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閑話 フィーダ③

私、ブラオラは後悔し続けている

とっととギルドをクビになっていても可笑しくないのだ


まだ私が新人だった頃にした失敗

狩人リストの作成ミスで一人の狩人の人生が変わってしまったからだ


ペールデンテ領主からの徴兵命令が出たことでギルド内は騒然とした

徴兵逃れのためのギルド加入を防ぐためだ

その為、狩人ギルドの加入者は経験年数と名前、年齢を記載しリスト化していく必要があった

このリストで徴兵前から加入していると判別するのらしい

そのリストに漏れたのが、2種への試験待ちの『フィーダ』

1種と2種のリストのどちらに記載するか保留としているうちにリストを提出してしまったのだ


ギルド長に報告しリスト不備があったと説明したのだけど領主に却下された

フィーダさんの母親が怒ってギルドに詰めかけたのも当たり前なのだ

代わりに私が志願しても断られたのだ

責任を取ってギルド長は辞任して副ギルド長だったイグノランさんがギルド長となった



そして戦争が始まってしまった

フィーダさんも出兵してしまった

私は祈るしかできない・・・


続々と兵士が帰還してきたと話が聞こえた

フィーダさんは?ワークルエ隊はどうなったの?

・・・・よりによって、フィーダさんだけ未帰還ですって・・・・・

私は天井をみて唸ってしまった




「お早うございます」

私はギルドへ入り職員にあいさつする

「おはよう、ブラオラ。昨日の夕方にフィーダをこの街で見たんだ。彼女帰って来たんだね」

フィーダが帰ってきた?

良かった。帰って来てくれたんだ・・・・・・


その時にギルドの入口から女性が入ってきた

「フィー・・・・ダさん・・・・・・」

彼女が入ってきたときにギルド内の喧騒が止まった


受付にきたフィーダは、周辺の魔物分布図を催促されたので資料を渡した

「フィーダさん、どこかで療養中だったんですか?お母さんが門で一日中待たれてますよ?」

「私の名前はテスタロッサ。フィーダじゃないわ」

やはり私の事を怒っているのだろう

「すいません」

私には何も言う資格はない


黙ってみていたら彼女が呼んでいる

「蛇、ですか?何か小山が出来たとの報告がありましたが・・・え?・・・それって・・・」

「山みたいな大きさの蛇が居座っていて、こっちに向かっているのをギルドは理解しているかと聞いているの」

「いやいや、そんなのないですよ。ありえないです!」

つい否定してしまったのがいけなかったのか、顔を両手で抑えられ顔を近づけてきた

「あなたは神なの?世界中の今起きてる出来事を全て理解しているというの?街から出たことのない小娘が何を知っているの?『ありえない』なんてことはありえないのよ」

涙目になる

手を離されたら力が抜けた


「ギルドマスターを読んで頂戴。A級狩人、エクスからの情報と言いなさい」

「はい!わかりました!」

私は駆け足でギルド長室へ向かった

イグノランテさんにフィーダが来たことを伝え降りてきてもらった

私は何時、彼女から責められるんだろう


夕方になりフィーダさんが帰ってきた

背中には魔物を抱えている・・・この人何でこんなに荷物を持ってるの?


