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母性

「起きてきたわね、そっちの樽に水を入れてあるから顔を洗ってきなさい」

目元が赤くなっており全体にむくんでいる集団が現れた


我は昨日のテーブルに朝食の用意をし席に着いたものから食べるよう指示する

ん?朝食であるか?

パン、野菜のスープ、焼いたベーコン、魔法ですり潰した野菜ジュース

簡単なもんしかないである

その様な物でも涙しながら食している


「食べ終わったら、各自装備の点検と偵察準備ね。それでいいでしょスウォート?」

「ああ、本当にありがとう。食事や寝床だけでなく心まで救ってくれた。この恩を如何返せばいいか・・・」

「昨日も言ったけど恩に感じなくていいわ。必要だからやっただけなんだから。後、洗濯物もそこに置いてるから回収させてね」

昨日寝静まった後に魔法で洗濯、乾燥をしておいたのである

ふっくら仕上げであるぞ


「はは、君はまるで母親のようだね」

「子供に母性を求めないでほしいわ・・・ケンプファーの動きも気にしないと駄目よ?」

苦笑いしながらも準備をしに去っていく

我はその背を見ながら人数分の水筒と携帯食料を準備していく





「全員準備はいいか!後半日ほどで目標が見えると思われる。場合によっては拠点を作るかもしれんからそのつもりで対応してくれ!ではイオラちゃんから何かあるか?」

何故我にふる?


「そうね、あなた達の人生は此処で終わりではないわ、ここから始まるの。好きな男と結婚して、子供を育て上げてから死になさい。それまで怪我一つしないこと。いいわね!」

「「「「「「「「「「「「アイ!マム!!」」」」」」」」」」」」


ワークルエ隊は2班に分かれA班をスウォートが指揮し、先行して蛇の確認に向かう

B班をクンターが指揮し警戒しつつ物資の運搬を行う


スウォート班が出立した後、クンター隊は野営の撤去を始めた

「イオラちゃんありがとう!生き返った気持ちだよ!」

「イオラちゃんの魔法凄いね」「イオラちゃんの料理美味しかった」口々に感想を言うクンター班

イオラちゃん予備が定着しているようである


「それでイオラちゃん。ここには戻るつもり予定はあるか?」

クンターである

「いいえ、ここは破棄します。蛇の観察にも退避にも良くないからね。必要な物資は全部乗せた?」

あの後荷台を追加で一台渡しているので十分乗るであろう

全て載せ終わったのを確認したので、我は柏手を一つ打つ


それがキーワードとなり周囲の土壁も蒲鉾型のテントも風呂もトイレも崩れ去る

それらのあった場所にこんもりとした土塊があるだけである

「それじゃクンター班はスウォート班を追って合流すること。私はイグノランテの様子でも見てくるわ」

「アイマム!B班急げー」


クンター班を見送って我は空へ飛びあがる




ある程度、高度を上げたら遠くに山のような蛇が見える

ワークルエ隊の向かった先であるな


反対方向へ移動していくと馬車の列が見えた?

後ろの何?

明らかにぺールデンテの兵士たちじゃないの?

数百人の兵士たちと後ろから追っている商人のキャラバン

戦争でも始める気であるか?


我は先頭を走る馬車、おそらくイグノランテが乗っているであろう馬車に飛び乗る

操車をしているのはイグノランテであるが前しか見ていない

こいつは猪であるか?


「ちょっと!イグノランテ!!馬車の速度を落としなさい!事故るわよ!!」

声に気が付いたのかこちらをチラリと見た後、おもいっきり見直してきた

見事な二度見である


「なっ!!おまっ・・・どっ・・・・」

理解が追い付いていないのであろうか

「そ、く、ど、を、お、と、せ!」

ゆっくりと話す

ようやく速度が落ちてきた。馬もつかれているではないか


軽い駆け足程度の速度まで落としたので後続もそれに倣っている

「予想以上に多いんだけど、後ろの兵士は何?戦争でも起こすつもり?」

それを聞いたイグノランテ、ドヤ顔で答える


「彼らは私の声に賛同してくれた同士だ!皆、自分の落ち度を認めてワークルエ隊を助けに来たんだ!元兵士が400人。商人や鍛冶師、ギルドの解体班からも参加してくれている。彼女達が寄ったと思われる町からも賛同者が増えていってるから、最終的には1000人の集団になるんじゃないか?」

