扇動
物資を集めたので今度は魔物狩りにでも行くである
渓谷猪が欲しいのでアフェットゥオーソへ向かう
空から索敵。渓谷猪の反応を探ると感あり!
大型が二体いたので、それぞれの延髄に一刺し魔法鞄へポイ
ギルドで解体よろ
出来るまでに買い物をいろいろとする
そういえば観測所を作るとか言ってたな
釘や工具類も買っておこう
ある程度時間がたったのでギルドへ肉を引き取りに行く
牙と皮は売ってしまうである。銀貨で70枚
此処からなら沼を飛び越えればペールデンテへ行くのも簡単じゃね?
様子見しにペールデンテへ移動
イオラに形を変えておくのを忘れないのである
街中を歩いていたらギルド前で人だかりができておるようだが?
これ野次馬か?近くにいた女性に声を掛ける
「ねぇ、おばちゃん。これ何かの集まり?ひょっとして特売?」
「あはは!たくましい子だねぇ、残念だけど特売じゃないよ。ギルドが重要な発表をするってんでみんな集まってんだ」
「へぇーそーなんだー」何をするつもりかなイグノランテ
「諸君、長らく待たせてすまない!ギルドからの発表を行うから聞いてくれ!」
ざわつきが収まる野次馬たち
台の上に立つイグノランテが見える
「ペールデンテとケンプファーの間に山が出来たという噂を聞いたことがあるだろう!領主の発表でもそうだった!」
ほーん領主が山であると言っていたのであるな
「だが、否!否である!これは山ではない!巨大な蛇の魔物である!私はギルド筋から情報を聞いて確認した。事実は魔物である!蛇の目的は解らないが、奴のたどる道の前にあるのは此処ペールデンテである!」
ざわざわする野次馬たち
「何故、私が今更このような発表を行ったか。諸君の知る部隊、ワークルエ隊の現状を知ったからに他ならない!
そう、我々が『面汚し』と呼ぶ小隊だ!そもそも彼女達は戦争で上司の指示に従ったに過ぎない!領軍の上層部は汚名を恐れ、彼女達に蛇を討伐に行かせた!しかし領主からの支援はされないままだ!!彼女隊は、我々が『面汚し』とののしっている所為で周囲の町、村からの補給もままならない状況である!」
『嘘だろ』とか『まさか』とかのこえが聞こえ始めた
「彼女らは決して帰還を許されない死への旅だ!諸君らはそれでいいのか?夜におびえて警邏もできない兵士や行方不明者がいても動かない兵士。そんな奴等がのうのうとして、噂を消すためだけに小隊を死に追いやる。誰が『仲間を見殺しにする面汚し』か!」
皆頷き始めている。
こいつ扇動者に向いてね?
「私、狩人ギルドペールデンテ支部長のイグノランテが宣誓する!ギルド支部長の座を現時点をもって辞任し、彼女らの救援に向かう!少しでも彼女らの汚名を晴らすためにも各々で考えてくれ!」
言うだけ言って台を下りていくイグノランテ
既に姿は見えない
まぁ、良い方に転がってくれればいいであるが
我は人込みを抜けて街を出て空中で待機する
暫くしたら荷馬車を操車する女と追随する数台の馬車や荷馬車が連なってペールデンテを出立した
これで少しは防御壁が進めばいいけど
我は先に蛇へ向かうのである
空も薄暗くなってきたであるな
そろそろと思うのであるが・・・・
森の中から一条の煙が立ち上っているのを見つけた
おそらくアレであろうな
暫く上でみていると、やはりワークルエ隊の野営地であるな
蛇の見える位置には後半日といった所であるか
周囲を簡単な柵で囲み数個のテントを立てている
見張りを数人立ててはいるが人数的にも疲れが溜まっておろうな
我は出入口らしき所に降下する
「うぇ!そ・・空から?」
出入口と思われた見張りは混乱している
「私はイオラ、エクスの使いよ。隊長か副隊長はいるかしら」
コクコクと頷く見張り
「たいちょー!空から女の子が!」
どこのアニメか!
