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*これは「存在しないドキュメンタリー番組の採録」およびレポート、という体裁の読み物です。

*実在の人物・団体とは何の関係もありません。


*NA=ナレーション



自宅にて


キップ「半田つかさ卒業回の「愛宕坂工事中」と、同時期に放送が間に合った「ATABIBG!」の卒業回は、流石に特番を用意したりゴールデンタイムに放送が移動したりはしませんでしたけど、翌朝のニュースバラエティに軒並み引用されました」


―スポーツ紙も一色でしたね



愛宕坂工事中


  花束を抱えた半田つかさ(17枚目シングル歌衣装(制服)姿)


半田つかさ「えっと…この度はボクなんかのためにこうした舞台を設えていただきましてありがとうございます(ぺこりと頭を下げる)。何処の馬の骨ともわからない子供だったボクに…最初は罰ゲームみたいな企画だったとしても、こんなチャンスを与えていただきまして本当にありがとうございます」


 既にすんすんと泣いているメンバーたち(引用者注:ここまでで番組の大半を使って一人一人半田に別れの言葉を告げている)


「去年の10月に放送で告白させていただいた通り、ボクにはもう家族が誰もいません。3年前に最後の家族だった妹が死んじゃった時には結構絶望したんだけど…何だかんだでこんなにいっぱい素敵なお姉さんが出来たみたいな気持ちです。…すいません勝手に」


 いやいやいやいや!というジェスチャーをするメンバーたち。


「ボクは勝手に愛宕坂の弟だと思うことにします。こんな格好の弟は変だけど(笑)」


 軽く吹き出すメンバーたち。


「この一年間、色々ありましたけど、この一年間のことは一生忘れません。言葉をどれだけ尽くしても表現できないです。ボクは今日で卒業しますけど、愛宕坂47はこれからも輝き続けてください。本当にありがとうございました(深々と頭を下げる)」


 スタジオ中が大きな拍手に包まれる。


メロンガイ相良「半田はこれからどうすんの?」


「えっと…ボクは演じることしかできないから、お芝居と声優に戻ると思います」

相良「アイドル活動はもうしないんだ」

「今までみたいな感じではもうしないと思います」


 スタジオ中に「ええー」という声。


火山「でも、歌手は続けるんだろ?」

「あ、そうだ。そうですね、お陰様で楽曲提供してくださる先生も大勢いらっしゃるみたいなんで」

相良「そりゃそうだろ。お前に歌を歌わせないってありえないからさ」

「(笑)ありがとうございます。お芝居にはこれからも関わって行きたいと思ってます」

相良「芸能界引退はしないんだよな」

「一応一家の大黒柱なんで…こんな細い大黒柱だけど(笑)…家族養わないといけないから」

火山「もうすぐ子供も生まれるし」

「はい」

相良「目標とかあんの?」

「あっ!そうだ目標だ!…みんな、今年も紅白歌合戦出るでしょ?」


 メンバーたち一瞬顔を見合わせるが、自然と頷く。


「どうせみんな紅組で出場でしょ?ボクは白組で出場するからさ。対決しようよ」

相良「お!いいねえ。てゆーかお前この感じで白組で出んの?」


 笑いが起こる。


「画期的でしょ?」

火山「審査員が間違って紅組に点数入れたりしてな」


 また笑いが起こる。


「まあ、それはそれとして舞台でいうと出るばっかりじゃなくて演出とかもやってみたいし」

相良「ああ、そういうのもやるんだ」

「その時は是非みんなにも出て欲しいなあって」

火山「いいねえ!」

「でもボク、鬼みたいな演出家だから。灰皿とか投げたりして(爆笑が起こる)。タバコ吸わないけど」

相良「ムチャクチャ怖かったりしてな」


 何度も笑いが起こるが一瞬静まり返る。


相良「じゃ、名残惜しいけどこれくらいにしとくか」


 また泣き始めるメンバーが何人も。


「最後に一言だけ…いいですか?」

相良「いいよ」

「みんな年頃の娘さんだからある程度仕方ないと思うけど…親孝行したいときには親はなしっていうからね。…みんなお父さんを邪険にしないで大事にしてね。特に君田さん!とか、ずみん!…じゃなくて片山さん!」


 二人の顔が抜かれる。


「そんなこんなでありがとうございます!本日で卒業します!ありがとうございましたー!」


 笑顔を捉えて番組が終わる。



自宅にて


キップ「実は質を問わなければ「男なのに女みたいに綺麗な」存在はいます」


―そりゃそうでしょ


「いや、そういう意味じゃなくて実際にね。ちゃんと「綺麗な女性」にみえる男性芸能人がってことです。そういった存在と半田つかさの何が違ってたのかを考えてみたんですが」


―どうでした?


「やはり運と巡り会わせ、そして「歌」だったかもしれません」


―「歌」ですか


「大学の女装コンテストをご覧になったことありますか?」


―どうでしょう…余り覚えてませんね


「大学ともなるとそれなりに予算が使えます。メイク係も女子大生ではなくて出張メイクアップアーティストの手を煩わせたり、衣装もレンタルしてみたり」


―はあ


「ところがいざステージに上がってみると何もやることが無いんですよ。うろうろするくらいで」


―う~ん


「なので仕方なく歌を歌わせたりします」


―歌ですか


「まあ大抵は驚くほど低クオリティでね。しかも私に言わせれば「女装コンテスト」で一番やってはいけないのは「声を出させること」です。歌うなんてもってのほか」


―はあ


「それくらい声ってのは大事なんです。これまでも「実はあの女の子だと思ってた出演者は女装した男の子でした!」ギミックを仕掛けたドラマってのは存在はしました」


―そうなんですか


「はい。中には映画『チョッツェー』みたいに半ば「ネタ」っぽくやったものもありますけど、ガチで行ったものもあります。少し前に「教室を埋め尽くす美少女軍団が実は女装してメイクした男のたちだった」CMも少し話題になりました」


―そういえばあったような…


「ちなみにあの監督は愛宕坂のMVを幾つも手掛けている方だったりします。まあそれはともかく、栄養状態が改善してきて、社会全体が幼いまま年を重ねられる土壌が整った現代社会においては、「まるで女の子に見える男の子」くらいならどうにか調達できるもんです」


―はあ


「それこそ数十年前みたいに、例え一枚写真であっても「男なのに女にも見える」瞬間があったりしたらそりゃもうその話題一色になるほどのものでした。ただ、今はそこいら中に溢れているといってもいい」


―そうなんですかね


「ツイッターなんかで検索すれば山のように出てきますよ。女性にしか見えない綺麗な男性なんて。恐らく取材もインタビューもされてるでしょうけど、アマチュア女装アイドル界みたいなのも存在して、日々ランキングを競ってます。そこに行けば凡百の女の子アイドルグループの下位と比べればはるかに水準で勝る「美少女」がずらり並びます」


―ええ。取材しました


「ただ、『一番最初』だから残るわけじゃない。残るものには残るだけの理由があります」


―というと?


「蒸気機関…人力によらない内燃機関の発明は正に人類史を変える大事件だったわけですが、発明者ということになっているワットはそれまでの蒸気機関の集大成をまとめあげた人物とされています」


―そうなんですか?


「ええ。飛行機の元祖ってことになっているライト兄弟だって、先行した山のような失敗を踏まえてます。人力によらない内燃機関ってことでいえば「ヘロンのおもちゃ」の方が早いと強弁だって出来るわけで(笑)」


―なんですそれ?


「本筋に関係ないのでググってください。ともかく、要素だけ見るなら「なんでこんな凄い事例が話題にならなかったんだろう」という例は結構ありますよ」


―それは男女の性を越境したアイドルとかってことですか?


「ええ。所謂いわゆる「アイドル」の皆さんはある程度年齢が行ってくると「舞台」に活路を見出すことが多いんですが、極端なことを言えばそりゃあもう日々元・現役問わず男性アイドルの「女装」のオンパレードです。でも、だからといって「男の娘アイドル」なんて話に発展したりはしない」


―それはどうしてでしょう?


「一言で言えばクオリティが低いってことですね」


―身も蓋もないですな


「何だかんだ言っても分かりますもん。流石にテレビの実写ドラマまで完全にアンテナ張ってるワケじゃないんで、15歳くらいの美少年というか男の子が全く女の子にしか見えない状態で演じてる!みたいな記事があれば一応見るわけですよ」


―気になりますか


「一応はね。でも、それで本当に関心したことなんてないです。私みたいなおっさんが見てすら一瞬で「あ、女装した男の子だ」って分かりますもん。なのに共演者みんなで「可愛い可愛い」「女として負けてる」とかのおべんちゃらばっかり。結構萎えます。まあ、特にそうしたものの完成度は求めてないんでしょうね」


―キップさんが感心したことって一度もないんですか?


「あるとしたら佐山かのくらいでしょう」


―よく名前出ますよね


「彼女…彼女でいいでしょ…は流石にちょっと話題にはなりました。ただ、モデルとかタレントってことであって「アイドル」ではない。それに最大の問題があります」


―なんです?


「佐山かのは一度も顔にメスを入れず、声も訓練もしない地声のままではありますが、外科手術そのものはしているわけで、言ってみれば自らそっちの道を選んでいます」


―まあ…そうですね


「半田つかさくんは当然そんなことはしてません。何しろ、17歳でカラオケ番組に出るまで本当に自分がそれなりに装えば女の子っぽく見えるという自覚そのものが無かったくらいなので。そこが最大の違いです。小さいようで決定的な違いなんです」



  テロップ「愛宕坂47メンバー 星山ひだり(ほしやま・ひだり)」

廊下にて


―メンバーへのインタビューは星山さんで最後になります


星山「はーい」


―星山さんは半田つかささんのことを「おいいちゃん」と呼んでるんですよね?


「はい」


―変わった呼び名ですが、どうしてそうなったんでしょうか?


「えっとぉ…あたしおいいちゃん(半田)と実は同い年なんですよ」


―え?そうなんですか?


「あたし、実生活で妹はいるけどお姉ちゃんいないから実際は「お姉ちゃん」なんです」


―はあ


「なんか『妹みたい』ってよく言われるんだけど、そんなことないんですよ!(笑顔)」


―…いや、十分妹みたいに見えますけど…


「そんなことなーいですー(むくれる(可愛い))。おいいちゃん何て呼んでいいか分からなかったし、年上に見えたから「お姉ちゃん」って呼んでみたんです」


―あ、そうなんですか。そしたらどうなりました?


「最初あたしが「お姉ちゃん」呼んでも気づかないんですよ!ひどいですよね」


―いや、いきなり「お姉ちゃん」呼ばれても困るでしょ。第一男の子なんだし


「そうなんです!なお(堀井)に怒られて」


―何て怒られたんですか?


「ひだりがいきなり女の子なのに「お兄ちゃん」呼ばれても困るでしょ?それと同じだよって言われて」


―そうですか


「だったらおいいちゃん男の子だから『お兄ちゃん』でいいやって思って、スタジオで会ったら「お兄ちゃん!」って言ってひっついてたんです」


―えっと…その話の流れでついでにお伺いしますけど、半田つかさくんは男の子なんですがそのあたりはどうお感じになられてました?


「それよりも同い年ってのがショックで…ひどいと思いません?もお…」


―余り重要ではないと


「そしたら、10月にあの放送があって」


―俗称「カミングアウト」回ですね


「妹さんがいたんならひだりが妹の代わりでもいいかなって思って益々「お兄ちゃん」言って引っ付いてたんです」


―星山さんはそういう時に孤立気味のメンバーでも分け隔てなく接されるんですよね。確か春元さんがメンバー復帰した時もそうだったとお伺いしてます


「はい。そうです」


―それでどうなりました?


「おいいちゃんって、あたしが「お兄ちゃん」言って引っ付いた時、一瞬固まるんです。なんでかな?って思ってたんだけどある日荒井さんに呼び出されて…」


―半田つかさくんの専属マネージャーの荒井さんですね。それで?


