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暴走

あー全く疲れたのである

我はケンプファーに戻っているのである


ペールデンテではひどい目にあったので少しノンビリとするつもりでいたのであるが

グランツが部屋まで呼びに来たのである


グランツについていくとギルドではなく庁舎へ連れてこられた

「グランツ、何故庁舎に来たんだ?」

「そりゃお前、御領主様に報告するなら庁舎だろうが」


ノックして執務室に入ると領主と大司教が座っていた

「すまんなエクス君。ちと面倒なことになってな・・・」

「カンプファン卿。私が話しましょう」

ほむ

大司教が説明してくれるらしい


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

欲に目がくらんだギルド長トゥレライトを無理やり休養を取らせ軟禁していたが、街を離れゆっくりしたいと本人の要望がありコレを承認したらしい

問題を起こしたが犯罪を犯したわけではないのでコレは構わない


その後、どうやら奴が向かったのは天竜山・・・天神教本部であったようでな、そこで直談判をしたようなのだ。

その場に居ったものが連絡してくれたのだが『儂が行けば、足止めなど言わずとも使徒を倒して見せよう』と豪語したそうだよ。

それで報酬を要求してきたのだが、1体倒す毎に大金貨を15枚だそうですよ

教皇様も使徒を倒せるなら願ってもないこととして討伐出来たら払うことを約束されました



「討伐出来るのであればよろしいのでは?」

「エクス殿はソレで宜しいのですか!?いわば獲物の横取りになりますぞ?」

「そうだぜエクス。それは狩人の誇りにかけてやっちゃいけねぇ」


「ギルマスは何を倒すつもりで?」

「沼に居る”蛇”です。狩人を募っているみたいですね」


「うーん・・・倒せるならそれで良いんだが、もし好戦的になって進行が早まったら不味くないか?」

「我々もそれを気にしてるんだ。君は倒せると思うかい?」

「無理でしょうね。そもそも鱗は魔法が効かないし、7つの頭から高速ブレスが飛んできますから。全滅?」


そこでドアが乱暴に叩かれている

「大変です、カンプファン様!アルバート・デンテが脱獄しました!!」

「な、なんだと!すぐに衛兵を捜索に回せ!あと屋敷への警備を増やすよう伝えてくれ!!」


「あぁ。お嬢様に懸想している馬鹿ですね」

「そうだ!あいつは絶対に縛り首にしてやらんと気が済まん!!奴の所為でどれだけの者が亡くなったか!」

「グランツ、狩人ギルドでも捜索させろよ。参加者は名前を書かせて捕縛者に賞金を与えれば出来るだろ?」

我は金貨を1枚グランツに渡す


早速、庁舎を出ていくグランツ

緊急依頼発生であるな


「エクス殿は行かんのか?」

「はい、私はそのバカの顔を知りませんので。こちらで警護させていただきますよ」

そうかと言って黙る二人


またドアがノックされる

入ってきた職員は疲れ切った顔をしているが報告を読み上げる

「アルバート・デンテの脱獄に手を貸したものが判明しました。ギルド長トゥレライトです。トゥレライトが脱獄の手引きをしていました!」


全員が石になったように止まってしまった

ギルド長が脱獄させた?何のために?

