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憤怒

「単刀直入に聞くわ。フィーダ、あなた何をしたいの?」

またこれか


「間違えないで、私はテスタロッサ。フィーダではないわ」

しばし睨みあった結果、ギルマスの方が目を逸らした

我の勝ちである


「はぁ・・・わかったわ、テスタロッサ。貴女の目的は?何をするつもりなの?」

「昨日伝えた通りよ。蛇がこの街に向かっているから警戒なさいと言ったでしょう?」

警戒せずに自滅しても知らんよ?


「それだけか?ブラオラへ仕返しとかじゃないんだな?」

「私があの子に?どうして?それとも仕返しされるようなことをしたの?ギルド全体で?」  

この女、フィーダとどういう関係だったんであろうか


「い・・・いや・・・フィーダのことは関係なくてだな・・・・・そうそう、デセインテレットのギルマスが捕まって一斉捜査されたとか、赤髪熊女がいるとか聞いたもんだから・・・ね?」

「あら、痴漢には当然の報いじゃなくって?それに、だれもフィーダの事なんて聞いてないわよね?」

少し睨むくらい良かろう


「ホントだったのかよ!・・・・・フィーダのことは忘れてくれ!お前を見るとどうしてもそう呼んじまうんだ!」

「仲が良かったのかしら?」

「そうだよ!妹みたいに思ってたさ。あいつも狩人をしてたんだからな、新人のころから知ってるよ」

狩人をしてたであるか

それが何故兵士になった?


「お前さんの知ってる通り狩人ギルドに所属してれば徴兵義務は免除される。ある日、徴兵があって狩人ギルドから登録リストを出すよう言われたんだ。そのリストに漏れてたんだよ、フィーダの名前がな。当時のギルマスが説明しても却下されて徴兵逃れを疑われたんだ。それ以降あの娘は兵士となり戦争で帰ってこなかった」

ほーん

「そのリスト作成をあの娘がしてたってこと?意図的に?」

「そこらへんは散々調べたし、狩人仲間からも指摘されていたよ。でも証拠もなかった」

「ギルドとしては責任をとってギルド長が辞任。在籍していた狩人達も大分流れて行ったよ。登録者を守れなかったんだ当然だな」

自嘲しているが、それが如何したのであろうか


「昨日の昼くらいからギルド内で噂が流れたんだよ。『フィーダ』が帰ってきたってね。私は直ぐに彼女の家に行ったさ!母親に『良かったな』と言いたくて。だが、家には誰も居なかったんだ・・・不思議に思い西門へ行ったら、母親のツーダが座っているのを見つけたんだ」

ほむ

街に入ったときの女性であるな


「異常な感じだったよ。怒りながら泣いているんだ。訳を聞いたら『アレはフィーダじゃない!フィーダの振りをした化け物だよ!』ってね。凄まじい叫びだったよ」

ほーん

母親の感であるかな


「それからどう戻ったのか覚えていないが気づいたら、この部屋に居た。すでにギルド内の噂は『フィーダの怨念』が帰ってきたとなってたよ。私は否定できなかったがな」

それで最初にギルドへ入ったときシーンとなったのか

受付嬢たちの顔色も悪くなるのも無理はないであろうな


「今朝の様子から『フィーダの怨念』でないと思ったのだが、今回の騒ぎも起こしたのがブラオラだったからな。もともとギルドに不信感があったのに更に増大させてしまった」

まあ信用何て失うのは一瞬であるからな


「信用を得るには時間が必要でしょ、気長にするしかないんじゃない?」

「簡単に言ってくれる。しかし真実なんだよな」

他人事であるしー


「それは地道にするさ。それより蛇ってのは本当なのかい?」

我は先ほど女隊長にした話をギルド長にも話した


「別に信じてもらう必要は無いけどね。スウォートっていう女隊長さんにも伝えているから確認してみたら?」

「スウォート・・・フィーダのいた小隊だね。わかった確認してみるよ。しかし神々の戦いねぇ・・・・」


「下手な欲をかくと死ぬわよ。ケンプファーのギルマスも外されたみたいだしね」

「あの爺か。それはいい気味だが余計な事をしでかしそうだな」

我もそう思う


「それが原因で進行が早まるかもね」

どうやらギルドで偵察を行うことに決めたようだ

まぁ逃げるなら早めにすることであるな







ようやく宿『騎士の誉れ亭』に着いたのである

メニューは昨日と同じ

肉焼きに野菜、薄いパンを果実水で流し込むと直ぐに部屋に引き上げる

今日も鉢合わせは勘弁していただきたいので

朝まで大人しくしているのである


朝になり階下に降りるとマッチョ坊主が朝食を作っていた

「もうすぐ出来る。座って待っていろ」

ぼつりと言われたので大人しく座って待っておく

厚切りベーコンに熱々のマッシュポテト、簡単なサラダにオニオンスープが乗っている

御馳走様でした!


