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閑話 ウディッツ①

初登場の『情報』から『絶望』あたりの話です

最初にあいつを見たのはアフェットゥオーソの酒場だった

ギルマスのカーツに情報収集を教えていたけど、アレには情報収集のセンスが無かったかからすぐにカウンターに入ったんだった


あいつ、エクスは酒場に入ってきたときに

「お姉さん、果実水一つ」

とか言うもんだから、思わず口元がゆるんじまったよ

「銅貨9枚だよ」

渡された額は銅貨10枚

フン!小生意気にチップを入れてくるとはねぇ


「わかってるじゃないか。そういう奴は長生きするよ」

最近の狩人はケチ臭い奴が多い中、こういう気配りができる奴が少なくなったよ


カウンターに背を預け、果実水をちびちびと飲む姿は情報屋のそれと同じに見えた

噂話に聞き耳を立てているよ。

まったく・・・同業者かね・・・・・・


暫くすると、査定終了の呼び出しを受けて酒場を出ていった

査定を受けているなら、情報屋じゃないのか?

しかもギルド長室へ?カーツが何か用があるってのかい?



客も少なくなったのでギルド長室でカーツに話を聞く

「カーツ!今日、若い奴を呼んでたのは何かしでかしたのかい?」


「若い奴・・・ああ、5属性ですか。事情聴取です。どうもトレインを押し付けられたようでしたので」

「トレイン?押し付けたんじゃなくて、押し付けられたんだね?獲物は?」

「タリバーです。大物でしたよ。しかも首を一刀で切り落としていました」

何だって?

タリバーっていや猪が魔物化した奴じゃないか

皮膚も相当固くなって、斧でも傷がつかない個体もいるんだよ?


「タリバーは確認したのかい?」

「もちろん確認しましたよ。見事なもんです。ああ、トレインした奴等は捕縛するよう指示していますよ」

「それは当然だね。剣の腕が立つのかい・・・・・ッとまちな!カーツ。5属性と言ったね?」

カーツに確認すると頷いていた

5属性持ちの魔法使いがタリバーを一刀で倒せるのかい?


「それと、沼の蛇と渓谷に住み着いたハーピーの情報を調べてくれと言ってましたね」

「蛇は知らないねぇ。ハーピーは最住み着いたって奴か・・・わかった・それは此方でも調べてみるよ」

聞けることは聞いたからギルド長室を後にする

よくわからん奴だけど注意した方が良いか?





5属性は数日たった頃、ふらりと酒場にやってきた

「昼飯と果実水を頼む」

「ランチは銅貨18枚だよ」

渡された銅貨は30枚

ランチ18枚と果実水9枚。3枚はチップかい?


注文を出してやると、もそもそと食べ始めた

昼にランチを食べにくる狩人ってことは、十分に稼ぎがあるのか?


「いくつか聞きたいことがあるんだが、構わないか?」

何かを弾き飛ばしてきたのを無意識で掴んじまった

毒が塗られていたら如何するんだって思っちまったが、飛んできたそれは銀貨であった

「なんでもは答えられないよ?」

その返事をするだけで精一杯であったよ


「簡単なことさ。渓谷のハーピーの事を噂してるやつらが居るだろ?その話を聞きたいのさ」

そういえばカーツにも調べさせているんだったね


まあ、銀貨1枚分の情報は与えてやろうじゃないか

酒場で聞いた噂をある程度教えてやった


「ありがとよ。ついでに沼地の蛇も噂を集めといてくれ」

また銀貨を弾いて寄越したのでそれを受け取る

「まかせな。金払いの良い奴にはサービスしてやるよ」

どのみち噂を集めなくてはならないんだから、ついでに聞いておいてやろうじゃないか



暫くすると、また酒場に顔をだしたと思えば鍛冶師を紹介してくれという

鍛冶師が素人に炉を貸すわけないだろう?