「御領主。ちなみに馬鹿は戦術指揮官としては才能がおありで?」

「まぁ、人を駒のように考えているから指揮官としては優秀なのであろうが、それが・・・・・まさか!」


「馬鹿にやらせるつもりではないですか?”蛇”との戦争を」

「グランツを呼び戻せ!ギルド本部に連絡させろ!!」

いそぎギルドから呼び戻されたグランツ


「グランツ今回の件の概要が推測されたので、お前にも聞いてほしい」

前置きをしてから領主はグランツに話した


一級戦犯アルバート・デンツを脱獄させたトゥレライトが集まている狩人を全て留める事

街に害意をもたらしたトゥレライトの厳罰なる処分と被害補填などなどを

狩人ギルド本部に至急連絡するよう指示していた


真っ青な顔でギルドに帰るグランツ

大変なことになったであるな


「監視は今どういった状況ですか?」

「教会の僧兵が2日前に出立したから今頃は着いた頃ではないか?」

「直ぐに退避させた方が宜しいかと。巻き添えになります」

「わかった!早馬を用意させよう」

今度は大司教が走っていった





ドアをノックする音

領主が返事をする

入ってきたのはグランツ

「御領主様。ギルド本部よりの伝達です。『今回の件、誠に遺憾である。狩人ギルドとしてケンプファー支部部長トゥレライトの資格を永久剥奪とし指名手配とする。被害については実際の被害を確認の上、相談されたし』以上です」

それを聞いた領主の眉間に皺が寄る

「ギルドはふざけているのか!人の命を何だと思っているんだ!!」


はぁ、この領主は優しすぎるな

平時であれば優秀な執政官であろうに


「グランツ、トゥレライトについていった狩人の数は解るか?」

「ん?あ、あぁB級2人、C級10人、D級13人だな」

「25人もか・・・彼らは狩る相手のことを知っているのか?」と領主が尋ねる

「いえ・・・・おそらく大型の魔物程度にしか思ってないかと。奴の募集要項を確認したところ『レイドパーティ募集!ケンプファー北部の沼地にて大型魔物が出現、これを退治する物を募集する。2種ランク問わず。報酬金貨1枚、期限20日』です」

ほーん

20日で倒す自信があるのか


「確か奴は火魔法と風魔法が得意だったな。それで倒せると踏んだのか?」

「はい。火と風の複合魔法を使えると以前に聞いた覚えがあります」

複合魔法?

それは見てみたいであるな


「よし、俺が行って説得してみよう。何人かは戻ってくるかもしれんしな」

「頼む。エクス殿」







我は街を出て速攻森に入る

イオラに変わって空から奴らを追いかける為だ


暫く飛ぶと街道に馬車が数台走っているのが見える

距離は街から数時間といったくらいか

あれポイ?


我は先回りしてエクスに変わり道を封鎖した

封鎖と言ってもバリケードなど無いであるから、土魔法で壁を作った位である

その壁の上に座って待っていたら馬車の集団がやってきた


「なんだ!」「道がふさがれてる?」など話している声が聞こえるが一旦無視する

我は音が大きくなる風魔法を使う。振動を増幅させれば何とかなるであろ?_

あーてすてす・・・・



「あー聞こえているかな?そこの馬車大人しく止まりなさい。」

といっても街道が進めないから止まるしかないであろ


「何者だ!何故、道を塞ぐ!盗賊の類であれば切って捨てるぞ!!」

ガタイの良い男が叫んでいる

「盗賊ではないな。指名手配犯トゥレライトの甘言にのり魔物退治に行く諸君への警告である。」

「ふざけるな!なんで儂が指名手配になる!!」

トゥレライト本人もいたであるな。よしよし


「元ギルドマスター、トゥレライト!一級戦犯アルバート・デンテ逃亡幇助およびカンプファン領に多大なる害意ありとみなしギルド資格永久剥奪と指名手配がギルド本部より決定された!大人しく街へ戻り自首するよう勧告する。また今回の魔物は大型は間違いないが山ほどの大きさのヒドラである。魔法も効かない鱗を持った魔物であり光のブレスを使う魔物だ。諸君らは倒す相手の説明を受けたか?騙されていないか?今回の募集は不当であり、この場で帰る者は依頼未達の罰則はつかないことを約束する」

ざわざわとする狩人達


「このまま進めば、君たちにも『街に害意あり』とみなされるので留意してくれ!」

「黙って聞いていれば、勝手なことを!!お前ら!この戦術の天才であるアルバート様が指揮するのだ!たとえどのような魔物でも恐れるものでは無い!勝利の暁にはペールデンテにて召し抱えることを約束しよう!!」

