水棲人
海が青白く発光し泡が立ち始めた
次第に大きくなる泡
発光が収まると同時に泡も収まる
波もなく静まり返る海
ぽこっと一つの黒いものが浮かび上がった
何であるか?
ぽこぽこぽこと連続で黒いものが浮かんでくる
スキルの遠視で見たところ・・魚の頭である
しかも人間より一回り大きいものが・・・・
数十にも及ぶ魚の頭が一斉に擦れたような罅割れた声で叫んでいる
ガチャガチャと煩いことこの上ない
叫びながら岸に向かって泳いできている
衛兵10人程度では闘いにならないであろうな
「あなた達はベレーナへ撤退し襲撃に備えなさい!西の漁村の退避も忘れずに!」
衛兵たちを下がらせたいのである
「君は何を言っているのだ!町の者を守るのが我々衛兵の本分である!」
「10人程度で戦にならないでしょ!無駄死にしないの!」
とっととお帰りください。
マジで邪魔にしかならんのである
元からいた村民は大半を倒しているので、今なら撤退可能であろ?
はよ!
「まじかる☆カッター!!」
ただの風魔法である
群れで迫っているので適当に撃っても当たる。狙い撃つ必要なし!!
魔法が当たった者が肉片をまき散らしながら沈んでいく
我は次々と魔法を打ち出していく
「まじかる☆アロー!!」「まじかる☆ビィーーム!」「まじかる☆ランス!!」
火魔法のファイアアローに光魔法のフォトンレーザー。地魔法のロックランスである
魔法はイメージなので、ぶっちゃけ名前などどーでもいいのである
「早く!撤退!して!!くれない!!かな!」
魔法を打ちながらなので途切れ途切れではあるが、まだ下がらない衛兵たち
「いや!我らとて、衛兵としての・・・」
「早く!!!帰れ!!!!邪魔!!!!」
オブラートに包むの忘れてた。
つい本音が出てしまったではないか
「~~~~!!ええい!撤退!てったーい!!」
ようやく引き始めたか
お?魚からも攻撃が始まったである
水魔法であるかな?
あー・・・鉄砲魚のように口から水を飛ばしている
なんか、きちゃない
衛兵たちが撤退したことで、我も下がる
魚の使徒なのだから、わざわざ向こうの得意分野で戦う必要は無いのである
このまま引き付けて上陸させてしまうのである
魔法の頻度をすくなくし岸に近づけるようにしてやる
予測であれば半魚人なので上陸できると思うのであるが・・・
うむ。善き善き
魚に手足を付けたような体をし全身鱗に覆われた、奇妙な生き物
足は短めであるが太く、逆に手は長い。ともに水かきらしきものが見える
鰓や背びれも確認できることから胴体部は魚その物。
正確には水棲人と呼ばれるタイプであるな
手には銛を持ち、続々上陸してくる
何も考えずに、そのまま進んでも良いのであるかぁ?
先頭が倒れた村人を越え迫ってくる。
既にほぼ全員が上陸しているようであるな
勝ったな・・・
倒れ踏み荒らされた村人の体液がそこら中に泥濘を作っているのである
覚えておいでだろうか。
我の体組織を村人の体液に紛れさせていたのである
そういうことで、毒・生・成
次々と倒れていく水棲人
動かなくなったら魔法鞄へポイ
残るは人気のない村だけである
「さ!前座は済んだわよ、いい加減出てきたら?」
うっすらと光ながら海の上に立っている水棲人
水の上に立つとは非常識な!
「ナカナカ、ツヨイデハナイカ。ダガ、ワレハイソガシイノデナ。サッサトシヌガイイ」
ほむ
喋れるであるか
「ハン!雑魚が集まったところで大きい魚にはなれないよ!」
「キサマ・・・ワレヲグロウスルカ!!」
頭に血が上ったであるか?
確かにこいつの見た目は他の水棲人と違い、人に近い形をしている
二腕二脚で鱗に覆われているが尾びれはなく顔も正面を向いている
あれだ、仮〇ライダーア〇ゾンに見えるのである
「フォルニースの人形がほざくな!!」
「シャラクサイ!」
我はファイアアローを立て続けに打ち出すが、水棲人は銛を回転させて魔法を弾き飛ばす
水棲人が銛を突き出せば、我はハンマーで弾き返す
まさに一進一退の攻防ってやつである
火魔法も風魔法、土魔法。当然水魔法もすべて防がれた
奴の銛も我にあたることは無い
これはスタミナ勝負となるであるか?
「ココマデデキルトハ・・・・フン!キサマヲチジョウノンシトミトメ、ナヲキイテオコウ!」
「そりゃどうも!愛と希望のマジカル少女イオラちゃんだよ!」
「ソウカ。ワレハ”ムンオウコク”ダイイチオウジニシテ、サイキョウノセンシ”ハヤブサ”ダ!!」
ムン王国の第一王子?こいつ水棲人の王族であるか
「コレデオワラセテクレル。ウケテミヨ、ワガサイキョウノワザヲ!」
「それじゃ、こちらも切り札を出させてもらうよ!」
こいつ、ハヤブサも限界が来ているらしい
「デハイクゾ”アイトキボウノマジカルショウジョイオラチャン”ヨ!!」
待て待て待て・・・・
名乗りを全部、名前と思ったであるか?
しまった!!
天然ボケで反応が遅れてしまった!!
ハヤブサの突き出した銛が首を飛ばす
くるくると天高く舞い上がる少女の首・・・がにやりと笑う
『まじかる☆ふらっしゅ!』
辺りを凄まじい光が襲う
「メガ!メガーーー」
水棲人には目つぶしがきくであろ?
我の身体から迸る毒血に染まる水棲人ハヤブサ
「目からビー―――ム」
両目から出た光線がハヤブサの脳と喉を貫く
即死したハヤブサを魔法鞄へ入れ、即座に次元潜宙に潜る
神々どもは戦いを見ている可能性が高い
我の手を奴らに晒したくは無いであるからな