「その…注意されちゃったんです…(目に涙がたまってくる)…半田つかさちゃんにとって「妹」はひばりちゃんしかいないから…別の人に「お兄ちゃん!」言われたら思い出しちゃうからやめろって…(しゃくり上げて泣き出す)」


―…そうだったんですか…


「(泣き続けながら)その日もう一生分くらい泣いて…そしたらおいいちゃん(半田)が『何で泣いてるの?』って声を掛けてくれて…」


―(つられて泣きそうになるがこらえる)…なんとおっしゃってました?


「したら…気にしなくていいからって言うから…でも、「お兄ちゃん」はもう使えないから…「お兄ちゃん」と「お姉ちゃん」を足して二で割って「おいいちゃん」ならいいかなって…」


―…足して二で割っても「おいいちゃん」にはならない気がしますが…


「…」



自宅にて


キップ「5月に無事に卒業しますが、ここから若干迷走します。まあ、比較問題ですが」


―あれほど引く手あまたに見えた映画やドラマに言うほど出演しなかったんですよね


「まあ、出自こそ特殊ですが、タレントとして有用な半田つかさには各方面からオファーが殺到してはいるんです。ところが皮肉なことに一部の話題性を狙った吹き替えなどはあったものの、アニメに出演する機会が極端に減ってしまいます。本数については先ほど申し上げた通り」


―期待していたアニメ関係者が落胆したんですよね


「以前から引き継いだ役はそのまま継続しました。ゲームなどもね」


―どうしてこうなったんでしょう?


「そもそもアニメが言うほど本数が無いんですよ。劇場アニメは所謂いわゆる「プログラム・ピクチャー」みたいな毎年お馴染みのお子様向けアニメの劇場版以外の有名監督の意欲作なんてのは数年に1本しかないし」


―そうなんですか


「アニメも週に60本だの80本だの言われていますけど、ゴールデンタイムに放送されているアニメはごく僅か。「ホット・ニッポン」なんて言われてるカギカッコ付きの「最先端のオタクアニメ」は軒並み深夜放送です」


―一応深夜にはやってるんですね


「あと、WEB限定公開とか。トーキョーテレビみたいな一応は大都会限定の全国5局ネットなんてまだマシな方で、千葉や神奈川の地方UHF局限定、関西や東北限定放送アニメなんてのもあります」


―何ですかそれ


「これまたアニメの構造的な話になってきてしまうんですが、もう地上波で放送して視聴率を元にスポンサーからの収入を得る業界の構造をしてないんです。地上波テレビで流すのはあくまで箔を付けるためという程度で視聴率なんて最初から期待していません」


―じゃあ、何に期待してるんです?


「ソフトの売り上げです。DVDやブルーレイのね。それで命脈をどうにか保ってる」


―成立するんですかそれ?


「余りしないですね。綱渡りです」


―でも、本数はあるんでしょ?


「そこがポイントで、結論から言うと半田つかさくんのギャラが上がりすぎて深夜アニメの貧相な製作費だと依頼できなくなってしまったんです」


―あ…


「つかさくんは『今もオーディションで選んでいただく立場です』と強調はしてますが、事務所がゴネたみたいです」


―ソミーがですか?


「ソミーのタレント部門がですね」


―一部では独立騒動めいたことも言われてましたが


「それは全くありえないです。半田くんは『一家がひもじい思いをしない程度に貰えればそれでいい』と言っていて金額的に執着してないのでギャラで揉めて事務所を独立するだの移るだのといった騒動からは無縁です」


―それならよかったです。タレントの独立騒動でこれまでどれだけのタレントが潰されてきたか考えると


「普通の芸能人はどうもそういうところがあるみたいですけど、何故か声優さんたちは結構ダイナミックにあちこち移籍してますけどね。業界的にはという断りは付きますけど結構な有名人も含めて」


―どうしてなんでしょう


「何とも言えませんが、残念なことですけど動く金額の多寡ってことでしょう」


―それにしても、自分の出自だと認識していて下手すりゃアイデンティティだと思ってるアニメ業界の仕事が減ってるってのは皮肉ですね


「半田くん自身はもっと色々出たいと思っていたのかもしれません。ただ、『安売りしない』方針そのものは必ずしも間違っているとは言えません」


―それはそうですが…


「ソロアーティスト活動が忙しくなっていたのは間違いないですからね。声優のランクそのものはキャリアで決まるところがあるので、下手すりゃ半日拘束されて1万円…みたいなことも当たり前の仕事はそりゃ事務所は嫌がるでしょ」


―あの…何とおっしゃいました?


「流石に半田つかさがそこまで低賃金で働いてはいないでしょうが、かといって数十倍、数百倍になったとも思えない」


―アニメ業界ってそんな感じなんですか?


「格差が激しいんです。一つ言えるのは「意欲的な企画」が少なかったのかもしれません。案外これが大きい可能性があります」


―企画ですか


「殺到する依頼の中には、脚本読んだ時点でしょーもないってことが分かるアニメだって大量にあります。今の深夜アニメは…よく言えば玉石混合、悪く言えば「スタージョンの法則」です」


―9割はくずだと


「悪く言えばね。単につまらんだけならともかく、エロっぽいアニメとか結構あるんですよ。中には未成年の女の子の声優にアダルトな展開の吹き替えやらせるみたいな問題のあるアニメもありました」


―む~ん


「何とこの間に練習していた英語を武器にハリウッドに進出してたんですね」


―これは本当に驚きました。


「私がグダグダいうよりも、コラムニストの町川広友まちかわ・ひろともさんのコラムが全て言い表しているんで、ルポにはそれをまんま引用したほうがいいでしょう」


―そうします


*****


―Practice(練習)―


 長い髪にほとんど露出度の無いセーターと床を引きずりそうな長いスカートのその人物…物凄く野暮ったいイモ姉ちゃんと言う感じ…は、ゲストのゲートを一歩くぐると、両手を前に揃えて深々とお辞儀をした。

 そして笑顔で中央に入ってくる。

 その楚々としたたたずまいとにこやかな雰囲気は、多くのアメリカ人が勝手に思い描くところの自己主張せず、慎み深く、「三歩下がって」男を引き立たせる日本人女性のイメージそのままだった。

 若干甲高いトーンながら「キュート」そして「可愛い(CAWAII)」と評される流暢なアメリカ英語を駆使するその人物に司会者たちもすっかり虜になっていた。まるで可愛い姪っ子…いや、孫を見守る様にではあるが。


 もうお分かりだと思うけど、少し前まで日本のアイドルグループに所属していた舞台俳優にして声優、そして歌手の半田つかさがアメリカデビューを果たした。

 いや、果たしたというのはちょっと違う。何しろ半田つかさはアメリカを音楽活動の拠点にしている訳でも何でもない。

 半田つかさはカラオケ番組から見いだされ、たぐいまれなる歌唱力でアニメの主題歌などでデビューした。

 その歌唱力は留まるところを知らず、独学で身につけたと言う英語を武器に多数の英語楽曲も歌いこなしていた。

 ファーストアルバム「ファースト・インパクト」が発売された直後だったが、世界のソミー・ミュージックは「セカンド・バラエティ」と称して英語楽曲のみを詰め込んだ箸休めのセカンドアルバムを発売する。

 日本では洋楽のアルバムなんて売れない。

 ましてや日本人が全曲英語歌詞のみの曲なんて。

 これがドメスティックな音楽会社だったら埋もれていたと思う。だが、世界のソミー・ミュージックだ。

 実際、日本国内ではそれほど売れなかった。

 いや、売れたことは売れたんだけどファーストアルバムほどは売れなかった。実際、それほど売り上げには期待していなかったらしくそれほどの枚数も刷られていない。

 だが、インターネットの時代だった。

 ダウンロードサイトに掲載されるや否や英語圏で人気に火が付く。

 アメリカ国内チャートで週間1位を獲得する頃には「謎の日本人美少女シンガー」の話題で持ちきりだった。

 日本国内では知らない者はいない有名人ではあるけど、世界的には無名で、ジャケットの写真一枚しか手がかりが無い。何故か検索しても同名の声優・歌手・アイドルがヒットするばかり。

 そんな状況の中、アメリカで最も人気のあるトークショーの一つに呼ばれた訳だ。

 …まあ、後の反応は日本人なら予想が付くだろう。

 敢えての不勉強で有名な司会者は『歌手とか言ってるがどうせつまらんプロモーション出演だろ?』とまるで女子中学生みたいなチビの人物を見下ろしていた。半田つかさは公称158センチ。司会者は180センチあるのでそのままの意味で「大人と子供」だ。そして180センチは日本人だと大柄な部類だが、アメリカ人の成人男子としてはごく普通のサイズである。

 そして、目の前のアメリカ人基準だと幼稚園児の女の子みたいなのが「19歳の男の子」だと暴露されてスタジオはパニックになる…と思いきや軽く流された。完全にジョークだと思われたんだ。

 「女性と結婚してて子供もいる」でやっとパニック。

 …お馴染みの光景だ。

 筆者もこの訪米に合わせて取材で会ったことがある。

 同じ人間とは思えないほど小柄で可愛かった。ウェストのくびれ方…というか身体全体の細さ…は同じ男とはとても思えない。

 司会者は興味津々で「どうやってそんな声出してるの?」と訊くんだけど、それに全部「Practice(練習)」で答えるもんだから、たちまちツイッターでトレンド入りし、「Practice(練習)」が流行語になった。

 アメリカ人が抱く「日本人」のステレオタイプに「真面目で品行方正だけど、杓子定規」ってのもあるけど、そのイメージとも重なったんだね。「Practice(練習)」。

 スタジオで歌も披露されたんだけど、1曲目はゲームの主題歌の半田つかさっぽいガールズポップ、2曲目はななんと半ばデスボイス(うがいしてるみたいな声)入りの男性楽曲。3曲目で英語の歌なんだけど、2人の女性歌手(?)を英語で歌い分けるセクシー路線。

 筆者もこの番組生で観たけど…絶句した。その変幻自在ぶりがすごすぎて。そりゃアメリカにだってそれぞれの歌手はいる。ただ、全部を一人で歌い分けられる歌手はいない。ましてや美少女の外見でデスメタルなんてまるでアニメだ。

 その後のトーク部分で彼がまたサービス満点でいい意味で適当なことばかり言うんだこれが。


「日本人の男の子は3日に1日はみんなこんな感じになる」「水を被るとこんな感じになってお湯をかぶると元に戻る」「今着てる服は最新テクノロジーを内蔵したソミー製で(半田つかさくんはソミー・ミュージック所属)、着ると女の子みたいになれる」「日本人は性転換の薬を発明した。来年には売り出される」「さっき19歳と言ったけど実は今年200歳になる長寿族で、日本の奥地の村から来た」etcetc…。


 どう考えてもジョークなのに毒舌でならす司会者まで一瞬本気にしちゃうのが物凄くおかしかった。日本人がジョークを言うイメージが無かったんだね。

 司会者が余りにも真剣なんでつかさくん自ら「これ、ジョークですよ?」と正してた。こんなの見たことない。


 遂にはダニエル・クランプ大統領まで演説の枕に半田つかさくんのことを引き合いに出す始末。マッチョイズムの権化みたいな保守派のクランプのことだから「ファゴット(オカマ野郎)」とかまた問題発言するかと思いきや、「日本の芸能界はおかしい。小学生の少女に少年を自称させるなんて」だって。

 批判的なのは予想通りなんだけど、本気でつかさくんのことを女の子だと思ってるみたい。ロクなブレーンがいないんだな。まあ、気持ちは分からんでもない。もしも説明されなかったら間違いなく男の子だなんて思えないから。

 間違いなく直接会ったらメロメロになるぞこのオヤジ。

 出会った日の夜、筆者もじかに教えてもらった方法で「女の子の声」出す練習してみた。

 見た目はキモいおっさんのままだけど、「CAWAIIかわいい」声で男を翻弄…とかやってみたいじゃない。

 結果、無理したせいで翌日声ががっさがさになって女房と娘に呆れられた。

 …やっぱり無理はするもんじゃない。

 ちなみに娘には取材に連れて行かなかったことでムチャクチャ怒られた。実は大ファンだったらしい。先に言っといて欲しかったな。


 半田つかさくんが最初と最後、そして歌い始めと歌い終わりに披露した両手を前に揃えての頭頂部を見せる様な深いおじぎは日本人には特に珍しいものじゃないんだけど、相当の人数のアメリカ男のハートを直撃したみたいで、ここだけ切り取った動画のコメント欄には「結婚してくれ!」とか「オレの彼女がこんなにおしとやかだったら!」とか「オレはロリコンじゃないが彼女は可愛いね(女の子だと思い込んでる)」とか、「これも禅(ZENN)なのね!」「やっぱり日本人の女の子はいいわ~(勘違いだって)」「はいはい、あたしよりずっと女の子っぽいわ。認めるわよ」「これも日本のテクノロジーかい?」とかいった内容の書き込みが殺到してる。

 どうやら海を越えたアメリカでも旋風を巻き起こしそうだ。


*****




*****


―Go to the heaven!―(天国に堕ちな!)



