謀略
いま我は「獅子鳥の冠亭」の食堂でロートから食事をしながら話を聞いているところである
「エクス殿の手紙を教皇猊下へ奏上し確認を頂いたところ、この地に”蛇””亜人””獣”がいるようであるとの知らせが参った。それを受けて我、ロートが先行して使徒を確認し足止めをする任務に就いたのだ」
天神教でもハーピーとハイドラは使徒と認定されたようであるな
「しかしエクス殿の手紙では蛇とハーピーは書かれておりましたが、亜人については記載なかったようですな」
「あぁ、そっちは裏がまだ取れて無くてな。ペールデンテにそれらしい者がいるらしい」
ブラックサンタが使徒であろう
「ペールデンテ・・・ナール騎士爵の所か・・・」
「戦争からまだ数週間しかたっておらんからな・・・越領は未だ難しかろうよ」
我はエールをあおる
「では、明日より我が様子見をしてまいります。エクス殿は、この街にもうしばらく滞在されますかな?」
「あぁ、その予定だ」
ついでに、今まで調べた内容をロートに教えてやる
「なんと、そこ迄調べていただいていたとは・・・この後ライヒ様に詳細の報告をいたしますので、情報料の支払いは今しばらくお待ちくだされ」
まぁ。我も急ぐこともないので了承する
「おぉエクス殿!こちらの宿でしたか。」
その時、カーツが宿へ入ってきた
何でも伝言を受けて直ぐに連絡したかったが宿の場所も解からず、かといって待っている間に教会に行かれても困る
女中のウディッツに情報料を払って教えてもらったらしい
とりあえず席に座るとエールを注文し一気に煽る
「ふぅ~、今日の事での報告だがな。教会の見解では”そのようなチンピラ紛いの者は教会に居らず教会の名を騙った不信心者でしょう”とのことだ。要は尻尾斬りだな」
「で?」
「・・・・・・」
ロートは黙っている
「あの叫んでた奴、ジルバというんだが教会の回答が余程ショックらしくてな。他の4人もまとめて衛兵へ突き出しているよ。まぁ脅迫罪になるんじゃないか?」
「ふむ。はっきり言って気に入らんな」
「・・・・・」
「いや気に入らんのは仕方ないが、教会へ行くのは止してくれよ。あんたが犯罪者になってしまう」
「この街の教会はまともに機能しているのか?」
「まとも・・・都は?」
「権威や集金に夢中になって、本来の教会の仕事をしているのかと聞いている」
これを聞いたカーツは苦虫を噛んだような顔をしている
「していねぇな。布施や治療費が高くなってきているしな・・・・」
であろうな
「どうするロート。奴らに手柄を立てさせてやらないか?」
「手柄ですか?」
我はカーツとロートに説明を始める
「そのような動きをするでしょうか?」とロート
「ビビッて動かねぇんじゃ?」とカーツ
「動かざるをえんさ。ロートのいる街ケンプファーで報告が来たんだ。現地のアフェットゥオーソの教会が知らないのはおかしいだろ?それにロートがこの街に来ている。ケンプファーは動いたぞ?アフェットゥオーソは動かないのか?報告で後手を踏んでるんだ。焦って先に討伐しようとするさ」
ロートとカーツは若干、顔を青くして引きつっていた
何故に?
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「で?どうだった?」
我は目の前に座っているロートに尋ねた
「エスト殿の言った通りでした。ケンプファーの助けなど要らぬアフェットゥオーソの戦力のみで使徒を倒して見せると、追い返されました。信徒同士で争っている場合ではないというのに」
がっくりと肩をおとして落ち込んでいる。
筋肉質のオッサンがしても可愛くないのでやめてほしいのであるが
「ハーピーの件しか伝えてないのだろう?なら、お前さんは蛇を探ってみたらどうだ?」
ロートは頷くとギルドへ護衛の依頼を出しに行った
我?ハーピーの戦いを見に行くであるよ?
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3日ほど街周辺の魔物を狩りながらギルドの酒場でダラダラ過ごした
教会からはギルドへ討伐依頼はされていない
本気で自分たちで倒せると思っているようである
中央広場で僧兵?筋肉質の男達が20人ほど集まっていた
ひと際ギラギラと光物を付けている太った中年男が唾を飛ばしながら叫んでいる
「良いか!我が忠勇なる僧兵たちよ。人々の生活を脅かす魔物が渓谷に蔓延っている!それを許してよいのか!否!断じて否である!!諸君らの家族、友人を守るために我々は立つのである!我らの手で人々の生活を守るのだ!我々が神敵を打ち滅ぼすのだ!!」
『『『コーカフィエル様万歳!!ドンカッファ様万歳!』』』
「なーにが人々の為だ!全部てめぇの欲の為だろうが!」
いつの間にか隣に来ていたカーツが呟く
「いやいや、建前は大事だからな?」
どうやら、この20人程度でハーピー討伐に向かうらしい
軍隊宜しく、整然と門を出て行った
「さて、皆さん!!御覧の様に渓谷に潜む魔物は我々、天神教が討伐いたします!!つきましては寄進などいただけましたら幸いでございます!!是非とも、皆さんのために討伐に向かった天神教徒へ寄進なさいますよう!!」
ホントに討伐できれば良いけどな
我は彼らを追って門を出ていく
果たして、どうやって戦うつもりなのかな