しょうがないので廃業寸前の飲んだくれの所を教えてやる

あのドワーフなら貸しがあるからどうとでもなるだろう


今度は素材を扱っている場所を聞いてきたので教えてやったのだが

本当にこいつは何者なんだい?



何日か経つとペールデンテの部下から妙な噂があると報告が来ていた

何でも領都のあちこちで誘拐事件が多発しているとのこと

破落戸やチンピラが誘拐されていると。

この噂も銀貨1枚で買っていく



ハーピーの糞まみれになった教会の奴ら、帰ってきたら教会に引きこもりやがった

全くみっともない

「さて腹黒坊やは、そろそろ準備できてんじゃないのかい?」

まったく、嫌味も通じやしない



翌日には、渓谷のハーピーを全滅させたらしい

丸焦げの死体を持ってきている

「こりゃ素材も取れねぇな・・・」

「そうなんですよ・・・・討伐依頼も未だ何処からも来てませんし、討伐報酬をどうしようかと・・・・」

カーツと受付娘が話している

「そうか、むう・・・どうするか・・」

「教会の兵たちも逃げ帰ってきた魔物ですよ?命がけの仕事に報酬なしは流石に・・・・」

カーツも受付嬢も困惑している


「はぁ~みみっちい男だね!報酬くらいギルドで出してやったらどうなんだい?そんなだから嫁も貰えないんだよ!」

つい口を出しちまった

「そうは言うがな・・・・」

「はぁ~情けないねぇ、いいかい?依頼が来ていないから街の為に命がけで戦った人間に金が払えない?そんなんじゃ狩人ってのは依頼書通りの仕事しかしなくなるよ!!そんなことも解かんないのかい?!」


周りにいた狩人達も文句を言い始める

「ぐ・ぐぐ・・・・・・・スマン、エクス・・・・・少し時間を貰えるか?御領主と商業ギルドに掛け合ってみる」

「はぁ、掛け合うだけかい?そういう時は『必ず報酬を取ってくる』ぐらい言いなよ!」

がっくりしているカーツに激を飛ばす


「やれやれだな。ウディッツさんよ、これで此処にいる奴らに飲ませてやってくれ」

飛ばしてきた物を確認して目を見張る

金貨を2枚だって?大体一晩の売り上げが金貨1枚くらいだってのに?


「小娘共!惚れるなら、こういう男にしときなよ。慎重で腕も経つだけでなく、気風も稼ぎも良い男にね」

受付嬢たちはコクコクと頷いてる

はぁ、ほんとに私も30若ければねぇ



翌日のハーピー巣穴確認には私も同行した

「ここが言われた場所です。見事に吹っ飛んでますな」

部下の一人であるテミスが答える

ペールデンテで宿を経営させて情報取集させている奴だ


「火魔法にしちゃ、雑だね。5属性も持ってたら、弱い魔法しか使えないのかねぇ」

「いえウディッツさん。魔力の残滓がまったくないので、魔法を使ってないと思われます」

コイツはアルカ

テミスと同じ情報収集のために連れてきた女だが潜入捜査などの方が得意みたいだねぇ


「そうすると、魔法も使わずに洞窟全部を焼いたってのかい?」

そう、洞窟の奥まで煤で真っ黒であり、残骸も黒焦げであった

エクスか・・・王国の敵になるか?

