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交渉

「エクス・・・イグノランテから連絡があってだな。・・・・・・・・・・・・ペールデンテの周囲を塞ぐように土壁が出来たらしい」

ギルドに入った我に、いきなり声を掛けてくるグランツ

「ほー、大変だな」

「大変だなって・・・お前たちがやったんだろ?あいつ半狂乱になって泣きながら連絡してきてたぞ・・・」


「逃げれば良いんだよ。人が通るくらいの隙間はあるだろう?」

「・・・あるらしいな・・・・人が一人通れる程度のが。荷物どころか鎧を着てると通れないらしいがな」

苦虫をかみつぶしたような顔をしているグランツ


「今後は、向こうの出方次第だろうなぁ・・そもそも国は動かないのか?」

「王国がか?」

「そもそも領主間の戦争なら国から調停なりありそうじゃないか」

「いや、今まで領主同士の戦争で王国が調停に入ったということは無い。結果を報告し税を納めればいいはずだ」

放任国家であるな


「それじゃ、諦めるしかないんじゃないか?荷物も装備も捨てて、身一つで逃げれば良いんじゃないのか?」

「装備も食料も持たずにか?そいつは・・・」

「むごいと思うか?あいつらがワークルエ隊にしていたことだぞ?使徒に立ち向かうわけではないのだから装備はいらんだろう?」


「カンプファン領へ向かって来た場合は・・・」

「カンプファン領へ来る奴は戦争をしに来るんだろ?一人残らず切って捨てるまでだよ」

何ということは無い


「・・・フォーゲソンが一番近いか‥‥」

「あの町も難民を支える余裕はなかろうよ。仕事と食料、住居をめぐって争った上に自滅するだろうな」

「・・・北、しかないのか・・・・」

「東もあるし、西もある。制限していないのだから何処へでも逃げれるさ」

沈痛な顔をしたグランツがギルド長室へ向かう

イグノランテへ連絡でもするのだろう



「エクスはいるかい!!」

ギルドのドアを叩き飛ばすように開けて女が入ってくる

恰幅のいい50代であろう女


その女を見て受付嬢は直立不動になる

「いたね!そこの!グランツを呼びな!」

たまたま目が合ったペティグレッサに指示をする


「イエス、マム!!」

指を揃えて額にあてる。いわゆる敬礼であるな

返答したら、走って階段を上がっていった


ドスドスと足音を立てながらグランツが降りてくる

「グランツ!緊急連絡の準備をしな!」

「イエス!マム!」

こいつも直立不動で敬礼してるし


「よし!行くよエクス!」

首根っこをつかまれて引きずられていく

本当に何もんであるか、ウディッツは・・・・





ギルド長室へ移動したのであるが

我、首根っこを握られたままである

「イグノランテ!イグノランテ、応答しな!!」

オーブに向かってしゃべっている

アレが緊急連絡用の魔道具であるか


『う”ぇ・・ウディッツざん・・・・ズズ・・・ウディッヅざん・・・だすけで、ぐだざい・・・』

「いまエクスの首根っこを押さえている。確認のためにも落ち着いて説明してみな」

泣きながら連絡して来たってのは本当みたいであるな


『はい・・・二日前の夜にイオラちゃんが、ペールデンテのギルドに来ました・・・・』

「イオラ?イオラって誰だい?」

ウディッツにはエクスでしかあっていないからな知らんだろう


「イエスマム!エクスの仲間で使徒を倒せる実力者であります!」

グランツが後ろ手を組み足を肩幅に広げた状態で答える

「使徒?あのハーピーの仲間かい?分かった。それで?」


『彼女は非常に怒っており、こちらの言い分は一切聞いてもらえませんでした・・・・』

「ふむ。何で彼女はそこまで怒っていたんだい?」

『はい。沼地の近くにカンプファン卿からの出資とテスタロッサが開拓した土地にペールデンテからカンプファン領へ亡命する者が交易村を作るはずでした』


「待ちな!また新しい名前が出てきたね。テスタロッサってのは?」

「イエスマム!エクスの仲間で北の森を一晩で開拓できる実力者であります!」

グランツが後ろ手を組み足を肩幅に広げた状態で答える

「また、コイツの仲間かい。わかった、それで?」


『イオラちゃんが言うには、その開拓村は『ペールデンテの物である』と宣言し村を占拠したそうです』

「『ペールデンテの物』だと言い切ったんだね?」

『はい、それをイオラちゃんはペールデンテが騙して『前線基地』を作ろうとしたと』


『この行為でペールデンテが再度、戦争を仕掛けると判断したそうです。彼女は、ペールデンテを消すつもりですよ!』

「落ち着きな!カンプファン領では戦争の準備は行われていないよ!そうだねグランツ!」

「イエスマム!ケンプファーでは戦争準備をしておりません!」

「そうさ!戦争の準備ってのは時間がk

「しかし!エクス、テスタロッサ、イオラの3名は単独でペールデンテを消滅させる力を有しています!」


これにはウディッツも動きが止まる

「・・・・・なんだって?グランツ・・・もう一回言ってもらえるかい?」

「イエスマム!エクス、テスタロッサ、イオラの3名は単独でペールデンテを消滅させる力を有しています!」

「・・・・・こんな時に、冗談はやめな!」

「ノーマム!事実です!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・戦争の準備は・・・・・・・・・・・・・要らないってことかい・・・」

