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夢想世界の少女  作者: ☆私星☆
第1章 ~夢の始まり~
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第3話  ~2度目の邂逅~

 空人が目を開けるともう朝だった。カーテンの隙間から外の光が照らす。

 ん・・・・・・? 今何時だ・・・・・・?

 空人が時計を見ると・・・・・・、


 「やべっ!!」


 時刻は、もう普段なら学校へ向かっている時間だった。空人は大急ぎで支度をして、寝癖を完全には直せないまま学校へ向かった。


 「ふぅ・・・・・・、間に合った・・・・・・」

 

 丁度学校の予鈴が鳴り始めたころ、空人は何とかクラスの自分の席に着くことができた。やはり昨日の昼、寝てしまったのが寝坊の原因だろうか。

 目覚まし鳴ってたっけな・・・・・・、かけ忘れたかな。

 

 と、空人がそんなことを考えながら右の席を見ると、ユムはまだ来ていないようだった。

 俺と同じ寝坊か・・・・・・? 欠席って可能性もあるけど・・・・・・。

 

 その時、教室の前の方の扉がガラッ!と開いた。


 「おはようございまーす」


 担任の先生だった。みんなも先生に挨拶を返す。


 「ではまず、出席を取るので呼ばれた人は返事をしてくださいねー」


 前の席の方から順番に返事が聞こえる。

 そう言えばこの席は出席番号順に前から並べられてるんだっけ。だからユムは俺の右なのか。

 空人は、”八条”と”花崎”という苗字のおかげで席が隣だったということに対して、神に感謝した。


 そして、少しして出席点呼は”は行”に差し掛かった。


 「八条空人ー」


 「はいっ!」


 空人は少し大きめに返事をした。

 そして次はユムの番だが――


 「花崎結夢ー」


 ユムはまだ来ておらず、返事は無かった。


 「花崎さんー。花崎さんー? いませんか?」


 先生が確認するが返事が無い、――と思った瞬間、


 ガラッ!


 教室の後ろ側の扉が開く音がして空人はそちらへ振り返る。

 そこには、ユムの姿があった。


 「花崎さん、遅刻ですよ? 早く席に着いてくださいねー」


 先生がそう言うとユムは、


 「はい。すみませんでした」


 と、落ち着いた小さめの声で応えた。

 ユム・・・・・・?

 空人はユムを見て少し違和感を覚えた。

 

 ――昨日と、全然雰囲気が違う。髪型や姿は昨日とほぼ変わらないが、瞳の輝きが昨日より薄く、表情も笑顔は無くクールな無表情に近い。そしてさっきの口調。

 空人はユムではない別の人を見ている錯覚に囚われた。


 返事をしたユムは、そのまま空人のとなりの席へ座った。

 ユムはこちらを見向きもしていない。まるで会ったことのない他人のようだった。


 ユム・・・・・・だよな・・・・・・? 俺の知ってる・・・・・。

 空人は昨日とは違うユムの雰囲気に、戸惑いを隠せなかった。

 

 1時限目が終わったら話しかけてみよう。

 空人はそう考えながら授業に臨んだ。


 

 ――「ではこれで授業を終わります。起立、ありがとうございましたー」


 先生がそう言い、みんなもそれに続いて挨拶をする。

 空人はユムのことが気になって授業にそこまで集中することはできなかった。

 

 空人は早速ユムに話しかけようとする。


 「おはよう、今日は遅かったみたいだけど何かあったの?」


 空人がそう聞くと、


 「ええ、ちょっと昨日夜更かしをしてしまって」


 と、やはり落ち着いた声で答えた。声のトーンだけでなく、口調も少し変わっているユムに、空人はやはり少し戸惑う。

 昨日話した時はあんなに明るかったのに・・・・・・。昨日夜更かしして眠いからか・・・・・・?


 「へぇー、実は俺も今日は遅刻ギリギリだったんだ、奇遇だね」


 空人は何とか会話を繋げようと、そう聞いてみた。


 「そう。間に合って良かったわね」


 と、ユムがそう言ってすぐに会話が途切れてしまう。

 ・・・・・・、やっぱり雰囲気が違い過ぎるな・・・・・・。

 空人はその後の授業は何も聞かずに、たまにチラチラとユムの方を見るだけだった。しかし、いつユムの方を見ても、こちらに反応することは無かった・・・・・・。



 そして、時間が経ち放課後、ユムがすぐに教室を立ち去るのを見た空人は、自分も帰宅することにした。

 はぁ・・・・・・。何か全然しゃべれなかったな・・・・・・。

 ユムの雰囲気に惑わされ、あまり会話できなかったことに残念の表情を隠せない空人は、学校を出ていつもの川沿いを歩いていた。

 明日、また話しかけてみるか・・・・・・。

 明日になれば何か変わる、そう信じながら足を進める空人は、川を眺めながら明日のことを考えていた。

 

 少しして、空人は家に到着した。


 「ただいまー」


 返事は無い。おそらく亜衣歌は遊びに行ったのだと、空人はそう推測した。


 昨日とは違い今日は通常の授業だったため、時計を見ると既に3時半を回ったところだった。

 部屋に向かい、着替えてまたベッドにドサッと倒れこむ。

 また寝落ちとかしないようにしないとな・・・・・・。

 そう思った空人は、昨日のゲームの続きを始めた。


 

 しばらく経ち、再び時計を見ると、時刻は午後6時丁度だった。

 亜衣歌のやつ遅いな・・・・・・。

 いつもなら夕飯を作り始めている時間だったが、亜衣歌はまだ家に帰ってきていなかった。

 まあ、そのうち帰ってくるか。

 空人はそう思いながらゲームを再開する。



 遅い・・・・・・。

 さらに時間が経ち、時刻は午後8時を回った。しかし亜衣歌は未だに帰ってきていなかった。

 携帯に電話かけてみるか・・・・・・。

 空人は亜衣歌の電話番号を探す。

 

 あれ?亜衣歌の番号が無いぞ?

 空人は以前に登録したはずの亜衣歌の番号が無いことに気付いた。

 おかしいな・・・・・・。てかこれじゃ連絡つけられねぇじゃないか。どうしようか・・・・・・。そうだ、メールでもいいか。

 空人はメールしようと、宛先のアドレスから亜衣歌のものを探す。

 

 無い・・・・・・、無いぞ。

 携帯番号どころか、メールのアドレスも空人の携帯には存在しなかった。

 こうなったらアイツには悪いけど、亜衣歌の部屋に電話番号とか書いたものが無いかどうか探すか。

 空人は自分の部屋を出て、亜衣歌の部屋に向かった。そして、ドアを開く。

 

 ガチャッ!


 空人がドアを開くと――、


 ・・・・・・!?


 ――その部屋にはものが一切いっさい、何一つ無かった。

 

 

 

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