「もう出るのか?」

マッチョ坊主が聞いてくる

「そうね、これでも割と忙しいのよ?」


宿を出た我は西門へ向かう

何故かストーカー女が前を塞ぐ

何か言いたいのか、両手を広げジッと睨んでくる

ホント何がしたいんだろうか

「ここの兵士は人の邪魔をするのが仕事なのかしら?退いてくれない?」


「フィーダを返して!!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?

「フィーダを返しなさいよ!この化け物!!」

何を言っているのかこの女


「居た!隊長!!こっちです!!」

「馬鹿!何やってんだ!」「この人は関係ないだろ!!」

口々にストーカー女に文句を言っている


息を切らして隊長がやってきた

「テスタロッサ・・・部下が重ね重ね済まない」


「隊長!こいつはフィーダの体を乗っ取った化け物です!!フィーダから出ていけ化け物!!」

「馬鹿!何言ってんだ!!」「おい、こいつ黙らせろ!」

抑えようとしている同僚のスキを突いてこちらへ突進してくるストーカー女

思わず裏拳でカウンターを入れてしまったではないか


「散々な言い様ね。そのフィーダって言う人と如何いう関係か知らないけど似ているってだけで責められたくはないわ。」

「いや、君の言うことは最もなのだが・・・・」

コイツを抑えられなかったので隊長も同罪である


「よく聞きなさい。フィーダという娘は最後尾で戦ってたのよね?一人で?誰も助けなかったの?それで仲間と言えるの?よく考えなさい!お前たちは仲間を置いて逃げたんだよ!仲間を見殺しにしたんだ!自分が助かる為に!所詮は口先だけの仲間だったんだよ!」

「そ・・それは違う!」「撤退は、命令だったんだ!!」

ストーカー女以外にも反応している?


「今度は言い訳か!仲間が死んだら敵の所為!命令した上司の所為!自分が苦しむのも人の所為!お前たちは全てを他人の所為にして逃げてるんだよ!!」

「・・・違う・・・」「ちが・・・」反論する声が小さくなっていった


「その女を見ればわかるだろうが!見殺しにした奴が生きていたのが怖いのだろう!何故見捨てたのか責められたくないから執着してるんだろう!いい加減に認めろ!!お前たちは仲間を見捨てて見殺しにしたんだ!!他人の私にそれを押し付けるな!!!」

ストーカー女も、抑えている兵士も黙ってしまった


「・・・テスタロッサ・・・・怒りは解るが・・・どうか、その辺で抑えてもらえないだろうか・・・・・」

野次馬たちからの冷たい視線を浴びながら隊長が頭を下げる


「わ・・・わたひは・・・」

さっき殴ったから頬が腫れあがっているのでうまく喋れない

もっとも泣いている所為でもあるのだろうが


「お前らが死者を冒涜しているんだよ。それを自覚するんだな」

やれやれ、ようやく街から出れるのである


門の前で石が飛んできた

もちろん当たることなど無いのであるが


飛んできた方を見ると、フィーダの母親である

「死ね!この化け物!!」

叫びながら石を投げる


門番が飛び出してきて母親を取り押さえている

「すまない、彼女は錯乱しているんだ。許してやってほしい」

来た時に話した門番である

最初は高圧的に見えたのであるが、そうでもないのであるかな


「あそこでのやり取りも聞こえていた。まったく耳が痛いよ。不愉快な街だろうが機会があればまた寄ってくれ」

「戦争を起こしたバカを恨むしかないわね。兵士に死ねと命令するしかない上官に同情するわ」

「まったくだ。下は下で命令には逆らえないからな」

「死んだことにして逃亡するのも一つの手よ」

「あんたみたいにか?」

「あら、私はテスタロッサよ?それ以上でもそれ以下でもないわ」


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