 アメリカのドラマを観てると、主人公はほぼ壮年のおっさんだ。いや、ドラマだけじゃない。映画…特にアクション映画なんかだと「女性主人公はお客が入らない」と言われてる。見渡す限りおっさんおっさんおっさん…。

 だからたまに日本映画で少年みたいなのが活躍してるのを観るとアメリカ生活が長いと違和感を覚える。

 ましてや美少女が主人公だったりすると馬鹿馬鹿しくて観てられない。

 もっとも、この頃は「スペース・ピース」みたいな長寿シリーズでも主人公を女性にして女性客を当て込んだりもしてるから若干は傾向が変わったとも言えるけど。熱心なおっさんのファンどもはどっちにしたって観てくれるのには決まってるからちょっとこれは例外。

 話を戻すけど、欧米の文化じゃあそもそも「子供」は常に「未成熟」な存在であって、青春映画以外で過度に活躍することは無いし、ましてや「勇者」として世界を救ったりはしない。

 アメリカ文化の方が成熟している…なんてことは筆者でも思わない。けど、日本の社会が「若いこと」に過剰に価値を見出していることは気にはなる。


 結構前に、全米デビューを果たした形になった半田つかさくんのことをコラムで取り上げた。

 日本では知らぬ者の無い有名人でスターなんだけど、アメリカにおいてはナードや「アニメ」(日本製のアニメのことを特にこう呼ぶ)ファンの「オタク」を中心に局地的に人気になったことは間違いないけどメインストリームにはならなかった。

 それは別に女装した男の子だからってことだけが原因じゃない。仮に生粋の女の子だったとしてもメインストリームの人気者にはならなかったと思う。人種も関係ないよ。黒人の(女性)スターシンガーだって大勢いる。マイク・ジェイソン(故人)や妹のジェニー・ジェイソンは日本でも有名だよね。


 要は何だかんだ言ってもアメリカ文化に於いては「押しが強い」キャラクターでないと受けないんだね。

 半田つかさくんみたいな子を「はかなげ」で「おくゆかしい」美少女…と思うのは筆者も日本人だからで、多くのアメリカ人は「子供」だと思ったみたい。

 アメリカにも「女子高生」歌手はいるし、いたけど、ブリトーニ・スパイクスとか、かつてのマリア・キャミーとかああいう感じだもん。日本のアイドル基準から見たら明らかに「大人」というか「おばちゃん」だろうね。

 でも逆に言うとこう言うのしか受けない。マダムンナとかレディー・ギョギョとか見れば分かるじゃない。こっちの男の子たちは「キュート」「可愛い」よりも「セクシー」なタレントに興味が行く。

 一応「ティーンシンガー」みたいな女の子シンガーもいることはいるけど、彼女たちの顧客はもっぱら就学前の児童…要は子供の幼女…であって、間違っても思春期の女の子じゃない。ましてやそれ以上の世代の大人なんて相手にもしてくれない。

 思春期の可愛い女の子タレントを、同世代の女の子たちが「可愛い可愛い!」と言って愛好するのは日本くらいだろう。こっちの女の子はみんな「けっ!」って思ってる。恋のライバルになりえる存在だから警戒するんだね。


 はっきり言えば日本以外の国には、日本の基準で言う「アイドル」はいないと思う。最近はアジアを中心に日本のアイドル文化が輸出されてるみたいだからじわじわ広がってはいるみたいだけと。

 実は筆者もあれから半田つかさくんが所属していた「愛宕坂47」について調べて、彼女たちの動向を追った冠番組の「愛宕坂ってそこ?」全180回と、放送中の「愛宕坂工事中」約100回(つかさくんが出演していた時期のはこっち)を全部観てみた。作業の片手間に流し見ではあったけども。

 最初の内は似たような見た目の美少女…とはいっても、垢抜けない未成熟の…ばかりで、些細なことですぐに泣きだす番組のノリについていけなかった。

 けど、延々続けざまに観ている内にどっぷりはまり込んでしまっていた。一人一人の名前とキャラクターを覚えては個別に調べて全体像が分かって来たらもう一度見る…この繰り返しだ。いかん、これはいかんですよ。


 全部の曲がいいとは思わないけど、気が付いたら3枚のアルバムを全部輸入してた。

 そして途中参加のファン全員が通る道らしい「どうしてもっと早く気付かなかったんだ!」という思いにさいなまれたよ。ちなみにこの番組は今ではファンの有志が勝手に英語字幕を付けて流通させてるらしい。

 実は「アニメ・エキスポ」で訪米したことがあったことを一般人(?)が知ってパニックに(半田つかさくん加入前の時期だったけど)。今こっちのオタクがどれくらい鼻高々なのかを日本人に説明するのは難しいだろう(笑)。


 その半田つかさくんは英語をほとんど「耳で聴いて」マスターしたらしい。一応グループとして「英語番組」は持っていたらしいけど、余り出演していないんだって。生まれつき英語圏に住んでいた訳でもないし、一応高校は出てるけど余り行ってなかったらしいからほぼ独学だ。やっぱり天才なんだね。彼はアカデミックな意味での最終学歴は高卒ってことになるけど、学歴なんて何の意味もないって生きた証拠だろう。

 いつの間にかアメリカの俳優協会に所属してこっちのオーディションにも参加していたらしい半田つかさくんは、コミック原作じゃないけど限りなくそういうノリの「ナイトストーカー」に出演。

 ぼっさぼさの髪で常に目の部分が隠れている「ユミ」というキャラを熱演した。

 実は半田つかさくん自身は英語が堪能ではあるけど、この「ユミ」と言うキャラにはほとんどセリフは無い。

 宗派が不明のシスターみたいな恰好。このミステリアスさ。

 それでいて居合抜きの達人である「ユミ」は、普段はおとなしいのにブチ切れると訳の分からない叫び声を上げながら妖怪どもをぶった斬りまくる。

 その時の目が狂気に満ちていてムチャクチャ怖い!

 というかブチ切れ演技がとにかく凄まじすぎてぽかーんとしてしまう。映画評論家としていうけど、歴代の名優に決して劣る物じゃないと思う。

 「ユミ」が持っているのがサムライが持っている様な「日本刀」じゃなくて「長ドス」だったのも独自性がある。

 病的に細いキャラを吹き替えなしで演じ切り、完全に主役を食ってカルト人気を獲得。

 現場では唯一の日本人として求められるままアイデアを出しまくったらしい。

 相手を斬った後、親指と人差し指で刀身を挟んで「ぐぐぐっ」と血をぬぐってから鞘に納める(血が付いたままだと固まって抜けなくなるのでサムライはこうしてた)描写やら、半紙の束で血をぬぐって上方に放り投げて「はらはら」と舞い落ちてくる場面は日本の時代劇でお馴染みだけど、つかさくんのアイデアとして教えたんだって。このためか「脚本」にもクレジットされてる(アメリカでは実際に書かなくてもアイデアを出すだけで脚本の完成に貢献したとして脚本家としてクレジットされることがある)。

 日本みたいになあなあで済まさない契約社会のアメリカでクレジットされるってことは脚本家としてのギャラも貰ってるはず。歩合か買い切りか知らないけど結構大変なことになりそうだ。

 ちなみにこの映画はAMV(日本で言うMAD動画)の達人に予告編の編集を任せたお蔭で物凄く格好良くなった。ノリのいいハードロックに乗せて不気味な美少女が妖怪を斬りまくる超格好いい仕上がりになったんだ。

 先行公開されたこの予告編は劇場で流すには長すぎるのでWEB公開になったけど余りの格好よさに問い合わせが殺到。なんと本編の編集もこれに合わせてかなり手直しされたらしい。

 これは彼女…じゃなくて半田くんが直接関係している訳じゃないんだけど、「日本式オタク」作風がハリウッドに持ち込まれたと言う意味でも話題沸騰だ。


 その時の決め台詞が「―Go to the heaven!―(天国に堕ちな!)」ってわけ。これまた流行語に。


 これだけ怖いキャラなのに、再び出演したトークショーではあの癒し系日本女性キャラだったもんだからそのギャップに今度こそアメリカ人はメロメロに。

 前回も披露していた「さりげなく口を隠して笑う」やり方は日本人女性特有のものだけど「お辞儀」並の破壊力で大流行!何だかんだ言ってもアメリカ人男性もゲップが出そうな押し付けがましい過剰なセクシーアピールとかには疲れてたんじゃないのかなあ。

 この上男の子だってんだから「日本人はどうなってんだ」って筆者も随分聞かれたよ。いや、つかさくんは特別だって!日本人の男はみんなあんな感じじゃないから!

 ちなみに「Tsukasa Hunter」で俳優名登録したらしい。


 かねてからそういう兆候は出始めていたけど、いよいよもってこれで本格的な「日本ブーム」が到来。

 あちこちのドラマで真っ黒で長い髪、それでいてくりっとした瞳のアジア美少女のキャラが出て来る様になった。これまでもアジア系の女優さんはいたけど、ステレオタイプの「キツネ目」中国系アメリカ人俳優ばかりだったのに。この頃じゃ金髪を黒く染める傾向すらあるんだって。わざわざ黒い髪を金髪にしてる日本の若者に聞かせたい話だよ。

 名前を「漢字」で書いてTシャツにプリントして売るサービスもちゃっかりプロデュースしたつかさくんはその印税収入だけでかなり儲けたらしい。「マイケル」なら「舞蹴まいける」みたいな感じ。漢字は表意文字でもあるから「キック・アンド・ダンス」という意味も掛けてある…ってな説明をした時のアメリカ人の表情ったら無かったね。


 ちなみに日本でもその「美しい指の形」で男の子なのに化粧品のCMにまで出演した半田つかさくんはこちらのトークショーでその白魚の様な細く長く美しい指を見せつけながら「鶴」とか「手裏剣」を折って見せて大評判に。

 ただ、「紙鉄砲」(振ると「パン!」と音がするあれ)だけは銃社会では危険かも。鳴らした瞬間反撃で本当に撃たれるかもしれない(笑)。


 「ナイトストーカー」も全米ナンバーワンヒットになって続編製作が決定してる。次回のオファーもされてるらしいけど、日本人俳優として歴代最高額の契約金になる可能性が高い…というか間違いなくそうなる。

 元は癒し系の人妻だった過去から今みたいなブチ切れキャラになる前日譚を描くスピンオフの企画も進んでるって噂も。でもそれって完全に半田つかさくんからの連想だよね!?


