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夢想世界の少女  作者: ☆私星☆
第1章 ~夢の始まり~
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第2話  ~空人の妹~

 空人の実家は、学校から徒歩10分ほどの所にあった。いつもの様に、学校を出てすぐの土手のある川沿いを歩き家に着いた。

 そして、ガチャッと玄関の扉を開ける。


 「ただいまー」


 「あ、おかえりお兄ちゃん」


 空人には3つ下の妹がいた。“3つ下”、ということは中学1年であり、空人と同じく中学校の入学式を終えた後だった。


 「亜衣歌はさっき帰ってきたの?」


 「そうだよ。入学式、ちょっと緊張しちゃった」


 黒に近い藍色の髪を青いリボンで結んだツインテールが特徴の空人の妹――八条はちじょう亜衣歌あいかは空人よりも学力がかなり上で、小学4年生にして中学1年の学習を手に掛けるほどに勉強ができた。現在は、高1の内容を学習しているらしい。

 要するに、空人がこれから学習する内容を亜衣歌は既に勉強済みだったのである。空人は13才の妹に先を越されてしまったのだが、こんなに頭の良い優秀な妹がいることは誇るべきだ、と思っていた。

 優秀ゆえに、今日の入学式は新入生代表としてクラスの担任に頼まれ、在校生の前でスピーチを行ったのであった。優秀と言えどまだ13才、緊張もするわけである。

 空人達の両親はどちらも教師の仕事をしており、現在はどちらもアメリカで日本語を教える仕事にあたっていた。勉強だけではなく、料理や掃除などの家事もそつなくこなしてしまうハイスペックな妹に空人を任せ、数か月前にアメリカに飛び立ってしまったのであった。

 なので、この家は空人と亜衣歌の2人暮らしということになる。

 

 「お兄ちゃんは入学式、どうだった?」


 「まあ、別に緊張はしなかったよ。知ってる奴はクラスには居なかったなぁ」


 「わー、お兄ちゃんいきなり一人ぼっち? 可哀想に・・・・・・」


 妹が少し憐みの目で俺を見てきた。別に寂しくなんかないぞ。


 「ちょっと友達と遊びに行ってくるね。夕方には帰るから~」


と言いながら靴を履き遊びに行く妹を見送って自分の部屋に入り、制服のままの格好から着替えてベッドに仰向けにドサッと寝転んだ。

 あー、暇だから何かするか・・・・・・。

 空人は暇つぶしに何をするか考えながらも、昼間の学校で出会った少女――ユムのことを思い出していた。

 早く明日にならないかな・・・・・・――


 

 ――・・・・・・。誰かの声がする・・・・・・。

 

 「――ちゃん? お兄ちゃん? もう7時だよ?」


 「あ・・・・・・。マジか、俺寝ちまってたか・・・・・・」


 妹に起こされて時計を見ると、確かに丁度午後7時を回ったところだった。


 「やっぱり昨日の夜、次の日の入学式のことが頭に浮かんで緊張して眠れなかったんじゃないの~?」


 ちょっと意地悪そうな顔で、亜衣歌が口に手を当ててそう言ってくる。


 「緊張して眠れなかったんじゃないさ。多分・・・・・・」


 「とにかく、もう晩御飯できてるから降りてきてね?」


 そう言うと、亜衣歌は一足先に階段を下りていった。俺も降りるか・・・・・・。

 空人は1階に降りてリビングに向かった。ん・・・・・・。いい匂いがしてきた。

 リビングに着くと既に亜衣歌は椅子に座って空人を待っていた。


 「今日はお兄ちゃんの大好きなカレーだよー」


 「お、うまそう」


 そう言って空人は椅子に座った。


 「「いただきまーす」」


 2人とも手を合わせてそう言い、カレーを食べ始めた。

 うまい。亜衣歌が作るカレーは最高だな。


 10分程が経ち2人ともカレーを完食すると、ごちそうさまをして亜衣歌は食器の片付けを始めた。

 空人も手伝おうとしたことがあったが、亜衣歌のように効率的に片付けることができなく、かえって邪魔になってしまう。空人は、いつも亜衣歌に片付けを全て任せてしまって申し訳ない、と思っていた。


 そのまま自分の部屋に戻った空人は再びベッドに仰向けに寝転がった。

 なんか俺、生活だらしないな・・・・・・。

 そう思いながらもそばに置いてあった携帯ゲーム機を手に取り、遊び始めた。

 

 

 ――しばらくゲーム機で遊んでいた空人はふと時計を見る。

 ん、もうこんな時間か・・・・・・。そろそろやめて寝る準備しないと。

 学校から家に帰ってきてから夜にかけて眠ってしまっていたので、空人は今特別眠いわけでもなかったが、かと言ってこのまま夜更かしして入学式を終えた次の日にいきなり遅刻、なんてことにはなりたくなかった。

 1階に降りてシャワーを浴び、歯磨きをしてから再び自分の部屋に戻った。

 現在時刻は午前0時半、明日は7時半には起きなければならない。


 「寝るか・・・・・・」


 空人はベッドに横になり、ゆっくりと目を閉じた・・・・・・。

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