無言で肯定するグランツ


「そのイオラってのに納得してもらわなくちゃならないのかい・・・・・その村に確認しに行ったかい?」

『あい・・・イオラちゃんが来てから直ぐに緊急依頼を出して現状確認に行かせました』

「それじゃあ今度はその話を聞かせておくれ」


『開拓村へ向かった狩人は、途中で逃げてきた村人と合流したそうです。総数348名、全員が骨折などの怪我を負っていました』

「全員が、かい?人数が合わないね。例の部隊は12人なら残りの40人はどうしたんだい?」

『・・・・その・・・・・・・あのあたりは、魔物が活性化していたようで・・・・引き上げる途中で・・・』

その話を聞いたとき、つい笑ってしまった


「くははは!仲間を見捨てて逃げたか!さすが恥さらし共!!自分たちのことしか考えてないな!!」

『ぅぐぅ・・・・ぃぅ・・・ズズ・・・・・』

「あんたはちょっと黙ってな!イグノランテ!続きは?帰ってきた奴らの話はどうだったんだ?』


『・・・ズズ・・・・あ”ぃ・・・話をぎいたんですが・・・イオラちゃんの言う通りでした・・・・』

「それで、そいつらはイオラってのにやられて引き上げてきたのかい?」

『いえ・・・イオラちゃんは開拓村の破棄を宣言して、ワークルエ隊を連れて村を出たそうです』

黙って聞いているウディッツ


『翌朝・・・テスタロッサを名乗る女性がワークルエ隊の荷物を取りに来たときに『ペールデンテの村』であることを宣言し彼女を追い返そうとしたそうです』

額に皺を寄せるウディッツ


『その後、侵略者と見なされ攻撃されたそうです。その時、村の柵も家も全て壊されてしまったと』

「女一人でかい・・・・そうかテスタロッサて『赤髪熊女』かい?」

「彼女に聞かれると命日になるよ?」

「ああ、女に付ける二つ名じゃないね。肝に銘じるよ」


「それだけじゃなさそうだね。他には?」

『イオラちゃんが村に来たそうですが、ワークルエ隊をないがしろにしていたらしくイオラちゃんがその対応に激怒しました』

「他の奴らは家を建てて住んでいたが、彼女たちはテント一つで生活していた。どうやら村の中でも狙われてたらしいな」

これは我が補足してやる


「ワークルエ隊ってのは例の部隊だね。若い女ばっかり・・・そういうことかい」

「下種どもだよ・・・あいつらは」

『・・・・どういうごと?・・・・村の中で、狙われる?・・・・』

察しの悪いのが居たである


「開拓村には若い女が居なかった。家があると鍵を掛けられる。戦闘で疲れさせれば体力もなくなる」

「そのイオラが怒るのも解かっちまったねぇ」

『・・・・・・・・・・・・・え・・・・・・・・・・・・・な・・・・・・・・・・・あ、あぁあいつらぁぁ!』


「それで、ウディッツさんよ。彼女たちの怒りをどうやって納める?」

「難しいねぇ。私はその二人に会ったことないからねぇ・・・・」

『だから、イオラちゃんは壁を作ったんだ・・・・逃げられないように・・・・・あいつらの・・・あいつらの所為で・・・・』

イグノランテの様子がおかしい?


「まちな、イグノランテ!壁が何だって?」

『壁です・・・高い壁が全てを囲ってるんです・・・・逃げ場がないように・・・・・』

「隙間はあるだろう?」

『ああ・・・ああ・ああ、あるとも!人がギリギリ通れるくらいの隙間がな!!お前らは我々をいたぶって楽しいのか!なぜ街の民を巻き込むんだ!責任者たる騎士爵もいないんだぞ!!』


「楽しい訳ないだろう?そもそも街の民が噂していなければワークルエ隊は蛇討伐に行かなかったんだろう?巻き込む前に当事者だよ」

「まちな!騎士爵が居ないって?じゃあ誰が管理してるんだい?」

『騎士爵は亡くなりました・・・現在は領をまとめるものは不在です・・・・』


「エクス・・・・一つ答えな・・・・アンタの仲間は止まるかい?」

「俺の仲間は魔物ではないよ。納得させてみな」

「戦争回避は出来るんだね・・・イグノランテ!動くんじゃないよ!!」

『・・・・・・・・・しかし!あいつらのしたことを公表して・・・』

「そりゃ悪手だよ!へたすりゃ暴動になって自滅だよ!!」

ほうウディッツはそう読んだか


「そのままでも暴動になるさ。外部からの供給が出来ないんだからな。街中で食料なんかの奪い合いになるだろうさ」

「なんて悪辣な・・・・・エクス・・・説得は出来るかい?」

「・・・・指名依頼かな?」


「いくら掛かる?」

「グランツ、ペールデンテの人口は?」

「たしか1万くらいだったはずだ」

「白金貨で10枚・・・・だな」

一千億円である


『白金貨で・・・・10ー!・・・・エクス!あんた馬鹿にしてるの!人の足元見やがって!!』

「エクス・・・白金貨で10枚っていや街の年間予算5年分だぞ?」

「おいおい、こちらとて命がけになるんだぞ?トゥレライトごときの魔法とは比べ物にならんのを相手にするんだぞ。しかも二人」

「イグノランテ!グランツ!落ち着きな。エクスの言う通りだよ。命がけの仕事にはそれなりの報酬はいるものだ。それによく考えな!一人金貨1枚だよ!集める価値はあるんじゃないのかい?」

やれやれ計算も早いであるな


「いいかいイグノランテ。商業ギルドと庁舎にいる街長に説明して、なんとしても金を集めな!いいかい、一人金貨1枚だ。けっして不可能な金額じゃない。不足分は下種どもから取り立てればいい。今は金集めを優先しな!」

『あい!・・あい!わがりまじだ!!』


「さてエクス。特別指名依頼だよ・・・・いったからには受けてくれるんだろう?」

やれやれである

「・・・・・あいつらを抑えるなんて、使徒を100体倒す方が楽なんだがな」

「受けてもらうよ」

「・・・了解」


一人芝居で一千億円である

実際、落としどころも困っていたので丁度良いであるな


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