自分の意見に皆が賛同して1000人を超える規模になる・・・

確かにすごい・・・・すごいが・・・・


「イグノランテ?それはケンプファーにも連絡しているのよね?」

「・・・・・は?」

「だから、蛇対策の為の防衛戦力を展開することをケンプファーへ連絡したのよね?向こうからしたら、前回の倍の戦力で戦争を仕掛けてきたことになるわよ?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ない。」

「なに?」

その青い顔を見れば予測は着くのであるが・・・・

「連絡・・・・・してない・・・・・どうしよう!・・・・・・イオラ!私はどうしたらいい?戦争なんて考えてないなんだ!」


「はぁ、そんなことだと思ったわ・・・・・ケンプファーへは私から説明するから速度はこのままを維持して」

我は空を飛びケンプファーへ向かう

ペールデンテはノリが良すぎであろう・・・・






ケンプファーの門近くの森に降りエクスになってから街に入る

領主案件であろうから庁舎へ向かう


またされるかと思えば、そのまま執務室まで通された

部屋に入ると何時もの面々

領主、大司教、グランツ

「まったく、ナールは何を考えているんだ!懲りずに戦争をする気か!!」

「いや、今回は狩人ギルドの人員もいることから戦争ではないとは思われるの出すが・・・」

「『思われる』ではダメなのだよ!民を守るためにも早く兵たちを集めねば・・・・」

案の定、戦争のリベンジと思ってるである


「カンプファン卿。それについての情報があります」

声を掛けてから、説明をしていく




「するとなにかね、ナールが切り捨てた部隊を、個人が救出に向かった結果1000人もの集団になったと?一概には信じられんが・・・・」

「おいエクス、それってペールデンテギルド長が絡んでないか?」

「よくわかったな。その個人がペールデンテギルド長イグノランテだな」

額に手を当てて天を仰ぐグランツ


「ギルド長の座を辞めていくと言ってたみたいだぞ?」

「いやいやいや、本部で問題になってんだ。数日で2か所のギルドマスターが辞職って前代未聞でな、ペールデンテの方は認められてねえんだよ」

ほむ

「そうなると、扇動の責任は狩人ギルドも関係するな」

「戦争でなくて良かったがな!」

狩人ギルドでも問題になっているらしい

しらんがな・・・である



どうやら代表者を現地に送ることで話を付けるらしい

「「グランツ、頼んだぞ」」

領主と大司教から言われて焦っている

「お・・・俺がですか?」

「問題ないと思うぞ?場所が近くなったら、また報告するからな」

我はスウォートのいるであろう方向へ向かう


上空からの索敵で、おおよその場所が解るのである

森の中で降り、歩いてスウォートに近づく

「様子はどう?」

「・・・動きはないな。アレは本当に生きているのか?」

「以前に相当強烈なブレスを打たれたけどね?あれも、7~8日前だっけ?それから動いてない様に見えるのよねぇ」

普通の蛇の成体だと食事のスパンは14日くらいって聞くであるしな

使徒であるから餓死はないであろ?


「どっちにしろ、一当てする前に防御を整えないとね。他の者は?」

此処には我を含めて4人しかいない


「クンター班6名で仮拠点の防衛。残りの3名は付近の捜索。地形の確認をしています」

スウィート以外の者が答える

そう簡単に言うもんじゃないよ、我、部外者なんだし


「そう。では仮拠点に引き上げて今後の打ち合わせね」

もう一人の隊員が笛のような物を吹いた

音が聞こえないであるが?


「魔道具の『魔法笛』です。特殊な訓練を積まねば感知されることもありません」

先ほど説明してくれた娘である

スウォートも止めようか・・・・


「返信あり『アイマム』以上です」

笛を吹いた娘が言うとスウォートは即撤退の指示を出す


仮拠点へ着く前に残りの三人と合流しクンター班と合流した

「戻ってきたんだねイオラちゃん!」

クンターよ。我は部外者であるぞ?


