清音
昼を過ぎた頃に解体が終了した
内訳は
フォレストウルフ 24頭
・牙 銀2 |銀48枚
・肉 銀1 銅50|銀 0枚 銅 0枚
・毛皮 銀6 |銀144枚
ナーワルハーゼ 12匹
・肉 銅80|銅 0枚
・毛皮 銀2 |銀24枚
パンツァーベア 3頭
・牙 銀3 |銀 9枚
・前爪 銀1/本 |銀30枚
・肉 銀20 |銀 0枚
・甲殻皮 銀25 |銀75枚
タリバー 4頭
・牙 銀10 |銀40枚
・肉 銀8 |銀 0枚
・毛皮 銀18 |銀72枚
「肉は差戻しって聞いてるから内訳から外しているよ。締めて銀貨442枚だね」
我は内訳にサインしてウディッツに返す
「もうしばらくしたら第二次入植者が来るから、たまには村用に肉を下ろしておくれよ」
「『輝く夜明け』と『希望の朝』が頑張ってるだろ?他にも何組か来てるんじゃないのか?」
もとワークルエ隊の面々も兎や狼を狩っているはずである
「そんなんだけどね、いかんせん量が少ないのさ。荷車にも限度があるしね」
「狩人を呼び込むか、別の方法で収入を作るかだろ?まぁ、がんばれ」
メッツ達が車を作り上げれば、話が違うがな
そのまま商業ギルドへ移動する
受付にはエリヤが座っていた
行列もなく暇そうである
「エリヤ、今大丈夫か?」
「おや、エクスさん。御覧の通り、商人たちが来ておりませんので手は空いておりますよ。御用をお聞きいたします」
にっこりと笑って答えてくれる
「鉄なんかの金属を仕入れてもらいたいんだが可能だろうか?」
「鉄ですか?少量でしたら各金属は仕入れておりますが、いかほどご入用でしょうか?」
そうか、釘やらで鉄は使うであるな
「とりあえず、これで買えるだけ買いたいのだけど相場を知らなくてね」
我は先ほど受け取った銀貨442枚をエリヤに渡す
「先ほど渡された銀貨ですよね・・・鉄が大体1Kgで銀貨1枚程度です。ただ、レートは毎回変わりますのでご注意ください」
思ったより安いであるな
「では、鉄と銀、銅、錫を合わせて購入を頼んでいいか?比率は任せるが鉄は多めがいい」
「はい、わかりました。移送の関係上、すべてインゴットでの取引きとさせて頂きます。また運賃は此方から引かせていただきますのでご了承ください」
「ああ、それでいい。よろしく頼む」
エリヤに丸投げである
我は拠点へ戻りメッツ達3人を訪ねる
いまはテスタルドの工房に集まっている様だ
我はノックをして返事を貰ってから部屋に入る
「エクスさん、どうかされましたか?」
「いま休憩しようとしてたんです。一緒にお茶でもどうですか?」
「いやぁ煮詰まっちゃいました・・・」
テスタルド、アイネ、メッツがそれぞれ言う
お茶を受け取りながら机を見ると、先日渡した図面が置いてあった
「煮詰まったってのは、それのことかい?」
それぞれが頷く
図面は車のエンジンに魔道回転機を使えないかということで描いた物である
「来たのは、それのことなんだ。進捗はどうかと思ってね」
三人は顔を合わせて相談している
メッツが代表して話すようだ
「回転機自体は問題ないんです。送る魔力を増やせば回転も速くなりますし、その逆もできます。煮詰まっているのはどうやって魔力の増減をするかということなんですよ」
「魔力タンクからは一定の量を一定の速度で送る様に調整するので、それがどうも・・・・」
ほむ・・・・
「素人考えなんだが、この線は1本でないと駄目なのか?例えば5本にしたり10本にしたりは出来ない?」
その問いにテスタルドが考え出す
「魔力線を増やす・・・・・いや、今が100として・・・・1本を・・・エクスさん!出来るかもしれません!」
「そうか、なら足でレバーを踏んで、その長さで連結できる本数を変えると回転数を調整できるのではないかな?」
三人に目が点になったように動きが止まった
「足で、操作ですか?そうすると、この魔道回転機は座って操作すると?」
しまった、車の考えが無かったか
「説明してなかったな。今、研究してもらっているのは馬車に取り付ければ馬なしで走らせえることが出来るんじゃないかと思ってな」
