、アレは不器用で要領が悪くて失敗ばかりするが、私の教え子なんだよ!」

怒りを通り越して涙が出てくる

「師弟揃ってそそっかしいのね。アレは見逃したわ。エクスは甘いから」

「イグノランテは、生きてる・・・・」

足から力が抜けていく

「勝手に殺さないでほしいわね。私たちは、まだ誰も殺していないわ」

「あ、あぁ」

「それじゃぁ、もういいわね」

それだけ言ってギルドから去っていった


ペールデンテからケンプファー迄5日はかかる

それまでは待機するしかないのか



明け方、テミスとアルカがケンプファーへやってきた

鍛えたとはいえ、こいつらの移動速度も異常になったもんだ

「ウディッツ・・・・ペールデンテは半壊ですよ・・・・復興には時間が掛かりそうです」

「イオラとテスタロッサかい?」

「いえ・・・・魔物です。魔物の群れが現れました」

「蟲のスタンピードです。おそらく森の奥にいた大型種に追われたんだと思われます」

テミスは街中、アルカは周辺を探っていたのかね


「順番に話しな」

「では、私から。夜中に壁の外が激しく光り、そのあと街壁の一部が崩落しました。次に光ったときは、反対側の壁も崩落していました。その後、何かの叫び声が響き、しばらくすると大量の蟲が街を目掛け襲って来たのです」

光が壁を壊す・・・・エクスも強烈な光を出していたね


「戦えるものは蟲を始末しておりましたが、多勢に無勢。すぐに引くことになったのです。暫く戦っていたところ空から天使が降りてきたのです」

天使?何をいってんだいテミスは

「後光を指しながら庁舎の上に立つ天使は大地から槍を出し、火球を撃ち始めました・・・・地中にいる蟲には雷を落とし、石畳を砕きながら切り刻んでいました」

「その天使に助けられたのかい?」

「助け?・・・いえ、助けではありません。アレは人も蟲も関係なく攻撃していました。アレが天使なら、神は人間も魔物も関係ないと思っているのでしょうね」


「次に私が。私は周囲の探索をしていました。光を見たのは2回。すぐに打ち出した場所へ向かったのですが、正直遠すぎました。ペールデンテから1キロは離れていましたので、着いた時には誰も居ませんでした」

一キロだって?そんな射程の魔法なんて聞いたことないよ


「現着した時に獣の方向を聞きました。その場から確認した所、大量の蟲を追い立てて巨大な蜘蛛が森から出てきていました。他にも蜘蛛種が大量にいたのを確認しています。あとは高い建物に背中に羽の生えた人が立って魔法を放っていたのを見ました」

面倒なことになった・・・・

庁舎に詰めているカンプファン卿に相談する必要があるね

「ああ、それと。私がケンプファーへ移動している最中に野営している集団が居まして、イグノランテが居たので彼女だけ先に連れてきました。今、下の酒場で待機しています」

私は一瞬、呆けた

しかし、頭が理解した時には酒場に入って、イグノランテを抱きしめていたよ

部下の手前だけど、この時だけは泣いてしまったねぇ



領主への説明が終わったころに扉がノックされる

領主が許可を出すとエクスが入ってきた

「なぜ、『騎士の誉れ亭』の者がここに?」

「こいつらは私の部下だからだよ」

「ああペールデンテの情報を探ってたわけか。それで?」

胡散臭い回答だね


「ペールデンテは壊滅したよ。こいつらが確認したから間違いない」

「ほう。何で壊滅したんだ?イオラもテスタロッテも自重していたぞ?」

「まず、街が壊滅したのは魔物のスタンビートだ。見たこともない大蜘蛛が森に居たのを確認した。そいつらに追い立てられて森から流れ出たのだろう」

「蜘蛛?あの辺りは毛虫やムカデじゃなかったか?」

蜘蛛の存在を知らない?


「最大の物で家ほどもある大蜘蛛でした。その最大の物も町の対応をしているうちにロストしましたが」

「ふむ、そちらのお嬢さんが確認されたのか。最大の物というと複数いたのかな」

「先ほどの大きさのものは一体でしたが半分くらいの大きさの物を筆頭に100は超えていたかと」

「それはきついな・・・街は蜘蛛に落とされたか?」


「いや。街に入り込んだ蟲を街ごと破壊していった者がいた」

「エクス、あんたの同類はイオラとテスタロッサだけかい?」

こいつら並みの化け物がいるのか・・・・

「同類というのが解らんが、俺達程度の力量のものなら居るだろうよ」

いてたまるか


「羽根付は知り合いに居ないのかい」

「羽根付?ハーピーみたいなやつか?」

「いや。教会の壁画に書いてあるような人の姿で背中に羽が生えている者だった」テミスが答える

「そんな姿をしている奴なんて、それこそ使徒・・・・”人”か?」


「そうかもしれないねぇ」

ライヒ=グロウヴィカイト大司教の言ってた使徒って奴が一番臭い

だけど、コイツも絶対に関わっている・・・勘だけどねぇ


「やれやれ、手を下すまでもなかったってことか」

「いいや、もう一つ聞くことがあるんだよ。蜘蛛が来る前に光の帯が街の壁を壊したってんだよ」

エクスの挙動を見る

「光魔法で街の壁を破壊出来るのか?攻撃に向いた魔法ではなかったと思うが」

「ああ、光魔法はね。でも雷魔法なら?破壊力はあるだろう?」

動きに不信な点がない

無いからこそ怪しい


「確かに雷魔法なら攻撃力はあるな。しかし光の帯になるほどは光らんぞ?」

「そうなんだよ。どちらをとっても成立しないんだよ。だから聞きたい。壁を破壊したのはお前たちではないね」

「おれ、エクスでもイオラでもテスタロッサでもない。なんなら神にでも誓うか?」

駄目だね。

こいつは尻尾をださない。これ以上は無駄だね

「要らないよ。信じてもいないのに誓っても意味ないね。さて御領主、私の用事は済みました」


この後は領主の発案でペールデンテの移民を入植させる村を作る話が行われる

しかし、こいつは怪しすぎるんだ

近くにいる方がボロを出すかもしれないし、要観察ってとこだね



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