 少なくとも十数件の映画出演オファーが殺到してるんだって。アメリカ映画界も変わったもんだなあ。


 アカデミー賞の候補にまで挙げられてるらしい。主役ではないから主演の賞は取れないけど、可能性はある。

 ただ、その場合「助演男優賞」なのか「助演女優賞」なのか今から紛糾してるらしい。

 む~ん、どっちになっても違和感があるなあ。この際新しく「助演特別賞」かなんか新設するしかないのかもね。


*****



自宅にて


―華々しく卒業したと思ったら歌手活動ばっかりでアニメにもドラマにも映画にもとんと出ないから何をしてんのかと思ったらまさかのハリウッドデビューでしたね


キップ「企画が全てだったと思います。ギャラの話もないではないですが、ほとんど事務所に持ってかれるし、第一半田くんはお金で動くタイプじゃないので」


―そうなんですか?逆にあれだけお金で苦労したんだからお金に執着しそうですが


「明言はしてませんが、恐らく毎年の税金を払ったとしても一生分くらいは食べていけるだけの蓄えが出来たんでしょうね。ギャラの交渉も全部エージェントに丸投げだそうです」


―はあ


「この活動も事務所のお墨付きです。少なくとも「B級テレビタレント」の典型たる「アイドル」で深夜番組でしょっぱい賞品賭けて「B級グルメの早食い対決」みたいなのをしてるよりもずっと生産的だ…と事務所が判断したんでしょうな」


―どうしてこうなるんでしょう?


「どうしてというと?」


―ハリウッド…というかアメリカって何かにつけてお金の動きがダイナミックじゃないですか。どうしてこうなるんでしょう?


「民族性としか言えないですね。あちらはボランティア活動でもホテルを借り切って派手なパーティを開き、「オークション」で派手にお金を集めるのが当たり前です。そもそも無料奉仕なんかじゃなくてちゃんとギャラをもらいます」


―それが民族性だと


「どうしても日本は儒教的な価値観から逃れられないんでしょうね。芸能活動なんてのは下に見られる。芸能人なんかが目の飛び出る様な大金を取るなんて…というわけです」


―やっかみですね


「おっしゃる通りです。クリエイターへの扱いのひどさもそうした価値観に根ざすでしょうね。とあるアニメ制作会社は、9時5時で帰ってるサラリーマンたちは20万だ30万だっていう人間様が稼ぐに値する給料をもらって、やれ社会保険だ雇用保険だ厚生年金だという福利厚生もしっかりしてるのに、同じ建物で働いてる原画マンたちは一切の社会保障もなく年収50万円でこき使われてる…なんて笑えない話もあります」


―聞き間違いじゃないですよね?年収50万ですか?月収じゃなく


「はい。年収50万です」


―暮らしていけないでしょ。何ですかそれは


「はい。暮らしていけません。ですからアニメ業界で働くには実家の援助があるかどうかが大事になります」


―だってアニメーターっていえばその辺のサラリーマンなんかよりも手に職のあるスペシャリストでしょ?なんでそうなるんです?


「落書きみたいなマンガ絵を描いて、好きで趣味でやってるみたいなもんなのに金が欲しいとは何事か…みたいな価値観が蔓延してるんです。情けない話ですが」


―そんな馬鹿な


「まあ、英語の使用人数の母集団がそもそも違うんで、英語コンテンツと日本語コンテンツの差ってこともあるのは間違いないです。ただ、クリエイター軽視の風潮があるのは間違いないです。日本の出版社では漫画家先生が単行本がヒットするまでは赤字で極貧状態でも、出版社の社員は大手のサラリーマンだから生活が安定してたりは普通ですしね」


―そのサラリーマン氏は漫画家に食わせてもらってる立場でしょ?なんでのうのうと漫画家先生差し置いて高給取ってんですかね?その売上はどっから来てるんですか?


「まあ、これが既得権益ってもんです。あと、しつこいですが儒教的価値観ですね。一発勝負で大きく当てたお金は汚らわしくて、コツコツと地道に稼いだお金は尊いという」


―…私もサラリーマン生活ありますし、才能で食ってる人にやっかみが無いといえば嘘になりますけど、自分の方が道徳的に偉いなんて思ったことはありませんよ


「だから日本でくすぶってても、馬車馬の様に安いギャラで残りカスになるまで使われて、飽きたらポイだったってことです。恐らく半田つかさ一流の嗅覚が海外の仕事に活路を求めたんでしょうね」


―なるほど




  テロップ「愛宕坂47メンバー 星山ひだり(ほしやま・ひだり)」

廊下にて


―他に何かエピソードとかあったら教えてください


星山「えー…そんなに無い…です」


―楽屋の様子とかでもいいですけど


星山「あ、おいいちゃんくすぐられるのが苦手なんですよ。てゆーか、あっちこっち触られるのが苦手です」


―例えば


星山「おいいちゃん、手がすっごく綺麗じゃないですか」


―そうですね


星山「楽屋でまきやん(黒石)が『つかさちゃん手ぇ見せて!』っていうから手を見せてたんですよ」


―はい


星山「そしたら生馬ちゃんが後ろから羽交い締めにして…みきりん(君田)が脇をこちょこちょやって…もうひゃーひゃー言って大変でした」


―…それは普通にセクハラじゃ…


星山「あと、突然背中側から抱きついたりしたらおいいちゃん可愛い声で『ひゃー!』とかいうんですよ!もお可愛くて」


―楽しそうな様子がよくわかりました。何かメッセージがあれば


星山「おいいちゃん、卒業して結構経ったけど、四期生としてもう一回入っちゃえばいいよ。歌番組での共演もいいけど、また楽屋来てね!」



対談特番


生馬「センターに選ばれた時のこと聞きたい!」

半田「ん~…(考え込む)加入させていただいた頃から考えると、ボクが愛宕坂のセンターとか言われても…っていう風にしか思えなかったんで現実味が無かったです」

生馬「だよね~」

半田「選抜発表の時とか、みんな結構譲り合ってる雰囲気というか…(笑)、後で見せてもらったんですけど」

生馬「愛宕中の昔のを観たってこと?」

半田「はい(笑)」

生馬「タチ悪いなあ」

半田「だから、責任の重さとか色々あるけど…仕方がないんでもう考えないことにしました」

生馬「まあ、それがいいよ。考えてもしょうがない」

半田「まともに考えたら背負いきれる訳が無いんで。握手会ボクって1回だけ2月だったんですけど、センター発表されたあとだったから…きっと言われるんだろうなって」

生馬「ああ、これまで色々大変だったからお情けでセンター入れたみたいな?」

半田「でも、結局一人もなくてみんな『センターおめでとう!頑張ってね!』って言ってくれる人ばっかりだったんで」

生馬「そらそーだよ」

半田「ボクはリアルタイムで『愛宕坂ってそこ?』とか観てなくて、MVの方が先だから、あんなにセンターで堂々と歌ってる人たちが選ばれたときみんな泣いたりして大変なことになってるって知らなくて」

生馬「…すいませんです」

半田「いえいえいえいえいえ!凄いなって」

生馬「つーたんからしたら『何で泣いてんだこいつらは』みたいな」

半田「違います違います!違いますって!」

生馬「じゃあそんなにプレッシャー感じなかったの?」

半田「う~ん…うまく表現できないけど、決まったからにはやるしかないというか…女の子アイドルの中に男の子が入るってことだけでも前代未聞だけど、センターでど真ん中で踊るって…考え始めたらいくらでも悪く考えられるから、もうそういうのは引退後に考えることにして、とりあえず考えないことにしようって決めた感じです」

生馬「なるほど…いいと思う」

半田「ありがとうございます」

生馬「17枚目発表の前に予感はあったの?」

半田「…なんていうか、あの時って完全にムードがそんな感じだったから…覚悟だけはしておきました」

生馬「ま、雰囲気は間違いなくあったよね。「次は半田つかさしかない」っていう」



自宅にて


キップ「ファンにとっては日曜深夜24時といえば『愛宕坂工事中』なんです」


―そうなんですか


「そしたらその30分後に『半田つかさの調子にのったテレビ』略して「ちょーてれ」が始まったわけです」


―直後じゃないんですね


「妹グループの桜坂47の『さくらの書き順』があるのでその後です」


―はあ


「これがうまいこと考えた番組で、要するに徹底的にバックステージのドキュメンタリーみたいなのを流す番組だったわけです」


―メイキングみたいな


「トーク部分もあったけど、歌のコーナーも多くて。面白いのはつかさくんって自分でスポンサー探してきてソミーの中でプレゼンやって獲得したんだそうで」


―それもすごいですね


「先輩の愛宕坂47のゲスト呼んできてトークしたりしますけど、何をやるにしても非常に密度が濃いと評判です。非常に時事性の高い番組にも関わらずソフトの売上も上々みたいで」


―個人の冠番組ってのもすごいですよね


「ド深夜の関東ローカルではありますがね。彼個人は「半田つかさ」ってのはユニット名で、スタッフ一丸となっているとは強調してますけどね。でも放送が始まるのはかなり遅れましたけど、ここから先の活動は数週間遅れくらいで毎週報告されるも同然になりましたからね。これは『愛宕坂ってそこ?』とか『愛宕坂工事中』のいい教訓が活かされた形です。結局「見慣れているもの」に愛着って湧きますから」


―確かに


「アイドル方面に強いのは間違いないですが、声優方面にも強いので、テレビのバラエティにも頻繁に登場する大御所声優さんたち以外に、若者に人気の若手・中堅声優さん…一般の視聴者はまず知らないけど、カルト人気がある…なんかも準レギュラーが多くてこの番組から人気がブレイクした人もいます」


―なるほど


「ハリウッドとは契約面ですり合わせに苦労したみたいですけど、『ナイトストーカー』出演の裏側を追ったシリーズは総計5時間にもなりましたけど、映画の最高のプロモーションになりました」



対談特番


生馬「センターに選ばれた直後のあれも面白かったー」

半田「(照れる)」


  全員がフォーメーション型にひな壇に立っている状態。


メロンガイ相良「はい、それじゃあこのフォーメーションで頑張ってもらいましょう」

メロンガイ火山「はい頑張ってーっ!」


  何やら制服衣装姿で手を上げている半田つかさ。


半田「あの…すいません。いいですか?」

相良「ん?なに?やっぱ辞めたいの?」

半田「(笑)違います。ちょっといいですか?」

火山「なんだよ。トイレなら後にしろよ」

半田「そうじゃなくて…えっと…今回ボクってセンターってことですよね?」

相良「そうだよ」

半田「それじゃあ、この曲の間だけはボクが座長ってことになると思うんです」

相良「ダチョウ?」

半田「そっちじゃなくて座長です」

火山「ああ、座長公演とかの座長か」

半田「はい、なんで折角だからその…初選抜とか選抜復帰とかで泣いてる子もいるけど折角これから17枚目シングル発売するんでときの声をあげさせてもらいたいと」

相良「どういうこと?」

半田「それじゃあ…あの正面のカメラに向かって、ボクが『17枚目シングルも頑張るぞー!』って右手上げるから、みんなもそれやって」


 メンバー、顔を見合わせているが遅れて頷く。


半田「はい、それじゃ行きます。『17枚目シングルも!頑張るぞー!』」


 少し遅れて「お、おおー!」という可愛い声と共に選抜メンバー16人の可愛い声が上がる。

 半田、直後に後ろを振り返っていう。


半田「はいみんな有難う!ありがとうございます!」


 スタジオ中が拍手に包まれる。


相良「へーこういうの今までなかったわ」

火山「これは面白くなってきたな!」


 ひな壇を下りてくるひとりひとりに両手で握手をして「よろしくお願いします!よろしくお願いします!」と選挙活動みたいに挨拶をする半田つかさの姿。



生馬「あーこれが男の子ってことなんだーって思った。うん」

半田「(笑)分かんないけど…。でも折角これからやるんだから元気いいほうがいいと思ったんで」

生馬「あれ、元からいたメンバーだったら出来ないと思う。二期生三期生でも無理。いい意味で外からの刺激だったつーたんだから出来たんだって思った」

半田「有難うございます」

生馬「元々心配とかしてなかったけど、『ああこれで17枚目大丈夫だわー』と思ったもん。てゆーか『大ヒット間違いないわー』って思った(笑)」



 ライブ前のステージ袖。

 綺麗な衣裳に身を包んだ選抜メンバーがひしめいている。


半田(ステージ衣装姿)「えっと…もうすぐ本番です。とても大きな舞台だけど…まあ、大丈夫でしょう。どこのどいつがセンターやるんだか知らないけど」

生馬「あんただよ!」


 どっと笑いが起こる。


半田「あ!そうか…まあそれじゃ頑張って行きましょー!」

全員「「おー!(笑)」」


対談特番


生馬「よくセンターになった子って『引っ張っていく』っていうけど、そのまんまの意味だったよね。ステージ袖で全体を軽く笑わせるとかさ」

半田「いえいえいえいえいえ」

生馬「確かにちょっと笑うと一気に緊張がほぐれるもん。ホント上手いなって」

半田「そうですねぇ…いっちばん最初に『愛宕坂に一時的にメンバー加入する』って聞かされた時には驚いたんですけど、よく考えれば「女の子ばっかりの劇団に客演するようなもんだ」って思えばいいんだって思い始めたんですよ」

