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夢想世界の少女  作者: ☆私星☆
第1章 ~夢の始まり~
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第5話  ~幸福な日常~

 どういうことだ・・・・・・? まるで昨日1日が無かったことのような・・・・・・? いや、昨日をもう1度繰り返してるような・・・・・・!


 「空人くん・・・・・・? 大丈夫・・・・・・?」


 携帯を見ながら硬直している空人を心配して、ユムがこちらを覗き込んできた。ユムの顔を見て少しだけ落ち着いたのか、そこで空人は我に返る。


 「あ、ああ・・・・・・。大丈夫だ」


 「本当? なんか顔色悪いよ?」


 「気にしないでいいよ。ちょっと考え事してただけだからさ」


 ユムを心配させまいと、空人はそう弁解する。


 「そうだったの? 悩み事があったらいつでも相談してねっ?」


 「ああ、そうするよ」


 ユムの優しい心遣いが空人にはありがたく感じた。

 空人はさっきよりは冷静さを取り戻したが、それでも頭の中は整理がつかないままでいた。

 やっぱり俺は幻覚でも見ていたのだろうか・・・・・・。

 しかし、それにしては昨日のことがとてもリアルに感じられた。空人はそのことで頭がいっぱいになり、授業の内容は全然頭に入らなかった、と言っても空人には授業を受けた記憶がリアルに残っているのだが。



 ――時間が経ち、昼休み。空人は亜衣歌が作ってくれた弁当をカバンから取り出した。

 悩んでもしょうがないし、とりあえず飯でも食って落ち着こうか・・・・・・。

 すると隣から、


 「空人くんっ、一緒にお昼食べよ~?」


 「うん・・・・・・えっ!?」


 ユムのいきなりの提案に空人はたじろいでしまう。


 「いや、まあ、ユムがいいなら構わないけど・・・・・・」


 「本当っ? やった~!」


 そう言いながらユムは弁当を持った。空人の前の席の人が不在だったので、ユムはその席の椅子を180度回転させ、空人と向かい合わせになるように座った。

 マジか! 超ラッキーだな俺!

 

 「よいしょっと。わーっ、空人くんのお弁当、おいしそうだねっ!」


 空人の今日の弁当のおかずは、卵焼きにから揚げ、ブロッコリーにトマトに春巻きなど、とてもカラフルで美味しそうな見た目だ。


 「毎日妹が作ってくれるんだ」


 「空人くんって妹さんいるんだ~。今、何才?」


 「俺より3つ下の13才だけど、相当頭良くてもう高校の勉強してるんだ」


 「へぇ~、妹さん頭いいんだねっ! 私は一人っ子なんだぁ~」


 と会話しながらユムは自分の弁当を開く。


 「おお~、うまそう!」


 「今日はサンドイッチにしてきたよ~」


 ユムの弁当箱はバスケット型で、その中には色とりどりのサンドイッチが並んでいた。


 「もしかして毎日自分で作ってるのか?」


 空人は気になったのでユムに聞いてみる。


 「うんっ、そうだよ~」


 「すごいな、俺は料理したこと無いからなー・・・・・・」


 空人が作ったといえるものはカップラーメンぐらいしかなかったので、素直にユムが料理できることに感心していた。中学1年で2人分の料理を毎日作る亜衣歌も十分すごいと言えるが。


 「1つあげるよっ」


 と言いながらユムは空人にサンドイッチ一切ひときれを差し出してきた。


 「いいのか? ありがとう」


 空人はユムから貰ったサンドイッチを食べてみる。


 「うまい!」


 「そうっ? 良かった~!」


 俺、こんな可愛い女の子と出会って2日目で手料理食べれるなんて人生で1度も想像したこと無かったわ! いろいろあったけど、今日はかなり運が良い日だな!

 ユムの手作り料理が食べれて幸せに浸っている空人は、ユムと何気ない会話をしながら昼休みを過ごすのであった。



――そして午後の授業が終わり、生徒たちが一斉に帰り出す。

 

 「空人くんっ、また明日ねっ!」


 「おう、また明日」


 空人はユムとたくさん会話ができて、ご機嫌だった。

 今日あったことを思い浮かべ、鼻歌を刻みながら家へ帰る。

 


 ――そして家のドアの前で一旦立ち止まる。

 亜衣歌、いるよな・・・・・・。

 空人は昨日のことを思い出しながら、ドアノブに手を掛けた。


 ガチャッ!


 「ただいまー・・・・・・?」


 すると、


 「おかえりー、お兄ちゃん。いつもより早いね」


 良かった、ちゃんといるな。

 空人は安堵の表情と共に自分の胸を撫で下ろした。だが再び真顔になる。


 「今日は出かけないのか?」


 「今から友達と遊びに行って来るよ」


 空人は少し動揺した。またそのまま帰ってっこないのではないか、また昨日のような現象が起こるのではないか、と。


 「なるべく遅くならないようにな・・・・・・?」


 「うん、うん? どうかしたの?」


 何故か不安そうな顔をしている空人に少し疑問を感じた亜衣歌がそう聞き返した。


 「いや、別に何でもない」


 「そう、ならいいけども。それとも、私がいないと寂しいのかな~?」


 亜衣歌がおちょくってくる。


 「そ、そんなわけないだろ! 早く行って来いよ」


 「はいはい、行ってきまーす!」


 空人が別の理由で動揺をしていると、亜衣歌は遊びに出かけて行った。

 そんなわけない、とそう言いつつも、空人は落ち着かなかったので、自分の部屋でいつもの様にゲームして気を紛らわすことにした。



 ――そして6時半過ぎ頃。


 「ただいまー! 今から夕飯作るねー」


 亜衣歌が帰ってきた。空人は再び安堵の表情を浮かべる。

 今日はもう家から出なさそうだし、大丈夫だな・・・・・・。



 ――しばらく経ち、2人で夕食を食べた後、空人は部屋に戻った。

 今日は家に帰ってからは特に何も無かったな・・・・・・。明日こそは寝坊しないようにしないと。

 そう考えながら、忘れずに目覚ましをセットし、念のため携帯のアラームも同様に設定した。

 

 今日はもう、早めに寝るか・・・・・・。

 空人は明日に向けて、眠りにふけるのであった。



 ――そして次の朝、



 ――亜衣歌は再び居なくなっていた。

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