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37 鮮明になる対立

「ですが、ここは人目に付き過ぎますね。」

ルワンはそう言うなり、ヴィレに近づいてきた。

「何やら、胡散臭い連中も来ているようですよ?

 あなたの知り合いです??」

ルワンはヴィレにだけ聞こえるような小声で尋ねる。


その科白にはっとなり、ヴィレは周囲をそれとなく見渡す。

ルワンの指摘どおり、一般の野次馬にまぎれてあやしい連中が見えた。


「仕方ない。マッケインとやら。

 ルワン先生もそう言っていることだし、決闘を受けよう。

 ただし、条件を確認させてもらおう。」


ヴィレはマッケインとの決闘の日時や条件など諸々を確認し、解散することになった。

野次馬が多くいる中、特にあやしい連中もいる中で決闘を行うわけにはいかなかったからだ。


 *  *  *


「いやー、ごめんごめん。」

軽口をたたいているが、カノンはかなり申し訳なさそうな顔をしていた。


「とりあえず、彼らが何者か教えてほしい。」

ヴィレはカノンに事情を聴くことにした。


「マッケインの隣にいた男は知らないわ。

 でも、マッケインが私の幼馴染だというのは合ってる。

 私と兄と一緒に剣術を習っていたわ。

 マリンドルフ家とドーラ家は互いに騎士爵で剣術の交流稽古をよく行っていたわ。

 彼は剣術のセンスはいいのだけれど、会話が難しいの。

 時々妙に思い込みが激しい部分があって、そのスイッチが入ると何を言ってもダメ。

 それが次第にしんどくなったので、彼と距離を置くためにオイオット学院に入学したの。

 そのままだと、同じ騎士学院に入学しそうだったから。」


「そうか」

その科白を聞いてヴィレは顔を顰めた。


「彼はカノン君にご執心のようだし、今の話を聞く限り、話し合いは無理そうだね。

 やっぱりヴィレ君が実力で説得するしかなさそうだ。」


カノンは申し訳なさそうな顔をしているが、ルワンは終始楽しそうだ。


「…、楽しそうですね、ルワン様。

 まるで、ドルフ様がいるようですよ。」


「ふふ、ヴィレ君も言うね。

 仕方ないですよ。ドルフ様の代わりに私がいるのです。

 ドルフ様のように振る舞わなくては、ね。」

ルワンの方が一枚上手だったようで、ヴィレの精一杯の嫌味はサラリと返された。


そんな話をしていた時、白を基調として祭服に身を包んだ男がやってきた。


「ルワン様、ヴィレ様、カノン様ですね。

 ドルフ様からお話しは伺ってます。

 私はキューと申します。」

ニコニコと人の好さそうな表情をした司祭だ。


ヴィレ達は、あの時計台の騒ぎの後、ロスムイ教の教会の奥にある司祭館に来ている。

本来の目的であるキュー司祭と接触するためだ。


「それにしても、さすがドルフ様だ。

 その従者様も、色々と話題に事欠きませんな。」

司祭は笑いながら、日中の騒動のことに釘を刺してきた。

調査が目的なら目立つようなことをするなと言いたいようだ。


「申し訳ありません。

 それで、お願いしていた件については、確認いただけましたか?」

ルワンが代表して司祭に回答した。


「怪しいところはあるのですが、残念ながら裏が取れてません。」

キュー司祭は、ははっと笑って見せるが、疲れが見え隠れしていた。


「怪しいところですか?」

「ええ、最近ガウス教会の動きが活発化しています。

 もともと宗教的に対立しているのですが、最近はそれが顕著に現れています。

 ガウス教会のウル支部は特に貴族や商人が多く、資金も潤沢なので裏で色々と行っているようなのです。」


そのとき、コンコンとノック音がした後、ドアが開かれた。

そこには修道服に身を包んだ女性が慌てて駆け込んできた。

「突然、失礼します。

 本日、ガウス教の教会に2名の転生者が保護されました。」


それは、昼の時計台の騒ぎを起こしたマッケイン達をガウス教かいウル支部が保護したという報告だった。

期せずして、ヴィレ達は宗教対立に足を踏み入れる羽目になってしまった。

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