生馬「劇団…」

半田「お陰様で皆さんに知っていただいてから客演が多くなったんですけど、どこに行ってもみんなプロだから、少なくともお芝居の内容とかは考えるけど『行くこと』そのものには何の心配もいらないんで…みんなプロのアイドルなんだし、そこは大丈夫じゃんって」

生馬「…どう…でした?(笑)」

半田「全然大丈夫でした(笑)。ウチの劇団のアホとか奥さんとかには「靴に画鋲とか入れられるかもよ」とか言われたけどそんなこともなくて」

生馬「つーたん、そうやって劇団の人にはムチャクチャ遠慮なく当たるよね」

半田「そりゃまあ…」

生馬「うちはちょっと寂しかったよ。最後までそのレベルでうちらに当たってくれないから…」

半田「いや…流石にそれは馴れ馴れしすぎるでしょ」

生馬「でも…うちらってそこまで家族同然に打ち解けてないのかなって…(泣きそうになる)」

半田「あー泣かないで…別に遠慮してるとかじゃなくて…距離感の違いってだけだから。失礼な態度取ればそれが打ち解けてるってことじゃないから」



自宅にて


キップ「確かにこの時期、センター曲のみという限定付きではあるもののリーダー然として振舞っていて、声とかは確かに美少女アイドルモードではあるんだけど、やっぱり人格は男の子だなと思わされる場面はありました」


―確かにいい意味で新鮮とも言えますね


「それでいて、『円陣』ではちゃんと可愛く決めていて女の子モードも使えるっていうね」


―ああ、円陣ね。あれってグループアイドルはみんなあるんですか?


「ありますね。イブニングお嬢。の『みんな頑張っていきまっすーい!』は有名ですし、どのグループにもあります」


―友情!勝利!努力!ってあれですよね


「皆さんそういう風に覚えてて、妹グループの桜坂も少し変えたものを使用してますけど、実は愛宕坂だけはちょっとだけ違うんですよ」


―というと?


「これは私のダミ声じゃなくて本物を観た方がいいですね」


廊下にて

 半田つかさの掛け声で円陣スタート。


『せーの!よーっ!ゆーっ!ゆっゅ!せーの!友情!勝利!努力!うちらは愛宕坂上り坂!フォーティセブーン!』



自宅にて


「言葉にならない「尺調整」みたいなのが頭のところに結構いっぱい入って、その部分の「振り」もあるのが最大の違いです。拍手とか手の動きとか。ちなみに三期生は最初この部分が再現出来て無くて、お見立て会前の円陣だとその部分が無かったりします」


―細かいところまで良く観てますね…


「結構大事な話です。ちなみに半田つかさくんが最初に教えてもらって覚えた振りはこれだそうです」


―全員の声が物凄く可愛くて「ザ・美少女アイドルグループ」って雰囲気ですけど、これの中に混ざるのは男として物凄く気恥ずかしいですよね


「そんな程度の順応も出来ないんじゃお話にならないでしょ。これを平気でこなしてその先の話ですよ」


―卒業後も歌手活動、ライブとカラオケ番組の出演、そしてハリウッド映画とアニメと日本の実写以外においては大活躍します。


「遂に出演して無いアニメの主題歌まで担当して完全に『歌手』として活動してますね。「おめざめライブ」にもしょっちゅう出てます」



階段にて


―半田さんといえばライブのMCでお客さんを「煽らない」ことで有名なんですが、あれはどうしてです?


「煽りってあれですよね?「みんなもっと声出してー!」とか「お前ら盛り上がってるかー!」とかああいうのですよね?」


―ええ


「あれってお金払って来てくれてるお客さんを余計に疲れさせちゃうだけじゃないですか」


―え…


「こっちから無理やり煽らなくても自然と盛り上がってくれればいいんで」


―凄い自信ですね


「いや…幸いボクの持ち歌ってアップテンポなのばっかりだから続けざまに歌ってるだけで結構盛り上がるんで」


―確かに


「「もっと声出して―!」とかの煽りって中身というか情報量が無いじゃないですか。単なる準備不足だと思います」


―準備不足…


「だから時事ニュースとか世間話とか…落語でいう「まくら」みたいな話をしますね。あと、会場アンケートの一部読み上げたりとか…貧乏性なんで少しでも退屈させたくないんですよ」


―…ところで、曲のイントロが流れても直前まで少年声で喋り続けて、曲の開始と同時に女の子の声にスイッチするのが見せ場ですよね


「…はい」


―テレビなんかで紹介されるのもあの瞬間が多いんですけど、計算してやってます?


「まあ…ボクは常に見世物をお見せしてライブの3時間とか退屈して頂かないことだけ考えてるんで…」



自宅にて


キップ「もう終わりにしますが、どうしてもあの事件について触れない訳にはいかないでしょう」


―…ヒドかったですね


「タカテレビのとある番組で生放送で「ドッキリ」が仕掛けられたんですがこれが下手すると日本のテレビ史上に残る最悪に近い大事件となりました」


―はい


「スタジオに座らされて、半田くんが手足を椅子に縛り付けられた状態になり…そしてここから地獄がスタートします」


―…思い出すのも辛いです


「身動きが出来ない状態でドッキリ要員が楽屋に侵入し、半田くんの私物を勝手に漁るのを中継して妹さんの位牌を取り出して勝手にいじり始めます」


―はい


「別のスタジオに持って行って落書きをしたりべろべろ舐めたりするんです」


―…


「この時点で半田くんは既に真っ青で、ツイッターではその異様な雰囲気に静かに拡散が始まります」


―祭りの開幕ですね。ロクでもない祭りですが


「その後、それでキャッチボールをしてバットで打ったりするんですよ。半田くんはガクガク震えてます」


―そうですね


「そしたら観たことも無いツラのお笑い芸人が『たった今うんこしてお尻ちゃんと拭いてきた!』とか言ってパンツを脱いで尻の割れ目に位牌の角をぐいぐい押し付けはじめます」


―目を疑いました


「まだ半分くらいなんですが、この時点でタカテレビには抗議の電話が鳴り始めます」


―はい


「遂には万力で位牌を固定して、チェーンソーでガリガリと切りはじめます。同時に半田くんは正体を失って叫びながら暴れるんですけど、椅子に固定されてるから動けません。しかし、物凄い馬鹿力で固定されていた椅子を地面から引き剥がしてその場に倒れます」


―涙無しでは見られません


「その場で尺取虫みたいにわめきながら必死に動こうとするところを周囲のお笑い芸人たちがゲラゲラと笑う場面が延々と続きます。フロアディレクターの笑い声みたいなのも入ってる」


―狂ってる…


「まあ、実はこの後『位牌は本物ではありませんでした~。ドッキリ大成功!』とやる予定だったみたいです」


―頭がおかしいですね


「まず、確認されているだけで万単位の抗議電話がタカテレビに殺到して電話回線がパンクします」


―そりゃそうでしょ


「次に怒り狂ったネットユーザーたちがサイバー攻撃を開始。噂では世界的に有名なハッカーも攻撃に参加していたらしく、たったの5分でセキュリティを突破してタカテレビの公式HPの全てをダウンさせます」


―あーあーあー


「あれほど敵に回すなと言ってた「鬼女板」の素敵な奥様たちが、出演してゲラゲラ笑ってた「自称・お笑い芸人」たちのみならずこの番組のこの回に関わってたスタッフ全員の本名と住所と電話番号を一斉に拡散します。この間10分ですから凄まじい速度です」


―10分…どこの情報組織ですか…CIAかな?


「サイバー部門に強いのはCIAよりNSAですよ…。それはともかく、古典的なメールボム攻撃は勿論、ありとあらゆる攻撃にさらされたタカテレビは少なくともサイバー面での活動を完全に停止せざるをえなくなります。以後48時間ほぼ電話がつながらず、完全に機能不全に追い込まれます」


―やれやれですな


「こんなのは序の口で、タカテレビにこれまた確認されているだけで数十件のピザと高級寿司の出前が到着。また脅迫状と思しきものも大量に郵送される事態となります」


―ピザ屋さんたちが気の毒ですな


「どうやら上層部もこの日の放送内容を把握していなかったらしくて、突如中継画面が途切れて「しばらくお待ちください」になります。ゴールデンタイムに10分も「しばらくお待ちください」が放送されるのは非常に珍しいですね」


―これでも確か序の口なんですよね


「はい。異変に気が付いたツイッターユーザーたちも一斉に反応。先ほどの放送を録画していたユーザーの一人が「マイチューブ」に動画を投稿し、これが瞬時に拡散します」


―ここで初めて事態を知った人も多かったでしょう


「どうやらタカテレビもマイチューブに「権利者削除」を申し入れて削除させたみたいなんですが、これが更にユーザーの怒りに火をつけて「消せば増える」状態になり、のべ2万もの同じ動画が上がったそうです」


―凄まじいですな


「タカテレビは何も映ってないし、HPも落ちてるので何も分からない状態が続くんですが、この間にあの「位牌に対する悪戯いたずら動画」がたった1時間で述べ200万回も再生されます」


―あーあーあーあーあー


「インターネットユーザーはどこに怒りをぶつけていいのか分からないので、出演してたお笑い芸人たちの事務所に軒並み電話突撃を開始し、やはり片っ端からHPを総攻撃して落としまくります」


―軽いパニックですな


「大手のまとめサイトが30分遅れで事態を把握してまとめ記事にしたことで更に事態は拡散されてしまいます。最初はただの有志のまとめサイト記事だったものが、…これは放送後になりますが…大手のインターネットニュース記事になりました。生放送から2時間というのは異例の速度といえます」


―大変なことになってますね


「やっとタカテレビが映るんですが、全く何の関係も無い局のアナウンサーが『先ほどの放送で、大変不適切な内容が放送されてしまいました。大変申し訳ございません』と頭を下げたんですが、一体何に謝っているのかも不明瞭だったために更に怒りに火が注がれてしまいます」


―やぶへびですねこれじゃ


「当時の記録を観ると、近所に住んでいた人が一斉にタカテレビに突撃して玄関で警備員たちと揉み合いになったそうです。これがその動画です」


―何か暴動みたいになってますね


「しかも、やっと再開したはずの放送は、そのアナウンサーの謝罪がリピートされ続けるという異常事態となります。この時の混乱と投石などによってタカテレビの玄関付近はかなり破壊されたそうです」


―申し訳ないですが「いい気味だ」としか思えないですね


「ここから更に大変なことになります。メイクがドロドロに崩れるほど明らかに泣きはらした半田くんが画面に登場し、『先ほどのはドッキリでした!位牌は無事なので皆さん落ち着いてくださいね』と笑顔で映ります」


―この笑顔が猛烈に痛々しいんですけど、これで事態が収拾できると思ってるんでしょうか…


「しかも、あの細い手には縛られた状態で暴れたもんだからヒドいミミズ腫れと血の滲んだ跡がくっきり映りこんでいたもんだからファンどころか一般人、そしてアンチまでもが大激怒するに至ります。何人かはこの動画を観て余りのショックに気絶したともいわれています」


―アンチもってのが凄いですね


「余計なこと言わなきゃいいのにこれに関して坂下信人という「ご意見番」俳優が『オレの若いころはこの程度のドッキリは当たり前だった。甘えるな』と発言してこれまた大炎上します」


―アホかな?