この世界に天空の城は無いであるぞ?たぶん
「何?寝ぼけてるの?って女の子?」
隊長のスウォートが出てきた
フットワークが軽い女である
「隊長さん?初めまして、私はイオラ。愛と希望のマジカル少女イオラちゃんよ」
「え?・・え・・あ・あぁ、よろしく。スウォートとです‥‥」
「とりあえず物資の追加を持ってきたから、通ってもいいかしら?」
未だに混乱している面々
「え?・・物資の追加?・・・何処から?」
「エクスからのお使いだからね、不足や欲しい物を聞いてきてって。男には言いづらいこともあるだろうからってね」
「そ、そうか・・恩に着る」
「別に恩に着なくていいわ。テスタロッサにも頼まれてるし」
テントというより幌を掛けただけの荷車に追加物資を足していく
酒、食料、衣類
今回は石鹸と洗剤も足してみた
「ソ…それらは何処から出てきているんだ?」
「私は空間に物を収納できるの。あまり言いふらさないでね」
一通り追加し終わったので次は周囲であるな
「蛇までは後半日ってとこだけど、拠点はどうするつもり?」
「我々には拠点を作る力も知識もないよ。野営一択だな」
自虐過ぎるわ
「・・・イグノランテが有志を募ってペールデンテを出立したわ。そうすれば少しは改善できるでしょ?それまでは私が協力してあげるわ」
「そんなことして君に何の得がある?」
「私の、というよりエクスもテスタロッサも狙いはあの”蛇”だよ。あとペールデンテの”夜の老人”もね」
「さて、『まじかる☆うぉーる』」
両手を叩いたと同時に柵の1m位先の地面がそそり立ち土壁となる
高さ3m位であるかな?
まあ外側がその分えぐれているはずなので、もう少し高く見えるかもであるが
「な!」一瞬で出来た土壁に驚くスウォート
「たいちょー壁が!壁が!」「閉じ込められました!」「地面が飛び出てじゃじゃじゃじゃーんって」
最後の奴、余裕であるな
「あなた達あんまり寝てないでしょ?周囲を囲ったから今日くらいはゆっくり寝なさい」
「それは有難いが・・・出入口がないと困るのだが・・・・」
「ん?朝になったら壁は壊すから出れるわよ?」
「いや、そうではなく・・・・その・・・もようした時が・・・・」
「ま・・・・さか・・・・・アンタたち・・・・野ション、野グソしてたの?!それって女として如何なの?」
「女と言っても食べれば出るのだ!地面を掘る体力も温存したくて、つい・・・・・」
「あー、女だけの部隊だったわね・・・・女だけなら納得するわ・・・・」
「女ばかりだと・・・どうしてもな・・・」
我は壁の近くに行き魔法を使う
『まじかる☆うぉーる』『まじかる☆ぴっと』『まじかる☆ろっく』『まじかる☆ばれっと』
壁の一部を作り替え奥行を取る
その空間を1mほど掘り下げ周囲に岩を並べていく
最後に底に丸石を敷き詰めていく
『なになに?』『この娘だれ?』『壁?穴?』ギャラリーが煩い
我は更に魔法を使う
『まじかる☆うぉーたー』で穴に水を入れていき
『まじかる☆ふれあ』を水に沈める。湯気が出てきたら触って温度確認。こんなもん
「あなた達はとっとと風呂に入ってしまえ!石鹸は追加物資に大量に持ってきてるからソレを使うこと!」
「え・・・お風呂?」
「着替えの予備も追加物資にあるから各自持ち出して着替えなさい!脱いだものはこっちの籠に入れる!」
「え?野営地で?」
こいつら・・・・混乱しすぎであろう
「いいから全員、風呂に入れーーー!!総員!駆け足!!!」
「「「「「「「「「「「「アイ!マム!!」」」」」」」」」」」」
ようやく風呂に向かったか
我は魔法鞄から大量のタオルを出して置く
籠に入りきらなかった汚れた衣類を集めていく
・・・・いくら女ったって臭いんだよ、こいつら・・・・・
「総員、傾聴!本日、諸君らの知るイグノランテが街中で声高らかに宣言をした。上司の指示に従い撤退した諸君と、支援も補給もできない状況で諸君らを送り出した街の者のどちらが『仲間を見殺しにした面汚し』かを街の中で問うたのだ。イグノランテはたとえ一人でも諸君らの救援に向かうと、諸君らの汚名をそそいで見せると宣言したのだ」
