開拓
今日はウディッツ、坊主マッチョのテミス、動きが忍者のアルカを連れて開拓村跡地に来た
イグノランテはあの後、元ワークルエ隊と再会し号泣してケンプファーから再出発する気になったらしい
名前を変えて狩人ギルドに再登録するみたいである
「ココが例の跡地かい?思ってたより広いね」
「うはぁ!これだけの広さを一人で切り開いたんすか?」
「地面も均されていたようだな。建物を作るより倒木と均すのが人員が必要なんだがなぁ」
「その建物らしき物は薪にしかなら無さそうだけどね。まずは周囲の柵作りからか。アルカ、木材と資材の手配をしな!テミスは周囲の魔物を減らすための人員を集めろ」
指示を受けた二人は、目を離したすきに消えていた
「さてエクス、あんたにやって貰うことなんだがね」
「その前に村の構想は出来ているのか?何のために作る?必要な施設は?あとから変更出来ない事もあるから先に考えているんだろう?」
ウディッツの口端が引きつってる
「それだよ。ワークルエのスウォートに聞いたら風呂を作ったらしいじゃないか。それを作れないかい?」
「ああ!イオラが作った奴な。確か北の方に跡があるんじゃないか?」
二人そろって村の北へ歩いていく
「いきなり、家の残骸が消えたね。こっちは更地に近い・・・ん?あの台は何だい?」
我は顎で台の横を指し示す
「野営の跡・・・あの娘らは此処で生活してたってことか・・・テントも一張り分の跡しかない・・・・」
「イオラが肩入れしたくなるのも解かるだろう?それより風呂はこっちだ」
床に敷き詰められた木と先にある泥のある場所へ着いた
「ふむ、服を脱ぐ場所は木を敷いてたんだね。それから奥が水が溜まっていたと・・これだけ広ければ十分に水浴びが出来るね」
「・・・・・・・水ではなく、湯につかるんだよ」
「は?何言ってんだい。こんな量の湯を沸かしたって溜まるまでには水になってるだろう?」
我はため息をついて実践してやる
地魔法で風呂跡の横の地面に1m四方で深さ80cmくらいの穴をあける
穴が崩れないように周囲を圧縮することを忘れない
水魔法で水を貯め、小さい火球を沈める
湯気が立ち上がり適温になったところで火球を消す
「こうすれば湯が簡単に沸くだろう?」
ウディッツは目を丸くして驚いている
「魔法をこんなことに使う奴は初めて見たよ!普通は魔力を温存するもんなんだよ」
「意見の相違だな。魔法は生活をよくするために使うべきだよ」
湯に手を入れて温度を見ていたウディッツ
「その意見に否定はしないよ・・・・よし、エクス!周りを囲みな!」
「おいおい、入る気か?」
「あの娘らが絶賛してたんだ。機会があったなら試したいってもんだろう?ほれ、早くしな!」
我は板を穴の前に置き、ウディッツごと土壁で囲ってしまう
土壁の1辺は3mほど高さは2.5m天井は付けない
「上がったら声を掛けてくれ」
「あいよー」
適当な返事であるな
我は木材を集めて火をつけ、台の上をきれいに洗う
魔法鞄から狼肉を出し一口大にカットして炒めたあと野菜と一緒に煮込む
手が空いたらブイヨンを作っておくのも良いかもしれない。テミスにやらせるか?
フライパンで溶かしたバターに小麦粉を入れて炒める
何かの乳を混ぜてダマにならないように気を使いながら、とろみが付くまで混ぜる
良い感じである
これを狼肉と野菜のスープに混ぜていく
後は煮込めばよかろ
「ん-、良い匂い!エクス君、名に作ってるの?」
我が片づけをしていると後ろから抱きつかれた?
後ろを取られしかも首に手を巻き付けるまで気づかなかったことがショックである
「あれ?私、当ててるんだけど・・・何もリアクションなし?」
アルカは当惑している
「いや、抱きつかれるまで気づかなかったことがショックでな」
そういうと、にんまりと笑った
「おいしそうな匂いだけど、何つくってんのかなー?それとウディッツさんは?」
我は料理に使ったナイフを拭き鞘に納めたあとで、土壁を指さす
「なにあれ、あんなの無かったよね?ウディッツさーん!」
「んあ!?アルカかい?・・・・ちっと、うたたねしていたみたいだね」
土壁の裏でゴソゴソ動く気配がしている
「ウディッツさんがうたたね?それに水の音・・・なに?」
アルカは首を傾げて考えている
「アルカ、その辺にエクスはいるかい?」
「あぁ、いますよ。エクスくーん、およびだよー」
「済んだか?」
「ああ済んだよ」
我は板を置いた側の土壁の一部を崩し人が通れる程度の隙間を作る
「いやぁ、報告では聞いていたが絶賛していたのがよくわかったよ。あんなのは領主でも味わえないね」
「なんの話っすか?」
そう言って、ウディッツの出てきた隙間を覗き見る
「ワークルエの報告に会った風呂だよ。あまりに絶賛していたから妄想の類かとも思ってたんだけどねぇ」
「風呂?っすか・・・・エクス君、私も入りたい!どうやるのか教えて!!」
言うと思ったのである
我は先ほどと同じように火球を湯に沈め適温になったら火球を消す
「隙間は布でも掛けておけ」
「んふっふっふ、一緒に入ってもいーんすよ?」
「後が怖そうなので遠慮する」
