俺とストーカー
どうやら、俺にはストーカーがいるらしいことに最近気づいた。
なんでかって?
ここ最近毎日視線を感じるからだ。
最初は気の所為かと思っていたのだが、こう毎日だと流石におかしいと思うだろ?
俺の容姿はパッとしない平々凡々な顔に体型。街の女の子10人に聞いたら、全員普通だと言うであろうこの外見で、ストーカー?疑問しかない。
しかし、現に毎日長時間視線攻撃に晒されている。暇か?暇なのか?
俺はこんなにあくせく働いていると言うのに!
悪態を付きながらも、身体をせっせと動かす。
俺の仕事は、何でも屋の請負だ。何でも屋は、街の雑用から害獣退治までと仕事の幅が広い。しかし、俺は街の雑用しかしない!危険はゴメンである。
毎日どこかの溝さらいをして日銭を稼いでいる。臭い汚いキツイの3kである。たまに失せ物探しとかもするけど。それで最低限生活が出来ているので満足している。
そんな俺にストーカーなんてありえないだろ?
まあそんな理由で、その存在が気になる俺は、こっそり周囲へ視線を向けて相手の姿を探している。未だ相手を見たことないけど。どんどけ上手く隠れてるんだよ?
こうして、俺とストーカーの攻防(一方的)が始まった。
探し始めて早10日。視線はあれど姿なし。鈍感すぎて、方向すら分からん。
さらに10日。なんとなく方向が分かるようになったような?未だ姿なし。
30日目。なんと、気配察知のスキルが生えた。人生初のスキルである。ストーカー様々!でも、ストーカーには会えない。さり気なくを装って、視線を感じた方向へ行くも誰も居らず。
40日目。捜索のスキルが生えた。もう意味がわからない。どんだけ俺はストーカーに会いたいのか。気配察知だけの頃より、ストーカーの位置がよくわかるようになった。ある程度地図のポイントでわかるようになった。そして気づく。ストーカー、毎回方向も場所も変わってる!俺の仕事場所も変わってるとはいえ、だいたい続きだから大きな変更はないはずなのに。プロか?プロなのか?
50日目。スキルに磨きがかかり、さらにわかりやすく。なのに、会えない。俺はまだ未熟だ。素早さを鍛えるべきなのか?ダッシュだ!
60日目。2ヵ月だ。最早意地と執念である。そして、悲しいかな駿足のスキルが生えた。この恩恵は、素早さの向上。いつか追いつけるのか?
70日目。未だ姿形すら確認出来ない。どうすればいいんだ?ストーカーがいたであろう場所には行けるようになったがそれだけである。なんとなくフルーティーな匂いがするような・・・
80日目。俺は風になった。
90日目。なんと、とうとうストーカーらしき姿を捉えることに成功!ヒャッホー!路地を曲がっていく後ろ姿。なびく髪が素敵である。慌てて後を追うも、曲がってみればあら不思議!誰もいなかった。何故だ!?
記念すべき100日目。隠密のスキルが生えた。足音が煩い所為かと思って足音を殺す意識をしていたら生えた。そろそろ捕まえられるんじゃないかと心が踊る。
110日目。俺はクラスがストーカー(追跡者)になった。もうどっちがストーカーかわからない。
120日目。とうとう!ストーカーを捕まえた。長かった!正面に回り込んで、まずは挨拶から始めましょう。
「こんにちは、お嬢さん」
ここから先どうなったかって?
ストーカー改め彼女とお付き合いを始め、3kを卒業しましたよ!