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執拗

やれやれである

まさか回収した死体の知人に会うとは思わなかったのである

取り込んだ者の平均で顔を作ったつもりであったが『フィーダ』が強く出ていたのかもしれんな

しかし今更変えるわけにはいかんし。

他人の空似で通すのである


朝になり階下に降りるとマッチョ坊主が朝食を作っていた

「もうすぐ出来る。座って待っていろ」

ぼつりと言われたので大人しく座って待っておく


ことり。とテーブルにプレートが置かれた

厚切りベーコンに熱々のマッシュポテト、簡単なサラダにオニオンスープが乗っている

我は早速頂いた


「昨日は巻き込んで悪かったな」

「まぁ死んだと思ってた仲間が帰ってきたとなったら喜ぶでしょうよ。人違いってわかった後の方がきついんじゃない?」

かもしれんな。などハードボイルド気取って言ってんじゃない


我は窓の外、建物の影から覗いている女が気になるのだが?

「じゃあ親父!私はギルドへ行ってくるから晩飯も宜しく!」

我は声を掛けてから宿を出る


昨日教えてもらった通りに南門へ向かいギルドを目指しているのであるが、後ろをちょろちょろと付いてくる女が居る

凄く気になるのだが?

我は立ち止まり様子を見るが、女も立ち止まっている

再び歩き始めると付いてくる

何がしたいのであろうか・・・



「いつまで付いてくるつもり?」

我は腕を組んで後ろを睨む

隠れていたが観念したのか、すごすごと出てきたのは昨日突っ込んできた女だ


「どういうつもりかしら?ペールデンテの兵士はやっぱり変質者ばかりなのかしら」

なぜか涙目でこっちを睨んでいるのであるが?

ぽろぽろと涙が出てきて泣き始めた


女性が泣いているのを宥めるのがラノベの主人公であろう

我がする行動は決まっている

「うぜぇ。泣きゃあ済むと思ってんのか?とっとと失せろ!」

無視するのである

泣けば相手してもらえるなどと思わないことだ


サクサクと歩を進め、ようやくギルドについた

まぁ作りは同じだわな


ギルドの中に入ると、それまでの喧騒がウソのように静まり返った

カウンターに居る受付嬢の顔色も悪いようだが?