そういうと三人とも目をキラキラと光らせながら感心しだした
「なるほどなるほど、そうすると馬なし馬車となるのですね!あ!もう一つの図面!あれが操作するための機能ですか!」
アイネがもう一つの図面を思い出したようである
簡単にステアリングの構造を描いたもので、あとはサスペンションも描いていたであるな
後はギアとクラッチ、ブレーキも教えておこう
「仮に”魔道車”とでも呼ぶか。それで、出来そうかな?鉄なんかの金属は手配している」
「マジで?あたしやりたい!」
「魔道車ですか・・・良い響きですね・・・・」
「意欲がわいてきました。作り上げて見せましょう!」
引くほどハイテンションになってきたであるな
「無理しない程度で頼むよ」
出来れば荷運びが楽になるであるがな
「エクスさーん、いらっしゃいませんかー」
地下道の方から声が聞こえてくる
覗いてみるとシェイトがこちらに向かってきていた
「シェイト?どうしたんだ?」
「ああ、よかった。地下道って真っ暗で怖いんですよ。キヨネさんが来られたので案内してきました」
たしかに後ろにキヨネが着いてきていた
「やあキヨネ、いらっしゃい。シェイトもありがとう」
「いえ、案内できてよかったです」
我は魔法で明かりを灯しシェイトに付けてやる
10分くらいで魔力が切れるので消滅する奴である
「エクス・・・・エクスって、ボンボンなんだな・・・・ハッ!手土産!手土産持ってきてないぞ!」
「落ち着けって。この世界に手土産を持っていく風習はない。それにサルトラをくれただろぅ。細かいことは気にするな」
変に前世の記憶を思い出したのであろうか
「気にせず、自分の家とおもってノンビリしてくれ」
先に歩いてキヨネを案内する
「ここがキヨネの部屋だ。必要な物は言ってくれ」
「エクス、ありがとう!ベットで寝るなんて前世みたいだ!風呂もトイレも清潔なのは良いな!」
トイレをみて感動していたくらいだもんな。
木製のトイレという名の穴は流石に嫌だったのだろう
風呂に入るときに湯にする必要があることを説明したら、すぐに入りたいとのことだったので説明がてらに風呂を沸かした
「そういえば、着替えとかあるのか?手ぶらで来てなかったか?」
キヨネが目線を逸らした
それだけで何となく察した
「着替えはこっちを着てくれ。サイズが合うかわからんが明日ちゃんとしたのを買ってくるから我慢してくれ」
魔法鞄に入っていた女物の服を出して置く
最初に取り込んだ人間種の女の物で、テスタロッサのダミー荷物に入れていたものである
女性にしては大柄だったから、小柄のキヨネだとぶかぶかと思われる
さて、キヨネが風呂に入っているうちに食事の用意でもしようかね
まず米を炊く
次に酢と砂糖と塩で寿司酢を作る
米が炊けたら寿司酢をかけて切るように混ぜていく
漁村で仕入れた魚とホタテのような貝、エビを捌いていく
握りも良いけど今日は海鮮丼にするつもりである
その時ドアをノックする音が聞こえる
はて、メッツ達三人はギルドの酒場で食べてくると言っていたし誰であろうか
扉を開けると
「えへへ・・・・きちゃった(はーと)」
アルカがドアの前に立っていた
後ろにレナトゥスとシェイトもアルカに隠れるように立っている
「なんか、用か?」
「キヨネちゃんが来たんでしょ?エクス君がもてなすでしょ?エクス料理を出すでしょ?」
なに、その三段活用
「御相伴に預かりにきましたー!」
すがすがしいくらいに、図々しいであるな
「いいけど、食うなら仕事してもらうぞ?ああ、後ろのふたりは気にしなくていいぞ。無理やり付き合わされたんだろう?」
二人はコクコクと頷いている
アルカは舌を出して拳を額に当てている
「仕事ってなにをすればいいの?ベッドで運動!?エクス君なら、いつでもウェルカムだよ!!」
「違うわ!さかるな。拠点を管理する人間を紹介してほしいんだよ。ただし国の機関員は却下な!」
少し考えて
「商業ギルドで募集掛けるよ?レナトゥスは狩人ギルドで募集して」
ギルドからの募集か・・・
どうやらギルドで選考したあと面接をするらしい
・・・・それならいい、のか?
