04 野宿
盾役の人は倒れていたリーダーを担いでいた。みんな静かだわ、なんだろうこの雰囲気は。
もしかして、私が倒しちゃいけなかったの? 何か言ってよ。
ミリアさんが近づいて来た。
「みんな疲れているのよ。そしてショックが大き過ぎたのね」
そのまま下山して、リーダーは村長から押印を貰い馬車に乗った。
リーダーは馬車から外を見て黄昏ていた。
「セーラ、どうやって倒したんだ?」
リーダーが唐突に聞いて来た。
「発勁で倒しました」
「発勁って、そんなに凄いのか?」
「人に寄りけりだと思います。向き不向きがあるかと」
「剣が通じなかったんだぞ?」
「内発勁と言うのがあって、内部を破壊する技があるのです」
「お前……いや、セーラ、うちのパーティーに入らないか?」
「お金が儲かるなら」
「あの都市で一番儲かるのが、うちのパーティーだ」
「今回の収入の半分をセーラにやろう。セーラがいなければ全滅していた」
「わーい」
「どこでその発勁とやらを覚えたんだ?」
「タカセ町に道場がありまして、そこで覚えました」
「都市に帰ったら、打ち上げだが、セーラは酒はまだだよな」
「お茶でいいです」
「みんなはどう思う? セーラをうちに入れてもいいか?」
「魔物に剣が通じない場合、セーラがいれば助かるわ」
だんだんと日が傾きだし、夕方になっていった。
「暗くなって来たな。ここらで野宿するか」
テントを張り、焚火をして、見張りをする。
セーラは寝る前に体中から全発勁を放出するのを日課にしていた。こうする事で、発勁の威力量が増すのだ。魔力量を上げるのと同じだと思っている。
セーラはミリアさんと同じく、前半見張りをやり、後半は寝る事にした。
朝、起きると、リーダーが素振りをしていた。
「セーラ、発勁の練習をしないと鈍らないのか?」
「発勁は非力な人向けに作られた技なので、大丈夫です」
「発勁でも敵わない魔物はいるのか?」
「さぁ、分かりませんわ」
「スライムとか苦手そうだが」
「スライムの魔核を壊すのでしたら内発勁を使えばいいかと」
「発勁は無敵なのか?」
「バンパイアの霧の方が無敵かと思います」
「バンパイアの霧は無敵状態だからな」
「バンパイアの霧だと、どう戦う?」
「そうですね、全発勁を体に張り、霧に発勁を纏わりつかせます」
「そうなると、どうなるんだ?」
「実体化出来ないで、バンパイアは死にます」
「バンパイアの必殺技を逆手に取る訳だ。バンパイアは1分以内に実体化しないと死ぬからな」
「そうなりますね」
「セーラはレッドベアと全力で戦ってないだろう」
「分かりますか?」
「こっちは何年も冒険者をしているからな。手抜きしてただろう」
「1割も出していないです」
「全力だとどうなるんだ?」
「出した事がないので、分かりません」
「みんな、朝食が出来たぞ」
朝食を食べ、都市に向けて出発した。
セーラは、報酬はどの位出るのか気になっていた。