我はカウンターに行き周辺の魔物分布を確認する

一角兎は何処でもいるな。森林狼と装甲熊、渓谷猪も出るのか。

長剣虎や雷鹿は出ない様であるな


我が分布図をみていたら受付嬢がこっそりと話しかけてくる

「フィーダさん、どこかで療養中だったんですか?お母さんが門で一日中待たれてますよ?」

こいつもか

そんなに似ているのであろうか。だとしたら『フィーダ』の怨念かもしれんな

「私の名前はテスタロッサ。フィーダじゃないわ」

すいませんと謝罪をして戻っていく受付嬢

うーむ。どーしたもんかー

動きづらいであるなー


我は先ほどの受付嬢を呼び、沼近くの蛇について対応をしているか聞いてみた

「蛇、ですか?何か小山が出来たとの報告がありましたが・・・え?・・・それって・・・」

「山みたいな大きさの蛇が居座っていて、こっちに向かっているのをギルドは理解しているかと聞いているの」

「いやいや、そんなのないですよ。ありえないです!」

我は受付嬢の顔を両手で挟み鼻が当りそうな位置で目を見ながら話す


「あなたは神なの?世界中の今起きてる出来事を全て理解しているというの?街から出たことのない小娘が何を知っているの?『ありえない』なんてことはありえないのよ」

受付嬢は涙目である

我は手を離したのであるが、その場で座り込んでしまった


「ギルドマスターを読んで頂戴。A級狩人、エクスからの情報と言いなさい」

別の受付嬢が軍隊宜しく敬礼して駆け足で奥へ行ってしまった






「待たせたわね、ペールデンテ支部長のイグノランテよ。ギルド長室へ着て頂戴」

我は言われるままギルド長室へ向かった


「今噂の5属性使いの情報ってことだけど?」

「ココから南西の沼地前で巨大な蛇が居座っている。そいつはゆっくりとだが此方へ向かっているぞ?対策は出来ているのか?」

鼻の頭に皺をよせ苦り切った顔をするギルド長


「あれは魔術で出来た山よ。動くことは無いわ。よくもがセネタを持ってきたものね」

「信用しなくてもいいさ。”蛇”の目的地はペールデンテだろうからな、せいぜい頑張ってくれ」

われはそれだけ伝えるとギルド長室を後にした





時刻は未だ昼のもなっていないのである

近くで狩でもしておくかと思い門へ向かうことにする

此処からなら南の門であるな


「テスタロッサさん、少し待ってくれないか?」

声を掛けられた

振り返ってみてみると昨日の隊長とあと数人


「何かしら?森へ行って憂さ晴らしでもしたいんだけど」

この回答を予測していなかったのか隊長は苦笑いだ


「すまないな。昨日の件の謝罪と蛇について聞きたかったんだが・・・・使いの者が失礼したようだね」

あの女が使い出来ていたというのであるか?

「なら人選ミスもいいとこね。コソコソと付け回し、見つかったら大声で泣きわめく・・・ウザイったらないわ」

後ろをちらりとみた隊長

周りから小突かれているストーカー女


「はぁ、人選ミスは認めるよ。彼女が志願してきたから任せたんだけど・・・重ね重ね謝罪するわ‥‥」

ふむ。ストーカー女の暴走?

それともコチラがボロを出すのを誘ってる?


「それについては如何でもいいわ。蛇についてってのは?」

「街中で話すことではないのではないか?」

ふむ。

確かにチラチラとこちらを見ている者が増えてきたな


「では森にでも行きましょうか?別に出ても構わないんでしょ」

「そこは我らの詰め所ではないのかな?」

隊長の顔が引きつっている


「いやよ。私の認識では『ペールデンテの兵士は変質者』と思っているから。そんな奴らの巣に行きたくないわ」

『なっ!』『変質者!我々が?』などと後ろで言ってる


「違うのか?酒場で一般人に抱き着き、宿を見張り、 付き纏い、集団で巣に誘う。それを兵士がしてるんだからな。」

口をパクパクさせる後ろのモブ集団


「確かに一般の方からしたら警戒するわね。あなたたちは隊舎に戻りなさい。私は森へ行ってくるわ」

額に手を当てて唸ったあと隊長だけで森へ付いてくるらしい

しぶしぶ従うモブ集団

いやストーカー女だけはこっちを睨んでいる






門を出て森を進む

真っすぐ行けば沼に出るのであろうが距離が相当あるしな

蛇も最短距離を行くより、進みやすい草原側へ回ったのであろう


飛び出してきた一角兎の喉を剣で一閃し絶命させる

逆さにして血抜きをする

血の匂いに誘われて森林狼がやってくる

同じく喉を一突き、蹴りを入れて剣を抜く

完全な作業である


魔法で地面に穴をあけ狩った魔物たちの血を流し込む

血抜きまでに少し時間が掛かるようだ

我は周囲に魔法で風を起こし血の匂いを上空に送り出すことにする

ついでに焚火も起こしておこう


「それで、蛇の何が知りたいの?」

後ろで固まっていた隊長に聞いてみる


「うえっ!・・・えっ?ヘビ?・・・えぇ、蛇のことね・・・・それより、凄いわねソレ」

我の後ろにぶら下がっている魔物。一角兎3体と草原狼5体

魔物が来るまでに作成していた背負子であるな


「いつものことよ。蛇の対応はしていないのね?」

下っ端の兵士に連絡されてなくてもおかしくはないが、狩人ギルドも対応してない様であるな


「上司に確認取ったのだけど一笑にされたわ。山をヘビと見間違えるとは臆病者だってね。山ならそれでいいんだけど本当に巨大な魔物だったなら?この街に向かってくるなら?そう思ったら少しでも情報が欲しくてね。それで貴女に詳しく話を聞きたくて使いを出したのだけど・・・」