「空気読めてないです」


―半田くんの涙の動画も合わせて拡散されたんですよね


「『こんなのどう見ても無理やり言わされてる』と判断したインターネットユーザーは必死の復旧作業をしているタカテレビのサーバを完全破壊する積りで持てるリソースの全てを使って総攻撃を仕掛けます。流石にシャレにならないので復旧を諦めて一旦全てを断線したそうです」


―えらいことになってますね


「先の話になりますが、この番組はこの回を最後に打ち切りとなり、担当プロデューサーは解雇、ゲラゲラ笑っていたお笑い芸人たちは軒並み契約を切られる事態に発展します。スポンサーも激怒して何社かはタカテレビそのものに広告を出さないことになりました。その中の一社は社長が半田くんの個人的大ファンだったりしたもんだから…そりゃもう大変だったそうです」


―なんでこんなことになったんでしょうか?


「週刊誌情報なんですが、どうやら余りにも調子に乗っているので軽くお灸をすえるとかで一部の芸能界のボスが動いた…なんてことも言われてますが何ともいえません。ただ、ここに動員された「お笑い芸人」たちはかなりのお笑い通でも見たことも無い連中ばかりだったらしく、その意味でも異様な画面になっていたのは間違いありません」


―出る杭は打たれるといっても、位牌に冗談を仕掛けるなんてまともな神経の発想とは思えません。例えニセモノ使ったドッキリだとしてもです。私だったら地獄に堕ちそうだから絶対にイヤです


「正常な価値観です。この時点で22時になっていたので次の番組が始まるんですけど、当然内容なんて頭に入る訳もなく、なんと怒りの矛先の行き場を失ったネットユーザーたちは別のテレビ局に突撃を開始します」


―完全にとばっちりですね


「はい。タカテレビの電話回線は放送から72時間の間断続的に復旧してはパンクを繰り返してまともな業務が行えなくなりました。復旧しても掛かってくるのは怒髪天を突いた様な抗議電話ばかりなので、多くの社員がノイローゼになったそうです」


―凄まじいことになりましたね


「しかも念入りにタカテレビ周辺の携帯電話の基地局も軒並みサイバー攻撃でダウンさせたので、ごく一部の衛星携帯電話を持つ社員以外はまともに電話をすることも出来なくなります」


―それって、被害はタカテレビだけに留まらないですよね?


「当然です。周囲何百社が被害を受けたか分からず、集団民事訴訟に発展しました。23時からニュースが始まるんですけど、頭から謝罪を繰り返してからニュースに入ることになり、所謂いわゆる「L字放送」と呼ばれる横と下にテロップを出し続ける形で朝まで謝罪文を掲載し続ける状態となります」


―一般の視聴者には訳が分からないですね


「とりあえずさっきのお笑い芸人どもを出せ!という意見が集中するんですけど、結局連中は二度とテレビには出られませんでした」


―本当になんだったんでしょう。


「この日、タカテレビの中にいたスタッフやタレントたちは外に出ることが出来ず、釘付け状態になります。夜通し局の外で押し合いへし合いを繰り返したために警察が出動するんですが、駆けつけた数人の警官だけでは事態を収集することができず、応援を呼んで最終的には双方で20人が逮捕されました」


―暴動状態ですな


「生放送だったために半田つかさくんも局内に閉じ込められた形になりました。平日の夜中だったためにこの程度の人数で済みましたけど、あのままデモ隊が局内に突入することを許した場合、内部の人間に危害が及ぶ可能性がある…と危機感を募らせていたそうです」


―なんだかゾンビハザードみたいですね


「タカテレビのみならず、タカテレビ周辺の携帯基地局まで落ちているためにこのサイバー時代に『陸の孤島』と化してしまいます。現在アップロードされているこの時の混乱動画はインターネットに挙げられたのは後日で、その場で携帯電話に録画されたものです」


―クーデターみたいですね


「タカテレビ以外の民放もこんな美味しいネタには当然飛びつきまして、翌朝からのワイドショーはこれ一色になります。えげつないことに「インターネットに上がっていた動画」ってことでタカテレビの放送内容をモザイク掛けて放送したりします」


―うわーハイエナみたい。えげつないですねー。


「興奮状態が収まらない聴衆の前に半田くんが出て行って『単なるドッキリだから落ち着いて!』とやろうとしたのに荒井さんに死に物狂いで止められたそうです」


―危険ですよ。それにしても半田くんの方が事態収拾に尽力しようとしてるんですか。自称・お笑い芸人連中は何をしてるんですかね


「部屋に引きこもって籠城してたとか色々言われてます。何しろ携帯電話番号まで…一体どうやって突き止めたのか鬼女版の皆さんに聞いてみたいんですが…拡散されているもんだから、抗議の電話が掛かり続けてどうにもならないことになります。恐らく「死体画像」なんかも大量にメールで送られたことでしょう」


―…ですね


「ハッカーの仕事も早くて、早々にツイッターアカウントを持っていた連中は全員がアカウントを乗っ取られてパスワードを変えられてアクセス不能になります」


―早いな


「最悪なことにこの事態を面白がってヘラヘラ笑いながら見下ろしてたり携帯で写真を撮ってる局員の写真が大量に後日アップロードされます」


―…そいつらが犯人ではないですけど…ちょっとひどいですね


「どういうカラクリなのかわからないんですが、日付の変わる24時近くになって遂にタカテレビそのものが一旦落ちます」


―テレビ放送が真っ黒になったんですよね


「真の意味での『放送事故』ってやつです。ただ、たくましいもんで、復旧した30分後には通常の番組を飛ばして、玄関に殺到する抗議の人たちを『大変なことになっています!』と興奮気味に中継し始めます」


―マッチポンプですな


「節操のない話ではありますが、生放送で進行する事態なんてトンと久しぶりだったためもう日付の変わる深夜付近だったのにかなりの視聴率だったそうです」


―…


「ただ、興奮気味に伝えてはいるんですが完全に自分たちが撒いた種なもんだからこれまた大炎上。この時起きて放送の作業を行っていた同時刻の他局のテレビマンたちは自分たちの局の番組そっちのけでこればっかり見ていたそうです」


―まあ、気持ちはわかりますが


「予想通りタカテレビと勘違いして別の局にも抗議デモが殺到しました」


―おいおい


「全く関係のないトーキョーテレビにすら十数人が突撃してきたくらいだから、よその局はもっとすごかったでしょうね。仕方なく警備員を増員するハメになったそうです」


―軽いパニックですね


「タカテレビの系列以外のスポーツ新聞は全てが翌日一面記事に掲載し、海外にまで拡散しました」


―あーあーあーあー


「特にアメリカではそれなりに人気が出ていたために大々的に報道されます」


―アメリカにも「位牌」ってあるんですかね


「位牌そのものは無くても人間なら気持ちは分かるでしょ」


―まあ、そうですよね


「正に『日本の恥』とも言える大事件です。この事件の余波は基本的に今も収まっていません。80年代には黄金期を築いたタカテレビでしたが益々視聴者離れが加速してしまいます」


―当然でしょ


「何しろ全く関係ないグルメだペットだのロケでも「タカテレビです」と名乗るだけで顰蹙の目を向けられたり、塩を撒かれたりしたそうです」


―塩ですか


「もっとも、この時代になるとそういう面倒くさい仕事は全部下請けプロダクションに丸投げなんですけどね」


―やれやれです


「放送の10時間後にやっとタカテレビを車で脱出することが出来た半田くんはインターネット回線が繋がるところまで行って、事務所のツイッターでユーザーに落ち着くように直接動画でメッセージを送り続けたことでやっと一時的に収束するに至ります」


―本当にヒドい事件でした


「ある意味、出自以上にこれについて半田くんに聞くのはタブーになってます」


―改めてお伺いしますが、どうしてこんなことになったんでしょうか


「まあ、一部の勢力にしてみれば面白くなかったんでしょう。何でも持っている半田つかさというタレントの存在がね。じかに会ったことがない人には「どうしてそこまで」というほどのアンチも少なくなかったそうです。日本人特有…でもないんでしょうが、足の引っ張り合いってところです」


―それにしてもこんなことをすればイメージは最悪になりますよ


「でも、スキャンダルイメージを植え付けることは可能ですよね?ダメージったって聞いたこともないお笑い芸人が消えるだけで、黒幕は全く傷つかないんだから」


―え?じゃあ連中も捨て駒ですか


「恐らくそうでしょう。伝聞情報ですが、余りにも酷すぎるドッキリの内容にあの中の一人はやっている直後から精神的に罪悪感に苛まれ、その後『大炎上』なんてレベルでは表現しきれない大バッシングに晒されて、自殺まではしてませんが精神的に追い込まれてひきこもりになってしまった…なんて噂もあります」


―同情しきれませんけど、それが本当ならヒドいですね


「依然として活動の軸足は日本にはありますけど、あれだけ英語が堪能になってるので、もしかしたら海外での活動にシフトしていくことになるのかもしれません」


―やれやれですな


「私もそのほうがいいのかもしれないと思います。日本は過剰に舶来品をありがたがるところがありますからね。プロ野球選手なんかでも日本国内では「自分勝手」だのボロクソ言っていたのに、メジャーリーグで活躍し始めた途端に大々的に報道されるなんて普通じゃないですか」


―典型的な島国根性ですね


「そういうところありますから。救いは、ちょっとやそっとではコタエないタフな精神力を持つ半田つかさくんはこの事件が起こった3日後には予定されていたイベントに顔を出して、静まり返る聴衆を前に元気に明るく振舞っていたらしいってことです」


―さすがですね


「結果論ですけど、かなりの芸能事務所から縁は切られないまでも疎遠にされてしまったタカテレビにも変わらず顔を出すんですが、行けば「整列でお出迎え」状態だそうです」


―それも極端ですけどね


「まあ、ある意味一番事態収拾に尽力したのはつかさくんなんですよ。タカテレビに出演して「もう別に気にしてません」的な発言を繰り返すことになりましたから。番組に出れば局の関係者全員が土下座せんばかりに謝るのを「まあまあ」となだめ続けた彼の株をまた上げることになってしまいました」


―天使かな?


「『対応が甘すぎる』反応もかなりもらったそうですが、おおむね好意的に受け止められました」


―なるほど


「元々この局もスタンスが非常にリベラルなので、日本にとっていいニュースを伝えたがらないところがあります」


―そう…ですね


「この傾向は世界中にあるので、何もタカテレビに限った事じゃありません。アメリカなんかは最後発の「ウルフテレビ」以外の3大ネットワーク全てが「反米的」と言って良いスタンスです」


―どうしてそうなるんでしょう?


「アカデミックな意味での教養の高い…要は学歴があって頭のいい人たちの集団ですからね。そういう「頭がいい」人たちは「自分たちが所属する集団に対してバカにしてみせる」ことが「格好いい」という価値観があるんですよ」


―いや、そいつらこそバカにしか見えませんが


「「こんな思い切ったことも言っちゃえるオレって格好いい」みたいな」


―死んでほしいですね


「だから日本が誇るタレント(才能)である半田くんが海外でまで活躍し始めたのを苦々しく思ってたんでしょ」


―はぁ?


「彼らにとっては自分の国は常に小馬鹿にする対象でなくてはならないんです。自分たち「知的エリート」(笑)の精神的優位のためにね。だから日本にとっていいことは彼らにとっては悪いことなんです。だからここいらで叩き潰しておいてやろう…というわけです。仮に失敗しても、あれだけみっともない姿を晒せば再起不能だろうと」


―本当ですか?