「とりあえず情報の共有をしましょう」

スウォートが蛇の状況と周囲の地形を報告

クンターが物資の残り状況と周囲の魔物の状況を報告した

なぜ全員でこっちを見る


「あー・・・イグノランテの方なんだけど。ぶっちゃけ人数が1000人を超えるんだわ」

「は?・・・・1000人?ペールデンテの兵力のほぼすべてではないのか?」

スウォートがやっとの思いで答える


「全員が兵士じゃないわ。兵士、商人、鍛冶師、解体屋・・・・いろんな人が集まって1000人よ」

「・・・・・そ・・・・・・それでは・・・・・騎士爵様が、派遣してくれたのか?増員を・・・・」

信じられないという顔をしているであるな


「それはない!単純に自分たちの意思でこちらに向かっているそうよ」

「・・・・・・・・・・・1000人もの人が・・・・・自分たちの意思で・・・・」

「なので問題は拠点をどうするかなのよねぇ。ある程度の広さで川が近くにある場所って何処かあった?」

周囲を探索していたメンバーに聞いてみる

みな顔を合わせて「あっちは?」とか「こっちは?」とか言っているが決定打はないらしい


「そうなると優先するのは水か・・・・スウォート、クンター。ケンプファーはこの辺りに壁を作る予定だそうよ」

我は地図に線を書き込む


「なのでペールデンテ側の壁はこの辺りに欲しいのよね。その後ろに観測所、第2壁、第3壁。拠点とした方がいいと思うのだけど意見をお願い」

「む・・・・・イオラちゃん。この辺りは川はあるが森が深く拠点に向かないのではないか?」

「確かに。切り開く余裕がないと思うが」

そう。

1000人も向かっているのだ

ちょっとした村以上の人員である

そんな場所があったら、とっくに村ができているのである

土地がないなら拓けばいいじゃない


「森を拓くのはテスタロッサ一人で十分よ。場所的には問題はないかしら」

「彼女一人に任せられんだろう、我々も手伝わせてくれ」

12人とも彼女に会いたいのだろう

手伝いを進言してきた


「邪魔になるだけよ。そのうち会えるから貴女たちにしかできないことをしてもらうわ」

イグノランテ率いるキャラバンへの説明と誘導をしてもらわなくてはならない


我は両手で柏手を打つと昨日と同じく、周囲に壁が囲み蒲鉾型のテントだ出来上がる

風呂もトイレも忘れず作る

「移動は明日にしましょう。朝に出れば日が昇り切る前に着くでしょう」

スウォートもクンターも頷き、野営の準備を始める


全員、風呂に行かせている間に夕食を作る

狼肉が大量にあるのでサイコロカットにして塩で味付け

森林狼のサイコロステーキで一品


芋も大量に買っているのでフライドポテトと

茹でてマッシュポテトにする


ん-出来るか分らんが卵とワインビネガー、塩、砂糖に脂。

魔法で攪拌

出来たのは『マヨっぽいなにか』

獣臭い気がするがマッシュポテトに混ぜて味付けにする

これで二品目、三品目


芋を揚げるのであれば兎肉も揚げてしまえってことで

兎の塩から揚げ

これで四品目


野菜が少ないので適当な野菜を魔法で絞れば野菜ジュースの出来上がり

これでビタミン補給の五品目



どれも十分な量を作ったので大丈夫であろ

いつの間にか後ろで並んでいるワークルエ隊

「立ってないで、とっとと座んなさい!」

パンとジャムを各テーブルに置いたら、次は料理を置いていく

「明日も森の中を進軍するんだから、食べ終わったらとっとと寝なさいよ!」

「「「「「「「「「「「「アイマム!!」」」」」」」」」」」」

「私は連絡に行ってくるからねー」



食事も終わり、しばし休憩の時間

夜というには、まだ早い時刻

地図で示した拠点予定地に到着


地面を攪拌して樹の根を切断しておく

立っている樹は当然ぐらついているので倒してしまう

倒した樹は邪魔なので予定敷地の端へもっていって積み上げる

でこぼこになった柔らか地面に熱を加えていく

少しやり過ぎて赤熱となってしまったので急いで冷却。失敗失敗

地面も硬くなったし結果オーライである


此処までの道も魔法で街道までつないでおく

魔法で樹の根を斬って魔法鞄に入れていくだけであるので直ぐに終了

つぎはイグノランテの方であるな






此方は索敵を使わなくても直ぐに見つけられるであるな

森の中で焚火の数が集まっている場所を探せばいいのである


「こまったこまったこまったこまったこまった」

テントの前をウロウロしている女

『困った』を連発している辺り相当テンパっているようである


「待たせたわね。ケンプファーは矢張り戦争を仕掛けてくると思ってたわ。一応説明して納得はしてくれたけど貴女からの説明と謝罪はしなさいよ?」

それを聞いて膝から崩れ落ちる女、イグノランテ


「よかった・・・・説明は何処へ行けばいい?ケンプファーか?」

「はぁ、狩人ギルドのグランツが来ることになるわ。まずは拠点となる場所だけどね・・・」

先ほど作った場所を教えて、そちらに向かうよう伝えた

明日の夕方には合流できるんではないだろうか




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