「志願したのがストーカー女だったと。そう思ったのなら最初から真面な者を使うべきだったな」

「今ではそう思うわ・・・あの娘、フィーダを姉のように慕っていたから・・・」

「それを無関係な人間に押し付けているのを理解すべきだな」

我は話を聞きながら一角兎を裁き串にさして焚火で焼いていく


「蛇の大きさは凡そ50メートル位。とぐろを巻いているから山のようだがな。頭が7本あり其々が強力なブレスを使う。胴体としっぽは1つになっている、典型的なヒドラだな。」

「ヒドラ・・・ブレスは毒?」

「いや光だな。まともに当たれば何も残らんだろうよ。歩みが遅いのが救いかもな」

我は手持ちの袋から塩を取り出し肉に刷り込んでいく

水魔法で手を洗うのを忘れてはいない


「歩みが遅い?図体がデカいだけなの?」

「沼から出て10日以上たっているが未だ沼の横にいる位に遅い、フリかもしれないがな。奴の鱗は相当固い、普通の魔法では弾かれるだろうよ」

「そんなの、どうやって戦うのよ・・・・貴女は逃げてこれたのよね?」

焼けた肉串を隊長に渡し、別の肉串を齧る

仄かな塩味と脂が相まっており美味い



「ケンプファーを拠点としているA級狩人のエクスという男がいる。昨日話した”獣”を討伐した男よ。そいつが確認したことを私が教えに来たってわけ。信じずに勝手に自滅してもいいしね」

本当にどうでもいいのである

隊長の顔は引きつっているが・・・


「あと火神教のことを言っていたと思うが・・・」

「神同士の戦い何だから教会が知っているでしょ?私も天神教から裏を取ったし。それにね、蛇が何で此処を目的としているか考えなかった?奴には分かっているんじゃないの?ここに敵、使徒が居るって」

「!!なっ!げほげほ!!」

驚きすぎてむせたらしい

袋からコップを出して水を注いで渡す。魔法ってホント便利


「い、居るのか・・使徒が、この街に・・・・」

「私はそう見てるけど?最近、変な噂が流れてたりしない?」

「噂・・・・噂ですか・・・・」

しばし考える隊長

我はその間に魔法の水球で魔物を包んでおく。川がないから肉を冷やしておきたいのだよ


「そういえば・・・最近聞くようになった噂があったな。破落戸どもが居なくなったっていう奴だ。迷惑かけるのが居なくなったなら良いんじゃないかと笑い話にされていたな」

「それならケンプファーでも聞いたわ。そいつらは何処へ行ったんでしょうね?ケンプファーもアフェットゥオーソでも入街が厳しくされているけど?」

「途中の村なら情報が上がってくる・・・それが使徒の仕業とでも?」

「可能性の話ね。噂程度じゃ判別できないわ」


我は背負子に獲物を乗せていく

森林狼も丸々のままなので結構な荷物になるのであるが、まぁ何とかなるであろ?

「・・・ソレ全部持っていくつもり?」

「狩ったのだから当然でしょ?」

なにを言っているのであろうかこの女は


背負子に森林狼を5体乗せ固定する。最後に一角兎を2体括り付ければ完成である

前と同じ要領で重量軽減しているので重さは大して感じない

呆れた顔をした隊長を連れ街へ戻る







門でも一騒動あったがギルドへ着いて買取を依頼した

なぜか受付嬢は固まっていたが


フォレストウルフ        5頭 

・牙     銀2    |銀10枚

・肉     銀1    |銀 5枚

・毛皮    銀5    |銀25枚


ナーワルハーゼ         2匹

・肉        銅50|銅100枚

・毛皮    銀2    |銀 4枚


「あら?買い取り額はペールデンテの方が安いのね」

混む前にギルドへ入ったので人が少なく、呟いたつもりが周りにも聞こえたらしい

「「「えっ?」」」「「「「「「どういうこと?」」」」」」周りの狩人たちがざわめいている


「横からスマン、お嬢さん。俺は『茜島の空』ってパーティのリーダーでグロイザーっていうんだが、先ほどの話は本当か?」

青く塗装された鎧を着けた大柄な男が話しかけてきた


「あらご丁寧に。お嬢さんていう年でもないから気にしないで、私はテスタロッサ。先ほどの話とは?」

「いや、買い取り額が他の場所より安いってとこだ。恥ずかしながら、他の街まで行ったことなくてな」

「恥ずかしいことは無いわ。拠点を作っている狩人達の方が多いでしょう?」

そういうと恐縮したように照れている

受付嬢はあわあわとしているのは何故?