全て買い取りですか・・・・

処理をして内訳を見せる

「あら?買い取り額はペールデンテの方が安いのね」

ギルドに人が少ないので小さい声でも響いてしまう

「「「えっ?」」」「「「「「「どういうこと?」」」」」」周りの狩人たちがざわめいている


「横からスマン、お嬢さん。俺は『茜島の空』ってパーティのリーダーでグロイザーっていうんだが、先ほどの話は本当か?」

「あらご丁寧に。お嬢さんていう年でもないから気にしないで、私はテスタロッサ。先ほどの話とは?」

「いや、買い取り額が他の場所より安いってとこだ。恥ずかしながら、他の街まで行ったことなくてな」

「恥ずかしいことは無いわ。拠点を作っている狩人達の方が多いでしょう?」


ケンプファーとは銀貨1枚、銅貨50枚、ナーワルハーゼでも銅貨30枚違う

私も初めて知った

ギルドは全国一律だったと思ったけど・・・・・


「おいおい、ブラオラちゃんよ。話が違うんじゃないのか?」

グロイザーさんは強面なのにちょっと怖い


「そ・・・それは・・・・そう!魔物の質が宜しくなかったんですよ!きっと!!」

つい口を突いて出てしまった

「あら?それは聞き捨てならないわね。査定した職員を連れてきてもらえない?どこを見て質が良くないといったのか詳しく聞きたいわ」

「おお!そりゃそうだ。おい!裏に行ってカインツ呼んで来い!」

グロイザーさんのパーティが入口を飛び出していく

当然だ。私がみてもアレの状態は良いものだった


「忙しいとこすまんなカインツ。先ほどフォレストウルフ5体とナーワルハーゼ2体を査定したと思うんだが、質が悪かったのか?」

カインツさんが来てしまった

「質~、悪い訳ないだろ!全部、一振りで倒しているし血抜きもしっかりしてある。しかも水につけて肉の温度を下げてあるんだぞ?あれの質が悪いなら他のは生ゴミ以下だ!それが如何したってんだ」

カインツさんの機嫌がみるみる悪くなる

この人は仕事に誇りをもっていて、とても厳しい

「ブラオラちゃんよ、カインツの評価はえらい高いが質が悪いってのは何処から出てきたんだ?」

もはや言い逃れできない

頭を下げようとしたと時イグノランテさんが降りてきた

「何事か!!」

「ちょうどいい、ギルマス!聞きたいんだが、アンタ以前にギルドの買取価格は本部ギルドで決められた額で買取してるって言ってたよな!」

「それが如何した?もちろん品質にもよるがな」

「本部ギルドで決めた額ってことは他のギルドでも同じ額ってことだよな?」

「何を当たり前のことを・・・一体何の話だ?誰か説明しろ!」


私は正直に迂闊な発言をして問題が大きくなったことを説明した

ただ、ギルドの買取価格に関してはマニュアルに乗っ取っており他所と違っていたことは知らなかったとは言っておいた

「話は分かった、買い取り額については確認してみよう。問題はお前だな、ブラオラ。確認もせずに最上質の素材に対して質が悪いと断言したんだ。これは狩人だけでなく解体職員たちへの侮辱である」

私は頭を上げることができない

「それならギルドはピンハネしてないって言うのか?」

「質のいいものを悪いって言って安く買ってるってか?」

「俺ら解体屋と話すことないもんな。裏で弄られたら分らんよ」


「わかったか、プラオラ。この声が、ギルドへの不信感がお前のしでかした事だ。不用意な発言をしギルドの信用を貶めたんだよ、お前は。」


「ブラオラ、明日から解体班への移動を命ずる。カインツに解体前と後で査定させて質が落ちた分は給料から引かせてもらう。さて狩人諸君、買取金額は本部に確認するしピンハネなど無いとおもうが調査を約束しよう。それで今回の騒動は手打ちにしてもらえないか?」

イグノランテさんにも頭を下げさせてしまった

私は・・・・全然成長できていない・・・・愚かな小娘のままだ!


私は受付を一時外れ、裏の解体所へ向かった

解体所に入ったときの職員からの冷たい視線が刺さる

「皆さん。話は聴かれていると思いますが、私の迂闊な発言で皆さまの仕事を侮辱してしまいました!大変申し訳ありませんでした!」

私は土下座して頭を床に付ける

常に清掃しているとはいえ濡れた床なので服もびしょびしょだ


「それで?お前は何がしたいんだ」

声でわかる・・・カインツさんだ

「私は・・・・私はミスで一人の人生を変えてしまいました。彼女からの報復を待っていたのかもしれません。でも、私は皆さんのように一人のギルド職員として立ちたいのです。愚かな私に一からやり直すチャンスを下さい!!」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

沈黙が続く

そのうち疎らだが拍手が鳴り全体に広がっていく。全員が拍手をしている様だ

「一から鍛えなおしてやるから、覚悟しておけ!」

「・・・・・・・・はい・・・・・・はい!!」

涙が溢れだして、別の意味で頭を上げられない

私はやり直してフィーダさんに謝るんだ!!



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