仕立ては豪華だが薄汚れた若い男が叫んでいる

あれが馬鹿であるな・・・・そういえば馬鹿を如何するか聞いてなかったであるな


「ペールデンテへ行っても無駄だぞ?魔物が向かっているのはペールデンテだからな。今、お前たちがちょっかい出してケンプファーへ向かってきたらどうする気だ?領主はそれを危惧されている」

「ふん!儂の複合魔法であればどのような魔物でも倒せるわ!!5属性が使えるからと言っていい気になるなよ小僧!!」


我は壁の前に降りる

「やれやれ、耄碌ジジイは過去の栄光に縋りすぎるな。見せてもらおうか、複合魔法の威力とやらを」

「ほざくな!!小僧!!」

トゥレライトの両手に魔力が集まっていく

「くふふふ・・・・ここまで来たら、もう止められんぞ?泣いて命乞いでもするがいい。考えてやらんことも無いぞ?」

我はため息をついて、トゥレライトに向けた指を2,3回曲げる


顔を赤くさせたトゥレライトが魔法を放つ

「燃え尽きよ!冥府の業火!!」


辺りを赤く染め上げ爆炎が迫る

でも、我には関係ないのである。次元潜宙で回避できるので


魔法は壁に当たり火柱が立ち上がる

確かに強力であるが、あたらなければどうということもない

周囲を風魔法で真空状態を作り、あたりの消火と地面の温度を下げる。大体直径2メートル位であるか


次元潜宙から出てみると地面がガラス状になっている

相当な熱量であるな


狂ったような笑い声が炎の向こうから聞こえてくる

「ひゃーっはははは・・・・調子の乗った小僧が!骨も残さず焼けてしまえ!!」


真空状態の風魔法を声のする方へ放つ

みるみる消火されていく炎

先には目を見開いているトゥレライトと狩人達


「この程度かな?ご自慢の複合魔法とやらは」

無傷の我をみて戦意を喪失したのか両膝をついて放心しているトゥレライト


「狩人諸君。まだ試すかね?あの程度で切り札というなら死にに行くだけだと言っておこう」

狩人たちは全員、首を横に振っている


「ではそこにいる指名手配犯と一級戦犯を捕らえてくれるかな?報奨金が出ているだろうから少しは足しになるのではないかな」

そういうや否やボコボコにされる馬鹿達

簀巻きにされて馬車に放り込まれていく


「本当に罰則は無いんだろうな、5属性!罰則を受けたら領主に訴えるからな!」

「心配する必要は無いさ。今回の件で領主は相当お怒りだからな。主犯を捕まえたんだから御咎めなどないさ」

ひとまずは納得して来た道を戻っていった


我は壁を取り壊し街道を均していく

魔法は便利


ある程度戻ったら森へ入り、空を飛んでケンプファーへ向かう

馬車の速度を見たら夕方には街に着くであろう






「ただいま戻りましたよ」

我は庁舎の執務室に入った

中には領主と大司教、グランツが居た


「おおエクス君、首尾はどうかね!」と領主

「現地に着く前に追いつきましたよ。説得は成功しトゥレライトと馬鹿は狩人達に連れられて戻ってきます。多分夕方位じゃないでしょうか」

その報告に一同ほっとした顔をする


「それとグランツ。今回参加していた狩人たちへの依頼未達の罰則は無しに出来るか?あと馬鹿の捕縛報酬も彼らに」

「あぁもちろんだ。依頼自体に嘘の記載があったからな、罰則は問題ない」

「報酬はこちらからも出すよ。グランツ、彼らにその説明も頼むよ」

「了解しました」

一礼して部屋を出ていく


「今回の件は報酬に目がくらんだトゥレライトが原因ですが、今後も似たような者が出てくるかもしれませんな」

「うむ。こちらに来ないことが望ましいのだがな。観測用の仮拠点を作る方向で動いてみよう」

領主と大司教が話し始めたので、一礼して我も出ていく


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