記憶
暗い洞窟の奥で女が泣いていた
両手で顔を覆い泣いていた。
女?誰だ?
あぁ、思い出した。彼女を探していたんだ
何故泣いている?
声を掛けようと少し近寄ろうとした
がさり
妙な音が聞こえる
かさかさ
洞窟で反響しているのか?
何処から音が聞こえているのかわからない。
あぁ、それで彼女は泣いているのか
急いで近寄る
ガサガサガサ
音が大きくなる
彼女がこちらに気付いた。もう大丈夫。
?何故そんな顔をする
驚愕した顔。そして恐怖した顔
どうした?僕だ!昨日プロポーズしたじゃないか!!
響き渡る悲鳴。洞窟で反響しとてつもない音となる
彼女の周りに火の玉が浮かび上がり、こちらへ飛んでくる
一つや二つではない。
やめろ!やめてくれ!!
声は出ない
次々に日が体に当たり爆ぜる
痛い!熱い!
吹き飛ばされながらも、彼女を見る
何かしゃべっている?
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森の中。
頭の上に地面がある。不思議だ。
そこを少女が歩いてきた。
キョロキョロとして落ち着きがない。
隣は犬か?を連れている。
手に感触がある
獲物がかかったようだ。
エモノ・・・
引っかかったエモノにゆっくり近づく。
俺の糸は切れない。逃がすことはない
少女と目が合った
驚愕。そして恐怖
しかし手足は糸に固定され身動きが取れていない
さっきも同じ方法で鹿を捕まえたばかりだ
糸を吐き出し、少女と犬を糸玉に閉じ込める
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岩がゴロゴロとしている
遠くに森が見える
頭の上を何かが蠅のように飛び回る
うっとうしい
手を払い、追っ払おうとするが一向に離れない
何かを言っているのかザリザリと耳障りな音が聞こえる
糸を手に出し振り回す
よし。糸にかかった
そのまま糸に圧力を加えていく
・・ザリ・・・ザぁ・・やメ・
ばつん
頭や背に何かかかったが気にならない
ようやく静かになった
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明るい街並み
隣には付き合っている女性
先ほどのプロポーズに了承してくれた
腕を組み街を歩く
目が合う
嬉しそうに笑う。満面の笑み
そして驚愕
俺ではない。後ろを見ている
振り返る。
猛スピードで突っ込んでくるトラック
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んがががが・・・
全身の痛みを耐えきった
先に一部取り込んでいたせいか、クリオネの時のような痛みではなかった
それに、いまのは蜘蛛の記憶であるか。
『侵奪』を使ったときに記憶が流れるのも困ったもんである。
まぁ、記憶がなければ成り代わることもできんわけであるが。
なるほど
プロポーズしてOKを貰って幸せ絶頂の時にトラックにはねられて死亡
こちらに連れてこられて彼女を見つけたら攻撃されたと。
ほーん
同情はする。
しかし、自分が蜘蛛になった自覚がなかったのか。または信じたくなかったか。
貴様の事は忘れん。5分くらいは・・・
今まで食べたパンの数など数えておらぬわ。
あと我、白米派
しかし、あの糞女神はやってくれる。
なんでも女神のせいにするなだと?
蜘蛛の記憶で分かったのだが、あの女神が直接殺している可能性がある。
というか殺している。(確信)
小さい子供が車の玩具を動かすようにトラックを動かしている手が見えたのだ
あれではブレーキも意味があるまい
まぁ、早々に輪廻の輪へ戻ってくれたまへ
彼女も近いうちに其方へ行くだろうからな
あとはスキルの確認だが。
『毒』『操糸』は使用できそうだが『治癒』は使えない
やはり丸ごとか大半の吸収が必要なのだろう
蠅のようなものがクリオネ擬きだったのだろう
蜘蛛が殺して一部の細胞が引っかかっていたという感じか?
まぁ良い。あとは・・・
崖の上の長いものと糸玉少女であるが。
逃げられたら手間だから
糸玉少女から回収するとしよう
そう決めた