食堂に三人を通して席に着かせておく
茶を出したいが、今回は海鮮丼である
正直、緑茶が欲しいのであるが、この世界ではまだ見つかっていない
手元にある茶葉をフライパンにいれ低温でじっくりと焙じていく
茶葉を焙じれば、ほうじ茶である
「そういえば、三人とも魚は大丈夫だよな。生魚だけど」
「「「なま?」」」
「そう生魚。キヨネの故郷では当たり前に食べるけど、この辺りでは生魚を食べるのかなって思った」
三人の顔色が悪くなってきている
「いや、ちゃんと処理はしてあるから問題は無いぞ?忌避間があったら不味いかと思って聞いただけだ」
「・・・・いや、エクス殿の作る料理だ。問題ない!」
レナトゥスが決死の顔をして言う
後の二人も腹を括ったようである
「まあ、もうしばらくかかるから適当にしていてくれ」
我は厨房にもどる
味噌汁を作るの忘れていたからである
根野菜が残っていたので猪肉と合わせて豚汁でいいか
野菜を適当に切って水から茹でていく
火が通ったら肉をいれて灰汁を取ってから味噌を溶いていく
良い匂いが厨房を満たしていく
「気持ちよかったー!久しぶりにお風呂にはいったよー」
満面の笑みでキヨネが入ってきた
「キヨネも来たから、食事にしようか」
丼に酢飯をのせ大葉を切った物を乗せる
あとは刺身を飯が見えないくらいに敷き詰めていく
「はい、どうぞ」
キヨネ、アルカ、レナトゥス、シェイトに海鮮丼と豚汁を出す
もちろん箸だけでなくスプーンも付けている
「はー、海鮮丼だ!エクス、丼も作れるのか?」
キラキラした目で見てくる
「まぁ幾つかは。あ、油麩丼は無理。麩が作れん」
「それでも!いっただきまーす」
躊躇なく丼を掻っ込むキヨネ
それを見て三人も恐る恐る食べ始める
「・・・おいしぃ・・・・・・」
「・・魚が・・くさくない・・・・」
「ごはんが・・甘酸っぱい?でも・・・おいしい・・・」
アルカ、レナトゥス、シェイトも食べれたようであるな
そのあと5杯ほど平らげてキヨネは自分の部屋に戻っていった
「ところでエクス君。彼女とはどこで知り合ったのかな?」
アルカは居座る気のようだが、レナトゥスとシェイトは帰りたそうだぞ?
「あったのはケンプファーのギルドだな。イオラから話を聞いていたから、すぐに分かった」
「ふーん・・・・イオラちゃんからね。イオラちゃんからは何て?」
「なんだ?尋問か?・・・ペールデンテで”亜人”を倒す手助けをしたらしいぞ?そのときに食べさせたのがキヨネの故郷の料理だったらしいな」
「故郷・・・キヨネって何処から来たんだろう・・・」
「どこでも良いんじゃないか?他人の過去を詮索する野暮はしない主義でな」
「それを言われると、何も聞けないじゃん」
「キヨネはキヨネ。それでいいんだよ」
”蛇”だと知れると不味いのでな