情報を洗いなおしてみようかね





カンプファン領とナール領に当てて、本部からの緊急連絡が回ってきた

「はぁ?トゥレライトが指名手配?あの爺さん何をしたんだい?」

金か?女か?・・金だな、あの爺は金の亡者だ

なにかしでかしたなら金がらみだね


『ケンプファーで収監していた犯罪者を脱獄させて、ペールデンテへ逃亡している。犯罪者は第一級戦犯であり十分、指名手配となりうる。奴の狩人ギルドとしての資格を全て剥奪。トゥレライトの捕縛へ動くべし』

本部からの指令とはいえ、あの爺は複合魔法を使うから厄介なんだよねぇ


「アルカ!先行して情報を集めてきな!テミス!小隊を編成、追撃するよ!」

「「了解!」」

~~~~~~~~~~~~~~~~~

「ウディッツ!小隊編成終了!いつでも出れます!」

「よし!それではこれより、トゥレライトの捕縛へ・・・

「ウディッツ!状況終了!状況終了です!!」

アルカが飛び込んできた

状況終了って何だい?


「エクスがトゥレライトを捕縛しました。こちらから出る必要がなくなりました」

「は?あの爺、耄碌して複合魔法を使わなかったのかい?」

「・・・・いえ・・・・複合魔法を、正面から受けて無傷でした・・・・・あれ、相当バケモンっすよ」

私は絶句してしまった

複合魔法を喰らって、無傷だって?そんな奴、どうやって倒したらいいんだい

アレは敵にしてはいけないね

どうにかして懐柔しないと





また緊急連絡だ。今度は何だい?

は?ペールデンテのイグノランテが扇動?カンプファン領へ進軍しただって?

何考えてんだい!・・・いや、考えてないのか・・・イグノランテは、考えずに行動する癖があるから・・・・

不味いよ!

このままじゃ、また戦争になっちまう

「ウディッツ!ペールデンテのイグノランテですが、蛇討伐の為に人集めをしたようです。が、ケンプファーへ連絡していないのでしょう」

テミスはペールデンテで直接、話を聞いていたらしい

「はぁ、あの娘の先走りかい・・・・カンプファン領に知らせてやりな・・・・」

「いや、連絡取れたらしいっす。イオラっていう娘が橋渡ししたとか」

アルカの情報である

王国の機関である、私たちより早く動けるなんて・・・・・仲間にほしいね


「そのイオラってのは狩人かい?」

「いえ・・・フリーのようですが・・・・エクスの仲間の様です」

「・・・・・・ここでもエクスかい・・・・・ん?テミス、どうした?」

「・・・・・・・・・・・・・いえ、以前うちの宿で騒動が起きた客なんですが・・・・」

「騒動?・・・・ああ、行方不明者そっくりだったって奴か。それが?」

「いえ、たしかテスタロッサと名乗ってたのですが・・・・イグノランテに”エクスの使い”と言っていたらしいというのを思い出しました」

「・・・・エクス・・・・私たち情報部が後手を踏んじまってる。どれだけの情報網を持っているんだか・・・」






「ウディッツ。本日、イオラという娘が泊りに来ました」

「エクスの仲間だったね。どうだい?」

「見た目は少女です。ですが・・・化け物です。おそらく一合と持ちません」

テミスは剣の腕も一流であると評価していた

そのテミスが一合も持たない・・・・・たしかに化け物だね

「わかった、あくまでも協力体制をとって敵対行動はしないようにしな」


それから間もなく、ペールデンテ領主に館が火事との知らせが来た

幸いにも小火ですんだらしいが、イオラってのと関係はなかろうね?

テミスの報告では火事の知らせのあとに2階から降りてきたということらしいけど




私がアフェットゥオーソで酒場を切り盛りしている最中にエクスがやってきた

また、なにか遣らかす気かと思ったが急ぎ解体をしてほしいという

まぁ金を受け取ったから急ぐようには言うけどねぇ




「ウディッツ。イオラの続報です・・・・・アレはこの王国の出ではないようです。宿の厨房を貸してほしいと言われ使用許可を出しました。あの娘の作る料理はどれも見たこともない物ばかりで、美味でありました。領主館にいたキヨネという娘との約束で料理を作ったと。それと、エクスとテスタロッサに関わりがあることは間違いないようです。」

何言ってんだいコイツは

「まあ、その三人が仲間だと分かっただけでも上等か・・・・出自がまったく負えないんだよねぇ」


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