シチューが焦げ付いてしまうしな
「遅くなりました。ペールデンテからは回せそうに無いのでケンプファーへ依頼を出しました」
「そうかい。で、様子はどうだい?」
「よくありませんな。魔物襲来前に街を捨てたイグノランテはそうでもないのですが、襲来後に逃亡した商業ギルドは致命的です。本人も理解しているようでケンプファーへ向かったようですが入街を拒否されて、今はフォーゲソンに滞在しているようです」
「そっちは商業ギルドに任すとしよう。この辺りは狼と兎程度だったね、Dランクでも問題無さそうだね」
「例の大蜘蛛が来なければ良いのですが」
「そんときはAランク様がお相手するさ。今は拠点のことだよ。で、食わしてくれるんだろう?」
そうなのである
テミスの報告を聞きながらウディッツの目線はシチューの鍋にロックオンされてたのであるよ
「食わせるために作っていたからな」
「なんだ?白いスープ?」
「あ!私も食べるっすよ!ちょっとまっててほしいっす!」
今の会話が聞こえていたのか・・・・やっぱりNINJAじゃね
「いやー、さいこうっす。お風呂も良かったしスープも美味しいっす!このスープは飲み干せるっすね」
この世界のスープは、中の具を食べて知る部分は飲まないのが主流である
我は全て飲んでいたのであるがな
「それでエクス、風呂は村の施設に欲しい。後は食堂だね。」
「風呂を作るには排水と浄化装置が必要だ。それに給湯か。食堂は併設するとしたら、狩人ギルドに風呂を作るか?」
「ん、魔法じゃダメなのかい?さっきやってたみたいにさ」
「1日程度なら良いがな。暫く続けると細菌・・・病気の元が繁殖する。だから湯は交換できるようにしないとな」
「風呂にはいると病気になるっすか?やべーすね」
「逆だよアルカ。体についている病気の元を風呂で落とすから湯が汚れる。だから湯を交換するって話だ」
「ちなみに、その病気にかかるとどうなる?」
「酷いと、高熱・呼吸困難・吐き気に意識障害がおきて、最悪の場合は死に至る」
怖いんであるよ、レジオネラは
「ちなみに宿屋では飲み水を如何してたんだ?」
「ああ、井戸から汲んだ水に浄化石を入れていたな」
「その浄化石は簡単に手に入る物か?」
「ああ、どこにでも売っている。見習魔法使いが小遣い稼ぎで作るぐらいだからな」
ならば貯水タンクを作って、その石を入れて置けばよさそうであるな
水汲み水車で階上へ上げれば出来そうであるな
そのことを皆に話すとしきりに感心していた
あとは排水であるな・・・
「そういえば、この辺りの気温は下がったりするのか?」
我がこの世界に来て数月である
冬は冷えるのであろうか
「アフェットオーソは雪が積もるほどじゃないけど、底冷えはするね」
ならギルドの床下に排水を通して床暖房にするか?
浄化石とやらの性能しいだいであるか。
温水の使い方は他にもあるだろうが、あとで増設できるようにすればよいであるか
「なあウディッツさんよ、最新の設備を使う気はあるか?」
「・・・何だい・・・聞かせてみな」
水洗トイレ化計画である
下水処理場を作り下水を完備させる
それだけで衛生面が向上するであろう
「ふうん、そういうもんなのかい。でも、排水を上に組み上げる装置ってのは間違いなく出来るのかい?」
「ああ既に出来たものがあるから、それに手を加えるだけだ。ただ魔力が必要だからソコは考えてくれ」
下水最終処理施設はどんなだっか・・・
沈殿層があって次が反応タンク、それから最終沈殿層があって消毒
溜まった汚泥は汚泥処理施設へ運んでいたであるよな
我は地面に川と丸を書いて、川の近くに狩人ギルドを作ることと下流側に下水処理施設と汚泥処理施設を作るよう指示
「瀬戸物の工房を知っているか?」
「いきなりだね。瀬戸物・・って何だい?」
我は陶器の説明をする
「土焼職人かい?そんなの使うのは領主くらいだから王都にしかいないよ」
「なら此方でどうにかするしかないのか。土魔法で形をつくって・・釉薬が必要か。炭と窯もいるな・・・」
「なんだい。そんなに手間がかかる物かい?」
先ほど地面に書いた川の上流側に丸を書き足す
「こちら側に俺たちの拠点を作らせてもらう。村長として許可をしてくれ」
開拓した場所が村となるなら融通を聞かせてもらおう
「なにするか知らないけど、解ったよ。その分税金は納めてもらうよ!」
後は何をどこへ配置するのかを3人に決めさせる
我は拠点にする場所を整地しておくのである
樹をどんどん魔法鞄に入れて地面を均す
均した土地は大体学校のグラウンド位である
家と窯、下水処理など考えると大き目の土地が要りそうであったので広めにしてある
「えーくす君!って、ええっ!!もう開墾してるの!」
アルカが呼びに来たようであるな
「話はまとまったか?」
「え?あ、うん」
我は土魔法で開いた土地ギリギリに土壁を作り囲ってしまう
樹の間を抜け開拓村跡地に到着
アルカは腑に落ちない顔をしているのであるが
「戻ってきたかい。およそ決まったからケンプファーへ戻るよ」
ウディッツの号令で一旦ケンプファーへ戻るのであった
メッツ達に指名依頼しなくてはなー




