閑話 クラウンパス
『ふむ。クラウンパスの使徒は何をするつもりじゃ?』
『人を集めておる様だが・・・クラウンパスよ、どういうことだ?』
コーカフィエルとスルグットの爺どもが囀っておる
あたしの使徒とは言え、あの子が何を考えておるのかなんてわかるはずもないが正直に言うのも面白くない
『あの子の求めているのは最強の武器だよ。ならばそれに関係することさ』
ふん。せいぜい悩むがいい
『そんなに悠長にしてていいの?私のハイドラちゃんが人の巣に向かっちゃうわよ』
スティルナーの小娘が惚けたことをいう
『ふぇふぇ!ご自慢の蛇は図体がデカいだけでまともに動いてないじゃないか。そら、人間どもの取り囲まれているじゃないか』
実際ハイドラは沼から出たあと、蜷局を巻いて動かなくなった
あの子のいる人の巣から、虫のように人が出てきて蛇を遠巻きにしている
『それは、どうかしらー』
含み笑いをするスティルナー。本当にイラつく小娘だ
『む?アレは何だ?』
今度は鳥擬きかい?
蛇の様子がうつっている水盆を覗くと、蛇の後ろの沼を何かが飛んでいた
あれは、蛇に近づいて行ってるねぇ・・・・・
鳥にしては羽はないし・・・おや?蛇も何もしないねぇ
・・・・・は?
わたしの目がおかしくなったのかえ?
蛇の首が二つ転がって他の体が消えてしまったよ?
何があったんだい?
『あらあら、人の分際であたしのハイドラちゃんの策を潰すなんて。ムカつく事』
使徒が消えたのにスティルナーのこの落ち着き様・・・
ありゃ抜け殻かい?
『アノムスメ・・・・ミタキガスル』
フォルニースが見たことのあるって?
人ごときを、いちいち覚えてられるもんかい
『フォルニースよ。どこで見たと?』
鳥擬きも不思議に思ってるんだろうさ
『アノムスメ・・・・ワレノ、シトヲタオシタモノ・・・・』
・・・・は?
図体のわりに小さい目を開いてよく見てみな!
あのときの奴は首を斬り飛ばされたハズだよ!
他の神々もあっけにとられているさね
『いや・・・確かに似ている・・・気がする?』
『しかし、人は首を斬られて生きているなど、ありえんだろう』
その人間種の動きを見ていると、あの子のいる巣とは別の巣へ移動するようだ
何なのだろうねアレは
水盆の調整をして、あの子の様子をみてみる
どうやら鍛冶をしているようだね
ああなるほど。
鍛えた金属を冷やすために人間種の血を使うんだね
うんうん。生きたまま絞ると恨みなんかも取り込んで、良い魔法具になるよ
いや、流石に我が使徒じゃな
人間種なんぞ吐いて捨てる位居るでな
わたしらの役に立てれば本望じゃろうて
出来上がったのが、禍々しい戦斧じゃ
それで蛇を殺すんじゃな
出来たばかりの戦斧を持ち巣へと向かう・・・蛇の居場所を知っておるのか?
巣を歩くあの子に切りかかる者が居った
ゆったりとした服に赤い剣をもつ人間種
人ごときがあの子に敵う訳がないのにねぇ
『人ごときではあの子の相手にならないねぇ』
『そうね・・・人ごときではね』
なにやら、もったいぶった喋り方をするねぇ小娘が!
人にしては良い動きをしているが、あの子の敵ではないね
現に動きも鈍くなってきている
あの子は闇魔法も使えるからね、周囲の気温を下げて動きを鈍くさせたのだろうさ
一瞬の隙をついて人間種を殴り飛ばし、動きの止まった所を捕まえるらしい
なのに、いきなり右肩を抑えている
あの子が後ろを見ると、あの抜殻の所に居た奴が居た
何やら棒を持っているが、あれであの子を攻撃したのかい?
後から来た奴に気を取られたのか、最初の奴に背中から刺されたあの子は退却をしたようだ
まったく・・はらはらさせないでほしいね
闘っていた二人が追いかけている様じゃが、うまく逃げ切ったね
まぁあのくらいの傷なら数日で塞がるじゃろう
『あらあら、逃げ足は速いのね』
『ふん。どこぞの蛇は隠れてばかりおるがの』
スティルナーが嫌味を言ってきたが、蛇は逃げ隠れしているではないか
『まだ気づかないの?赤い剣を使ってたのは、私の使徒ハイドラちゃんよ。どう?人間に変身して巣に潜り込めるのよあの子』
なに?
あの先に闘っていたものが蛇じゃと?
『それは、惜しかったのう。邪魔が無ければ始末できたものを』
『・・・・あのまま戦っていてもハイドラちゃんが勝ってたわ!』
『言い争いは後で良かろう・・・・クラウンパスの使徒の近くn
全てを言い終わる前に、あの子のいる小屋へ向けて光の本流が通り過ぎる
一瞬のうちに全てを吹き飛ばす光線
『な・・・なんじゃぁアレ!虎が・・・・・何ちゅう力じゃ!』
『コーカフィエルよ!流石にアノような生物を作るのは卑怯であろう!』
『そーだよ!あんなの防ぐの大変じゃないか!』
『いや、あんなの儂がつくってないぞ!!』
コーカフィエルの爺は否定しておるが、奴が作らなければ生物が出来るはずがないじゃろうに
煙が晴れ、様子が見れるようになった
あの子は・・うん、左腕をなくして黒焦げになってるがまだ戦えるようだね
あの虎が居そうな場所に衝撃刃を出して対処しているよ
・・・反撃がないね。倒したのかい?
その時、光があの子の脚を貫いた
『万全の体制でないところを狙うのかい?随分汚い手を使うねぇ』
『汚い?それは貴女の顔でしょ。弱った敵を叩くのは当然じゃない』
蛇の放つ光線を上手く躱してるが左右からも光線が飛んでくる
何で違う方向から光線を出せるんだい!
とうとう、あの子は奥の手を使うようだね
全身を闇魔法で包み魔法自体を無効化させる
現に蛇の光線を全て吸収している
『ふぇふぇ・・・・あの子の勝ちのようじゃn
は?
いま何をした!何であの子が倒れてるんだい?
『スティルナー!お前、何をした!!』
しかしスティルナーも目を開いて呆けている
こいつじゃないのか?
『チカクヲ・・・ミロ・・・・アノムスメダ・・・・』
フォルニースの言葉を聞き水盆を覗くと、いつの間にかあの娘が立っていた
『あやつ・・・・いつの間に・・・・』
『まぁ何にせよ、クラウンパスは脱落じゃな』
『な・・・冗談じゃない!あんなの無効だよ!』
『見苦しいな・・・使徒は死んだのだ、クラウンパスは脱落だ』
『ニンゲン二・・・マケタ・・・ダツラクケッテイ』
おのれ・・・・あの小娘め・・・・・
今は引いてやるが、必ず仕返ししてやるぞ・・・・・・