話を聞いているのかいないのか、呆けた顔を並べる面々
「イグノランテの操車する荷車のほかにも、賛同した狩人も商人たちもキャラバンを組んで追ってきている。”ペールデンテ兵士団騎兵小隊ワークルエ隊”の諸君!今日まで良く耐えた。君たちの汚名はもう無い!」
ようやく理解が追い付いてきたのか滂沱の涙を流している者。嗚咽する者。
まぁ、ほとんどが泣いておるな
「その、イオラ・・・・ちゃん?本当に・・・汚名は返上されたのであろうか・・・・」
「当たり前だ!お前たちに汚名を被せるならばテスタロッサがペールデンテを更地にするだろうね」
スウォートの質問にニヤリとわらって答えてやる
「そ・・・うか・・・・そう・・・うぅう・・・」
スウォートも嗚咽し始めた
貴様ら、張りつめすぎだ
「私からの最後の通達だ!周りを見ろ!この壁の高さであれば狼共も入ることは出来ない!各自、風呂にゆっくり浸かりリラックスしろ!飯の支度はしてやる!栄養も睡眠もしっかりとって休め!!」
この言葉にキョトンとなる面々
泣きながら、動きを止めるとは器用な真似をしてくれる
「お前たちは一人じゃない。今日くらいは私たちが見張りくらいしてあげるわ」
そういったとたんに、また泣き始めた
もういくらでも泣いてくれ
我は風呂場とは反対方向に魔法で穴を掘り壁で囲った個室を3か所作った
流石に寝ている横で排泄されたくはなかろ?
少なくとも我にはそんな趣味はない
テントの数も少ないんだよな、こいつら・・・・
魔法で壁を作り天井まで覆いたいが平天井だと難しいのである。
むー・・・・・U字をひっくり返した形状の物を連続してつないだら蒲鉾みたいな形にならんだろうか
”立って半畳寝て1畳飯は食っても2合半所詮〇間そんなもの”らしいので
最大の高さは2m・・・じゃ息苦しいか。余裕見て2.5mで。
寝る場所は幅2mに奥行90センチにしよう。それを両サイドに付けて真ん中は通路で70センチ
これで半径2.5mの蒲鉾型ベットになるでしょ?
同じものを3連つないで、もう一セット作る
つなぎ目の所に出入り口を作るのを忘れない
寝るところはこれで良かろう
次は食事である
魔法で竈をつくり薪に火をつける
魔法ってチートであるよな
我はネギを刻んで塩、ニンニクを混ぜ込んだタレに渓谷猪の肉を付ける
塩ネギトンテキの分厚く切られた肉で満足いくであろう
次は野菜を煮込んだスープに何かの乳を入れる
味見したら牛乳っぽかったのであるが、何の乳か解っていないのである
兎肉を入れて塩で味の調整
あとは、このまま煮込めばシチューの出来上がりである
狼肉は単純に塩で焼く
ニンニクと一緒に焼けばなんとかなるであろ
後は買って来たパンとジャム
甘未が欲しかろうとジャムは多めに買ってある
あとはワイン樽を取り出して準備完了である
「あの・・・イオラちゃん・・・・これは?」
風呂上がりのワークルエ隊が戸惑っている
「ふむ、上がったわね。皆よく聞きなさい!トイレはあっち!魔法の光を付けてるから夜中でも見えるでしょ?」
風呂と反対方向を向いて、カックンカックン首を動かす
「次は寝るところはソレ。そこの筒みたいなものの中にベッドを作ってあるからそこで寝るように!空気窓があるから少しは灯が入るんので見えるでしょう。たぶん」
蒲鉾型の土山を見てカックンカックン
「次はそこのテーブル!全員席に着きなさい」
4人掛けのテーブルにはナイフ、フォーク、スプーンが既に並べてありパンもジャムも並べてある
我はできたての料理をそれぞれのテーブルにドンドン運んでいく
「酒はそこにワイン樽を用意しているから、飲みたいものは飲みなさい!スウォート、クンター異論はないな!あっても認めない!」
みな隊長と副隊長に目をやるが、二人顔を合わせたあと頷いたので大歓声が響く
「食い物もまだまだ沢山あるからな!急がずゆっくり食いなさい!」
どのテーブルからも『美味い』の大合唱である
そこ!『最後の晩餐』は縁起が悪いのである!
「世の中には、もっと美味しいものが満ちているのよ!味わい尽くしてやるくらいの気持ちで足掻きなさい!」
『おー』と盛り上がる面々
ようやく笑えるようになったであるな