「仮説と推論ですが、恐らくそんなところでしょ」


―なんという島国根性、ムラ社会の論理でしょうかね


「ですが、全く逆の結果になってしまいました。幾らなんでも『相打ち』にしてもダメージ大きすぎです」


―いや、一方的にタカテレビの印象が悪くなっただけですよね?


「作戦大失敗というところです。ファン界隈での有名なアンチまで味方に転向したそうです。一方的被害者の半田つかさくんには尚更同情が集まります。申し訳ないんですが、タカテレビのこの悪印象が払拭されるにはあと10年は掛かるでしょう。もしかしたら二度と浮上しないかもしれません」


―ですよね


「まあ、この事件についてはこれ以上触れるのはやめましょう。気の毒なことにこの時についた傷は今も残ったものがあるそうです。噂ではアメリカの大手の弁護士事務所が動き出してる…なんて話もあります」


―アメリカですか


「あちらでこんなことやらかした日には間違いなく訴えられて天文学的な賠償金を取られます。どんな大富豪でも破産するくらいのね」


―あ…


「成功報酬目当てに動き出したとなると…タカテレビの命日も近いかもしれません」


―これは何とも…


「ともあれ、この件については触れないことになってます。ファンの間でもね。くれぐれも取材とかしないようにしてくださいよ」



事務所にて


―えっと…一応確認なんですが、タカテレビの事件についてはご質問はありですか?


荒井「(にこやかだった笑顔が突如表情が険しくなって)…その件に関しては全て円満解決しておりますのでご勘弁ください」


―一言でもいいんですが


荒井「(無表情で)もしも半田にそのことについて一言でも訊いたら今回の取材の件は全てキャンセルとさせていただきますので」


―…了解いたしました




自宅にて


―そろそろまとめめいたことをお話頂きたいんですけど、やはり半田つかさくんの成功ポイントは歌手であったことであるとお考えですか


「最初に申し上げた通り、その通りです。今って歌番組が少ないのは『作り込んだ見世物』よりも、よりインスタントでメタフィクション的な『素の素材』の方が喜ばれるからです。なんだけど、半田くんはほぼ唯一『歌っている間全てが見世物』の歌手といえます」


―?元々そういうものでしょ


「いや、彼には「男の子なのに」という前提が付きますから、歌っている2分とか3分とか全部ずっと視聴者の目を釘付けに出来るんです」


―…まあ、そういうところはありますけど


「女子人気が高いのも、男性タレントが半田くんと絡むとBLっぽい雰囲気になるからでしょうね」


―適度にアブノーマルというか


「元PMASの村木和也むらき・かずやなんて明らかにお気に入りでバラエティで隣に座らせたりしてますからね」


―む~ん…これはちょっとアブない感じが…


「お互い妻子ある男同士なんですが」


―といっても…


「でもこれ、ある意味まだマシなんです。半田くんが少年モードになってると魅力が倍加するんで」


―そうでした



楽屋にて


メロンガイ相良「最初に相談受けたのはいつだったかなあ」

メロンガイ火山「割と卒業してすぐだったんじゃなかったっけ?」


―先輩に仁義を通したってことでしょうか?


相良「最初は舞台上でそういう場面があるって話だったんですよ。だったら俺らのライブ観に来いって話をして」

火山「まあ…やらしい話だけどチケットは常に売り切れなんであいつの分確保出来なかったから仕方なくライブDVDをプレゼントして」



自宅にて


―現在は2017年の年末で、無事に愛宕坂47が紅組、半田つかさくんが白組で出場が発表されたところなんですが、年末に来て最大のサプライズがありましたね


キップ「とはいえ、私はそんなに驚いてはいません。最初は驚いたけど、舞台を観たら『ああ、なるほど』という(笑)」


―でも、アイドルからお笑い芸人って振り幅が大きすぎませんか?


「その認識はちょっと違います。彼はお笑い芸人をやってるのではなくて、あくまでもオープン参加の「W-1グランプリ」に出場したというだけなので。というかそもそも彼は「アイドル」ではなくて、あくまで役者です。アイドルは彼の中の一面にしかすぎません」


―確か「結成12年以内のコンビ」という以外に出場要件は無いんですよね


「奥さんの雅羅さんと『えも』というコンビを結成して出場ですね」


―声優コンビなんて言われもしました


「雅羅さんはこの時点でオーディションに2回しか受かっていないので「声優」というにはキャリア不足かと思いますが、一応ウソは言ってません。何よりも実績こそないものの物凄く芸達者なので技量的に何の問題も無いです」


―半田くん並と


「流石にそこまでは行きません。しかし、女性声優さんの常として大人の女性の声と少年の声の使い分けは出来ました。ちなみにその後順調に声優キャリアを積んで大活躍してます。既婚者ということでアイドル人気は出ませんでしたけど、通好みのいい声優さんです」


―『萌え漫才』なんて言われましたね


「分かりやすいキャッチフレーズですからね。でも幾つか飛び道具があるんですよ」


―飛び道具ですか


「まず、半田くんは夫婦めおと漫才ということもあって男の子モードです」


―おっさんになっているとまでは思わないですけど、「あんちゃん」っぽくなってたら困ったんですけど普通に「男の子」でしたね


「半田くんは男女どちらにしても過剰に作り込まないのが身上なので薄味ですけどね。本当にバランス感覚が見事だなあと思うのは、「女の子的ななよなよした男の子」だったらそれはそれで視聴者はドン引きだし、かといって過剰に「青年」風でも、先日までのアイドル姿とギャップがありすぎてアウトなんですが、見事に「美少女が男装してる」雰囲気を残しつつ「ちゃんとした男の子」に見えました。そして奥さんが半田くんのデビュー当時のお株を奪う様な長いスカートに清楚路線です」


―この当時22歳ですかね


「まあ…ありですよ。テレビに出たことは愛宕中の1回しか無くて、その時は割とサバサバキャラだったんですが余りみな覚えてないでしょ」


―ウォッチャーはみんな知ってたって話もありますが…


「2人して可愛いですから若者人気は抜群です。最初に雅羅さんが「みんなー!北京ダックぅ!」というのが定番です」


―なんで北京ダックなんですか?


「特に意味は無いそうです。こればっかり言ってたんで、北京ダックのグルメレポートの仕事が来たりします。ともあれ、何しろ二人とも舞台役者にして声優なんで声が無理して張り上げなくても大きくてくっきり通るんですよ。『口跡こうせきをハッキリ発音する』訓練を受けてきた賜物たまものですね」


―ですね


「『じゃあちょっと〇〇やってよ』みたいな展開に入った後、雅羅さんが「男の子」を唐突に演じはじめるんだけど、どう見ても「綺麗なお姉さん」風の人が突然わんぱくな男の子が中に憑依したみたいになるんで観てた人は非常に複雑な気分になる「飛び道具」です」


―これは…正直「萌え」ました


「何種類かパターンはあるんですが、基本は雅羅さんの「ノリツッコミ」ですね。あくまでニコニコの綺麗なお姉さん声で「ん~それってあれだよねー。○○が××でってこーら!(笑顔)」みたいな」


―どうしても「漫才」って下品な芸のイメージがあるんですよ。綺麗な女性がいないってのはともかくも、若い女性であっても顔をゆがめて「○○やねん!」みたいなガサついた大声張り上げる感じが苦手で…


「盲点でしたね。雅羅さんはあくまでも「綺麗なお姉さん声」のまま進行します。あのテンションでの「ノリツッコミ」とか日本中誰も見たことが無かったんで、一瞬戸惑ったものの熱狂的に歓迎された訳です」


―予選を勝ち抜いてるらしいって噂が回ってからはそれ一色になりましたね


「ただ、先ほど記者さんがおっしゃった様な反発はありました。「声優とやらがお笑い芸人の世界に来るなんて馬鹿にしてる」「アイドルがなんぼのもんじゃ」みたいな」


―負け惜しみですね


「はい。結果として面白ければいいんです。お笑いファンとか多くのお笑い芸人さんと違って審査員はその辺りが分かっていたらしくちゃんと予選勝ち抜きましたからね」


―悔しいですけど実際面白いんで


「あくまでも女神みたいなテンションの雅羅さんがあるきっかけで突然ブチ切れ始めて「あやまって!あ・や・ま・っ・て!」と言った後一瞬間があってつかさくんが「申し訳ありません」と頭を下げるのが定番のオチです」


―これも流行りましたね


「何だかんだで男女ペアは珍しいんで。居酒屋なんかでは女性が男性にふざけて「あやまって!」からの「申し訳ございません」の光景をよく見ました」


―応用力が高いんですよ


「本線8組に残った中で決勝の3組に3位ギリギリで残ります」


―はい


「大半の視聴者はここで初めて『えも』の漫才を観たんでしょうけど、衝撃だったでしょうね」


―正に「萌え漫才」でしたから


「二人とも男女演じ分けが出来るからそれが目まぐるしくくるくると変わって、正しく「パフォーマンス」でした」


―はい


「そして伝説の決勝ですよ」


―そうですね


「『優勝したら解散する』宣言もしてました。『芸人さんをバカにするつもりは全く無い。これはいかに面白い演目を見せるかという大会なんだから、お笑い芸人じゃないと出場できないってことはないでしょ?』と言い放ってました」


―あれは凄かった


「はい、決勝の演目の途中でお互いに頭をぶつけて…そこから先が「お互いの中身が入れ替わった」前提でそのまま漫才を続行してみせたんですよね」


―はい


「言ってみればそれまでの予選での出来事なんかが全部『振り』だった訳です。雅羅さんの長いスカートをブンブン振り回しながらの青年演技と、何故か不敵な態度になるつかさくんの演技とか最高でした」


―そうですね


「余りにも見事なんで、本当に入れ替わった様に見えましたからね。なるほどこれはお互いに芸達者の声優ならではです。ちなみに半田くんは微妙に声質をチューニングして『地声』ではなくて不快感を感じさせない程度に女性の声に寄せてます」


―しかし、雅羅さんの熱演が光りますね


「恐らく観客もここに至って気付いたと思うんですよ。「舞台俳優・声優がお笑い芸人に挑戦」なんじゃなくて、あくまでも「演劇として」やってるんだってことに」


―物凄い盛り上がりでしたからね


「場の空気は完全に持って行くは、面白いわ可愛いわと完璧でした」


―ここからが問題なんですよ


「はい。決勝に進出したのは3組。審査員は7人だったんですが、どう考えてもあらゆる要素で圧勝だったはずの「えも」は1-6という大差で敗れます」


―荒れましたねこれは


「1票入っていたのが救いです。優勝したコンビも物凄くいたたまれない表情がありありでした」


―どうしてこうなったんでしょう?


「一説には『お笑い芸人の聖域を荒らされる訳にはいかない』から内容に関係なく投票しなかった…なんてことも言われていますが、真相は不明です」


―とはいえ納得いかないですよね


「ただ、ここで「W-1優勝」までしなくて良かったのかもしれない…とは思います。結果論ですが」


―どうしてです?


