新街
いつも、読んでいただき有難うございます
使徒の情報が入ってこない様なので、いろいろと出かけてみるのである
ベルーナの南は漁村でその先は海である
ハヤブサの記憶を侵奪したので、奴の国・ムン王国であったか?まで行くことは出来るのであるが
正直、ハヤブサ以外は戦闘に耐えられないと思われる
放置で良かろうなのだ
天神教の総本山が領都ケンプファーから北西方向にある”天竜山”にあるそうなのでドラゴンはそこであろう
西方向は後回しにして東から回ることにするのである
東の街はアフェットゥオーソ。歩けば5日の距離らしい
我は人目がなくなった時点で飛ぶがな
確か、こちらに来て直ぐにあった戦争の相手が北東方向とか言ってなかったか?
そちらも序でに見てみるとしよう
街道をちまちま進んでいると日が暮れてしまった
前世の夜と違って、こちらの夜は真っ暗闇だ
我は夜目があるので十分見えているのだが、人間種では難しかろう
このまま浮遊で空から移動するのである
ある程度の高度を取り、街道沿いに飛んでいく
途中途中にある灯は野営でもしているのであろう
東方面は暫く草原が続いているが森も点在しているため、街道は真っすぐではなく迂回するため畝っている
我は森も関係なしに飛んでいくから問題ないのである
夜通し飛び続け朝日が見えるころにはアフェットゥオーソと思われる街が見つかった
手前に町や村があったのだろうけど、正直気づかんかった
まぁ街に着いたのだから結果オーライ?
日が昇る前に門に近い森に降りる
明るくなってから門に向かえばよかろう
「良し、次!」
我はアフェットゥオーソの門で順番待ちをしている
サクサクと進みすぐに順番が来た
「ふむ、狩人か。この街で仕事をするか?」
「いい仕事があればね。でも長居はしないよ」
手がかりがなければ移動するからな
「それもそうか。この街は山向こうとの貿易が盛んでな。領外の者も多いから問題を起こさないように」
南に大型の船がつけられる港がなかったのは、基本陸路で輸送していたからか
「あぁそうする。おすすめの宿なんかあるかい?」
我はおススメされた「獅子鳥の冠亭」に入り部屋取っておく
銀貨1.5枚。我は2日分の銀貨3枚を渡し鍵をもらう
ダミーの荷物を置いてギルドへ向かうのである
時間にしてみれば早朝である
当然、依頼書を取り合いしている狩人たちが大勢いるのである
我は併設の酒場に行き果実水を注文する
「若ぇのに余裕だな」
酒場の店主に声を掛けられる
「あの中に突っ込むより、魔物の群れに突っ込んだ方が金になると思わんか?」
「違ぇねぇ。ただし、その腕がある奴だけが言えるこった」
我は肩をすくめて、依頼書争奪戦が終わるのを待つことにする
ガタイの良い奴らが終わったら、次は若い、というか少年少女?達だ。駆け出しの奴らか?
何人かこちらをチラチラとみているが、気づかない振りをする
彼らも、ほぼほぼ選び終わったようである
受付をすまし、どんどん出かけていく
選びきれていないのは2組くらいか?
我は掲示板へ行き常設依頼から見ていく
森林狼・一角兎は何処でもあるな
お?
・タリバー 渓谷に住む猪 買取は皮、肉、牙
・ヴァコーエン 渓谷の川上流に生息する魚
なるほど、渓谷に住む魔物が多い訳であるな
討伐依頼が
・下水の大ネズミ
・北の沼地近くのスライムが大量に発生
・渓谷にハーピーが住み着いたので、追い払うか討伐(Cクラス以上)
・北の沼地に巨大な魔物のいる形跡があるため調査(Bクラス以上)
手ごろな依頼は既に持っていかれた後である
こんなもんであろ
今日は狼辺りを狩って様子見であるな
我は先ほど入ってきた門を抜け森へと向かう
デストローイ&ポイ
もう流れ作業である
暫くウロウロとしていたら、遠くの方から3人くらいの少年少女が駆けてくる
あれは、我がギルドを出るまで掲示板を見ていた奴らであるな
彼らは我を見つけると、三人揃ってこちらに駆けてくる
何事かと見ていると、彼らは我を通り越し走り去っていく
直後に森が爆発したように弾け飛び、猪が飛び出してきた
大物だ!
