吉兆
渓谷猪は大変美味しく頂いたのである
脂が甘く肉の旨味も味わえた一品であった。
もちろんグランツ達家族もしっかりと食べたであるぞ?
うん。また狩って来てもいいかもしれない
今日は朝からのんびりと露店などを見ながら散策していた
大蛇の退治方法は古くから酒に酔わせて首を斬るパターンが多い
出来ればエールじゃなく、もっと酒精の高い酒でもあればと探しているわけだ
手持ちの武器はバネ仕掛けのライフル擬きと小樽のナパームが残り16樽
剣に槍がいくつか。
実に心もとない
ライフル擬きは威力も低いし連射もできない。再検討品である
ウディッツの情報では相当大きいらしい。ハーピーみたいな酸欠で嵌め殺すことは難しいであろう
ハヤブサの時は、ほぼ相打ちみたいになったし
ブラックサンタは妖精種なのか生物なのかで対応も変わるしなぁ
武器は無いのか武器は!
龍に鱗でもぶち抜けるような武器・・・雷魔法が無いのでレールガンとかコイルガンは電力が取れない
空気の圧縮が出来ればニードルガンやネイルガンみたいな物が出来るだろうが・・・
悩みながら歩いていたら路地の端まで来ていたようである
此処まで見てきたが、何も思い浮かばない
どーしたもんかー・・・・・
端っこの露店?というか地面に布を広げて物を売っている様だが、こんな端っこで?
少し興味が出たので覗いてみる
透明な球からパイプが伸び、地面においてある丸い鉄製の部品につながっている
これなんぞ?
ぱっと見まったくわからん
「店主。これは何だ?」
話しかけられると思っていなかったのか、座り込んでいた男がこちらを向いた
くたびれたオッサンかと思ったら、まだ若い男だ
「えと・・・何ですか?」
話を聞いていなかったみたいであるな
「これは何だと聞いたんだよ。どういったものなんだ?」
そこでようやく、手前に置いている物の説明を始めた
何でも透明な球に魔力を流すと、パイプを通り下の金属が回転するらしい
ただそれだけの物ですと力なく笑う男
とんでもない!これは非常に良いものだ!
「これは、君が作ったのか?」
我は努めて冷静に語り掛けると男は頷いた
「これは、この大きさでしか作れないのかい?例えば小さくできるとか、もっと勢いよく回せるとか・・・・作れそうかい?」
男の回答はイエス
善き善き
「直ぐに作れそうなら頼みたいのだが、時間はあるかい?」
男は頷いたので一緒にギルド横の酒場へ行くことにした
あそこなら多少汚れていても気にしないであるからな
ギルドへ到着。大体昼過ぎである
「一緒に食事でもしよう。もちろん私が出すので好きなものを注文してくれ」
男は警戒していたが、どう見ても食事をしているように見えないのである
酒場に入り空いている席に座ると、メニューをもって給仕がくる
「遠慮することは無い。好きなだけ注文してくれ」
再度進めてやると、ようやく注文をし始めた
注文したものを持ってきてくれたのだが、ランチプレートを注文したようだ
「仕事の話は後にしよう。まずは食おうじゃないか、あと追加も好きなだけしてくれよ?」
我も注文したランチプレートが来たので食べる
一旦食べたことで刺激を受けたのか、追加で注文していく男
「おいおい、喉を詰まらせるなよ?酒が飲めるならエールでも飲むか?」
コクコクと頷く男
よほど腹が減っていたらしい
エールを一気に煽り、飲み干す。すぐに御代わりを注文しておく
しばらく飲み食いしていた男は、ようやく腹が膨れたのか食べるペースが遅くなる
「すいません。しばらく食べてなかったもんで大量に注文してしまって・・・・」
「なに構わんさ。少しは落ち着けたかな?」
4~5人分は平らげているので腹も膨れてことだろう
「それで・・・この”魔輪”を買っていただけるのでしょうか・・・・」
おずおずと切り出す男
名前をメッツ・ガフューレというらしい
「もちろん買わせてもらうさ!それと先ほど言った物も作ってくれたら買い取るよ」
魔力を研究する機関で働いていたが、物を回転させる研究は役に立たないと言われ職場を追い出されたらしい
貯金を食いつぶしながら研究を続けたが、それも尽きたところで露店を出し唯一の成功例である機械を売ることにしたそうだ
それを我が見つけたと。
研究成果の機械を銀貨23枚で売るつもりだったらしい
その金で田舎へ引っ越すのだとか。
「金貨1枚で買おう」
我は金貨を1枚だし、メッツの手に握らせる
「その金でもうしばらくこの街に滞在してほしい。作ってもらいたいものがあるんだ」
メッツはしばし呆然としていたが、正気に戻ったようだ
「金1枚って、本当ですか?こういっては何ですが、魔動研究所では無駄金喰いの役立たず扱いでしたよ?本気ですか!?」
あー職場で評価されてなかったであるなー
「それは違うぞメッツ!こんなに応用の効く道具は無いぞ?俺はこういうのを探していたんだよ、メッツ!お前のしてきた研究は文明を進歩させるだけの力があるんだぞメッツ!」
名前を呼び、やってきたことを評価し褒める。
メッツは既に滂沱の涙をながして頷いている
「期待させてもらうよメッツ。そうだ!ギルドに登録しておかないか?そうすれば指名依頼で作ってもらいたい物を依頼できるからさ」
「はい!よろこんでぇ!!」
叫ぶメッツ。ここは居酒屋ではないぞ?
受付に行くと夕番はアメリーとウィレンスタークであった
酒場でのやり取りを見ていたらしくメッツの登録をウィレンスタークが進めてくれる
「良かったですねぇ。ところでエクスさん。この度はギルドの職員が大変申し訳ございませんでした。当人には厳しく対処させていただきますのでご容赦ください」
アスシオンのデマを聞いた様である
「私の方は問題ないが、こういったのは女性の方が大変だろう?協力できることがあれば遠慮なく言ってくれ。出来る限り対処しよう」
「ありがとうございます・・・・アスシオンめ、あの口を縫い合わせてやろうか・・・」
後半は小声で囁いていたが我には丸聞こえである。指摘はせんがな!!
「お待たせしましたエクスさん。無事にギルド登録が完了しました」
メッツが晴れやかな顔をしている。ここへ来る前とは別人の様である
金もしっかりギルドへ貯金しているようで、必要最低限の金額しか持ち出さないそうだ
我は早速作ってほしいものがあるので明日の同じ時間にギルドで待ち合わせることにした
それまでに図面を書いて渡すのである
あと同じように職場を追い出された者がいるそうで、紹介しても良いかと聞かれたので快諾した
何処に使える人材がいるか解らんであるからな
いつも読んでいただきありがとうございます。
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