受付カウンターでそのまま説明してやる

フォレストウルフ       

・牙     銀2    

・肉     銀1 銅50

・毛皮    銀6    


ナーワルハーゼ        

・肉        銅80

・毛皮    銀2  

  

がケンプファーの標準であることを伝えると騒めきが一層広がった

森林狼1体に対して銀貨1枚、銅貨50枚

一角兎1体に対して銅貨30枚

少ないのである

「おいおい、ブラオラちゃんよ。話が違うんじゃないのか?」

受付嬢に迫る鎧男


「そ・・・それは・・・・そう!魔物の質が宜しくなかったんですよ!きっと!!」

目をきょどらせて言い訳する受付嬢


「あら?それは聞き捨てならないわね。査定した職員を連れてきてもらえない?どこを見て質が良くないといったのか詳しく聞きたいわ」

「おお!そりゃそうだ。おい!裏に行ってカインツ呼んで来い!」

鎧男のパーティらしき男が直ぐにギルドを飛び出していった

周りの野次馬も増えてきている様だが、ギルド大丈夫か?


暫くしたら先ほど出て行った男とエプロンを付けた男がギルドに入ってきた

「忙しいとこすまんなカインツ。先ほどフォレストウルフ5体とナーワルハーゼ2体を査定したと思うんだが、質が悪かったのか?」


カインツと呼ばれたエプロン男は不機嫌そうに眉を寄せている

「質~、悪い訳ないだろ!全部、一振りで倒しているし血抜きもしっかりしてある。しかも水につけて肉の温度を下げてあるんだぞ?あれの質が悪いなら他のは生ゴミ以下だ!それが如何したってんだ」

ほむ。

解体している者の評価は高いようである


「ブラオラちゃんよ、カインツの評価はえらい高いが質が悪いってのは何処から出てきたんだ?」

周りからもヤジが飛んできている


「何事か!!」

騒々しいので上からギルマスが降りてきた

「ちょうどいい、ギルマス!聞きたいんだが、アンタ以前にギルドの買取価格は本部ギルドで決められた額で買取してるって言ってたよな!」

「それが如何した?もちろん品質にもよるがな」

「本部ギルドで決めた額ってことは他のギルドでも同じ額ってことだよな?」

「何を当たり前のことを・・・一体何の話だ?誰か説明しろ!」





「話は分かった、買い取り額については確認してみよう。問題はお前だな、ブラオラ。確認もせずに最上質の素材に対して質が悪いと断言したんだ。これは狩人だけでなく解体職員たちへの侮辱である」

受付嬢は黙って下を向いている


「それならギルドはピンハネしてないって言うのか?」

「質のいいものを悪いって言って安く買ってるってか?」

「俺ら解体屋と話すことないもんな。裏で弄られたら分らんよ」

ザワザワとする狩人たち「拠点を移すか?」など言っているパーティもいる


「わかったか、プラオラ。この声が、ギルドへの不信感がお前のしでかした事だ。不用意な発言をしギルドの信用を貶めたんだよ、お前は。」

受付嬢は小刻みに震えている


「ブラオラ、明日から解体班への移動を命ずる。カインツに解体前と後で査定させて質が落ちた分は給料から引かせてもらう。さて狩人諸君、買取金額は本部に確認するしピンハネなど無いとおもうが調査を約束しよう。それで今回の騒動は手打ちにしてもらえないか?」

そう言って頭を下げるギルマス


その行動に不承不承ながらも了承する狩人達

「詳しく話を聞きたいので、フィ・・テスタロッサは支部長室へ来てくれ」

我、帰れないであるか?

しかもコイツ迄、フィーダの知り合いであるか・・・・


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