高さは5メートルはあるぞ?これがタリバー(渓谷猪)であるか!
さっきの三人組はコレに追われていたのであるか?
で、我は擦り付けられたと。
いわゆるトレイン行為という奴であるか
猪が我に追突する寸前に横に躱し、剣を下から掬い上げるように切り上げる
あ、今の綺麗に入った
スキルの見切り、剣術、剛腕がうまく作用したっぽい
猪の首は宙を舞い、体は暫く走った後横倒しとなり血だまりを作っている
生物は首を飛ばせば死ぬよね。
我?我は首ないし
猪の死体を魔法鞄へポイ
どうやってギルドへ持ち込もうか・・・
ケンプファーで購入していた荷車を少し改造して猪を乗せるようにした
あと狼を何体か乗せておけばいいであろ
軋む荷車を引きながら街へゆっくりと帰るのである
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「アトゥム君の馬鹿!アホ!私たちに敵う訳ないじゃない!!」
「うるせー!!いいから走れ!!」
「実力不足なのにタリバーに手を出すなんて!!」
少女と少年の罵倒を浴びる少年
「大体!タリバーの!皮は厚いのは!!わかってたでしょ!!」
「君の剣で傷一つ着くわけがない!いい加減、実力を認めろ馬鹿!!」
「うるせー!!!出来るはずだったんだよ!!おい!あれ見ろ!!」
三人が走る先に一人の男が立っていた
「良し!!あいつにタリバーを押し付けるぞ!!」
「は?何言ってんの?」
「馬鹿とは思ったが、ここまで馬鹿だったとは」
「じゃあ、このまま走ってタリバーのエサになるのか?俺は嫌だね!!」
先頭を走る罵倒された少年が立っている男の横をすり抜け走り去る
「ごめんなさい!」
「すまない!!」
残る少年少女も謝りながらすり抜けていく
その後は喋る気力もなく走り続け、アフェットゥオーソの街は目の前にあった
三人は街に入るとすぐに別れた。
性格には罵倒されていた少年が勝手に帰ってしまったのだが。
「ねぇデーノ・・・どうする?」
「どうするとは、あの場にいた彼のことか?クリス」
「そうだよ・・・せめて遺品でも回収しないと・・・私たちの所為で・・・」
「まずは、ギルドへ報告だな。俺たちも無罪とはいえんが、報告をしなくてはな」
二人は顔を合わせて頷くとギルドへ駆けて行った
「で?お前たち『暁』はソロの狩人へトレイン行為をしたってことでいいか?お前たちのリーダーが見当たらんがどういうことだ?」
「アトゥムに言っても反対するから言ってません。」
「あれにも愛想が尽きましたので『暁』も解散します」
「あれにも話を聞かんといかんのだがな。まぁトレイン行為自体が犯罪であるし、隠したいのも解るがな」
「それでも、僕たちは自分が許せない」
「当然、罰は受けないと・・・・あの人が浮かばれない・・・」
「わかった、追って沙汰を待て。それから宿はこちらで指定するから移ってもらうぞ?」
その日の夕方、荷台にタリバーとフォレストウルフを乗せたソロ狩人がギルドに顔を出したことで『暁』の罰が決定する
アトゥム 故意のトレイン行為により他者を著しく危険に追いやったため、狩人資格剥奪処分とする
デーノ 故意のトレイン行為により他者を危険に追いやったが、自首のため情状酌量の余地を判断。狩人資格10日間の停止処分とする
クリス 故意のトレイン行為により他者を危険に追いやったが、自首のため情状酌量の余地を判断。狩人資格10日間の停止処分とする
「お前たちのトレイン被害者が問題不当と言っていたのでこういった処分となった。アトゥムに関しては自首どころか反省もしていないため剥奪となる」
「あの、被害者の方は大丈夫だったんですか?」
「そうですよ・・・僕たちと同じくらいの人ですよ?」
「ここ最近出てきた3人の噂位は聞いているだろう?そのうちの一人だったってことだ」
「最近の噂で・・・・3人?」
「あ・・5属性持ちに、赤髪熊女・・・ピンクの少女?」
「そういうこった。奴は5属性持ちのエクス。奴にはタリバーでも物足りないらしいぜ」