「日本みたいに「出る杭は打たれる」社会でこうも何もかも一人で独占するのはやっかみの対象になります。お笑い芸人だってこれまでは可愛いアイドルの子ってことでちやほやしてくれましたけど、ライバルとなったらそうもいかないでしょ」


―う~ん、そういうもんなんですかねえ


「それに『優勝したら解散』宣言してましたから、「優勝してない」から解散しなくてよかったんです」


―あ…


「W-1グランプリにおいて「準優勝」からその後大ブレイクしたコンビは数知れません。「優勝」というのはある程度普遍的な万人受けという意味もあるので、エッジの効いたグループだと優勝そのものはしなかったりします。プロ野球でドラフト一位選手が必ずしも名選手とは限らなかったり、マンガ賞でグランプリ以外から勝ち上がって大ヒットした漫画もあったでしょ?」


―はあ…


「翌日から今度は「えも」コンビでひっぱりだこになって、優勝コンビより遥かに忙しくなってしまいます」


―第二ブームってところですね


「実は半田くんが女装して「女の子同士のペア」状態になる「裏モード」もまだ隠し持ってる…ともっぱらの噂です」


―それは凄い…容易に想像が出来ますね


「W-1グランプリは12月第二週に行われるんですが、準優勝の肩書引っさげて「女の子歌手」として白組で紅白歌合戦に出場ってんだから何とも忙しい話です」


―来年初頭のアカデミー賞にもノミネートって噂があるんですよね


「『ナイトストーカー』のプロモーションではインタビュアーを買って出て各局とも主演や共演スターたちのかつてないリラックスした笑顔を引き出せてホクホクでしたからね」


―はい


「来週にはその「紅白歌合戦」が控えてる訳ですけど、まあ彼のことなんで上手くやるでしょ」


―歌手は年末には眠れないんですよね


「その後、「TVCD」(ディービーオブカウントダウン)の夜通しのライブです。彼くらいになれば独自に「カウントダウンライブ」開いて集客することも出来るんでしょうけど、そっちを選んだみたいですね」


―確かお正月ってお笑い番組多いですよね


「数は絞ってくると思いますけど、幾つかには出演することになるんじゃないでしょうか。事務所も何故かお笑い路線が気に入ったのか結構入れてくれてます」


―そろそろまとめて頂きたいんですが


「まあ、これまで縷々お話した通りで特に付け加えることはありません。登場からこれまでをざっと振り返りましたけど、こんなに面白いタレントはいませんね。これからもウォッチし続けたいと思います」


―ありがとうございました




階段にて


―半田さんは自分の将来のビジョンはどの様に描いていらっしゃいます?


「愛宕坂を卒業した時にもう女装したりアイドル活動しないかなあって思ってたんですけど、歌手活動が残ってたの忘れてて…でも、もうこの間二十歳はたちになっちゃったし、次の成人式あたりでそういうの封印かもなあって」


―もうアイドル歌手的な活動はしないと


「だって二十歳ですよ?きっと愛宕神社での成人式には引っ張り出されるんだろうけど…絶対晴れ着とか着たくないんで」


―みんな狙ってますよそれ


「ボクは幸い今はこんなんですけど(自分を指す)、すぐにおっさんっぽくなりますから大丈夫ですって(笑)」


―みんなそれを恐れてますけど…どんどん見た目も若返って来てるし、もう余り年取らないんじゃないか説とか


「そんな馬鹿な(笑)。でもライブ出来ないのはちょっとさびしいし、歌は歌っていたいから…まあ、そこは考え中です」


―最後に「愛宕坂47」で過ごした一年について何かあれば?


「あちこちの媒体で何度もお答えしてますけど…感謝しかないです」


―将来『黒歴史』になったりとか


「ならないと思います(笑)。なったらなったで別にいいですよ。ひげ面にビール腹のおっさんが出てきて「過去に美少女アイドルやってました」とか面白いじゃないですか」


―この度はありがとうございました


「こちらこそ」





















出演(敬称略)


総合プロデューサー

 夏元硬(なつもと・かたし)


評論家

 萩原吉(はぎわら・きち)


メロンガイ

 相良統(さがら・とおる)

 火山勇樹(ひやま・ゆうき)


オクシデンタル・テレビ

 森藤慎二(もりふじ・しんじ)

 田中明彦(たなか・あきひこ)


アニメ評論家

 群尾拓也(むれお・たくや)


タレント

 セガーレ岡山(せがーれ・おかやま)


アマチュア評論家

 キップ


振付師

 東 流れ石


愛宕坂47スタッフ

プロデューサー

 昔田吉朗(こんだ・よしろう)

半田つかさ専属マネージャー

 荒井恵子(あらい・けいこ)

愛宕坂47チーフマネージャー

 野中沙紀(のなか・さき)


トーキョーテレビ プロデューサー

東(あずま)


ソミー・ミュージック プロデューサー


声優

 今居麻恵(いまい・あさえ)

 杉山智弘(すぎやま・ともひろ)

 遠藤菜々子(えんどう・ななこ)

 大野小介(おおの・しょうすけ)


劇団『こんにちは計画』団長

 阿部奈爪(あべ・なつめ)


女装アイドル

 山拓郎(やま・たくろう)


自称・女装ネットアイドル

 D子(仮称)

ほか



愛宕坂47(あたござかふぉーてぃせぶん)


春元真冬(はるもと・まふゆ)

幾田絵理(いくた・えり)

生馬理科(いこま・りか)

伊東まりん(いとう・まりん)

江藤千理華(えとう・ちりか)

加藤純音(かとう・じゅんの)

井之頭さゆ(いのかしら・さゆ)

江藤美也(えとう・みや)

河前奈々(かわまえ・なな)

川町千尋(かわまち・ちひろ)

南野日佐子(みなみの・ひさこ)

齋賀晶(さいが・あきら)

斎賀ちあき(さいが・ちあき)

海藤由卯衣(かいとう・ゆうい)

相原実里(あいはら・みのり)

桜木玲(さくらぎ・れい)

笹井奏子(ささい・かなこ)

黒石真紀(くろいし・まき)

古内真理(ふるうち・まり)

須々木彩(すすき・あや)

片山一美(かたやま・かずみ)

寺川鈴世(てらかわ・りんぜ)

君田美紀(きみだ・みき)

中川姫子(なかがわ・ひめこ)

東野彩萌(ひがしの・あやめ)

能礼亜衣(のうれい・あい)

関口里奈(せきぐち・りな)

星山ひだり(ほしやま・ひだり)

堀井奈央(ほりい・なお)

松山百合(まつやま・ゆり)

村崎レイナ(むらざき・れいな)

若戸由美(わかと・ゆみ)

渡部みり音(わたべ・みりおん)

神田はにい(かんだ・はにい)


卒業生

端元奈々緒(はしもと・ななお)

深山麻美(ふかやま・まみ)

永嶋聖羅(ながしま・きよら)


桜坂47メンバー

平足由梨絵(ひらと・ゆりえ)


元・BKA49メンバー

渡部あゆ(わたべ・あゆ)


元・OSS49メンバー

松木理奈(まつき・りな)


カラオケ・デュエル 総合司会

 笠井正かさい・しょうぞう

カラオケ・デュエル 司会アシスタント

 柳沢美代子(やなぎさわ・みよこ)


ほか



データ


半田つかさ 本名:半田司はんた・つかさ


生年月日 平成9(1997)年11月22日生まれ(2017年誕生日で20歳)

性別 男性

国籍 日本人

出身地 東京

家族 両親、姉、妹ともに死亡

既婚 配偶者 雅羅がら

血液型 AB型

身長 158センチ

体重 非公表

特技 声の使い分け(男女合わせて10数種類)


略年表

5歳。両親及び姉(当時7歳)が押し入ってきた強盗犯に目の前で惨殺される

親戚の家に預けられるが育児を拒否して施設入り

 同居していた期間、かなりの肉体的虐待を受けていたらしいが詳細は不明

 この際にかなりの金額があったはずの遺産を親戚一家が着服した疑いが濃厚

中学・高校までは通えるが兄妹揃って一年も休まず凄まじく過激ないじめに遭い続ける

 高校を出る際に「進学費用は出せない」と通告されていたため、自活できる道を探す

小学・中学・高校を通して3歳年下の妹をあやすために女声で歌い続けたことが後に繋がる

新聞配達などのバイトに明け暮れ、生活費を稼ぎ、妹の進学費用を捻出しようとする

高校一年生の頃(当時14歳)、いじめによって大怪我を追い、頭がい骨が割れる重症によって生死の境をさまよう。犯人もハッキリしているがうやむやにされる

 女性的な体質となったのもこの時のショックによるホルモン異常もあるとされる

  この時の治療費負担と称した借金があり、それを返済するためにも働き続ける

15歳の頃、妹が過激ないじめによって絶命(当時12歳)。犯人の目星はついているが学校内のことであり、子供の将来の更生も考えると言う名目でうやむやにされる。残された最後の家族も失い、天涯孤独となる

 実らなかったがこの時の治療費もまた借金として残る

「まともな神経が擦り切れて、感情らしきものを失った」のは妹の死がきっかけだったと語る。以降、位牌を肌身離さず持ち歩いている。葬儀代もまた借金

15歳の時に劇団「こんにちは計画」に加入

 現夫人(当時18歳)と出会う

施設内の過激ないじめと虐待に耐えかねて夫人宅(一人暮らしマンション)に転がり込む

劇団「こんにちは計画」団長が親権を取得する

夫婦そろって貧乏劇団の役者なので二人して生活費を稼ぐためのバイト生活

 昼の外食が「コンビニのカップそば」(130~170円)で後は自炊

小遣い稼ぎにアニメのアフレコで役を得ることをし始める

アニメの打ち上げの余興で女声の歌声を披露したところをテレビTのプロデューサーに目を付けられる


2015年10月 17歳11箇月 カラオケ・デュエル 初登場 大評判 100点を含むぶっちぎりの優勝

2015年11月 18歳 0箇月 現夫人(当時21歳)と結婚。籍は入れたが結婚式も披露宴も行わず、劇団の飲み会のみ

2015年12月 18歳 1箇月 カラオケ・デュエル 2回目 圧倒的な歌唱力で二度連続の優勝

            深夜アニメにおいて初の準レギュラー獲得。1月期(1~3月)に放送

            同時期に行われた『正義戦士ジャスティスマン・アライブ』のオーディションに参加

2016年 2月 18歳 3箇月 カラオケ・デュエル 3回目 3回目にして2度目の100点決勝で優勝。最強ぶりをみせつける

2016年 3月 18歳 4箇月 高等学校卒業

2016年 4月 18歳 5箇月 『正義戦士ジャスティスマン・アライブ』主役 OP主題歌メジャーデビュー

            歌番組にて愛宕坂47と共演。

2016年 5月 18歳 6箇月 「マイナーすぎて似てても分からない選手権」に愛宕坂47のモノマネで参加

2016年 6月 18歳 7箇月 個人名義でのセカンドシングル発売

            愛宕坂47への加入発表

2016年 7月 18歳 8箇月 グループ15枚目シングル発売(在籍はしているが不参加)

            3枚目の個人シングル発売

2016年 8月 18歳 9ヶ月 個人名義での4枚目のシングル発表(単品としては発売されない)

2016年10月 18歳11箇月 カラオケ・デュエル 4回目 愛宕坂の歌を封印されるも連続100点によりパーフェクト優勝

            誕生祭に合わせてそれまでの激烈な生涯を解説する半ドキュメンタリーが放送される

            これによって幼少時の両親惨殺、妹をいじめ殺されるなどが判明。風向きが変わる

2016年11月 19歳 0箇月 グループ16枚目シングル発売 十神入り フロント一番下手ポジション

2016年12月 19歳 1箇月 紅白歌合戦に出場(1回目)

2017年 2月 19歳 3箇月 グループ17枚目シングル発売 センター

            握手会に初参加

2017年 5月 19歳 6箇月 卒業ライブにて卒業

(以下略)


愛宕坂47在籍時における活動


参加楽曲 シングル表題曲2 カップリング2

登場MV 4

CDジャケット写真 2枚

雑誌グラビア 2回

雑誌表紙 5回(海外雑誌1含む)

雑誌インタビュー 述べ78誌

写真集 1冊

レギュラー番組出演

 「愛宕坂工事中」40回(加入前のゲスト出演3回)

 「ATABING!」10回(2シーズン合計)

イベント参加

 握手会1回

 トークショー5回

歌番組出演 23回

歌番組以外出演 38回

ラジオ番組出演 7回

全国ツアーライブ のべ5回(卒業ライブ含む)

テレビ番組レギュラー 1本

















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